2018年12月08日
86で峠道を走ってみた
スプラッシュの足回りには標準でスイフトスポーツと同じメーカのタイヤ(コンチネンタル)とダンパー(モンロー)が装着されており、見かけによらず締った足になっているので、ワインディングロードをそこそこのペースで気持ち良く駆け抜けていくことが可能であり、パワーをさほど必要としないダウンヒルでの楽しさはなかなかなものだと感じている。
とは言うものの、そこには重心の高さやパワーと制動力が小さいことからくる限界も当然ある訳で、あくまでもコンパクトカーにしては良く走るというレベルのものであり、スポーツカーと称される車などと比較すれば当たり前だけど大きな違いはあるはず。
じゃ、そのスポーツカーってのはどんなもんよ?
残念ながらそんな車を一度も運転したことがなく、試乗インプレッションの記事などから想像するだけで自分では何も語れないので、それではとその種の車をレンタカーで探してみることにした。
調べてみるとトヨタレンタカーに86があったので、早速手配した。
当日行ってみると用意されていた86は6ATのGTグレードの車体で、マイナーチェンジ後の後期型と呼ばれるものであった。
走行距離は約7万km。
よっこらしょっ!とシートに腰かけてみると、太ももから背中にかけてサイドサポートがしっかりと張り出しており、包まれるような座り心地が悪くない。
足を前方に投げ出し、ハンドルもテレスコになっているのでリラックスしたベストポジションを採りやすい。
はやる気持ちを抑えながら慎重に車をスタートさせた。

着座位置はかなり低いものの、ボンネットやダッシュボードも低いので前方視界は良く、普通の乗用車と変わらない感じだ。
アクセルを踏み込むと、スバル製の2.0L水平対向エンジンはドゥルルルルーー(うまく表現できない(^_^ゞ)という独特のサウンドを奏でながら加速していく。
軽くブレーキを踏んでみるとかなり手前で効き始めることに違和感を感じたが、それ以外は至って普通に運転することができる。
足回りはもちろん硬いが、小さな段差をサンドバッグのようにボスッと受け止めるのではなくガシッと感じてしまうあたりは、もともとそういうものなのか走行距離なりの劣化によるものなのかは分からない。
お山に繰り出す前にちょっとホームコースに持ち込んで走りのチェックをしてみた。
ちちなみにタイヤはブリジストンのNEXTRYを履いており、エコタイヤであることにちょいとテンションが下がった。
後で調べると86の純正タイヤはミシュランのPRIMACY HPで、これはプリウスとかにも使われているエコタイヤのようだ。

こんなタイヤではたして大丈夫かと思いつつ探りながらペースを上げていくと、いつの間にかスプラッシュより速い速度でコーナーを駆け抜けていた。
ロールも小さくスタビリティが高いせいか、初めて乗る車なのにコーナーでの不安感が少なく、ブレーキもすごく良く効く。
コイツぁ、速えーぞ (@_@)
ロングノーズでワイドボディだけど、ホイールアーチの上が盛り上がっているのでフロントの見切りもなかなかいい。

最初は幹線道路をしばらく走って慣れた後にお山に向かおうかと考えていたが、この車なら行けそうだと感じ、定峰峠へとハンドルを切った。
この峠道は幅も狭くタイトなコーナーも多いが、にもかかわらずさほど不安を感じることなく駆け上がって行くことができる。
ボディサイズ、パワー、ドライビングポジションのどれを取ってもスプラッシュとは全く違う車なのに、手になじんだかのように運転できていることに少なからず驚きを覚えた。
86って見た目と違って間口が広い車なのか、とても運転しやすい!

エンジンルームを見てみよう。
へぇ~、V字型の強化バーがデフォルトで付いているのか。
矢印の部品はサウンドクリエイターと呼ばれるもので、吸気の一部を分岐して室内へと導き、吸気音をドライバーに聴かせようというもの。
エンジンの回転を上げてテンション高い時ならともかく、低速で流している時なんかはうるさく感じるだけと思うので、これ要らんかもね。

峠を下り、武甲山をしばらく眺めた後はR299に入り、志賀坂峠へと向かった。

このルートは比較的道幅も広く見通しの効くコーナーも多いので、ちょいとペースを上げてみましょうか。
ATをスポーツモードに切り替える。
このAT、結構ヤバイ!
スポーツモードでは2~6速でトルコンを介さないロックアップ状態になり、特にローギヤではダイレクト感がすごく、アクセルを乱暴に踏みつけるとガシッというショックが伝わってくる。
オマケにブレーキを強めにかけるとシフトダウンに伴って回転合わせのためのブリッピング(空吹かし)が入るもんだから、その気にさせられてしまう。
コーナーに入り、少し早めのタイミングでアクセルを踏み始めると、車はまるで鞭をくれた馬のようにシャキーンとしてインに向かおうとする。
慣れて来てさらにアクセルを深く踏むと、リアがスライドするようにギュイーンとコーナーを回りこんで行く感覚を味わうことができる。
サスペンションはしなやかな動きへと様変わりし、コーナーリングをサポートする。
シートのサイドサポートの効果もあるが、今までに感じたことのないような横Gを体験した。
懸念されたエコタイヤのグリップも全然問題ないし、公道ではむしろこの位でちょうどいいかも。
調子に乗り過ぎて2度ほどヒヤッとする場面はあったが、コントロールはしやすいと感じた。
アクセルパーシャルの状態で回るとややアンダーの傾向なのか、思ったラインよりも大回りしてしまう感じがして面白くない。
やはり踏んでなんぼの車で、このご時世に何とも罪作りな車である。
これまで所有した車はFFばかりで、FRはというとその昔、弟が持っていた117クーペをしばらく借りて乗ったことがある程度の経験しかない。
この時はパワースライドなるものをやってみたくて、幅の広い直角コーナーで思い切りアクセルを踏んづけたまでは良かったが、その後にスピンしそうになって恐い思いをした覚えがある。
なので86を運転するにあたってFRへの不安もあったが、FR初心者でも右足でリアの動きをコントロールする楽しさの片鱗を感じとることができた。
それもVSC(横滑り防止装置)やトルセンLSD(トルク感応式LSD)の恩恵によるところが大きいのだろう。


そして、本日の最後のステージは土坂峠。
この峠の秩父側へと下るダウンヒルは好きなコースの一つであるが、タイトなS字コーナーが連続するテクニカルなコースなので86では車重とパワーを持て余し、今一つ楽しめないのではないかと思っていた。
しかし実際に走ってみると、通常走行での軽い踏み込みではそのフィーリングに違和感を感じたブレーキが強く踏み込むと剛性感と制動力が高く、すごくコントロールしやすいことが分かった。
そのおかげでコーナー入り口まで安心して進入することが可能で、ヒルクライムと遜色のない走りを楽しむことができた。
今さらながらブレーキの重要さを知ることとなった。

しかし、FRのスポーツカーって面白いね!
もしかしてパンドラの箱を開けてしまったのかも知れんな・・・。
さあ、次は何に乗ってみようか?
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Posted at
2018/12/09 03:21:43
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