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QLのブログ一覧

2019年06月14日 イイね!

VW ≠ ドライバーオリエンテッド

少々間が空きましたが、前回に引き続きメガーヌとシロッコの違いについて述べてみたいと思います。
早速結論から申しますと、両車の一番大きな違いはドライビングポジションの自由度、具体的にはシートとステアリングの位置関係にあります。私はシートを結構寝かせ気味にするのが好みなのですが、シロッコの場合はそれだとステアリングに手が届きにくくなります。なので、シートを前にスライドさせるのですが、そうすると今度は足元が窮屈になります。解決策としてはシートを起こす、つまり正しい運転姿勢をとる以外にありません(その結果、ドライバーの視点は高く前寄りになります)。これは以前に乗っていたゴルフGTI でも同じことで、その時はステアリングとボスを交換して若干は改善されたものの、結局最後まで満足できませんでした。メガーヌでもマツダ3でも好みのシートポジションが一発で決まって快適に試乗できたのに、その帰り道、6年以上乗り続けてきたシロッコのシートポジションに違和感を覚える・・・。この点こそが、実は今回の試乗で一番気になった部分でもありました。
ちなみに私がシートを寝かせ気味にするのは、頭の位置を低く後方に持っていきたいからです。そちらの方がスポーツカー的な雰囲気が味わえますからね。基本的にファミリーカーであるゴルフGTI がそうできないのはまだ理解できます。しかし、VWで唯一2ドアクーペ的な役割を担う形で造られたはずのシロッコまでそうできないことに、私は以前から納得ができなかったのです。
何故VWは運転席のシートを寝かせることを許さないのか。恐らくそれは、後席に人が乗っている状態を前提条件として、各種の寸法が決められているからだと考えられます。運転手だけでなく同乗している4人全員が快適であるべきなので、シートを寝かせて運転するなどもってのほかだ、そんな状態は想定しなくてよい、というわけです。大衆車メーカーとして世界に冠たる地位を築き上げたVWですから、その思想に間違いは無いでしょう。問題は、それがシロッコというモデルの性格・立場を曖昧にし、結果的にセールスの失敗に至ったということです。

FFのスポーツカーとして、シロッコのポテンシャルはかなり高いものであったと言えます。事実、2008年以降数年間はニュルブルクリンク24時間レースに参加し、スバルのWRX等と鎬を削りながら何度もクラス優勝を果たしています。市販モデルとレースマシンの違いはあれど、ルノーやホンダが本腰を入る前から、VWはシロッコでニュルを攻めていたというわけです。シロッコのプロファイルで面白いのは、フロントよりもリアのトレッドの方が広いことです。私はこのようなFF車を他に知りません。ゴルフGTI が粘り腰、メガーヌRSがスライドOKなオーバーステア気味だと評されるのに対して、シロッコはスタビリティを重視しているように思われます。それが良いのか否かは、この際問題ではないです。大事なのは、あのVWがわざわざ専用設計で造り出したモデルだということなのです。本気で造った機械系に対して、ファミリーカー然とした内装の造形やシート配置。この大きな矛盾を抱えていたことが、シロッコの不人気ぶりに拍車を掛けたと私は確信しています。2ドアの時点で大量に売れないことは最初から予想できていたわけですから、もっとドライバー優先でインテリアを設計してもよかったはずなのですけどね。そっちの方向に振り切れないあたりが、大衆車メーカーとしてのVWの限界、あるいはルノーやホンダとの違いなのかなと思います。

昨今、ニュルにおけるFF車最速の座を懸けて熾烈な戦いが繰り広げられていますが、私としてはVWを応援する気になりません。何故なら、ルノーやホンダからは気合や情熱が伝わってきますが、VWからはコマーシャリズムしか感じられないからです。メガーヌRSやシビックタイプRは全く売れる車ではありません。しかし、両社ともそれに磨きをかけて名誉のために戦っています。それに対して、VWはほっといても売れるゴルフGTI で参加しています。理由としては「FF同士で争うなら顔を出しとかないと不味い」と察知したからでしょう。本気でFF最速を目指すのなら、ゴルフGTI に無茶な改造を施すよりも、シロッコRを継続的に改良し続けていた方がどんなに効果的だったでしょうか。速さの面でゴルフより実力を具えていた商品を自らの手で潰したわけですから、そもそもVWはこのバトルに参加する資格が無いとすら言えます。

