
だんだんお仕事が忙しくなってきまして、間隔が開きつつの更新です。
初代レパードの特集、2回目となります。
今回は前期の途中で追加されたターボが話の中心です。
ついでに今回は、姉妹車のTR-X(トライエックス)のカタログをチョイス。最大の理由は、この時点の手持ちカタログはTR-Xのみということなのですが、姉妹車間の違いを書けますので一石二鳥ということで(笑)
こちらは、ブルーバード6気筒シリーズの後継車として日産店に投入されたレパードに対して、これまで上級車種の取り扱いがなかったチェリー店に投入された姉妹車となります。
一部のグレードはレパードのみに設定されていたりということで、どうしてもレパードが主でこちらが従と書かざるを得ません。もっとも、この関係マークIIとチェイサーの関係に似た部分が見受けられる・・・という話は後述。
それでは、カタログをご紹介。
発行は1981年10月となります。画像でお気付きのとおり、あまり状態が良くない点は、ご容赦くださいませ。
レパード的には、主力車種たるターボの追加ということで、大きな取扱いです。
L20のターボは、セドリック/グロリアから始まって、スカイライン、ローレルを経た後、レパードにも搭載されることとなりました。では、何が世界初かというと、当時”ECCS”と呼ばれていたエンジンの電子集中制御システムとの組み合わせなのです。
ECCSは、セドリック/グロリアが、L28E・L20Eに先行して搭載したシステムでした。
今回、カタログを見返していて気付いたのですが、TR-Xは、テクノロジーの「T」、ロマンの「R」、未知の「X」の組み合わせだったのですね。(ただし、自動車ガイドブックでは試みのTRYを表していると記載されています)
4ドアハードトップの見開きを2つ続けて掲載。
上はトップグレードのZGX。下はセカンドグレードのSGXです。
ZGXの方は、車名&TURBOのサイドネームラベルが誇らしげですが、これはオプション。
一方のSGXは素でありまして、この状態だと、ターボの識別点は、2800と共通のフードバルジとリヤのターボステッカーのみということで、意外と大人しい差異となります。
余談ですが、従兄はこれと同じ、白のSGX(ただしレパード)に乗っていました。デジパネを避けての、あえてのSGXだったはずです。購入話を聞いた際には、3代目ローレルのメダリストが欲しいと言っていたはずなのに、ずいぶん思い切ったなと驚いたものです(笑)。やはり当時としては、カッコイイクルマの印象が強かったですね。
こちらは2ドアハードトップです。
左の小さい画像はベーシックグレードのGX。右の大きいのはSGXです。
ターボ搭載車には2ドアと4ドアで共通のグレードが設定されていました。
フロントマスクが大きく違う一方で、リヤビューはほぼ共通でした。この2台、車名がリヤウィンドー部に書かれていまして、このためなのか、リヤウィンドーガラスは別部品というのが意外です。
SGXのボディカラーは特別塗装色で、おそらくターボ追加時に新設定となったものだと思われます。ほぼ同時期に登場したソアラターボにも、上が淡色、下が濃色のグレーツートンが追加されているわけで、おそらく偶然ながらも、つい比較せずにはいられないというのが当時の状況でしたね。
世界初のECCSターボということで、順番を変えてメカニズムを紹介します。
エンジンのスペック自体は、ECCS非搭載のL20ET搭載車と変わりはありませんでした。ECCSの効果は、むしろ燃費の方に表れていまして、60キロ定地走行・10モードの両燃費共に約5~10%ぐらいは良好な値が表示されていました。
ターボのATは、3速ながらも200X同様、ロックアップ付とされています。減速比がハイギヤードということもありますが、4速ATのソアラターボと同等以上の燃費が謳われていたのは、これらのメカニズムのおかげですね。
左の小さい画像はGXの、右の画像はZGX・エクストラパックのインパネです。
新発売の時点では、スピードとタコ以外のサブメーターのみ電子が採用されていたメーターは、ターボでは、新たにスピードとタコも電子となった、エレクトロニック・デジタルメーターが採用されました。
未来的なエクステリアには、この手のデバイスは似合いますね。インパネセンターに配されたセーフティモニターと共に、80年代の空気感がここにはあるとでも言うべきかと。
一方のGXは、ベーシックグレードと言うことで、かなりシンプルな装いとなります。画像ではオーディオが装着されていますが、標準ではラジオもレスだったようです。インパネ右側のZGXではスイッチとなる箇所も蓋処理とされていますね。
デジタルメーターは、当時の話題でしたから、別ページで大きく紹介されています。初期の製品ということで、タコメーターの表示方法は、この後の製品と比較すると、まだまだ模索中の感があります。
横一線orトルクカーブ風、等間隔表示or常用域を大きく表示等、見易い表示方法を求めて、各社いろいろ試していた時期です。
それまでは主役だったマルチ電子メーターは、一転して脇役とされています。デジタルメーターのマルチゲージ部分と似た表示方法が、デジタルが認可されるまでの過渡期だったことを物語っていますね。
