1984年のローレルをお題にした雑談を続ける前に余談を少々。
前編を掲載後、ローレルがオリンピック繋がりであることに気づきました。
決して意図的ではなく、偶然の巡り合わせだけなのですが、上手く嵌ったものだなと自画自賛。
念のため、自動車ガイドブックに掲載されていた、ローレルの車名由来を掲載しておきます。
引用ここから*****
ローレルの車名の由来は、月桂樹、月桂冠、栄誉、勝利を意味する英語。月桂樹はギリシャ神話のアポロの神(太陽の神)の霊木といわれる樹木。月桂冠は最も名誉ある地位の象徴。オリンピアの優勝者の象徴とされてきた。
*****引用ここまで
思い返してみると、グレード名のメダリストも、ローレルの車名由来だった筈で。だとすると、ノートメダリストは・・・以下略(笑)
今回も文字数が多いので、余談はこのくらいで後編に入っていきます。
代表グレードの紹介の後は、豪華さを誇るクルマらしく、装備の紹介となります。
中間グレードとなるグランドエクストラでも、フル装備の内、A/Cを除く、C/S、P/S、P/Wは標準装備。メダリストではさらにオートエアコン、高機能のラジオ&カセットステレオが標準となります。
メダリストのオプションには、光通信ステアリング(先に設定されたF30用の流用ですね)、デジタルメーター(掲載のないグランドクルーズでは標準)等、当時の先進装備が選択可能。X703兄弟とは異なり、デジタルメーターの装着車は少なかったように記憶しています。
A.S.C.Dは、標準ステアリング用のライトスイッチ組込式と光通信ステアリング用の2種類を設定。A.S.C.Dは単品装着可能かつデジタルメーターとA.S.C.Dを同時装着すると光通信もセットだったためのようです。部品統合の観点からすれば、片方だけでいいじゃないかとなりそうで、きめ細かい設定ですね。
同じく掲載のない最上級メダリストエミネンスでは、その他に世界初となるオートリフレックスミラーと日本初となるヘッドランプレベライザーを選択可能。設定の関係で同時装着は不可能だったようですが、どちらも今では電動格納ミラー同様、装着率が飛躍的に増えた装備でありまして、改めて見るとその先進性に驚かされたりします。
バンパーの設定の関係で、バックスキャナーはグランドエクストラのみのオプション。前期Y30も同様の設定ながら、リヤバンパーに大きめのセンサーを4つ吊り下げるというのは何とも大袈裟ではありました。
ここで私感を少々。
ローレルの装備自体は、このクラスらしく豪華なのですが、最大のライバルだったX703兄弟と比較すると、デザイン面でもう一歩かなの所が散見できたりします。
オーディオ、エアコン、デジパネ、何れも同乗者に自慢する対象となる筈なのですけれどね。比較用にX70のものを掲載。
両車間で機能自体の差はそれほど無い筈なだけに、見た目の差は何とも勿体ない感が強く。ここまでの日産の特徴の一つではありましたし、Y31以降は改善される部分ですけれどね。
カタログの最後はメカニズムの紹介です。
この部分はC32の特徴がありますので、少し長めに。
有名な話ですのでご存じの方も多いかと思いますが、日産は1983年にモデルチェンジしたY30セドリック/グロリアで、”高級車はV”と華々しくV6をデビューさせた翌年、このローレルで新たな直6を発表させるに至りました。
誰もが、長年続けたL型6気筒の後継はV6と思っていた中での新型直6の登場は、それだけでも驚きだったのですが、さらに驚かされたのは、”ターボはV6・ノンターボは直6”という設定。当時の「間違いだらけ~」では、「メンツなき戦い」と評されています。
どうしてこんな設定を?という理由は、当時のインタビュー記事から引用してみます。
引用ここから*****
高原 エンジンは一時すべて、VG型になるかと思っていたら、L20型の後継となる直6のRB20ユニットが登場して、意外という感じがするんです。VGと直6の2本立てにする経緯と、各々の特質をうかがいたいんですが?
