お台場にてランチの後、メガウェブにてようやく(?)トヨタの新型車3台とご対面してきました。
ここ、各種仕様が一度に揃うため、比較にはよいのですが、夏休み期間中の3連休ということもあり、この地域全体で大変な人混み。室内に座るのはもちろん、撮影するだけでも一苦労。じっくり細部を見るのは当然無理な状況でありまして、簡単な(?)感想といたします。
先ずはこちらから。
6年半ぶりにモデルチェンジされた新型クラウン。
こちらは、アスリート系の後継と目されるRS Advanceとなります。
長年続いた、太いCピラーとロングデッキの組合せは、6ライトウィンドーとショートデッキへと一大変革を受けました。伝統的な”セダン”が、今風の類別で言う”グランクーペ”あるいは”スポーツバック”に変わったという言い方でもいいかもしれません。
BMWやアウディ等からの影響は否めないものの、ハッチは切らずというのはこれらとの大きな違いであり、一つの主張でもあります。
恐らく今のトップモードであるはずのこのスタイリング、私的にはこれらを思い出させずにはいられなかったりですが。
上から130、170、190のコロナリフトバック(画像は全て輸出仕様。170と190の国内は”SF”の呼称アリ)。
当時の国内ではセダンの影に隠れてしまいましたが、今改めて見返すと先進的なスタイリングだったんだなと改めて感心させられます。
ここでこれらに触り始めると脱線したまま戻れなくなりそうなので、本題のクラウンに話を戻しますが、ビッグキャビンとショートデッキを対比で見せつつ、その間を強く傾斜させたリヤウィンドーで繋ぐこのスタイル、これまでのセダンを見慣れた目には新たな主張には映ります。
ただ、このスタイル、コロナの4ドアと5ドア間で比較すると解りやすいのですが、Cピラーの後端が後ろとなることでキャビンの量感やルーフラインの流麗さを表現できる一方、相対的にホイールベースが短く映ってしまったりします。今回のクラウンもスタイリングだけなら、リヤタイヤの位置をもう少し延ばした方がバランスは良かったと思います。実際にやろうとすると、前出しされたフロントタイヤ&1800mmを死守した全幅により、大きくなった最小回転半径がより大きくなって無理という判断となってしまうわけですが。
もう一つのポイントはリヤの居住性&トランクの使い勝手でありまして、確実にスタイリングのシワ寄せとなっていることを感じました。
後席に収まりますと、トルソー角をやや後傾させつつもヘッドクリアランスはギリギリ(サンルーフ付は頭が天井に触れる)ですし、天張りを黒に変えたことと相まって閉じ込められ感はかなりのものです。
トランクは、開口面積が本当に最小限。計りはしませんでしたが、W204より小さく感じたくらいです。容量自体は奥行きがあり、それなりの数値のようですが、その奥の方はホイールハウスの影響も受けていまして。これ、イメージとしては需要の多そうなゴルファーからは苦情が出そうな域の気がします。このクルマこそ積載方法を図示しないといけないような。
この後席とトランクって、あまり質疑を見かけませんが、フリートユースを相当見切った結果のように見受けます。
推測のとおりだとすれば、それが何よりクラウンの大きな変革なのだと思います。他方、メーターやインパネのレイアウト等には、これまでの様式を残している部分がある辺り、これはまだ変革の第一歩ということなのでしょう。
この変革の理由が、クラウン自らの事情ではなく、ミニバン・SUV・輸入車等の周辺状況故というのも、クラウンを迷わせる理由でしょうね。
クラウンもう一枚。右手前はRS AdvanceにTRDパーツを追加した仕様で、左奥はG-Exective。
メーカーとしては、右が売れて新たなイメージを構築してほしいのだろうと推測しますが、私はこれまでもアスリートよりロイヤルを支持すると書いたとおり、今回も左にクラウンの本来の良さが表れていると思います。
ユーザー層が大きく異なるであろうこの2台をディテール部分の変更くらいで同時に売らなければいけないのは、クラウンを悩ませる一因でしょうね。
クラウンが長くなりましたが、続いてはこちら