以上、愚痴にも近いことをつらつらと書いてきましたが、その根底にあるのは今年10月に発表予定のゴルフ8に関して、正確にはそのGTI に関して、一抹の不安があるからです。次期型は全長とホイールベースが延長されることから、メガーヌやマツダ3と車格が完全にバッティングすることになります。しかしVWの場合、せっかくホイールベースを伸ばしても、それを後席と荷室のスペースに振り分けてしまってるのではないしょうか。私はそこが不安で仕方ないのです。ほんの少しでいいから、ステアリングの取り付け位置を後ろ寄りにするか、もしくはテレスコの伸び幅を増やしておいてほしい・・・。限りなくマイノリティな意見ですが、そうなっていることを切に願っています。
Posted at 2019/06/14 02:36:13 | コメント(0) | トラックバック(0) | | 日記
2019年05月24日 イイね!

選択肢となりうるか

選択肢となりうるか現在我がシロッコは走行距離が98000を越えており、なおかつ今年の10月には車検もあることから、そろそろ次の愛車を検討しようかと考えています。なので、水木金と久々の3連休であったにもかかわらず特に予定もなかったことから、一昨日はルノーへ、今日はマツダへと行ってきました。お目当てはメガーヌRSとマツダ3です。どちらも以前から気になっていた車種なので、忘備録も兼ねてその感想を記しておきたいと思います。

●メガーヌRS
ゴルフGTI に乗っていた頃からこのモデルにはとても興味がありました。また、シロッコと似たプロファイルでありながら、片やデビュー以来絶賛され続け、片や市場からすぐに忘れ去られたという境遇の違いから、「どこにそれほどの差があるのだろう?」と常々疑問に思っていました。今回はその辺の理由・原因を探る目的もあったのですが、自分なりの結論は得られた気がします。
まずエクステリアは画像で見るより実物の方が凝縮感があって数段格好良いです。特にボディカラーがホワイトの場合は各種ブラックのパーツとの相乗効果でスポーティさが強調されます。目立ちたいならオレンジ、渋くいきたいならグリチタニウムですかね。ホワイトにはシルバーのラメも含まれているので、近くで見ると綺麗です。その他の造形に関する詳細は省くとして、特に満足できるのはディフューザーです。効果が無さそうな飾り物を付けた車が多い昨今において、このモデルは排気経路まで含めて正しくデザインされており、「本物」であることを実感させてくれます。
インテリアに関しては、画像で見る限りチープだと予想していたのですが、実物はそれほどでもありませんでした。ただ、それ以上でもありませんでした。「悪くはない」という感じですかね。何か一つ挙げるなら、シートは確かに良質だったと思います。
最後に本命の走りについてですが、これは事前に見たり聞いたりしていた通りで、今まで運転したFF車の中では最高でした。4コントロールの恩恵は大きく、たとえ街中の交差点でも気持ちよく曲がってくれます。あまりにスイスイと曲がるので、旋回中にアクセルを踏み込んで限界を試してみたくもなります。走行モードに関しては、私のような街乗り+山道程度であれば「ニュートラル」だけで充分であり、「スポーツ」や「レース」はサーキットに持ち込まない限り必要ないかもしれません。そもそも絶対的な速さを求めるならシビック・タイプRなどを選べばよいわけで、メガーヌの魅力は速さだけでなく、そこに快適さが加わることにあると私は考えています。それを踏まえると、メガーヌはニュートラルモードだけで満足できる仕上がりになっていると言えるでしょう。エンジンやトランスミッションの味付けに関しても同様で、とてもパワフルなわりにジェントルでもあります。ゴルフGTI も5・6・7と次第に洗練されていったように、スポーティなモデルといえど、現代では荒々しいだけのものは好まれないようです。中途半端と言われればそうかもしれませんが、私にとってはそれが「最適」なので問題はありません。総合的に評価すると、メガーヌRSはFF車として全てが高次元で纏められたベストな1台となります。

