
暑くて蒸し暑かったお盆の夜。
米澤穂信氏のベストセラーミステリー短編集『満願』から、
三話の
ミステリードラマ「万灯」「夜警」「満願」と、
NHKスペシャル
「ノモンハン 責任なき戦い」を見ました。
まったく関係のない話、時代のようですが、観終わった後、不思議と共通する思いがふつふつとわいてきました。
今回は、とりとめとなく雑感を書き綴ってみます。
お盆中にも関わらず少年団の稽古があり、帰宅してから子供たちがお風呂に入ってご飯を食べて、それからみんなで見たので、NHKスペシャル「ノモンハン 責任なき戦い」は途中からの視聴でした。
昨年放送されたNHKスペシャル「戦慄の記録 インパール」に引き続き、
「机上の空論で進む指導部」
「司令官が責任を取らない卑怯者」
「情報のインプット、アウトプットができない参謀・上層部の愚行」
を思い知らされました。
NHKスペシャル「ノモンハン 責任なき戦い」
◆
情報を軽視した楽観的な見通しや、
物量より優先される精神主義など、
太平洋戦争 大東亜戦争でも繰り返される“失敗の本質”が凝縮されていた。
しかし軍は、現場の将校には自決を強要した一方で、作戦を主導した関東軍のエリート参謀たちはその後復帰させ、同じ失敗を重ねていった。・・・・・
時代が時代だ思えば、現代に照らし合わせることはできないのだろうけど。
日露戦争の勝利が、日本の進むべく道を誤らせてしまったのか。
近代的な兵器、武器、戦法に向かう国々と、成功体験から必要なことはわかっていながら旧態を否定できない関東軍、日本軍。
独断、独善、狂気、 辻 正信!
この参謀が左遷されたままなら、日本の運命も変わっていたのか?
「事実とはなにか」
「事実だと語られることではなく、事実」
戦争責任、本当の責任。
敗戦の理由、何がいけなかったのか。
戦争を回避し、過去から学ぶために、多面的な資料、史実から、
わたしたちは「事実」を学ばなくてはいけないのだと改めて思いました。
そのためには、情報を集め、整理し、論理的に思考することが不可欠です。
当時の指導者が語ることが全て事実ではなく、戦争責任を問うた裁判も、適正に行われてはいない。
卑怯な指導部らによって濡れ衣を着せられている方、ご遺族たちの無念はいかばかりか。
保身的で欺瞞に満ちた愚かな作戦によって命を落とされた方々、遺された家族の方々が
少しでも浮かばれ、ご彼岸の地で溜飲を下げられることになればいいと、番組を見ながら思いました。
NHKミステリースペシャル 『満願』
「万灯」×「夜警」×「満願」
西島秀俊×安田顕×高良健吾 ベストセラーミステリー『満願』ドラマ化!
◆2014年のミステリー界で、史上初めて「このミステリーがすごい!」「週刊文春ミステリー・ベスト10」「ミステリーが読みたい」のそれぞれで1位になり、3冠に輝いた『満願』。この中から短編3作品をドラマ化します。緻密な謎解きはもちろんの事、岐路に立たされた人間の葛藤、業などを精細に描きだすミステリードラマです。
お盆の夜。
戦争が題材のドラマではなく、ミステリー。
しかも、一時間で完結の、極上のミステリー。
静かに張られた伏線に気づくときの快感、恍惚。
してやられたと思った時の、「参りました」感。
視聴者がドラマの世界に没頭でき、余計なことに気をとられない俳優、素人ではなく深い人間性をにじませるいぶし銀の役者さんたちの演技に引き込まれて、暑い夜(一・二夜)も涼しい夜(三夜)も楽しみました。
第一話。「万灯」
資源を確保するために奔走する日本の商社マン。
貧しくても未来のために資源は守るべきだとする英国留学経験のある現地の有力者。
それぞれの「神」。
そして、茅の輪(ちのわ)伝説。疫病。
もはや、自国のために貧しい国から搾取する時代ではない。
日本も、わたし自身も、
WIN-WIN を目指さなくては。
第二話。「夜警」
最近のドラマも映画にも疎いわたしは、安田顕というスゴい俳優さんのことを、よく知らなかった。
水曜どうでしょう「onちゃん」としか …ppp
なにこの圧倒的な存在感、目力。
枯れたように朽ちたように見せかけて燻っている炎感。
ハードボイルドすぎる~
全てを見抜き、諭っている天性の刑事、警察官。
警察官にとって必要な能力を全て身につけている、凄腕すぎる敏腕刑事。
それゆえに、警察に向いていない新人を辞職させるために追い込み、自殺させてしまった。
ミスがばれるのが怖い、正直に謝れない、小心者の新米。
人のためになろうなんて気はさらさらなく、警官の矜持も誇りも持たず、銃を撃つことだけに興味がある。
なんて奴。
警察に、向いていない。
刑事には、向いていない。
でも、なってしまったら辞めさせられない。
過去に新人を自殺に追い込んでしまった過去から、厳しく指摘することを躊躇した。
もう・・・、なんというか・・・。
この安田顕さんという人に、やられてしまった。
キレすぎる、出来すぎる、枯れているはずなのに光る男。
それなのに、それゆえに、部下を死なせ、左遷されられ、閑職に追いやられ。
矛盾してるじゃないの。
能力がある人が活躍できる社会であるべきなのに、実は、真逆?!
