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2021年04月01日

いつか食べたあんたの弁当、美味しかった

いつか食べたあんたの弁当、美味しかった 前回からの続きで、シン・エヴァについて述べてみたいと思います。

■アスカ
アスカについて語る上でまず指摘しておきたいことは、テレビ版とそれ以外とではキャラの性格というか性質が微妙に異なるという点です。たとえば、今でこそアスカはシンジが好きだったことが当たり前のようになっていますが、そもそもテレビ版本編においてアスカがシンジに好意を寄せたことは全くと言っていいほどありません。暇潰しにキスをしたこともありましたが、それは気軽にコミュニケーションが取れる異性が加持さん以外にはシンジしかいなかっただけであり、結局この出来事から精神崩壊に至るまでの間、アスカはシンジと仲良くしたり助けを求めたりすることは一度もありませんでした。シンジの性格を認めて受け入れた描写など、実は本編では一回も無かったわけです。テレビ版のアスカとは、強烈な独立心・自尊心と、過去のトラウマによる脆弱性を併せ持つ不安定なキャラクターであり、シンジと同じで自分のことに懸命で、とても他人に目を向ける余裕など持ちえていなかったのです。では何故、当時世間ではLAS信者が大量に発生し、その一部が現在まで生存できていたのか(最近ネットでこの略称を見たときは懐かしくて笑ってしまった)。それは第26話での学園パロディのシーンがあまりにもインパクトが大きすぎて、且つ妄想との親和性が高すぎて、彼らにとっての精神的バイブルになってしまったからです。物語の本筋ではなく、「こういう世界だってありえるんだ」という一つの可能性でしかなかったはずのものが、一部の人達にとっての真実へといつしか変容していったのですね。旧劇場版の「気持ち悪い」という台詞や、新劇場版の「あの頃はあなたのことが好きだった」という台詞は、そういう状況に対する製作者側からのメッセージだったとも言えるでしょう。このようにアスカというキャラクターは、テレビ版で描かれた実際の姿と、一部のファンがイメージする姿とで微妙に乖離しており、それが作品制作にも少なからず影響を与えている点では、非常に面白い存在でした。
以上、長々と述べてきましたが、そろそろ本題に移るとします。前回私は、この新劇場版の本当のテーマは主要キャラクター達の救済にあるのではないかと書きました。ではアスカに対する救済とはどのようなものだったのか。それは、二種類あったと考えられます。一つ目は、ケンスケの元へ転送された流れの「孤独を埋めてくれる誰かを見つけた」エンドです。大人になったケンスケはまるで加持のように渋く器が大きくなっていて、14年間アスカを見守っていた実績もあることから、その後の人生と共にしたとしてもべつに無理な展開ではないはずです。穿った見方をすれば、登場キャラの都合上ケンスケがあてがわれただけで、本当はシンジ以外なら誰でもよかったと言えなくもないのですが、学生時代のケンスケもなかなか良いキャラだったし、それがこんな風に成長したのであれば、それなりに良い終わり方だったとも考えられるでしょう。しかし、どうにも腑に落ちなかったのは、ここで救われたアスカというのは心が弱いままのアスカであり、誰かに依存することでしか心の平穏が得られないのだとしたら、それは本当の救済ではないだろうという点でした。シンジとくっついていればストーリー的には大団円っぽく見えるので、喜ぶ人も大勢いるでしょう。しかし、たとえそうなっていたとしても、おそらく私はあまり満足できなかったと思います。なぜなら、暗い過去や心の脆弱さを全部克服して、再び元気でポジティブな性格に戻ったアスカを見ることが、この25年間の私の希望だったからです。でも、結局それは叶いませんでした。「まあ、悲しい結末よりも、少しでも笑顔でいられるならそれでいいのかもね」という消極的な祝福が、見終わった直後の偽らざる心境でした。
しかし、後日ネットである情報を見てから、そうした状態に変化が生じました。その情報とは、最後の駅のシーンでアスカらしき人物が一人でベンチに座っている、というものでした。確かに画像ではそれらしきキャラが映っていましたし、劇場で二回目に見たときも存在していることは確認できました。ただ、髪型と色が似ているだけで顔の描き込みははっきりしないことから、このキャラがアスカであるとは断言できません。それでも、私はこの事実にある種の確信を抱きました。それは、これこそが自立したアスカの姿、すなわちもう一つの救済なのではないかということです。シンジはマリと、レイはカヲルと一緒にいましたが、これはいうなれば「彼らは作品内のキャラとしか一緒になれなかった」という意味でもあります。それに対し、アスカは一人でした。横にケンスケはいませんでした。これを寂しい独りぼっちと取るか、自由な独り身だと捉えるかは人それぞれです。しかし、テレビ版のアスカの延長にあるのは、間違いなくこの「一人でいるアスカ」だと私は思うのです。あれだけプライドが高くて勝気な性格をしていれば男選びにも妥協はしないはずですし、結果として一人でいる時間が増えるのも仕方がない、という風にも想像できます。エヴァの呪縛から解放され、たとえ一人でも生きていけるだけの強さを得られたなら、いずれは誰かと一緒にいる幸せも掴めることでしょう。もちろん、最終的には製作者側が真実を明らかにしなければ何が正しいのかわからないのですが、少なくとも私にはそういう解釈が一番スッキリしました。テレビ版のアスカもやっと救われたのではないか、と思えたこと。私にとってはそれこそが今作品における一番の収穫だったと言えます。

案の定、アスカについてはダラダラと書いてしまいました。残りのキャラについては次に持ち越したいと思います。
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Posted at 2021/04/01 00:09:14

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