●マツダ3
アクセラ改めマツダ3は本日から販売が開始されました。それもあってか、さっそく試乗の申し込みが多かったらしく、私がディーラーを訪れた夕方頃には営業の人の説明もこなれた感じになっていました。ただし、私が気になっていたスカイアクティブXは10月から販売されるということもあり、今回はエクステリア・インテリアの確認がメインとなりました(一応ファストバックの15Sとやらには試乗しました。まあまあ良かった、ということにしておきたいと思います)。
まずエクステリアですが、なんといってもネットの画像や動画で見るよりずっとシャープかつタイトに見えることに驚かされました。車高も低く見えるし、リアも無駄なく整えられた感じで、事前に危惧していたようなダルな雰囲気は全くありません。やはり車のデザインは実物を見てから語るべきですね。これにアルファロメオのエンブレムでも付いていれば世界中から「さすが!」と評されたでしょうし、こんな優れたスタイルの車が国産メーカーの中から出てきたことに感動すら覚えました。ヘッドライト周りやボディサイドの曲面など、ディティールを探れば実は複雑な構成もあるのだと理解できますが、なにしろ全体的な印象がシンプルなゆえに飽きが来にくいでしょうし、どのボディカラーを選んでも失敗は無いと思われます。一目惚れで買う人が出てきても不思議ではない、国産車としては珍しいモデルですね。
インテリアも、このクラスでは例外的なくらい高い品質で造られています。各部の素材や造形も、スイッチ類の大きさや場所・節度感も、手で触れられる全ての箇所に神経が行き届いてる感じがします(グローブボックスの開き方だけはちょっと安っぽかったですが)。そもそも、国産大衆車のインテリアは、その殆どがデザインに統一性が無く雑然としており、そういう点からゴルフ7よりも下に評価されることが多いです。しかし、そのゴルフ7の内装も正直質感が高いだけでデザイン自体は事務的な雰囲気が強いと言えます。その点、マツダ3の内装が面白いのは、デザイン部門の「これ良いでしょう?」というメッセージが如実に、そして高い品質で表現されているところにあり、ユーザーは遠慮なく「好き」「嫌い」で選ぶことができます。無難さとは無縁の個性を確立しようとする試みは評価すべきであり、それが成功すれば今後の世界的な競争の中でも長く生き残れることができるでしょう。ちょっと概念的な話になりましたが、とりあえずエクステリアもインテリアも予想以上に素晴らしいものでした。


以上が今回の2台に対する私のインプレッションになります。どちらの車も以前から次期愛車候補の中で上位に付けており、それは試乗した後でも変わりませんでした。引き続きその動向には注視していきたいと思っています。
ただ、今回の試乗では他にもう一つ実感したことがありました。それが最初に述べた「メガーヌとシロッコには何の違いがあるのか」ということです。初めは車種による違いとして認識していたのですが、いろいろ考えた結果、それはメーカーによる考え方の違いなのだと結論付けました。少々長くなってきた(あと久しぶりにブログを書いたので疲れてきた・・・)ので、次回はその点について述べてみたいと思います。
Posted at 2019/05/25 03:33:34 | コメント(0) | トラックバック(0) | | 日記
2012年11月27日 イイね!

さらば青春の兎

さらば青春の兎先月の26日に最後の旅行をした後、同30日に我が白兎とお別れをしました。納車されたのが2007年の1月でしたから、5年と10カ月近く(そのうち3カ月は免停で乗れなかった)を共に過ごしてきたことになります。振り返れば納車翌日に早速ロングドライブをこなしたのですが、あの時に感じた「この車を選んで良かった」という嬉しさは、結局最後まで失われませんでした。何故ゴルフが世界中から評価され続けているのか、その理由を日々の生活の中で学べたような気がします。というわけで今回は、良き相棒として頑張ってくれた我が白兎ことV GTI について、最後の感想を書き連ねてみたいと思います。

■エクステリア
ゴルフ史上最も曲線を多用した外観は、最初はあまり好みでなかったものの、フロントグリルの良い意味での「下品さ」がいつ見ても強烈だったせいで、今やノスタルジックなものとして心に残っています。VI やVII の端正なマスクとは真逆の、造り手の気合と情熱をそのまま表したかのような奇抜なモデルに乗れたことは、優等生と評されることが多い歴代ゴルフの中にあって貴重な経験だったのかもしれません。本国オプションのLEDテールランプは、LEDが広く普及し始めた今の基準で見ても格好良かったし、後付け感が顕著なサイドスポイラーやブルマと呼ばれた商用車チックなリヤバンパーも、いつの間にか愛着を持つようになっていました。キャンディホワイトの塗装も耐久性に優れており、適当に洗車をしていただけでワックス掛けなど一度もしなかったのに、5年後でも柔らかな艶を保っていたのは驚きでした。また、ボディ剛性の高さを誇示するかのようなあの異様に太いCピラーも、他社のハッチバックと差別化されていて良かったですね。惚れ惚れするような色気などは絶無でしたが、さりとて堅苦しさとは無縁の面白いデザインのモデルだったと思います。

