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2017年04月02日 イイね!

カムリ プロミネントの簡易セールスマニュアル

ようやく年度内のお仕事も完結となった・・・と感慨深くなる間もなく、明日からは新年度のお仕事が始まることとなります。

まだ、しばらくは多忙な日々は確実で、更新の間隔を開けつつ軽い話を取り上げることとなりそうです。


軽い話ばかりとは書きつつも、今回はかなり珍しい資料ということで若干の補正をさせていただこうという次第(笑)

さて、今回取り上げるのは、このクルマとなります。


カムリ プロミネント 3台の画像はFavCars.comより引用

1987年(昭和62年)4月6日の発表&発売ですから、ちょうど30年前となります。

トヨタ初のV6エンジンを搭載。そのことは従来のFRに加えて、FFでも上級車市場に参戦することを意味してもいました。他メーカーは既に先行している分野でもありましたので、国内の主要メーカーが出揃った形になったとも言えます。


プロミネントのベースとなったのはこちら。


カムリ ZX

半年ほど先行する形で、3代目に進化しています。この後、ほぼ全車に展開されるハイメカツインカムを初搭載して、話題となりました。(以前に取り上げた時の話はこちら

FFとは2代目となるこの世代では、先代で感じられた質実剛健さよりも、高級感を意識した作りを特徴としていますから、V6で高級感を訴求するというのは、モデルコンセプトとの親和性も高かったように思います。

トヨタ各車のFF化が進行する中では、全体バランスの点で一クラス上がる必要があったという事情も垣間見えたりはしますが。


比べるとお分かりのとおり、プロミネントはV6を搭載するにあたり、大型バンパーをはじめとして、フォグランプ一体のライトや専用フロントグリル等、4気筒モデルとの差別化を意図した変更がされています。実はこの差別化、国内のみだったりします。



こちらはUS輸出仕様のV6モデル。
国内より1年近く遅れて、2.5L版がグレード追加されています。

プロミネントに流用された大型バンパーは、4気筒モデルと共通であり、V6モデルの区別は控え目なフロントグリルのエンブレムのみとなっています。プロミネントにおける差別化は、車格や高級感を意図したものだったようです。

こと国内市場においては、4気筒で展開していたモデルを6気筒化して一クラス上に参戦させるというのは、それだけ難しかったという見方もできますね。


ここまでが話の前段で、ここからは資料の話に入っていきます。
入手は経路こそ失念しましたが、時期は確か発表前だったはずで、新型車解説書やセールスマニュアルから、手書きで転記したことを推測させる内容となっています。



先ずは、新型エンジンの概要が書かれています。

この少し前から、トヨタのエンジン型式名の枯渇が話題となっていたのですが、ここでついに”VZ”という2つのアルファベットの組合せとなりました。当時、これはすごい驚きだったのを覚えています。この後しばらくは、〇Zという名称が使われていくこととなります。

また”ツインカム24”という言葉が商品力を持っていた時代に、”フォーカム24”というのはやはりインパクトがありました。実は前年に登場したレパードのVG30DEも”フォーカム”が使われていますが、押し出しではやはりこちらかと。

V6としては、他社が先行していてトヨタが最後発となっただけに、その分のアドバンテージを訴える内容となっています。4気筒でハイメカツインカムを搭載した以上、上級の6気筒でも採用するのは、当然の選択。後でも登場する直接のライバル車はシングルカムでしたから、商品力も含めて後出しの有利はありますね。

もっとも、中回転域以上のトルク・出力にアドバンテージを持つ一方で、低回転域では日産のVG20Eが逆転。VGは4年近く前の登場であることからすると、善戦と言えそうです。



ここからは、初のV6ということで、理解を進めてもらうための資料に変わります。


直6の1Gよりもシリンダブロックが150mm以上も短いのですから、V6のコンパクトさが際立ちます。しかも1Gはこれ以上の排気量拡大が難しい設計なのに対して、VZは排気量拡大の余地あり。最終的に3.4Lまで拡大されています。

有利と書かれているショートストロークを採用したのには、そんな事情もあったのでしょうね。





フォーカム24バルブは、先行例がありましたので、ここではFF車とハイメカの組合せで世界初を謳っています。

搭載車種への考慮もあってか、コンパクトであることは重要だったようで、バンク角は60度を採用。ツインカムとなるヘッドもシザーズギヤ駆動を採用することで、バルブ挟角を狭くしています。





同じ4バルブを採用するレジェンドへの意識はかなりあったようで、バンク角に続いて自社方式の有利さが書かれています。狙いは同じところにあって、アプローチが違うということなのですが、双方共に自社が正しいとしていた過渡期にありました。

日産が大々的にV6を登場させた時には、直6が正しいというアピールをしていたような気がするのですが、事情が変わった以上、「今後も発展を続けていくエンジン」に変わるです(笑)。現在は、FR系もV6に一本化されたことからすれば、これが正しかったという見方もありですね。



続いては、他車との比較です。


最初に、各車の価格をMT/AT(単位:万円)の順で掲載してみます。
(引用元:月刊自家用車誌に掲載された東京地区標準価格)

カムリ プロミネント:229.6/239.5
ブルーバード セダン マキシマ ルグラン リミテッド:210.5/219.3
ギャランΣ エクシード エクストラ:-/239.7

当時のこの価格帯は、マークII系やローレルが多数だったことからすると、マイナーな車種が選ばれています。V6を搭載したFFセダンという比較という見方もできますが、ライバル車は共に4年目に入っていた末期モデルでしたので、プロミネントが優位になるのは当然ではあります。





上級となるプロミネントGの比較です。

カムリ プロミネントG:248.6/258.5
クレスタ スーパールーセント ツインカム24:248.6/258.5

ここでは、ツインカムを搭載したパーソナル風味のセダンということでクレスタが登場。このクレスタが存在していたがために、ビスタにはV6が搭載されなかったという事情もあり。

