「キューポラのある街」とは昭和37年に公開された吉永小百合主演の映画の題名で、埼玉の川口市がその舞台になっている。
題名だけは知っていたものの、キューポラが何なのかも良く知らず、昔は花かなんかの名前だろうと思っていたこともあったが、その当時の川口市は鋳物工場が栄えており、それに関する用語だと知ったのはずいぶん後になってからのことだった。
キューポラとは鋳物工場にある鉄の溶解炉のことで、炉の上部には以下の映画のタイトル画像にあるように特徴的な煙突が付いている。
ネットで調べてみると、川口でもまだその煙突が見られる場所があるようなので、見に行くことにした。
で、肝心の映画はと言うと観たことがなかったので、この機会に観てみた。
貧困や格差、朝鮮人の北朝鮮帰還事業などを背景として、ジュン(吉永小百合)が健気にそして前向きに生きていこうとする様が描かれた作品であったが、まだ貧しい時代だったからこそこのような希望を与える映画が求められたのだろう。
さて、川口駅に降り立つと駅前には商業ビルが建ち並び、思ったよりずいぶん大きな街であった。
商店街に入り、通り沿いに歩いて行く。
高層マンションも多く、さすが鋳物の街だけあって、こんなオブジェもいくつか見られた。
そこから進んでいくと、それほど数は多くはないが町工場が所々に見られる。

昔、実家があった近所にもタイヤ屋や自転車屋、製材所なんかがあり、いろんな機材や工具が置いてあった。
それが子ども心にとても魅力的に見えて、中に入ってその作業と共にしげしげと見ていたこともよくあった。
勝手に触ったりしていたこともあったが、おおらかで長閑な時代だった。
こんな光景に惹かれるのは、きっとその当時のワクワクした記憶が残っているからだろう。
こちらは工場跡を利用した駐車場であるが、時代と共に消えていった町工場も多いはずだ。
さて、本命のキューポラの煙突はと言うと、街を適当に徘徊していればいずれ行き当たるだろうと簡単に考えていたが、全然見つからない。
結局、見ることができたのは、ネットで予め調べておいたこの場所だけだった。
この位置からは建物全体は拝めるものの、煙突は上の方が少し見えている程度であった。
せっかく来たなら全体を見てみたいので、裏手に回ってみることにした。

しかし、工場の周囲には住居が建ち並び、残念ながら見えたのはこの程度であった。

あとは、映画に出ていた場所を巡ってみた。
こちらは川口市役所。
そして川口オート。
この日は場外レースのみだったので、当時を懐かしむように(知らんだろう!)、主役のいないコースをいつまでも見ていた。

最後はここ、荒川鉄橋。
写真は、以前に
荒川沿いに歩いて赤羽に行った際に撮ったものだが、ここを背景にしたシーンも何度か出てきた。
こうやってシネマの旅は静かにその幕を下ろした。
Posted at 2016/10/01 21:40:50 | |
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