■インテリア
そもそもゴルフは大衆車であるため、内装に華美な部分など見当たらないのですが、機能主義的な割り切りの良さ・簡素さが、ある種の清々しい雰囲気を醸し出しているのは事実です。スイッチ類の使い勝手で不満を抱いたことは無いですし、各パーツの退色や経年劣化も目立ったものはありませんでした。個人的にはチェック柄のGTI 専用シートが最高でしたね。適度に張りがある(しかもこれが最後まで失われなかった)ため長時間運転し続けても背中や腰が全く疲れず、同乗者からも確実に好評を得ていました。色々な車に試乗しましたが、ことシートに関しては現在もこれを上回る物には出会えていません。人気車種だけあってアフターパーツがたくさん販売されていることも楽しめた要素の一つです。至極当然の話ですが、我が白兎のインテリアは他の誰のゴルフよりも私好みに仕上がっていました。

■動力・駆動系
あるときディーラーのメカさんと話をしていた際に、興味深い質問を受けたことがありました。それは「QLさんはエンジンとトランスミッションのどちらが気に入ってGTI に決めましたか?」という内容でした。確かに2ℓターボエンジンもパワフルで良かったのですが、改めて考えてみると私はDSGの方に強く惹かれていたのだと思います。バトルギアやグランツーリスモの中でしか速く走ることができなかった私にとって、ATのように簡単に運転できて且つMTのようなダイレクトな加速感も味わえるDSGは、ゲームと現実をリンクさせる魔法のツールでもありました。発進時にアクセルを少し雑に踏んだだけでもホイールスピンを誘発するような過敏さには気を使いましたが、VI GTI を試乗してその洗練された制御プログラムを体験した後では、逆にV GTI のやんちゃさが好ましく思えてきました。買い替えを検討しているときも、DSGの存在は大きな要素の一つでした。国産車でいえば現行アクセラのATのスポーツモードもなかなか良いのですが、やはりDSGのSモードの方がスムーズさでも活きの良さでも一枚上手のような気がします。あのブリッピング時の「ブフォッ!」という音は、演出が過剰で可笑しかったのですが、でもずっと忘れないでしょうね。

■ボディ・ハンドリング
シャシーに関しては、4ドアのハッチバック車としては最高レベルの剛性であり、5年後でもヤレた感じは全くありませんでした。逆に足回りに関しては、乗り心地にも配慮がなされているためか、俊敏な切り替えしが要求される場面においては明らかに柔すぎて追いついていけないことが多々ありました(その分、高速道路をひたすら突き進むときなどは快適で助かりました)。またブレーキも、ペダルの踏み幅に対する効き方が不自然で、しかも制動力自体が不足気味だったことは最後までしっくりこない部分でした。ビルシュタインのBTSとCOXの4ポッドキャリパーを装着するのが最終目標だったのですが、それを実現できなかったことが唯一の心残りでしたね。ドライブフィールに関しては、ファミリーカーをチューニングしてスポーティに仕立てたモデルとしては非常によく出来ていたと言えるでしょう。しかし、設計上は室内空間を優先したコテコテのFF車であり、前後の重量バランスが同クラスのライバル達に比べてもあまりよろしくないので、爽快感には欠けていました。旋回時に遠心力がフロントタイヤの接地面よりも前に掛かる感じが強いので、アクセルやブレーキで如何にそれを補正するかが、この車を操るうえでの醍醐味だったと思います。エンジンの力強さとDSGの活発さに心打たれて、このモデルをスポーツカー的に評価するライターが当時は大勢いましたが、ハンドルに伝わってくる重量感やコーナリング時の穏当な挙動を考えれば、実際はグランドツーリングカー的な性格が強かったと思います。

■総評
ごくシンプルに表現するなら、ゴルフV GTI はまさに万能のモデルだったということになります。自動車に求められる要素を一つ一つピックアップした場合、それぞれの項目においてこれを上回る車は多く存在するでしょう。しかし、すべての項目をハイレベルで満たした完成度の高いモデルとなれば、他を探すのに相当苦労するのではないでしょうか。初代GTI が伝説的であるために、その系譜に連なるV 型もVI 型も(そしておそらくはVII 型も)ホットハッチという括りで語られがちです。それに当てはめるなら、車格や重量から見ても確かに最近のGTI は退屈と評されても仕方ないかもしれません。ただ、私のように仕事もプライベートも1台で全てを熟すことを条件とすれば、これほど「刺激的な実用車」も無いわけです。同じCセグメントのライバルたちだけでなく、Dセグメントのエントリーグレードのセダンたちと比較しても、あらゆる要素をバランスよく内包した最もコストパフォーマンスの良いモデル…。それが我が白兎に対する私の最終的な評価になります。

車選びに迷われている方がいましたら、何型であれ一度はゴルフGTI に試乗してみることをお薦めしますね。一般大衆の希望を最大公約数的に詰め込んだこの車は、自分にとって本当は何が必要で何が不要なのか、その答えを明らかにしてくれますよ。
Posted at 2012/11/27 02:01:40 | コメント(0) | トラックバック(0) | | 日記
2012年10月12日 イイね!

