松の内という言葉もあるくらいですし、いつまでも新年ネタを掲げているわけにもいかないよなということから更新を。お題を考えた結果、この時期だとやはり成人式ネタ≒20年前を振り返るだろうということにて。
さすがに98年に登場したクルマとすると、後で触れる理由もあってかなり台数が多く、文章も長くなりそうですので、私らしくセダンに絞ることにしました。
改めて再勉強してみますと、セダンだけでも随分豊作だったんだなということを再認識した次第。
以下、カテゴリ別に取り上げてみますが、デジタルに移行する過渡期の時期らしくいつものFavCarsには意外と画像が掲載されていなかったり。他から探すことも考えましたが、大きな違いとはならないよなということで、一部(セフィーロ、ファミリア、ビスタ)は登場時点ではなく後期の掲載となっています。
【ラグジュアリー セダン】


〇日産 セフィーロ(12月22日発表)
〇ホンダ インスパイア/セイバー(10月15日発表)
共にハイソカーブームに端を発する5ナンバーのアッパーミドルセダンとして登場しましたが、同カテゴリの需要の縮小に伴って、北米に活路を見出していました。現地対応ということもあり、成り立ち自体はこのサイズのセダンとして極真っ当な作りだったと思います。
オイル・クライシスへの対応から70年代半ばから80年代にかけてダウンサイジングの道を歩んだアメリカ車も、オイル事情の好転から80年代後半以降、再び大型化。それに連れられるかのように北米を主力とする日本車も大型化の道を歩んでいます。その裏には、安全性の向上という大きなお題目があったのも事実ですが。
この2台のサイズだった、全長4,800mm、全幅1,800mm前後というのは、日本で使用する際に不便を感じない上限サイズと認識するところです。当時はそれでも大きいよなと思ったものですけれども。
大型化はこの後も続いていきますが、そのサイズが制約となる方も同時に増えていった感が拭えません。
【スポーティ セダン】


〇トヨタ アルテッツア(10月30日発表)
〇日産 スカイライン(5月25日発表)
〇スバル レガシィB4(12月21日発表)
何れも、発表当時に話題となったクルマ達であり、相互に比較されることも多かったように記憶しています。今にして振り返れば、どれもスポーティの解釈に微妙な違いを見出せる気がしまして、主に速さという軸のみで比較することに意味があったのかは疑問也。どれが好きかでイイ気がするんですよね。あるいは、好きがあると排他的となってしまうのか・・・。
他カテゴリでは衰退してしまったセダンですが、この3台は名前やコンセプトは変わりつつも、現在も健在。他のボディ形状が侵食したということもありません。この辺り、セダンとスポーティというジャンルの相性の良さは関係しているかと。
今と明らかに違うのは、価格や速さが手に届く範疇であり、かつMTが選べた点でしょうね。あの頃はイイ時代だったと、懐かしく思わせるのが最も顕著なクルマ達と言えるかもしれません。
【ベーシック セダン】


〇日産 サニー(10月20日発表)
〇マツダ ファミリア(6月9日発表)
こうして並べた時に、時間の差を最も感じるクルマがこの2台かもしれません。共に1960年代から長く続いたクルマ達であり、同カテゴリの開拓者でもありましたが、この代が最後となってしまいました。
総まとめの感もあり、熟成路線ではありましたが、その分破綻はなく、まとまりも良かったようにも映ります。
同年には、日産 キューブ、ホンダ ロゴ、三菱ディンゴといったクルマ達が登場していて、ベーシックカーやこれらニューモデルに需要が移行してしまった感が強いですね。
セダンはユーティリティの部分で他のボディ形状より不利であるとか、若年層の需要取り込みが出来なかったことも効いていたと思います。
【ニューカテゴリー セダン】


〇トヨタ プログレ(5月14日発表)
〇トヨタ ビスタ(7月1日発表)
この年に登場したセダンとして絶対に外せない2台を最後に掲げます。
ビスタはベーシックセダンに含めるのが妥当という見解もありそうですが、ミニバンの背の高さにメリットを見出し、大きな投資をしてレイアウトを一新した点を尊重して、こちらとしてみました。
価格帯やターゲットは勿論、片や直6を積んだFR、もう片方は直4を横置きしたFFということでレイアウトも大きく異なる2台ですが、共に5ナンバーセダンの究極パッケージングであることは共通。将来も含めて空前絶後であろうとも。
90年代のトヨタはセダンイノベーションを掲げる一方で、コストダウン路線に邁進したセダンを出し続けていましたが、その裏でこんな意欲的なクルマ達を仕込んでいたということなんですよね。
この辺りを契機にコンセプトやメカニズムを一新した新時代モデルを連発しますが、やがては台数拡大路線の中でまた方向を変えていくこととなります。
半ば余談ながら、今も販売するプレミオ/アリオンはこのビスタのプラットフォームベースで作っていますから、随分長く使っているよなとは(笑)
といったところでいかがだったでしょうか。
間もなく世紀末を迎えようとしていたこの時期、各社の懐事情は投資ができる社からバブルの後遺症に苦しむ社まで様々でした。そんな事情が垣間見えつつも、セダンがマーケットの一角に確実に存在することが出来た最後の時代という点は各社共通だったように思います。
既にRVブームが市場の中心となっていましたし、この年の最大の話題は軽自動車枠の拡大(今回セダンに絞った理由であり)でしたが、セダンの人気も根強くてやがては需要が戻るかもという思いはあったような。
残念ながら、この時期以降はセダンの縮小傾向が顕著となっていってしまいます。ことクルマに関しては、1970年代からの20年よりも、この20年の方が変化の幅が大きいように思うのですが、この先の20年がどうなるのかは何とも判断が難しいところです。最近のクルマ関連のキーワードからすると、変化がより大きくなるのではと予測するところですが。
【画像の引用元】
・FavCars.com