同価格ということで、実際の商談でも比較されることは多かったのではないでしょうか。
いい勝負に見えますが、販売台数としてはクレスタ有利の状況で進んでいきます。





他車との比較の最後です。

マークII セダン グランデ ツインカム24:247.6/257.5
ローレル セダン VG20ターボ メダリスト:-/261.6
ルーチェ セダン ターボ リミテッド:242.8/253.5
レジェンドZi:253.0/261.9

販売の最大多数は220万円前後でしたが、このクラスも需要は多くあり、各車魅力的なモデルが揃っていました。

こうした中で、どの車を選ぶかというのは見解が分かれることと思います。選択肢がかなり減ってしまった現在からすると、ちょっと羨ましくもありますね。




といったところでいかがだったでしょうか。

実はこのプロミネント、父親共々かなり期待をして登場を待っていた一台でした。
父は元来の6気筒派でしたし、私はFFによる室内の広さや少々の降雪時の安定性の高さを買っていたということで、両者の要求を満足させる存在だったのです。

だからこそ、こんな資料を貰って事前学習していたのかな、なんて推測する次第です。


実際に登場してみると、販売上はマークII3兄弟の強さは変わらずでしたし、カムリなら4気筒の方がバランスは良好ということで、特に私の方は2.0ZXがベストに傾いていくことになります。

V6も輸出用の2.5なら、また別の意義も見出せたのでしょうが、当時の国内の税制に縛られた2.0では、重量増で得られる価値は静粛性ぐらいでしたからね。


しかしながら、このプロミネント、カムリのV6とされた国外で大きな成功を収めることとなります。この世代はまだ過渡期の感もありますが、シャシーが新設計された次世代以降、ウィンダムも含めて大きな展開となっていくのです。

カムリがトヨタ内の他車の系譜が途絶える中、今に続く要因となった一つに、このプロミネントがあったことだけは間違いがありません。そのことは、トヨタ自身、登場時点ではきっと想定していなかっただろうなというあたりが、クルマ作りの面白いところでもありますね。
Posted at 2017/04/02 21:37:45 | コメント(6) | トラックバック(0) | セールスマニュアル話 | クルマ
2017年02月27日 イイね!

先代Cクラスワゴンのセールスマニュアルの話(後編)

先代Cクラスワゴンのセールスマニュアルの話(後編)先代Cクラスワゴンのセールスマニュアル話、後編となります。

本来の構成から順番を入れ替えた前編では、主に内外装を紹介してきました。

後編では、メカニズム、オプション、マーケティング戦略の話となります。

詳細は各頁の部分に送るとして、全体的な印象からすると、後編の方がやや時代を感じさせる部分が多い気がします。おそらく、その理由は、この10年近い時間で大きく変わったのがそうした部分だからなのでしょうね。

一昔前だと、最も大きく変わるのは、内外装の仕立てとなることが多かったことからすると、そちらはある程度成熟した一方で、クルマを取り巻く環境の方が変わりつつあることで、クルマ作りも変化を強いられつつあるということを感じ取っていたりします。


何やら最初から結論っぽい書き出しですが、一応あくまでも前段(笑)
以下、各頁を紹介していきます。




エンジンとトランスミッションの紹介です。

C200には、直4スーパーチャージャー&5速AT
C250には、V6&「7G-TRONIC」と名付けられた7速AT
が組み合わされていました。

メカニズムの違いから、V6は出力重視、直4はトルク重視と大まかに分けることができますが、エンジン特性曲線のとおり、共にハイパワーを指向するよりは、フラットなトルクを広範囲で発揮することに主眼が置かれています。

ターボ&9速ATが主流となった現在とは、メカニズムこそ異なりますが、思想の部分はその片鱗が表れつつあったということなのでしょう。
今では主流から外れたものの、共に独特のフィーリングがあるだけに、それを尊重したいという意見に共感するところです。クルマでは、効率第一から離れた部分も大事ですしね。


さり気なく気になったのが、ボンネットキャッチが2か所あること。安全を大事にするメーカーらしい機構で、現行モデルにも採用が続いていますね。





シャーシの紹介です。

ダンパーには、「AGILITY CONTROL」と名付けられた可変ダンピング機構を採用。現在も採用が続く機構です。通常は意外と柔らかいかなと思わせる一方で、追い込んでいった時には想像以上に粘る特性はここからでしょうね。

サスペンションは、フロントにマクファーソンストラットをベースとした3リンク式を採用。一般的なロアアームだけではなく、1本のアッパーリンクと2本のロアリンクで支持しているのが特徴となります。リヤには190由来のマルチリンク式を採用。こちらはリンクが5本となります。実車を見ても、捻じれたリンクが多数付いているなぁと(笑)

ブレーキやボディも記載のとおり、手抜きはなし。ボディ下面の図では、ベーシックモデルとハイパワーモデルが並んで記載されていますが、動力系の大きさやタイヤの太さは違っていても、コアとなる部分はほぼ変わりません。V8対応の前提でベーシックモデルを作れば、シャシー性能が勝る安心クルマが出来上がる構図ですね。同時に、FRとしても、やけにセンタートンネルが大きい作りの理由も納得できるのです。





「PRO-SAFE」と名付けられた安全性の概念が紹介されています。

レーダーセーフティ等の統合制御が入り込む前ですので、基本構成の各所で安全性を追求している感を受けます。それでも、当時の安全技術は一通り揃っていると言えそうです。メルセデスと安全性は切り離して考えられないのですから、それも当然ではあるのですが。





アバンギャルドをさらにスポーティにするパッケージオプションが紹介されています。

現在では「AMG Line」や「SPORT」と名付けられることの多いパッケージですね。
変更や追加される仕様は、ほぼ現在と変わりませんので、概念的なものはこの時期には出来上がっていたと言えます。

