本題前に、なかなか珍しい体験となった昨日のお出かけ話を先に。
時間が取れたことで、毎年恒例となっている千葉の館山へ出かけてきました。
昨日は、幸い晴天に恵まれ、3月の陽気を思わせる温かさがありました。これで、台風並みを思わせる強風がなければよかったのですが・・・
東京湾フェリーの欠航はもちろん、お昼前後はアクアラインも通行止め。
うみほたるで一休みのはずが、入って早々に「あと5分で通行止め」と放送が入ったため、急き立てられるように再び高速へ。橋の上は40km/h規制でしたが、それでも真っすぐ走らせるのに細心の注意が必要となる始末。強風で飛ばされた積み荷も散乱していたりして。
結局一日、その強風に悩まされました。最も強かった金谷港では、立っているのもやっとというくらいですから相当なモノ。
潮風をまともに浴びた以上、早々の洗車は必須なのです。
長くならないうちに、さて本題。
140コロナが好評でしたので、続いてライバル車のこちらはいかがでしょうかということで。
910ブルーバードは、特別仕様車の種類も多いのですが、手持ちのこれを取り上げてみます。
〇50スペシャルII
(ベースグレード)
4ドアハードトップ 1800 SSS-E
(外装色)
・レッド(013)
・ホワイト(002)
・シルバーM(006)
・エクストラシルバーツートン(150)
(生産時期)
1983年5月 ~
(特別装備)
・記念カーバッジ
・記念アクセサリーキー
・記念リヤエンブレム
・革巻タイプシフトノブ(オートマチック車)
・カセットデッキ
・スポットランプ付オーバーヘッドコンソール
・運転席フットレスト
・アルミロードホイール
・合わせぼかしフロントガラス
・マッドガード
・ピンストライプ
・フィレットモール
・起毛・平織特製シート
・ドアミラー
小型車のベストセラーの座に止まらず、ザ・ミドルセダンの筆頭だと思うクルマですので、書き始めると止まらなくなりそうでして、そんな中からいくつかを思いつくままに書いてみます。
910は、それまでの低迷を跳ね返すかのように、登場以来人気を集めて独走状態となります。
コロナの登場がその独走を止めることになると予想されていたのですが、この4ドアハードトップがブルーバードの後半の人気を支える新たな柱となります(ボディセンターの柱はないですが)。この追加が効果的で、1982年(昭和57年)はコロナを退けて、ブルーバードがベストセラーとなっていますね。
元々日産の4ドアハードトップというのは、最初に登場した230セドリック/グロリアから続く伝統として、2ドアハードトップをベースに4ドアを仕立てるという過程で成立していました。もちろんこのブルーバードも、先に登場していた2ドアから屋根やリヤウィンドーを流用し、サイドパネル部分だけを新規に起こすことで成立しています。もっともこのクラスでFRのまま、乗降性や居住性をクリアしつつで成立させるというのは相当に難しい作業であったであろうことは、カリーナEDの設計陣の口ぶりから推測できる内容だったりします。
それにしても、残り2年というモデルライフ折り返し地点での追加には、当時驚かされたものです。前回も触れましたが、このクラスのセダンをベースとする2ドアハードトップというのはスカイライン以外、次第にシェアを落とす状況にありました。
コロナ・カリーナ・ブルーバードの3台がこのクラスのトップ3でしたが、各車その状況への対応として、各々違う選択をしているというのは、面白いところです。
スペシャルティーカーのセリカに近付けたのがコロナで、一クラス下で流行していた2ボックスのユーティリティを確保すべくセンターピラーの追加し、リヤゲートを設けたのがカリーナ。それらに対して、ブルーバードは一クラス上の4ドアハードトップに主力を移すという選択をしています。
この各車の選択、一番の成功は間違いなく、ブルーバードでしょうね。独自の市場を開拓することに成功したその人気は、カリーナEDが生まれるきっかけとなります。4ドアハードトップでは、このSSS-Eとその一つ上となるSSS-EXが人気の中心でした。
改めて見た、910の4ドアハードトップは、このクラスではやややり過ぎかもと思う一方で、スタイリッシュに映るのも事実です。
この年は、ちょうど日産創立の50周年記念ということで、年初から「フィフティ・スペシャル」を銘打った特別仕様車が各車に設定され、販売に貢献していました。そこには、トヨタにやや押され気味になりつつもあった国内市場で反転攻勢をかけるという意味合いもあったことでしょう。(この10年後には60周年記念で同様の反転攻勢を仕掛けていたりもしますね)
記憶では、第一弾はやや下級のお買い得グレードが中心で、第二弾はもう少し上級グレードに設定されていたように思います。この後には第3弾もあったような。この特別仕様車は、その第二弾にあたります。
前回のコロナは4ドアセダンの量販グレードのみ特別仕様車が設定されていて、こちらも最多量販は同じ価格帯にありましたが、やや上級となるこのグレードにも、先述のとおり、人気があったということで特別仕様車が設定されています。
特別装備は記載のとおり、末期モデルらしく、かなりの充実ぶりとなっています。
上級となるSSS-EXにかなり近い内容で、パワーウィンドウの有無が目立つ差異ぐらいでしょうか。そんな中でも、既にFF化が決定していて、次世代まで残り数か月という状況にも関わらず、解禁直後となるドアミラーが含まれているというのはちょっと驚かされるところです。輸出仕様の転用ということで、比較的追加しやすかったという背景はあるでしょうね。初期モノらしく、電動調整機能は省略されていますね。
このドアミラーは、カタログに記載のとおり、フェンダーミラーに対して約16cm幅広くなっています。まだ5ナンバーの上限までには余裕のある車幅ではありましたが、この解禁が日本車の実質的な横幅を広げたという見方はできそうです。この張り出しはあまり時間を経たずに新たな課題となって、格納式→電動格納式に進化することとなります。
小型車のベストセラーの座を競った2台ということで、コロナとの対比が興味深いところだと思いますので、最後に軽く記してみます。
前回のコロナでは、140が一つのターニングポイント的に書いたのですが、このブルーバードではFRとFFという機構的には同じくターニングポイントとなるものの、車格や性格付けの点では次世代以降との共通性を感じるところです。全世代を通しで見ても、コロナよりもブルーバードの方が流行を背負う形となるスタイリング等は別として、ミドルクラスの中核としての一貫性では通っている気がします。
その背景には、マークIIの派生や新たにカムリ/ビスタが登場したことで、それらとの共存を強いられたコロナに対して、スタンザやオースターが想定以上に育たなかったことで、変わらず中心に位置せざるを得なかったブルーバードという差があるからなのかなと。
軽くコロナと対比してみるだけでも、ボディ形式やグレード展開等、同クラスでありながら思想の違いが随所に表れているというのが面白いところだと思います。
そこには、今のセレナとノア3兄弟以上の違いがあるように思えてなりません。こうした点でも、クルマの絶対性能としてはまだまだ発展途上にありましたが、むしろクルマの選び甲斐がある良き時代ではあったと言えるかもしれませんね。
このクラスに、ファミリーカーの中心がありましたし、そんな中でもトップを競った2台ということで、こちらもまた様々な思い出をお持ちの方も多いのではないかと推測するところです。
モノより思い出もいいのですが、そのモノを懐かしむというのも大いにありだと思うのですね。