安田顕さんの相棒、「いい声」の村上新悟さんもイイ!
新人警察役・馬場徹さんの狂気もスゴイ!
内田慈(ちか)さんという女優さん、ヤバい!
ミステリー短篇集『満願』・原作者の米澤穂信さん、知らなくてごめんなさい。
NHK。やればできる子。
NHKスペシャル「大江戸」と「人類誕生」は、新しい発見や事実を教えてくれて、勉強になったし楽しかった。
偏向報道はやめてね。
第三話。「満願」
先祖を誇りに思ってる。
なによりも、大切に。
ここの舞台はどこの町なのかな。
標準語をしゃべっているから、どこか関東地方の「地方(田舎)」?
私塾を開いてまで若い人たちの教育に尽力したという、彼女のご先祖さま。
お殿様からいただいた達磨大師の掛け軸が家宝だという。
きっと、水戸藩だわ。
「これは八高線。ここは、八王子だな」 by 主人
え~?! 八王子と群馬がつながってる? 東京の隣に群馬なんてあるの?
八王子は東京の西なのに、北関東とつながる路線?
和服を着て、きちんとした佇まいで清楚な下宿先の女将さん。
貧しい下宿人に夜食のおにぎりを差し入れし、司法試験の合格を応援している。
主人の畳屋の仕事を大切にし、仏壇に手を合わせ、甘くないスイカに塩をかける、
日本的伝統的な女性の鑑。
あの「シン・ゴジラ」でのクールな演技が光っていた市川実日子さん。
九州熊本男子・そういえば「シン・ゴジラ」にも出ていた誠実な高良健吾さん。
どこが謎解きなのか、ミステリーなのか分からないまま後半へ。
ん? もしかして、正当防衛ではなくて、……!?
血痕が顔にかかっていない達磨は、後ろを向いていた?
表装だけに血痕がついた掛け軸は、もしかして?
貧乏なのに酒呑みの亭主の酒をやめさせようとしなかったのは?
だめな亭主役・寺島進さん、・・・寺島進さんだ。
「・・・女房が立派なのはなお悪い、ってな」
達磨大師の掛け軸、達磨市で買った達磨。 あっ、・・・満願。
人は静かに、ひそかに、
「何かを大切にしている」。
「何かを守りたいと思ってる」。
それを貫き通そうとするときに、時として訪れ、顔を覗かせる『狂気』。
それが「正しいことだ」と思っても、
それを「正義だ」と思っても、
それこそが「真実だ」と信じても、
つよく強すぎるほどに追い求め、守り抜こうとすると「独善」が「狂気」となることもある。
それは悪いことだとも思えない。
それを貫き通すこ人生こそ、満ち足りて、幸せなのかもしれない。
しかし、それが時として、「狂気」ともなりうることを自覚して生きていくことが、
わたしのような思い込みの激しいキチガイには必要なことだと気づき、ゾクッとした。
まとめ
その時代のリーダーが、いつも優れた人物だとは限らない。
どこの組織のリーダーも、適任だとも限らない。
好き、なりたいだけではダメ!
多くの人に影響を与える職業・地位決定には、AIなどによる『適正検査』が必要不可欠になるだろう。
強く信じて、ひたすら追い求めるモノが、正しいことだとも限らない。
自分自身のためだけではなく、誰かのためを思っての行動だとしても。
それでも、自分が心の底から願うこと、やりたいと思えることが、自分自身のため、自己満足だけでなく、
誰か他の人や世の中のためになることだとしたら、迷わずやるべきなのだと思う。
そうやって自分の人生を生き切ることができたら、きっと幸せなんだと思う。
多くの可能性や選択肢を広げるためには『教育』と『情報』が不可欠。
人格的に問題のある大人になってしまう人は、
幼少期の愛情不足、
過度な期待、
自己肯定感の欠如、
他人との関わりの薄さ、
自分さえよければと思って生きている親
の影響が大きい。
そう。
何よりも大切なのは、『教育(公教育・学校・地域・とくに家庭)』 と
既存のマスコミに代わる
『事実・情報を伝達する的確な手段と媒体』 なのです。