福岡にある私の実家の町には、新四国八十八ヶ所と呼ばれる霊場がある。
その昔、四国八十八ヶ所の巡礼の帰りにここを訪れた尼僧の慈忍が、村の困窮を救うべく祈祷を捧げ、その後に慈忍の発案により石仏が作り始められたのが、その起源とされている。
私が小学生の頃は、春秋の観光シーズンともなれば観光バスや団体列車などで、「お遍路さん」と呼ばれる白装束をまとった巡礼者が多く訪れ、その数、年間100万人位であったと記憶している。
本家四国が一回りするのに一ヶ月程度かかるのに対して、こちらは3日程度で回れることもあって、気軽に行くことができたのも魅力だったのかも知れない。
当時、母親に連れられて、近所の人と一日だけ遠足気分で回ったことはあったが、毎年、遠方より多く訪れる巡礼者の姿を見るにつけ、何と信心深い人が多いのか、と子供心に思っていた。
しかし、今ではお遍路さんの姿を見かけることはほとんどなくなり、皆さん車で回ったり、ハイキングとして山歩きを楽しまれているようである。
タイトルにある南蔵院は一番札所の寺院であり、付近にも複数の札所や多くの石仏などがあることから、観光スポットとなっている。
周りを山に囲まれており、奥に行けば小さいながらも滝があって涼しく、夏に帰省の際は訪れることが多い。
今回も行ってみた。
最寄り駅の城戸南蔵院前で列車を降りる。
R201を渡ると、すぐに南蔵院入口の坂へと差し掛かる。
札所にはこのように地蔵の姿があり、巡礼の際には札所毎に米と一円玉を供えた記憶がある。

坂を上り、一番札所に行く手前を右に折れ、トンネルへと向かう。

千羽鶴の右横に小さく見えるのが、先ほど降りた駅。

しばらく行くと、この地蔵に迎えられる。
やがて、大きな涅槃像が見えてくる。
平成7年に建立された像で、今は南蔵院の目玉ともなっているようである。
ちなみに、南蔵院のご住職が1億の宝くじを引き当てたというのは地元では有名な話で、そのご利益にあやかろうと、ここを訪れる方も多いとか。
いいのか悪いのか?

以下の観光客はアジアの方々で、聞こえてくるのはハングルと中国語であった。
福岡市内ではよくアジアからの観光客を見かけるが、こんな田舎にも来られているとは、ちょっと驚き。
来た道を引き返して、一番札所へと。



さて、先に進もう。

見えてくるのがこの大きな像。
子供の頃からエンマ様と呼んでいるが、正式な名称は知らない。
「嘘ついたらエンマ様に舌を引き抜かれるけんね」と、昔はよく親に脅されていた。

その近くにある石像。
天を見上げ、救いを求めているようにも見える。

さらに奥に進むと45番札所と滝が見えてくる。
ここがひんやりしていて、雰囲気的にも一番好きな場所である。


45番札所の周りにある石像。

そして、帰りを穏やかな表情で見送ってくれた石仏。

年齢が行ったせいもあるだろうが、南蔵院を訪れる頻度が次第に高くなってきている。
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Posted at
2014/07/30 23:19:23