20年以上の時を超えて、フルモデルチェンジを受けたセンチュリー。
こちらは変更の主な理由が自身ということで、非常に理解し易くかつ賛同もしやすい仕上がりだと思います。
私的感覚では、もう少しAピラーを起こしたいですし、トランク部分も延ばしたいですが、旧LSからの流用による制約かなというのは推測。
旧型以上に縁の遠くなったクルマですので、あまり触れませんが、「上品・(和風の)高級」を判っているなとは。
盾の如き巨大グリルでもなければ、レンズの造形や繋がりのないキャラクターラインで存在感とやらを主張することもありません。ということは、その逆は・・・以下略。各々の要望に応えるを理由にして、確信犯でやっているということなのでしょうね。昨今のデザインテイストとやらに食傷気味の身としては、心落ち着くものがございます。
クラウンがああいった変わり方をした今、こちらの縮小版の需要がありそうですし、それを問うてみるのも一石と書けるのは、外野の気楽さでしょうか。
最後はこちら
クラウンと同時に発表された、カローラスポーツ。
こちらは廉価グレードのG”X”にアルミホイール等を追加した仕様のようです。
こちらは、ゴルフという基準車があるのと、国内はほぼ新たな開拓ということで、クラウンよりも狙いが明確に感じます。また、成り立ちや主張への理解もし易く。
カローラ直系の2BOXとして歴代を振り返ると、FX→ランクス→オーリスを経た後、新たにスポーツを名乗ることとなったわけで、その主張の仕方やスタイルの紆余曲折ぶりが何とも・・・、だったりはしますが。これ、ハッチバック=スポーツとは思えないこともあって、再びのFXで良かったと思うんですよね。狙いは当時と同じようなところですし、セダンとの順番が逆になったということだけかと。
このクルマ、トヨタ内の関係でつい語りたくなります。
セダンやフィールダーからの変わりようというのは、ようやく今の時流に追いついたということ。今まで国内仕様として割り切っていた(違うのを承知で作っていた)ものが、何であるのかを静かに主張しています。
また、同じTNGAから生まれたプリウスやC-HRとの対比でも、このクラスとしての整合性や合理性はこちらにあると思えるところです。言い方を変えると、このクラス・価格帯で選択してもいいかなと思える存在がトヨタの中にようやく登場したという所でしょうか。これのセダンには、かなり期待をしていたりも。
そんな目線で座ってみたものですから、苦言も少々。
内装は、色々種類がある中では、やや追加価格は張りますが、中間グレードのサドルタンの革がちょっと高級風味も感じさせて、好ましく思えました。ところが、このシート、マニュアルのみでパワーは選択不可。トヨタの共通モジュールシートはマニュアルだと座面前端が固定となるため、座面後ろを上げると頭上がきつく、下げると膝裏が圧迫、今回も私のポジションの好みとは合わず。プリウスはパワーシートの設定があるのですから、この設定で十分という割り切りが何とも勿体なく。オートワイパー・自動防眩ミラーの設定と共に追加要望といたします。
シートといえば、座面長ももう少し必要。基本骨格の変更はダメでも、可変長という選択もあるような。
もう一つ気になったのはドアミラー。
サイズが元々大きく、横方向は鏡面の中ほどを尖らせていてそれが更に顕著。ミラーtoミラーの寸法も増えますし、ややデザイン優先が過ぎるのではないかと思った次第。これ、フィールダー等と比較した時に、車幅が増えていることと相まって運転のし難さを感じさせる要因となってしまうのではと危惧もしますが。
実際に乗ってみると新たな印象もあるのでしょうが、パッケージングとしては改善点を挙げつつも、不可は感じませんでしたし、イイ線は突いているのではないでしょうか。前にも書きましたけれど、このクルマ、従前からあるアクセラやインプレッサにもいい刺激となると思えるんですよね。一足先に登場したシビックと合わせて、今このクラスは粒揃いであるとも言えます。輸入車に目を向ければ、値引き拡大中のゴルフ、Aクラスも範疇に含まれてきそうですし。
以上、本当に久方ぶりの新型車雑感をお送りしました。
【コロナの画像の引用元】
・FavCars.com