西岡 V型一本に絞るためにVを出した訳ではないんです。Vエンジンは、直に比べて構造が複雑でメリットとしては、全長が短くて、剛性はよくて、音振的に有利ということと、かつFF化の時代で横に積みやすいということもありまして、6気筒の中でも高級と考えてます。今回もVと直ではVの方が高級感があると思うんです。
日産自動車は日本の二大メーカーで、エンジンの開発力からいけば、6気筒を1つのエンジンに割切らず、今までの直6のノウハウをVに入れながら、両方のメリットを追求していけばいいんじゃないかと思います。日産には2種類やる力があると思います。直6は実用的で作り易く、当社の車のラインアップでは、2Lの6気筒でVGは一応主流なんですが、1つのエンジンでは物足りないんですね。そこで高級志向と実用志向のエンジンの2本立てでいくつもりです。
特にローレルの場合は”セドリック/グロリアに乗りたいんだけど、取引先との関係からローレルにする”という感覚のお客様とか”大衆車クラスのブルーバードでいいんだけど、ドンガラだけでもローレルに乗りたい”というお客様があってワイドバリエーションなんですね。そのお客様の要望に応えるために、高いものから安いものまで揃える必要があるんです。6気筒の2LをVだけに絞ってしまうわけにはいかないんですね。4気筒との間に差が開きすぎますので。
我々開発者としては、Vのターボ、ノンターボを載せる方が楽なんです。あえて2つにしたのはローレルという車が日産にとってメインの車種ですので、そのお客様のワイドバリエーションに応えなければならないということで、2つのエンジンを載せさせてもらいました。日本人はすぐ「Vと直ではどちらがいいか」ということになるんですが、そう簡単に割り切れるものじゃないですね。設計的にはVの方が、載せ易く、クランクシャフトの剛性がよくて静かになるだろうということですね。
高原 直6の場合はVにそういう面で劣るかわりに、シンプルにできるから価格的に安くできるということですね。
西岡 実用機能に優れるのは直6ですね。
*****引用ここまで
この時点のRBは、2Lのシングルカムのみということもあり、RBは実用志向という説明をされていますね。これまたご存じの通り、後にRBはエンジンバリエーションを拡げてVGとの並行設定的存在となっていきます。
同時に引用中の、「日産自動車は日本の二大メーカー」「日産には2種類やる力がある」、この辺りの自負に本音が表れているのかなとも。
ここは推測ですけれど、スカG=直6という認識が、L20を延命させ、RBの登場に至らせたと思っています。L20の延命が一足先に新世代の直6である1Gを掲げた3兄弟のシェア逆転を許し、6気筒の2本立てが日産の財務体質を苦しめた要因の一つだとしたら…。個人的名車認定のR32は、RBあってこそとは思うので、この時の選択を否定する一方ではないのですけれども。
今となっては、選択云々ではなく、二大メーカーの自負を遠くに感じてしまったりしますね。。。
新登場のRBの特徴についても引用で掲載してみます。
引用ここから*****
高原 RBで意外に思われたのは、最近のエンジンとしては大きいということなんです。V型から3Lまで排気量はカバーできるんだから、直6は2Lオンリーにして、もっとコンパクトになるんじゃないかと思っていたもんで。ある大きさとゆとりを持たせたのはどんなお考えからですか?