好評だったようで、後期のアバンギャルドでは、ここにある装備の大半が標準化されていきます。





掲載順を迷ったのですが、ここでアクセサリーを紹介。

後期に継続となった用品、前期のみの用品、共に存在しています。
実物を見たことのない、かなり希少なものもあるような。



・・・とモデルの紹介はこのあたりまでとして、マーケティングの話に入っていきます。



先ずは、プレミアム・パーソナルステーションワゴンのマーケット動向が興味深いところです。
グラフからすると、2000年ぐらいまではボルボがトップを走っていたのですが、以降は、アウディA4やBMW3シリーズが取って代わった構図ですね。Cクラスはワゴンの設定で先行したものの、マーケットでは両車に押されていた形ですから、販売台数の拡大では期するところがあったのは間違いありません。

そこで、マーケット拡大のキーとされていたのは、アバンギャルドだったようです。70%を他車からの代替で想定するというのは、かなりの戦略的数値と見受けます。さらに30%が国産スポーツワゴンとされています。

エレガンスの方も、15%ながらも国産車からの代替が想定されています。こちらはミニバン/ワゴンという記載となっているのが、アバンギャルドとの性格の違いを表しているようでもあります。





マーケティング話のその2です。
グレード別でターゲットが異なっていたことが明確です。

ワゴンに関しては、他車からの代替を多く狙っていましたから、自然とエレガンスが少数になったと言えるかもしれませんね。

ワゴン導入とほぼ同時期に、セダンにもベーシックモデルが追加されたため、右頁ではベーシックモデルのハイライトがセダン共々書かれています。価格を訴求することで、主に国産車からの吸引を狙っていたようです。W202の時にも、ベーシックモデルのC200を追加して話題になりましたから、再びという思いもあったのでしょうね。





吸引を狙う競合車との比較がされています。
A4はモデルチェンジの端境期ということで、2世代での比較。
もちろん挑戦者目線ですから、ライバル車の評価に容赦はなし(笑)

右下の競合他社の価格帯と販売実績もこれまた興味深く眺めました。
ちょうど400~500万円に最大の販売ボリュームがあったことが判ります。

現在はこの3車共、もう少し価格帯が上方移行しています。もっとも買い手の意識は変わっていないようでありまして、一クラス下となるCLAや廉価グレードを投入することで、この価格帯を再びターゲットに狙いつつあるようです。





最後はファイナンス情報とメルセデス・ケアの紹介です。

この価格帯になると、車両本体での価格差も、利率や残価設定次第で容易に逆転可能となりまして、そんなことがアピール材料となっています。輸入車だと表面の値引きは抑えつつ、利率でアピールする事例も多かったりしますね。
4%の金利は当時だと十分低かったはずですが、今はもっと低いものも選択可能でしょうね。

もう一つ、輸入車で気になるメンテナンス費用では、メルセデス・ケアの有利をアピール。
この手はBMWが先行して、他車が追随した形です。この部分も、競争が激しい部分に思います。
もっとも、経験からすると、予想以上に消耗部品の交換頻度が低いため、あまり有難みを実感することはない気もします。心理的な安心は大きいですし、突然の出費をあまり心配しないで済むという点では嬉しい制度ですけれども。



といったところで、いかがだったでしょうか。
この時点はダウンサイジング(≒ライトサイジング)ターボの概念が入り込む前ですし、もちろん、新世代ディーゼルやハイブリッドもありません。それはセーフティ系の装備でも同様です。そういった点は、最初に書いたとおり、時代を感じさせる部分だと思います。

もっとも、時代の変化に対して、ただ眺めていたわけではなく、モデルライフを通じて進化させることで、そういった時流にも対応させていっているのですけれども。それだけに、ポンと10年前を出されて、現在と見比べてみると、意外な違いに驚かされる構図なのでしょうね。

メルセデスに限らずで、クルマの変化の幅としては、この10年間というのは、その前の10年間よりも大きく変わっている気もしますし。
Posted at 2017/02/27 21:28:00 | コメント(1) | トラックバック(0) | セールスマニュアル話 | クルマ
2017年02月22日 イイね!

先代Cクラスワゴンのセールスマニュアルの話(前編)

先代Cクラスワゴンのセールスマニュアルの話(前編)再び、先代Cクラスのセールスマニュアルを取り上げることにします。
今回は、年代を遡る形となりますが、セダンに遅れての登場となったワゴン追加時のものとなります。2008年(平成20年)3月の発行ですから、今から9年程前となりますね。204に乗っている身からすれば、そんなに経過したのかと、やや感慨深いものがあったりもして(笑)

先代Cクラスは、モデルライフ中における変更点が比較的多いクルマでしたから、先に取り上げたマイナーチェンジ時点のものと比べてみるのも一興に感じるところです。

まだ、それほど経ってはいませんが、一応リンクを貼っておきます。
 〇後期のセールスマニュアル(前編)
 〇後期のセールスマニュアル(後編)


それでは、本編をご紹介していきます。



最初の見開きで、セールスポイントやラインナップといった概要が目次と共に記されています。

キーワードは「Premium Personal Stationwagon」だったようです。

この時点で、当初エレガンスとアバンギャルドのみだったセダンにもベーシックグレードが追加されたため、セダンとの差異はC300Sの有無のみとなります。そのC300は、後にワゴンにも追加されています。


この時点では全車右ハンドルのみとされています。

このマニュアル、構成は目次を参照していただくとして、紹介は後期同様に抜粋&順序を入れ替える形で進めていきます。





それでは早速、外観の紹介からです。
マイナーチェンジの時点では、エレガンスはパッケージオプションの扱いとされていましたが、登場時点ではアバンギャルドとの並列扱いとされていました。どちらが上ということはなく、お好きな方をお選びくださいということですね。現行と比べるとやや差異が少ない気もします。