インパネと同様、GXとZGX・エクストラパックのインテリアです。
話題となった本革シートは好き嫌いが分かれたのか、ターボでは設定から落とされることとなりました。
SGXとZGXは、ノンターボの同等グレードと同じ布地とされています。2ドアと4ドアで分かれるのも同様。GXのみ、「TURBO」文字をあしらった起毛トリコットのシートが専用品として新たに設定されています。
これら布のシートは、(特に赤の)本革と比較すると、地味な印象ですが、これはこれで高級感があると思います。ただ、ブルーバードやローレル等との差別化の観点では、ややキャラクターが弱くなった感があるかもしれません。
装備類の紹介です。
ターボは、基本的にはノンターボと同等の装備が揃いますが、フットレストが数少ない専用部品として追加されています。ATの普及と並行して、一般的となった部品ですが、この頃は、スポーティなクルマが備えるものと思われていました。
その一方で、ノンターボの同等グレードと比較すると、オーディオはワンランクずつ落とされています。まだまだオーディオが高かった時代ですから、ややオーバークオリティという判断が入ったのかもしれませんね。
ターボの登場に伴い、ノンターボ系は主役を奪われた感が強くなりました。
ターボのインテリアで触れたとおり、こちらの如何にも趣味的なインテリアは、貴重なキャラクターに思えるんですけれどね。
当時は、やや先進的過ぎたのか、あまり評価されなかったからこそ、ここでは賛同を送りたいと思います。むしろ、この5年後ぐらいに登場した方が、理解されやすかったかもしれませんね。
レパードでは、殆ど取り上げられることのなかった1800が、こちらでは見開きで取り上げられています。
TR-Xでは、1800にも期待していたのかなと推測させる構成です。
惜しむらくは、位置付けに似たものが見受けられるチェイサーと比較すると、需要があるならこのクラスでも売ろう、という気迫が欠けていた点ですね。
実際の比率は不明ですが、こちらのみ特別仕様車を設定してセールスを後押しするぐらいの工夫はあっても良かったように思います。
ターボのグレード一覧です。
下から、GX・SGX・ZGXの3グレード構成。さらにZGXにはエクストラ・パックの設定がありました。
基本的には、ノンターボのF=GX、同CF=SGX、同SF=ZGXとなります。
アダルト路線をやや軌道修正する意味もあったのかなと推測しつつも、グレード名の変更については、やや否定的な見解をもっています。せっかくの独自グレード名を、ローレルでも使っていたGXに揃えなくても良かったのでは、と思えまして。
仕様の変更とあわせて、初期のマーケティングには若干の詰めの甘さがあったのかもしれません。メーカー的には些細な変更であっても、ユーザーは意外と敏感に反応する部分ではありますね。
こちらはノンターボのグレード一覧です。
レパードでは、200X・Fと280X・CFの2グレードが落とされていることが確認できているのですが、こちらには当初から設定があったのか、確認に至りませんでした。
2ドアでは、180・CFと280X・SF-Lという、中間グレードが落とされた何とも極端に思える設定とされています。こちらも何があって、何が落とされたか、継続して追跡したいと思っています。
ノンターボの2ドアでは、エンジンフードとBピラーからショルダー部の両ストライプが、こちらの特徴だったようです。

主要装備一覧と主要諸元表です。
ノンターボとターボの違いは、両表をご確認くださいませ。
といったところで、いかがだったでしょうか。
前回でコメントをいただきましたとおり、スペシャルティーカーへのターボ搭載は中々認可されなかったのか、レパードへのターボ搭載は登場から1年近く遅れてとなってしまいました。
ギャランシグマの兄弟車と判断されたと推測できるラムダを除けば、スペシャルティーカーへのターボ搭載は、1981年5月のシルビア/ガゼール、翌月のソアラ、さらに翌月のレパードと相次ぎましたから、なるほどと頷けるものがあります。
2800同士では不利だったソアラとの対決も、ターボ同士の比較では、スペック的には一長一短な部分があって、結構好勝負だったように記憶しています。
ただ、スペシャルティーカーというのは、新鮮味で勝負の部分が強くて、その年の夏の話題は、新型となるセリカとスカイラインに移っていた感があります。せっかくのレパードターボも、両者の前ではやや陰に隠れがちだったのです。
それでも、この時点では、ソアラあるいはマークII系の3兄弟に対して、決定的なビハインドとはなっていなかったように思います。ターボの登場に伴い、高価な豪華仕様のみに絞られた2800は、スペック上は大きな違いはなかったことから、以降、大幅に販売台数を減らすこととなりますが。(結果論ですが、セドリック/グロリアの後期が搭載した155馬力仕様への変更があってもよかったのかもしれません)
レパードの歴史を追っていくと、問題はこの後の展開だと思うのです・・・ということで次回に続けることとします。