西岡 直というのは3Lまで考えてたんです。あえて直6をそんなに縮める必要があるだろうかと考えたんです。レイアウト的に考えてもエンジンの長さでエンジンルームの長さが決まるわけではありませんのでね。日本の法規制では、小型車は車幅が1700mmとなってますし、直を横にしないで縦に積むとすれば、エンジンルームのレイアウトは制限されるんです。補器類のレイアウトによってね。そういう意味で効率的に縦に積んで鼻の長さをエンジンで制限されない長さを割り出したんです。あれ以上短くしてもシュラウドが長くなるだけで、メリットはないですね。
今回のRBエンジンで五感に訴えることを考えてるんですが、エンジンを短くしてやたら軽量化することは必ずしも車とのマッチングからすると音と振動的にはよくないんですね。例えばエンジンマウントを支える振動レベルを調べますと、振動レベルの少ないものは重量とか長さのバランスがうまく取れているんですね。ホントに車を考えたエンジンにしています。最終型のL20にしても、途中で大改良を加えていますので、初期型より19kgくらい軽くなってます。Vに比べれば若干重いんですが。前に述べた理由からです。
高原 長い間かかって改良を重ねてきて、これ以上良くするには新しくしなけりゃならないということで、RB型は今までのL20型の改良のノウハウの集大成なんじゃないかと思いますね。
西岡 ですから、新機構というのはないんですが、今まで積み重ねてきたノウハウの基本に忠実にやってきたら、あのようなレスポンスになったんです。
高原 クランクピン系を小さくしたり、カムカバーに樹脂を用いて新しいアプローチも見られますね。圧縮比をうかがいたいんですが?
西岡 9.5まで上げています。これも技術の蓄積の表れだと思ってます。
高原 ノッキングの方はいかがですか?
西岡 ノックセンサーをつけましてできるだけノッキングの限界まで使えるようにしてあります。
高原 ターボ以外にもE型エンジンでノックセンサーを付けたというようなアプローチのノウハウを使ってるんですね。今まで出してきた新世代エンジンのプラズマのよい所をつぎ込んで作った新しいエンジンですね。
西岡 Vを発表してから1年経ちますが、そのノウハウも使ってます。
高原 Vからフィードバックするのは具体的にどんなことですか?
西岡 燃焼室とかです。
高原 L20型では片持式のアームが、シーソー型アームに変わって一見大きくなってますので不利な気がしますが?
西岡 今回の方式のほうがよいんです、振動そのものがね。
*****引用ここまで
高原氏の念頭には、先行の1Gが確実にありますね。
1Gと比較した時のRB20は、明らかに大きく重い存在だったから、質問に至った。そんな構図です。
でも、この時の選択は日産が正解。
自動車税制の緩和により、2L以上の選択が容易になった時に、1Gには排気量アップの余地がなく、新たにJZ型を開発せざるを得なかったトヨタに対して、RBは排気量アップが可能でしたからね。
そのアドバンテージを生かせず商機を逃したというのは、これまで何回か書いていますので、ここでは割愛します。
RB20は後発のメリットもあり、当時の加速テスト等では、1G-Eを遥かに凌ぐタイムを残していたりします。ATの制御が電子と油圧の差もあり、速さでは確実にRB有利でした。
ハイパワーモデルは、3兄弟が1G-G(160ps)&M-T(145ps)、ローレルがVG20ET(170ps)の対決。もちろんスペック通り、ローレルが速かったわけです。
1G-GのATは、低中速のトロさが随分書かれましたし、M-Tは販売比率からして少数。このクラスではもはや主流となっていたATでは、その差も大きかったように思います。
CA18に関しては、走り云々という仕様ではありませんので割愛。
一つ取り上げるとするなら、オートマの比率が急上昇していた中にあって、この代から1800にも4速ATが採用されるようになったのは大きいかなとは。
LD28は掲載自体が略。
寒冷地では結構売れた筈なのですけれどね。登場時点でRD28は間に合わなかったという説明があったようで、事実、翌年夏に行われたY30のマイナーチェンジでお披露目されていますから、あえて表に出す必要を感じずだったのかなとは。
エンジンに続いてはサスペンション関係の話です。ここも引用から。
引用ここから*****
高原 サスペンション関係についてですが、従来も上級車は4輪独立系とリヤリジッドの2本立てなんですが、今回、その点について新しくつぎ込まれたものは?
西岡 今回、足回りでは、ステアリング系をラック&ピニオンにして、快適なドライブができるようにしました。それに伴ってフロントのサスペンション、ステアリング剛性が上がりますので、従来の後ろ足は鈍くしてありましたが、今回は前が速く反応しますので後もそれに合わせて早く反応するようにジオトメリーを変えてあります。簡単に言いますとアクスルステアがつくような格好にしてあります。
高原 全体的な傾向としては、ローアンダーステアが大きめの形になっているようなんですが、今までより速くなったとかステアリングの切れがシャープになったためですか?