両者の分け方としては、エレガンスが従前からの伝統を守る一方で、アバンギャルドはそれに飽き足らない層の獲得を目指していました。この分け方からすると、エレガンスの方が台数が多くなる気がしますが、結果は全く逆でした。

その後の推移からすると、ここでアバンギャルドに人気が集まったということが、その後のグレード戦略に及ぼした影響は大きかったのだなと思うところです。





アバンギャルドとエレガンス、それらにベーシックも加えた3グレード感の外装の仕立ての違いが紹介されています。

こうして比べると、ベーシックの仕立ては明らかにシンプルという評価となりますね。もっとも、オプションも含めれば、機能面では大して見劣りしないというのは特筆すべき事項なのかもしれません。価格を優先するあまり、機能にまで差を付けてしまうクルマの方が多いですからね。





前頁の続きで、3グレード間のグリルとフロントバンパーの違いが紹介されています。
一口にエレガンスグリルとはいっても、実はエレガンス用とベーシック用は色調が違っていたりするのですね。また、フロントバンパーは、形状自体はクロームの有無ぐらいで共通ながらも、エアインテークが分けられていたりすると。


マイナーチェンジ時点ではエレガンスパッケージとなることで、バイキセノンヘッドライトはオプションとされますが、この時点ではエレガンスにも同ライトは標準装備となります。その一方でアクティブライトはアバンギャルドのみ標準とされています。LEDはまだ未登場というのが、やや時代を感じるところでしょうか。言い換えると、LEDをどう駆使するかが最近のデザインアイコンになっているとも言えます。

乗り比べて判ったのですが、空力を意識した自車のドアミラーよりも、視認性だけならこちらの方が良好だったりします。ウインカー部のデザインが違うこともあって、変更後の方が人気は高いようですが。





リヤコンビネーションランプのウィンカーにはLEDを採用ということで、セリングポイントとして取り上げられています。点灯すると”C”の文字の形となるのがこだわりとのこと。

ボディサイズは、先代(S203)に比べると、一回りの拡大。
拡大分は、ほぼ車内スペースの拡大に充てられていることから、室内空間を拡大するための最小限のボディ拡大と解説されています。この辺りは、S203よりも起こされたリヤウィンドーの角度と合わせて、往年程ではないにせよ、理詰めのパッケージングとしてもいいのではないでしょうか。

加えて1.8mを超えない全幅もポイントとされています。
これ、オーナーとしては、強く共感できる部分です。特に駐車場事情や道路事情に恵まれない都市部においては、このサイズが扱いやすいボディサイズの上限かなと思うところです。これ以上となると、狭所のすれ違いに難を感じたり、一部立体駐車場の制約等、不便が多少なりとも生じてきますね。

ルーフレールは装飾に留まらずキャリアシステムのベース想定ですし、ルーフの耐荷重も100kgですから、この辺りも実用性は犠牲とされていません。





外装の紹介の次ということで、内装が紹介されています。

外装同様に、先ずはアバンギャルドとエレガンスの対比。
両者間で外装以上に特徴が出ている気がします。

日本仕様、特に末期に至ると殆どが黒内装とされてしまいましたが、こうして見ると、開放感のある明るい内装色に惹かれるものがあります。汚れの点が心配であるのも事実ですが。





こちらも外装同様に、3グレード間の内装の仕立ての違いを紹介。

前の見開きと違って、内装色が黒となると、特徴も減ってしまうような。
ここでのベーシックは、シート表皮の差とランプ類の省略が大きいかもしれません。シートの感触とか照明の有無って、豪華さの印象に意外と差が出るんですよね。もっとも、LED化する際には、照明の数が少ないのが助かりましたが(←自己弁護ともいう・笑)





インテリアは多少のデザインの差異こそあるものの、自車で見慣れていることもあって、自然に受け取る箇所多数です。

そんな中にあって、テレスコピックステアリングの調整幅が60mmというのは、大きい気がします。シートの調整量が大きいこともあって、ドライビングポジションが取り易い一因となっています。現行モデルは、シートの調整量がもっと増えていたりしますが。

この時点では4ウェイパワーシートの設定が大半です。末期はメモリ付パワーシートが増えているというのは、お買い得感を感じさせるためでしょうか。


室内のスペース拡大はここでも紹介されています。204の場合、前席の差こそありませんが、ヘッドクリアランスの余裕から、後席の使用頻度が高いのであればワゴンをお勧めするところです。





年々厳しくなる気象環境に対応するためか、クライメートコントロールの出力が向上されています。フィルター性能の向上と合わせて、機能向上を実感するところです。輸入車だと出力不足を感じるクルマもあるようですが、204ではそうした欠点は感じません。末期で追加されたアイドリングストップは夏場にもほぼ遠慮なく作動して送風に切り替わるため、ストイックさを実感できますが、それやや間接的な話(笑)


この時点では、ライバル車よりも先んじる形で、ナビゲーションやバックカメラを標準で備えています。日本車が先行して部分でもあって、ようやく追いついたという見方もできますかね。
それまでは、社外品のインストール屋さんが活躍する分野であったのですが、メーカーやディーラーから離れた作業というデメリットが多少なりとも存在したのは事実ですので、後付けせずに済むという点で歓迎できる装備でありました。

マイナーチェンジ時点で紹介した格納式ナビの詳細が紹介されています。メーカー製らしいかなり凝った格納機能となっています。





ワゴンの目玉となるラゲッジスペース&ラゲッジルームが2頁で紹介されています。

先代はもちろん、ライバル車よりも大きくとられたラゲッジスペースは、リヤシートを立てた場合こそセダンよりも少なくなりますが、シートアレンジ次第でセダン以上のスペースを確保することが容易に可能になっています。
ラッゲジルームカバーやセーフティネット等、そのサイズだけでなく実際に使った場合の使い勝手に貢献する装備にも手抜きはありません。




といったところで、前編はここまでとします。
これまた、後期の時と同様に、強力なライバル車に対峙するため、力を入れて作られたということを感じていただければ、幸いなのです。

後編は残りのメカニズム系と、それをどう売るかという話となります。
Posted at 2017/02/22 22:55:43 | コメント(1) | トラックバック(0) | セールスマニュアル話 | クルマ
2017年01月27日 イイね!