好感度 up ?

先日、別件でディーラーを訪れた際にVW ・up ! (4ドア)を試乗してきました。本当は先月の末にも試乗が可能だったのですが、その時点で既に二組のお客さんに先を越されていたので、あえて今月に延期したというわけです。周辺地域で私が最初ということであったなら、嬉々としてブログをアップしたのですけどね…。それはともかく試乗後の感想として、率直に言ってup ! は欧州で評価されているほど素晴らしいモデルではないと思いました。

まずエクステリアについては、VW らしくシンプルかつクリーンに纏められていて、なかなか格好良く見えます。特に上級モデルのhigh up ! はアルミホイールも装着しており、フロントバンパーやリヤゲートの個性的なデザインと相俟って、未来的という観さえあります。曲線を多用した有機的なデザインに関しては国産車も悪くないのですが、直線を組み合わせた幾何学的なデザインに関しては、やはり欧州車の方が一枚上手ですね。
次にインテリアについてですが、さすがにポロほどではないにしても、ビートル並には良い質感を表現できています。少し前に知人がフィアットのチンクエチェント(ラウンジ)を購入したので試乗させてもらったのですが、その時に感じたことと同様で、同じプラスチックのパーツでも造形や塗装に拘ることで、ある程度質感を高めることができるのだなと強く認識させられました。運転席の頭上空間は、ポロよりも余裕があります。逆に後部座席と荷室が狭いのは、このサイズの車としては仕方のないことです。よく評論家などが「大人4人が乗車するのに充分な空間」などと書いていますが、ポロの後部座席ですら30分以上は御免被りたいのに、それより狭いup ! が「充分」なわけがありません。リヤは子供用か荷物置きと割り切る方が正解ですね。リヤウィンドーがはめ込み式なのは、あまり気にしなくてもよいかと思います。換気性能では通常の上下にスライドするタイプよりも、こちらの方が優秀なはずです。一つ難点を挙げるなら、エアコンのセンターベントがダッシュボードの上に付けられていることです。これだと、PNDの設置箇所次第では風の流れを完全に遮ることになってしまいます。何か設計上の避けられない理由があったのか、それともデザイナー間の連絡がうまくいってなかったのか、この点だけは謎ですね。
最後に走りについてですが、ここは賛否両論に別れるところだと思います。乗り心地やステアリングの感覚などは同価格帯の国産車よりしっかりしていて、たとえ安くともドイツ車であることを実感させてくれます。問題は、新型のトランスミッションであるASGの変速ショックが大きいことです。MTをコンピューターに制御させているだけのASGは、スマート・フォーフォー(チンクを購入した知人がその前に所有していた)のトランスミッションとフィーリングが非常に似ていて、特に1速から2速に入る時に大きな揺れが発生します。変速する瞬間に軽くアクセルを抜くとか、あるいはマニュアルモードで走るとかすれば、ある程度ショックを打ち消すこともできるでしょう。しかし、そもそも日本においてこの手のコンパクトカーを買う人々が望んでいることは、如何に安楽に運転できるかであって、あれこれテクニックが要求される時点で、このモデルは日本のユーザーに受け入れらにくいと言えます。多少価格が上がっても7速DSGにするか、せめて普通のATでも載せておけば、国産車からの乗り換え客をより多く獲得できるのでしょうが…。他の部分の造りが良いだけに、とても残念でなりません。

結論として、VW ・up ! は基本的に上質でありながら、あまり他人に薦められないモデルだということになります。過去のブログを読んでいただければわかるように、私はup ! に対してあまり良いイメージを抱いてなかったのですが、それが覆されたのは内外装の質感やステアフィールに関する部分だけで、トータルで判断すればやはり国産のコンパクトカーや軽自動車の方がお買い得であると言えます。将来的に完全EV化されカーシェアリング型のシティコミューターとしての役割が与えられたとき、つまり自動車という乗り物に対する概念を変革する任務が達成されたときに、up ! は初めて真の評価を獲得することでしょう。こんな「未完成」な状態で販売を開始するくらいなら、bulli の市販化を実現してくれた方がまだ面白いし、実際に売れるのではないかと思います。
Posted at 2012/10/12 10:30:21 | コメント(0) | トラックバック(0) | | 日記
2012年09月14日 イイね!