西岡 そうです。ステアリングがトータルで弱アンダーなんで変えてないんですが、前の剛性が上がって切れがよくなったんで後もそれに合わせた感じです。切れ味が鋭くなりました。
*****引用ここまで
ローレルは元々、初代でラック&ピニオンを採用したものの、2代目以降リサーキュレーティングボールに変更されていました。
ラック&ピニオンが見直される契機となったのが、1979年登場の910ブルーバード。翌年に登場したレパードは、910のロング版と成り立ちからラック&ピニオンを採用したものの、その直後に登場したC31ではラック&ピニオンを採用せずとなりました。当時の専門誌には、その理由について書かれているものがあるものの、決定的なものではなかったように思います。
X603兄弟は、シャシーを先代からキャリーオーバーしていたため、こちらもリサーキュレーティングボールを踏襲。
ここでラック&ピニオンが出揃う形となります。
ローレルのステアリングに関しては、2670mmというホイールベースでありながら、最小回転半径4.9mという小ささも称賛したいところ。最小回転半径5.0mのX80ですら、相当小回りが利く印象でしたから、こちらは尚更でしょうね。
ここまでのローレルのサスペンション設定に関する、最大の疑問については、ズバリ聞かれていますので、そのまま引用。
引用ここから*****
高原 いつもローレルについて思うんですが、スカイラインでは全車に6気筒系は4輪独立懸架を採用してるんですが、ローレルはセダンのノンターボのは6気筒であってもリジッドアクスルになってしまうのはなぜですか?
西岡 Vのターボは全部IRS。6気筒のRBのノンターボのセダンの方は5リンク、ハードトップの方はIRSですが、その理由はローレルのコンセプトの中でハードトップのほうが走りの車で、かつVのほうがさらに走りの車ですからIRSなんです。ローレルの走りは”悪路走破性ではありません”ので、主に高速道路で車線変更するような欧州の高速道路の発達しているような走りをメインにしています。で、もう5リンクで十分だろうと考えてます。山坂の悪路をローレルのお客様は先ず走りませんのでね。日本的な走りの方向の車にはIRSということです。ローレルを欧州に持っていく2.4Lの車は全てリジッドです。
高原 今回はお客様から、4輪独立にしてほしいという要望はありませんか?
西岡 あんまりありません。走っていただくと、高速操安性はIRSと5リンクは差がないです。高速操安性は甲乙つけ難いですね。
高原 十分だからセダン系は全てリジッドということですね。
西岡 IRSのほうが原価は高いですから、5リンクのほうはその分、便利な自動装置をつけるほうがお客様にはよろしかろうと思います。
*****引用ここまで
ここも、元々初代は全車4輪独立懸架を採用していました。2代目で、セダンはリーフリジッド、ハードトップはIRSと分けられています。その後、リーフはコイルに変更され、セダンでも上級車はIRS、ハードトップでも4気筒系はリジッドという複雑な経緯を辿っています。
結果、この時点では4気筒系とディーゼルは全車リジッド。6気筒系は説明されている内容の設定とされています。
マークIIは、IRSの採用こそ3代目からと出遅れるものの、ボディ形状による分けはなく、上級車はIRS、中級以下はリジッドで統一。スカイラインもGTは、全車IRS。セダンメダリスト等で比較をしたときに、気になる点ではあったのです。
ここで取り上げた説明も、
Y31登場時の対談やその後の経緯からすると、やや疑問に思うところはあるものの、この時点ではY30も全車リジッドですし、リジッドでも充分というのも、想いとしては確実に持たれていたのでしょうね。
最後に装備一覧表と主要諸元が掲載された裏表紙を掲載します。
グランドエクストラでも、ミドルクラスの上級グレードとほぼ同等の装備設定。メダリストだと、このクラスで求められる更なる上級装備が備わるといった違いですね。
ボディサイズは、ほぼ小型車枠の上限。ここに6気筒の2000を搭載するというのが、庶民の憧れであり贅沢でもありました。4気筒の1800はその一歩手前。