先代Cクラス後期のセールスマニュアルの話(後編)

先代Cクラス後期のセールスマニュアルの話(後編)やや日数が空きましたが、メルセデス先代Cクラスのセールスマニュアル、今回は後編となります。

再構成の上での前編ではマイナーチェンジでの変更点をお送りしました。今回は前回の続きでグレード別の紹介とそのグレードをどういうマーケティング戦略で売るのかという話となります。私同様、後段の話をお好きな方も多いことでしょう(笑)


早速本編・・・へ進む前に、今回も話の理解の一助ということで、前篇同様、参考情報へのリンクを貼っておきます。
 〇後期のモデル変遷を書いたもの
 〇後期のボディカラーの変遷を書いたもの


それでは、本編へご案内。



最初は、グレード構成とその主な差異になります。

この時点のグレードは、スタンダードモデルを基本として、上級グレードにはスポーティ志向のアバンギャルドとラグジュアリー志向のエレガンスを設定。さらなるスポーティを求める向きにはよりダイナミックなAMGスポーツパッケージが選択可能という構成でした。ほぼ、全方向に対応可能な構成でバランスも良いように思います。

ところが、この構成は長く続きません。プレスリリースにある変遷の結果、グレード縮小に伴うエレガンスの廃止や選択仕様だったAMGスポーツパッケージの標準化が進んだことで、全体的にスポーティ方向に振られたグレード構成となっていきます。

現行では再び、エレガンス以外はこの構成に戻っています。エレガンスの名前替わりとなるエクスクルーシブも限定で導入されたものの、人気は芳しくなかったようで、その後の拡大や再導入はされていません。

余談ではありますが、スタンダードのステアリングは、エレガンス用のクローム付きが流用されるようになるというのが、このページでの発見(笑)





オプションの一覧です。

それまでは独立したグレード設定だったエレガンスがパッケージオプションの扱いとなる一方で、スタンダードモデルでもAMGスポーツパッケージが選択可能となったのは、大きな変更と言えます。自分的には魅力的に思えるエレガンスパッケージですが、1年後の年次改良の際に選択不可となってしまいます。また、AMGスポーツパッケージも、アバンギャルドでは標準化が進み、スタンダードモデルでは選択不可となる変遷となっています。

書かれているように、当初に比べてだいぶオプションのパッケージ化が進んでいます。それでも現行よりは、はるかに選択の自由度が高い設定でした。こういった設定は、抱き合わせで不要なものまで購入しないで済む反面、仕様はネズミ算的に増えていきますから、ユーザーの混乱や管理の手間も無視できません。現在は、車種も増える一方ですから、同一車種内の仕様を絞ることで管理コストを下げ、メリットの一部を還元するという考え方となっています。
そこには、輸入車である以上、在庫以外の仕様は長期納車が必至ですから、結局自分も含めて在庫にある仕様の選択が殆どという実状も影響しているでしょうね。






左頁は、カラーバリエーションが掲載されています。

これもボディカラー変遷との対比が解り易いと思います。定番の無彩色系(白・銀・黒)は、ホワイトがカルサイトからポーラーに変更されているぐらいで、世代が進んだ今もほぼ変わりません。その他の有彩色系は、結構入れ替わりが行われています。こちらで新鮮味を訴える戦略ですね。これも有彩色系は在庫が少ない、という実状があるようです。

この時点では内装色は豊富に揃っていますが、その後内装色も選択範囲縮小の対象となってしまいました。この部分は、運転している時には外観よりもはるかに目にする部分だけに、オプション以上に納期を待ってでも・・・と思えるのですけれどね。その思考の下地には、だいぶ昔の「間違いだらけのクルマ選び」に書かれていた、「メルセデスのようなクルマを選ぶ場合、多少待ってでも気に入った内外装色を選ぶこと。そして、それを最低10年は乗ること」というのが影響していたりです。


右頁は、発表に先立つ形で実施された販売関係者による内覧会の結果です。
このモデルは、2011年5月30日の発表ですから、4ヵ月前と意外と早めに行われています。リコール等で登場時期より前のクルマも対象に含まれている理由は、こうしたところにあるのでしょうね。

ある意味、評論家やユーザー以上に厳しい目を持つのが販売最前線。高評価を基調としつつ、ユーザー目線で見ても鋭い評価が目立ちます。



といったところまでが、浅瀬の領域で(?)、ここからが深海となります(笑)
いいモデルはできた。では、それをどう売り込むかという話です。




最初は、ここまでの分析です。

左頁では、絶好のライバル関係にある、BMW3シリーズとアウディA4との対比がされていて、実に興味深いところです。
元々3シリーズが強かったところに対して、CクラスがW204で、A4がB8で切り崩しにかかった構図となっています。また、全世界を揺るがしたリーマンショックの影響が見て取れたりもします。2009年・2010年と約25,000台で推移した3車販売台数ですが、近年は30,000台を超える台数となり、総量としては増えていますので、その分は他車からの移行ということなのでしょう。時期はずれますが、Cクラスに関して、現行はボディの大型化が起因したのか、クラウンとの競合が増えたという記事を見たことがあります。
(販売台数の参考文献:JAIAの統計情報

