思いも寄らない出来事でした。
昨日、愛犬のムサシが旅立ちました。
享年14歳と6ヶ月。中型〜大型犬のため人間で言えば約100歳。
数字だけを見れば、大往生だったと言って良いと思います。
昨日、仕事中に母からメールがあり知らされました。
自分は、「・・・え?」とそのメールを読んで絶句してしまい、しばらく放心状態でした。
というのも、ムサシはここ1年くらいは、足腰が弱ってきたことに加え心臓肥大のため肺に水が溜まり、呼吸が苦しそうな状態が見られていました。その意味で、ここ1年くらいでの老いの進行は、過去ブログにアップしたように目立ってきてはいました。
なので、ある程度は覚悟はしてたつもりです。
でも、食欲はまだ旺盛でしたし、足を引きずりながらでも散歩に行きたい意欲はあり、元気でした。
昨日も、朝まで最近みられる至って普通の状態でした。
なので、驚きました。
まさかそんな・・・と。
母によれば、昨日は朝から呼吸が苦しそうで、欠かさず行く朝の散歩にも行けなかったそうです。
そのため、ちょうど薬がなくなりかけていたこともあったので、父と二人でムサシを病院に連れて行ったところ、状態が良くないとのことで酸素吸入等の措置のため夕方まで預けることになりました。
治療の甲斐もあり、14時過ぎには状態が持ち直して良好になったそうなのですが・・・。
しかし15時前、ムサシは息を引き取りました。
おそらく、心臓がかなり弱っていたんだと思います。
仕方なかった。
でも・・・やりきれないです。
せっかく、猛暑だったこの夏も頑張って超えたのに・・・。
昨日、自分は朝5時前に出勤する際、犬小屋の横で寝ている彼を見つけました。
最近では声を掛けても気がつかないで寝ていることが多いので、
彼の前足を握り「ムーサシ☆」と声を掛けました。
すると彼は、「ん?なぁに?」と眠そうな目を開けて頭を起こしてくれました。
その表情や状態は至って普通だったように思いますが、自分は無性に彼が愛おしくなり、頭を撫でてから軽くぎゅっと抱きしめて、「じゃ、行ってくるからね。待っててね。」と言って出勤しました。
これが、ムサシとの今生の別れでした。
まさか、これが最後になるなんて思ってもみなかったので、母から知らせを聞いたときは、全然実感がわきませんでした。何か夢を見ているようでした。
今朝元気な姿を見て、暖かいその体に触れて、いつも通りに出かけてきたのに・・・。
なので、全然ムサシが死んだのだという実感が無くて、昨日は悲しさが自分には襲ってきませんでした。
悲しいと言うよりも、状況が飲み込めず放心状態というか、「よく分からない」という感覚のまま、当直の仕事をいつも通りに行っていました。
そして今日の当直明け。
職場から帰宅の途に着くと、段々と心が落ち着かなくなってきます。
電車に乗ってても、何か落ち着かない。
今帰ったら、知りたくない事実を知らなくてはいけない。
信じたくない事実を受け入れなければいけない。
心身がそう反応しているようでした。
昨日知らせを聞いた後も普通に仕事をして平然としていたのは、この感情を無意識に心の奥底へと押し込めていたんじゃないかと思います。
そして、駅から自転車で帰宅。
主のいない犬小屋と、その前に置かれた空になった水のフィードパンと、小さな花束。
色々な感情が爆発的にない交ぜになって、顔が歪む。
玄関のドアを開け家に入る足取りが重い。
リビングのドアを開けると・・・。
そこにはムサシが、愛用のお風呂用の大きなバスタブの中に、タオルを掛けられて花束と共に寝ていました。
薄目を開けて、眠たそうな、そしてどこか退屈そうな表情で、今にも目線が動いてこちらを見そうな感じで寝ていました。
ダメでした。
その姿を見たとたん、今まで抑え込んでいた感情が吹き出しました。
彼の頭を撫でて、彼の首筋に顔を埋めて、しばらく泣きに泣きました。
つらかったです。
何より、最後を住み慣れた自宅で看取ってやれなかったことが。
病院で、誰もいないケージの中で、家族がいない中で死なせてしまったことが。
泣く中で思い出したのは、彼との思い出の日々。
思えばムサシは、地元のタウンニュース誌の片隅に里親募集の記事を見つけた知人が、それを教えてくれたことが飼い始めた縁でした。
それから14年半。
暑い日も寒い日も、彼はいつもここにいました。
日々を過ごす中で、彼は大切な家族となっていきました。
自分が仕事をしばらく休まざるを得なくなってしまったとき、彼と毎日散歩して触れ合ったこと、そのときの彼の目の輝き、表情は何より代えがたい自分の思い出です。
彼と心が通じ合えた気がする、病の中で見つけたそんな日々でした。
父も母もひどく落ち込んでしまっていて、ムサシの存在の大きさを改めて痛感しました。
本当にかけがえのない家族だったんだ、と。
今日は夕方から、父と母と3人で、ムサシと最後のお別れをしてきました。
動物霊園で個人葬をして荼毘に付して頂くことにしたのです。
お骨は、明後日にまた霊園に引き取りに伺うことになります。
家の車のオデッセイにムサシを乗せて行ったのですが、人間が亡くなったときの出棺のように、リビングから彼を運び出すときは、涙が止まりませんでした。
ほら、おまえが住んでいた家だよ。これで見納めだよ。よく見ておきな。
そう声を掛けながら、彼をクルマに乗せました。
霊園に着くと、祭壇が用意されていて、そこにムサシを寝かせてお焼香をあげました。
これで、もう彼と会うのは最後。次に会うときはお骨になっている。
そう思うと、また止めどなく涙がこぼれて前が見えなくなってしまいました。
彼の首筋に顔を埋めて、声にならない声で泣きました。
眠たそうな、どこか退屈そうで寂しそうな顔をしている彼を見ると、涙が止まりません。
これで、本当にお別れだね・・・。
最後に両手で顔を包み、頭を撫でて、さよならをしてきました。
本当に、いい犬でした。
気むずかしくて人見知りしやすく、動くものに反応してよく吠えるやつで手もかかりましたが、その分掛けた愛情はひとしおでしたし、彼も家族を愛してくれました。
最後がこんな形になってしまったのは残念だったけれど、きっと天国で先代の飼い犬や、大好きだったばあちゃんにも会えて、きっと好物のおせんべいをもらっていることでしょう。
四十九日が終わるまでは、ひょっとしたらまだこの辺にいて僕ら家族を見守ってくれているかもしれませんね。
今まで、本当にありがとうムサシ。
よく頑張ったね。
君と過ごした日々は、何よりの宝物だよ。
けして忘れない。
君みたいな犬と出会えて本当に幸せでした。
僕の心の中に、笑顔で走る君が目に浮かびます。
しばらくは心に大きな穴が開いたようになってしまうかもしれないけど、
すぐ元気になるよ。
そんな僕を、側で寄り添って見守っていてね。
今まで、本当にありがとう!!
あっちでも達者に暮らしてくれな。