といったところで、いかがだったでしょうか。
ローレルが主役でありながら、何かと3兄弟を登場させてしまった感はありますが、当時の作り手・売り手・買い手、誰も意識しなかった人はいない筈なので、決して恣意的ではありませんと先ず言い訳を掲げつつ。
このC32ローレルですが、登場当初は結構売れていたように思います。ようやくの感すらあったRB20が好評だったことも大きいでしょう。何より当時は、ハイソカーブームの真っ只中で、このクラスが良く売れる環境が構築されてもいました。
しかしながら、ライバル車が強過ぎたのももう一つの事実。
3兄弟、メーカーの想定台数すら超えて、社会現象として分析されるくらいの存在となっているわけです。
実は3兄弟と比較をした時に、ローレルが決定的に劣る部分って、見当たらないんですね。性能面ではエンジン等、勝っていた部分だってあります。
で、販売台数で大きな差が付いた理由が何かと考えると。
思い当たるのは、装備の部分で一例として取り上げたデザイン等のきめ細かい仕上げの部分。今でもその風潮は残っていると認識するのですけれど、日本人の選定眼って、細かいんですね。スタイリングにしても、フォルム全体だけでなく、レンズ形状一つだけで好き嫌いが分かれたりします。内装のデザインだって同様。
この辺り3兄弟には、ローレル以上の細心さがあったのじゃないかなと。
もしかすると、個々は微妙な違いなのかもしれませんが、積み上げると大きな違いと判定され、販売台数に反映した。そんな風に思えるんですよね。
もう一つは、ハイソカー路線に振れたR31スカイラインの存在。
C32から約1年遅れて登場したR31スカイラインは、ご存じの通り、歴代で最もローレルに近寄っています。ツインカム・シングルカムの両方にターボ有無の4形式をRBでずらりと並べ、内装にはボタン引きルースクッションまで選択可能とされては、先発のローレルは霞んでしまいがちとなってしまいました。
C32以前も、登場順はローレル→スカイラインとなっていて、大なり小なりの影響はあった筈なのですが、コンセプトまでが粗方重なってしまうとなると。C32にとっては不運だったと思います。
その後は、フロントマスクを一新するという結構大きな規模のマイナーチェンジを実施。デザインとしては、前期に日産らしさがある一方、後期はこなれた感を受けます。一般的には好意的に受け入れられた変更かなと。RB20DETを新たな最上級として迎え、VG20ETの立場を微妙にしちゃった辺りは、見解が分かれるかもですけれど。
あとは末期に向けて魅力的な特別仕様車をいくつか出した後、C33の登場に至ります。
その間、何より日産という会社が大きく変わっていますね。
C32は、セダン・ハードトップ、直とV、IRSとリジッド、国内と輸出、ここにローレルとスカイラインを含めてもいいでしょう、色々要素が絡んでいました。これがC33(とR32)では、選択と集中が行われてスッキリと整理されています。
C33は、スッキリとしたことでコンセプトや商品像が明確になりました。とてもスタイリッシュで、少なくとも登場時点では3兄弟に劣らない商品性がありました。C33とR32、私は歴代で最も輝いていた世代だと思うのです。
もっとも、そう書いた上で、C33へ変わる際に切り捨てられた部分も惜しかったりはするんですけれどね。X80セダンを長く偏愛した身としては、ローレル最後のセダンとなるC32は、X80と重なるものが多過ぎて、見過ごすことはできません。
このセダン、営業車のみが10年近くのロングセラーとなった後、クルーがコンポーネンツを引き継ぎ、ローレルの車名が消された後も花を咲かせ続けることとなります。
C32は、日産の混迷期の登場と見做されることもあり、注目を集めることは少ない世代かと思います。でも、こうして調べてみると、色々興味深い部分も存在しています。拙ブログが再考される切っ掛けとなれれば、ありがたく存じます。
文中のX70の画像の引用:CARandDRIVER誌、1984年10-26号 DRIVING REPORTより