価格帯・販売実績と顧客プロフィールの比較も興味深く。
Cクラスは3シリーズとA4よりも、価格帯がやや上ということで、その対策として追加されたのが、C200や同ライトということなのですね。
平均年齢も、3シリーズとA4がほぼ同等で、Cクラスはやや上。この当時は、本国も同様だったと記憶しています。もっとも、数字を持たずのため断言こそできませんが、やや年齢の高いCクラスでも日本車のセダンよりは年齢が低い気はします。スポーティに寄せる戦略も、その対策ということなのでしょう。こうした数字、この後の推移が大いに気になるところです。


グレード別の販売比率では、中心にC200アバンギャルドがあったことが判ります。W204の導入当初は、おそらくエレガンスとアバンギャルドの比率は、ほぼ同等の想定だったのでしょうが、明らかにアバンギャルドの方が売れたようです。その影響がグレード設定に影響しています。


現状の分析はここまでで、ここからはモデルコンセプトとなります。
大まかに分けると、スタンダードモデルは新規顧客の獲得が役割という想定だったようです。上級となるアバンギャルドは既納顧客対応モデルで、C200アバンギャルドがその中心。更なる上級のC250やC350は上級志向のユーザーを押えつつ、ダウンサイジング志向も満足させるとなるようです。



ここからはモデル別の更なる販売戦略となります。



先ずは、C200ライト。

C200ライトは、価格訴求モデルとして2010年8月に追加されました。C200の装備を厳選することで40万円以上安い設定はお買い得感の高いものでしたが、受注生産ということで、実際はライトで引き寄せてC200を売るという状況だったようです。

ところが、比較的好評だったことや新規顧客の獲得を目的として、受注生産から標準販売への変更、色設定の拡大、装備やオプションの充実といった変更がされています。(それにしても、国産上級セダンからの代替想定の40%はかなり高いような)
こうした変更はユーザーに歓迎された反面、収益に影響したのか、わずか半年足らずでライトは落とされ、C180に変更されることとなります。このC180、本国では翌2012年に1800から1600に変更されるのと入れ替わる形での導入というあたりに、大人の事情がありそうです。

C180自体は好評で、C200に替わってスタンダードモデルの中心に成長していきます。その後、C180は末期で受注生産となり、現行初期で一旦標準販売となるものの、今は再び受注生産とされています。分析と照らし合わせると、他車からの移行が少なくなったのか、あるいは移行でも上級が好まれるようになったのか、知りたいところではあります。





続いては、C200です。
こちらも前期の途中となる2008年4月から設定された、価格重視のグレードです。そんな出自ながらも全く不足は感じることはありませんが。
AMGスポーツパッケージが新たに設定されて、スポーティ志向にも対応可能となりました。この新設定、今よりはるかに減税額の大きかったエコカー減税へ対応させるためという側面もありそうです。減税幅でオプション金額の半分が賄える形ですから、適合を意識しないはずはありません。こうしたあたり、この制度の効能は認める反面、制度が粗かった故、仕様を歪めてしまったことを指摘しないわけにはいきません。

C200は、後から追加されたC180の好調の余波を受ける形で、エレガンス仕様共々、C180アバンギャルドにその位置を譲ることとなります。エレガンス好きとしては、C180の選択仕様として残してほしかったところです。

ターゲットユーザーは、ライトと同じ大手企業勤務ながら、年齢と年収が上がっているのが密かなポイントです(笑)。ターゲットにある国産は、ほぼエコカー減税に非適合でしたから、エコカー適合というのは、意外とポイント高いのでありました。



右頁には、基幹モデルとなるC200アバンギャルド。
前期では約半数を占めて最多量販だったグレードです。グリルスターを採用したセダンという記念碑的存在ですし、それが成功したことで、その後の流れを変えたとも思います。ここまで上がると、新規顧客の獲得よりも既存ユーザー(特に前期モデル)の代替が主と想定されていたようです。

この後は250・350に先んじてオプション設定だったAMGスポーツパッケージを標準にしてスポーティ色を強めることとなります。現行ではAMGラインと名を変えつつ再びの選択制となり、元の位置に収まっていますね。





続いては、左頁にC250アバンギャルド。
W204の登場時点ではV6搭載ということで200とは差別化が図られていましたが、シリーズ最初のCGI(直噴ガソリン)を採用する際に4気筒化。後に200がスーパーチャージャーからCGI化されることで、200の高出力版に位置づけられることとなりました。高出力が主での差別化は容易ではなく、この後は少量が販売された後、現行では装備面でも差別化が図られることとなります。

サブターゲットの世帯年収は、さらにアップ(笑)
意外とこの辺りの方はスポーティなものを希望されているということが読み取れもします。



最後は、C350アバンギャルド。
250が4気筒化されたことで、唯一の6気筒となりました。Eクラスの進化に合わせる形で前期の300から350にハイパワー化されています。搭載エンジンからしても、既納顧客を守る一方でEクラスからのダウンサイザーも求めるのは自然な形です。さすがにその高価格ゆえ、250以上に見かけることは稀なクルマだと思います。現行では、C450を経た後C43という形でAMGに近い位置づけとされています。



といったところでいかがだったでしょうか。

変更点ぐらいは、カタログの見比べでも可能ですが、この手の分析や戦略は通常、表に出ることはあまりないため、貴重な情報が多数あると感じます。
タイムリーネタだとさすがに逡巡するところがあるのですが、5年以上前ということで、ご笑覧いただければと思います。


Cクラスは、このマイナーチェンジ以降、モデルチェンジ末期となった2013年を除いて、念願だった3シリーズを上回る販売台数を売るクルマに成長します。そういう点からすると、この変更は大きな進化というだけではなく、一つの契機でもありました。その実績の裏には、その後も年次改良は手を緩めることなく行われてきたということも挙げなければなりません。
クルマとしては後年ほど仕様が充実(特にレーダーセーフティの追加は大きいですね)かつお買得になっていますので、最新型=最良であることは疑いようもない事実なのです。しかしながら、それと並行して販売台数の縮小に合わせる形で仕様統合も行われていますから、この時点が設定としては一番バランスがいいという考え方はあるかもしれません。ここ最近は、数をやや追い過ぎなのではないかとも思いますし。


メルセデスは、この後、往年の「The best or Nothing(最善か無か)」を再び掲げますが、その名に恥じないくらい力が入っているように映るのは、決してオーナーの贔屓目だけではないと思います。そこにはコストダウン一辺倒とは明らかに違う視点が確実に存在しています。技術的な差は少ないのだとしても、それを商品というパッケージとして成立させる手腕は一朝一夕で身につくものではありません。

往年との対比でいろいろ言われることのあるメーカーですが、知れば知るほどその奥深さに感心させられるメーカーでもあります。きっと、そうした蓄積がメーカーへの信頼に繋がっているということなのでしょうね。
Posted at 2017/01/27 22:15:05 | コメント(3) | トラックバック(0) | セールスマニュアル話 | クルマ
2017年01月23日 イイね!

先代Cクラス後期のセールスマニュアルの話(前編)

先代Cクラス後期のセールスマニュアルの話(前編)久方ぶりのセールスマニュアル話となります。

お題は、先代のCクラス後期という何とも力の入りそうなもの。
その一方で、先代とは言えどもまだまだ旧車の域ではないモデルですから、ちょいと緊張してもいたり(笑)

今回取り上げますのは、先代(W204/S204)が2011年にマイナーチェンジした時点のもの。量が多いので、再構成の上で前後編に分けることにします。

この世代は、自分で乗っていることもあって、まだまだ新しい気でいるのですが、数えてみると5年以上の年数が経過していますね。なるほど、認定中古車の主流は現行に移るはずだよなぁと。

とは書きながらも、まだまだ中古車市場では台数の多いクルマでありますし、セールスマニュアルの体ではあるものの、このマイナーチェンジによる変更点を情報として把握しておくというのも、よろしいかもしれません。

なお、今回取り上げるにあたり、以前作成して参考となりそうなものの、リンクを貼っておきます。

 〇後期のモデル変遷を書いたもの
 〇後期のボディカラーの変遷を書いたもの


さて、前置きはこのぐらいにして、本編に入っていきます。



最初は見開き

204は、2007年の発売開始以降、好評をもって受け入れられ、長年に渡る好ライバルかつこのセグメントのリーダーとなる、BMW3シリーズ(E90)に近付くことに成功しています。その後、やや販売は落ち着く一方で、アウディA4がB8系以降、新たなライバルとして成長しつつありました。

このマイナーチェンジは、そんなライバル達を見据えてのものとなります。翌年には3シリーズが次世代に進化することが確定もしていましたし。

そんな状況もあってか、それまでメルセデスのマイナーチェンジはあまり大きく変わることはないという通例を破る大幅変更となっています。


詳細は、個別ページを見ていくことにして、ここではグレード別の価格に注目してみます。
今の価格と見比べると、約10%ぐらいはお安い設定と言えそうです。今のモデルとは装備の差がありますし、何より消費税の3%違いがあるわけで、高い・安いの判定は一概には言えませんが。昨今の販売状況を値引きや登録済み未使用車等を加味しつつで考慮すると、できれば、これぐらいの価格であってほしいという思いは持ちつつ。





エクステリアの変更その1です。

フロントマスクはほぼ一新と言っていいと思います。
当時は、存在感を強調する方向に変更された各部の造形に対して賛否が分かれましたが、今ではこれぐらいなら、むしろ大人しいぐらいでしょうね。

ライト類にはLEDが入り込み始めた頃で、ポジショニングライトで個性を主張しています。

ドライビングライトは、前期の途中でLEDが選択可能となっていましたが、更なる改善。デザインアイコンと書かれている割に、205では意匠のみ → それも消されるという経過となってしまいました。

このライト類、私的にはハロゲンの意匠の方が大人しくて好ましく思ったのですが、その機能を買ってバイキセノンを選択しました。セットオプションとなるLEDドライビングライトと合わせて、夜間の視認性に大きく貢献しています。

今はキセノンからLEDに主流が移っていますし、日進月歩の分野と言えますね。





エクステリアの変更その2です。

こちらはリヤ部。
フロントの大幅変更から比べると、変更規模は少なめとなります。

と書いてはみたものの、リヤバンパーのデザインまで手が入っていたのはこの資料で初めて知りました。


ランプ類はフロント同様に、LEDの採用が主眼。昼間はデザインがあまり変わっていないように映っても、夜間は明確に判別可能。これまた、安全性に寄与する部分と言えましょう。
81の時は時代考察の点でLED化に逡巡していて、クルマ替えたらLED化をやろうと思っていたのですが、ほぼ手を入れる必要はありませんでした(笑)


空気抵抗係数は、元からCd=0.27と優秀な値でしたが、更なる改良により0.26に進化。高速域の加速や燃費に貢献しています。





インテリアの変更その1です。

基本レイアウトは前期からの踏襲となりますが、インパネ自体を変えちゃっていますから、こちらも大幅変更と言っていいでしょう。

その主な目的は質感の向上にあります。
以前に前期をお借りしたことがありまして、乗り比べると解り易いですね。

機能自体は、前期もほぼ同等で十分以上のものがあるだけに、それを効果的に見せる術に長ける様になったという言い方でしょうか。この時期以降、質感の向上というのは今に続く重要なテーマであることを感じます。

この変更で唯一改悪と思えるのは、ハザードの位置です。咄嗟に押せない位置への変更は、安全の点から疑問符を付けざるをえません。





インテリアの変更その2です。

と書きつつも、ここでの変更は、インパネの変更に伴うグローブボックスぐらいです。
この変更で車検証入れが入れられるようになったとされていますが、実際はマニュアルの類が分厚いため、最小限のモノ以外は、トランクサイド行きだったりします(笑)。おそらく、同じような使い方をされている方が多いのではとも。


ラゲッジの容量ですが、リヤシートを倒さない状態だと、特に高さ方向はセダンの方がスペースを稼いでいたりするようです。もちろん倒した際の自由度は、ワゴンがはるかに勝るわけですが。

このクラスらしく、ゴルフバッグの積載方法が掲載されています。横方向の寸法に制約があるため、実際の積載量は限界がある感が否めません。そういえば、現車を買う際、最初に行ったブランドスクエアの説明で、ゴルフをやられますかという質問があったことを思い出します。


リヤシートの可倒は、実は自車にはない機能でして、数少ない不満点の一つだったりします。それで困ったことは殆どないのですが、イザという時に長尺物が載せられるというのは機能の点で大きい気がします。

本当は選択可能なら、選びたかったのですが、自分が買う時には選択不可でした。その点は承知の上だったわけではあるのですが。





メカニズムの変更です。
この頃前面に出されていた、Efficiency(=効率性)が掲げられています。

最大の目玉は、従来の300に代わる350の設定と、4気筒系への7G-TRONIC(7速AT)の拡大採用となります。

350は大幅なパワーアップを伴っていて、この変更を機に4気筒系から離れた感が強いですね。今のC43に近いと言えるかもしれません。

7Gは内外装の変更と共に、私が後期を推す理由となるものです。ギヤのワイド化による効用もありますが、ギヤ間のステップ比が近づいたことで、やや引っ張り気味の印象がなくなっていることやシフトショックが減っていることも挙げられます。この時以降、先日も使ったギヤをあてに行くという言葉が近くなっていますね。


実はこの時点では、ECOスタートストップ機能(アイドリングストップ機能)は新開発となる350のみの採用でした。この後半年ほど遅れて、4気筒系にも拡大採用されることとなります。
賛否が分かれる機能ですが、費用対効果ではなく無駄の抑止の観点で私は積極的に使う方です。ただ止めるだけでなくよく考えられている機能で、今のところ弊害も感じられません。まだ初期なので、再始動時のショックはやや大き目とは言えそうです。


ボンネットは軽量化を目的としてアルミニウム製に変更されています。記載はされていませんが、フェンダーもアルミニウム製(磁石で確認・笑)。一説には、7G搭載による重量増対策ともされていますね。ボンネットを開閉する際に明らかに軽く感じるのはもちろん、旋回時にフロントの軽さを感じさせる要因の一つなのかもしれません。





安全装備に関してです。
メルセデスにとって安全は絶対に譲れない部分だけに、技術の進化に合わせて各種機能が追加されています。

アテンションアシストは各種パラメーターから疲労度を測る機能ですが、通常は静かに寄り添う存在です。自車で35,000kmほど使って、警告を発せられたのは一度のみ。高速のインターで進路を誤り少々ふらついた際に、蛇行と取られたようです。長時間の運転で若干意識レベルが低下していたような気もするので、万が一の時には役立つ機能です。


アドバンストライトは、上に書いたとおり、その多機能を買ってオプショナルで追加。自分的には追加して正解の機能でした。アダプティブハイビームアシストは、効果が認識されて日本車でも採用するところが増えましたが、この時点で採用済。
現在では、ビーム制御はマルチビームやマトリックスヘッドライトといった進化をする一方で、この機能の採用を宣伝している社もあるというのがクルマ業界の実態でもあります。


パークトロニックは付けず、付いているクルマを借りても使わずですので、省略。最新のものは並列駐車まで可能となっていて、進化が著しい分野です。


アダプティブブレーキは、何よりホールド機能を便利に使っています。ストップ&ゴーの多い都内では使う頻度も高く。慣れてしまうと、これがないクルマに乗った時には不便に感じます。その他にも、ドライブレーキやプライミング等の機能があったのは、初めて知りました。大々的に謳わないのは、同様の機能を備えたEクラス(W211)のSBCが大規模リコールに発展した背景があるのだろうと推測するところです。


リヤビューカメラも若干地味目の改良。リヤハイデッキのW204では必須に近い装備です。ここも進化の速い部分で、新型は大画面にもっと鮮やかな映像で表示できるようになっていますね。





メルセデスではCOMANDシステムと名付けられている、AV系の改良です。

何より、前期では格納式だったディスプレイを、インパネの形状変更と合わせて組み込み式とした点が大きいですね。前期のディスプレイの動きは実に巧みで一見の価値はありますが、経年による故障の心配も若干あり。その点、組み込みなら、というわけです。


機能面は、PC同様に最も進化の著しい分野と言えるでしょう。実際、この時にNTG4から4.5に進化していて、末期まで同様とされていますが、自車のナビゲーション画面は色使いが違っていますので、表に出ている以外にも時点変更されている可能性が高く。
4から4.5になって、コピー対策か地図更新の際にパスコードが必要となりました。

機能は増える一方ですが、使い勝手の部分は最新=最良とは限らないのが面白いところ。ナビゲーションのサプライヤーが変わったことで、自分的にはこの世代の方が使い易かったりしますし。



といったところで前編をお送りしてきました。
マイナーチェンジでもこれだけ力が入っていると、実に読み応えがあります。これに加えて、モデルイヤー毎の小変更がほぼ毎年あるのですから、買い時の判定は難しいところです。
その背景には統合制御システムの進化が著しいといった事情があるのでしょう。

もっとも、BMW3シリーズやアウディA4といった、強大な好敵手の存在があるからこそ、これだけ力の入った改良を加えることができるのだとも思います。ライバル車の存在はやはりとても重要なのです。

最初の見開きでお気付きかもしれませんが、前編は改良点を中心にお送りしました。
後編はもう少し深海の領域の解説となりますので、その種に期待される方はお楽しみに(笑)
Posted at 2017/01/23 20:57:43 | コメント(4) | トラックバック(0) | セールスマニュアル話 | 日記

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