Cセグメントの新基準

先日、ベルリンでVW によるメディア向けのプレゼンテーションが行われ、そこで新型ゴルフ(通称ゴルフVII )が公開されました。
新型はボディサイズが全長4,255mm(先代比+56mm)、全幅1,799mm(+13mm)、全高1,452mm(-28mm)となっており、若干のワイド&ロー化を果たしています。また、ホイールベースも2,637mm(+59mm)に延長され、主に後席と荷室のスペースが拡大しています。注目すべきは車両重量で、明らかにサイズアップしたにも係わらず先代比で100kg近くも軽量化されています。これは事前に発表されていた新型アウディ・A3のスペックからも予測できたことではありますが、改めてVWグループの技術力というか、基本性能の向上に対する執念に驚かされます。
新型では安全装備の充実も図られており、衝突や追突の後でブレーキを自動的に作動させる「マルチコリジョン・ブレーキ」、「ACCアダプティブ・クルーズコントロール」、レーダーを使った前方危険感知システムである「フロント・アシスト」、車線から逸脱しそうになるとステアリングを修正してくれるレーン・アシスト、駐車時にセンサーで障害物を感知し車両の周囲360度をモニターに映し出すパーキング・システム、さらには交通標識認識システムなど、様々なデバイスが選べるようになっています。しかも、今まではGTI のみに装備されていたXDS(電子制御式ディファレンシャルロック、という名の内輪強制ブレーキシステム)が、新型では全グレードに搭載されるそうで、走行性能の底上げにも余念がありません。
搭載されるエンジンの種類に関しては、私自身200ps以下の物に興味がないので、ここでは省略させていただきます。ただ、唯一目を惹かれたのが2.0 ℓ のTDI で、最大出力150ps、最大トルク32.6kgm(1,750〜3,000rpm)、燃費24.3km/ℓ というスペックは、「速さはいらないけど余裕は欲しい」という贅沢な街乗り派や、もしくは高速道路を多用するロングツーリング派にピッタリではないかと思います。国産車・輸入車に係わらず、消費者の選択肢を増やすという意味でディーゼルモデルの増加は歓迎すべきことですし、VGJ には国内導入に本気で取り組んでほしいところです。
エクステリアのデザインについては、かつてのゴルフIV と同様に、大量生産の実用車として満点に近い完成度を具えていると言えます。最近のVW らしく直線を基調としていますが、垂直水平に近い線が多いポロやパサートに比べ、新型ゴルフは斜線の組み合わせが多いため、よりシャープでスポーティに見えます。個人的な意見を挙げるなら、テールランプの内側を鋭角風にしたのは失敗でしょう。元来塊感の強いリヤセクションの中に尖った形のテールランプを配置することで、少しでも軽快感をアップさせたいというデザイナーの狙いはわかるのですが、実用車の鑑たるべきゴルフに求められるのは安定感や質実剛健さであり、そこだけは水平に近いラインで纏めた方がスッキリして良かったのではないかと思います。インテリアに関してはセンターコンソールがドライバーの方に向いているなど、実用性を損なわない範囲で個性が与えられていて良い感じです。特にシルバーのパネルを装着しているタイプは室内の雰囲気がパサートに似ていて、一クラス上の高級感を醸し出しています。はっきり言って、「これじゃアウディ・A3は必要ないな」というのが私の本音であり、クワトロ以外のモデルは現時点ですでに検討対象外となってしまいました。今はそれよりも、次期GTI がどういうデザインになるのか、ということの方に興味がありますね。

以上のように、新型ゴルフに対してかなり好意的な私ですが、どうしても気になる点が一つだけあります。それは、トレッドの拡大(フロントが+8mmで1549mm、リアが+6mmで1520mm)によって、コーナリング時のスタビリティが改善されたか否か、ということです。数年前にオーバーフェンダーを付けたゴルフVI のテスト車両がスクープされて以来、新型のトレッドが拡大されることは公然の秘密とされていましたし、私としてはシロッコのようにリヤの方がワイドになることまで期待していました。しかし、実際は全体的に一回り大きくなっただけで、挙動に変化をもたらすような要素は見当たりません。ホイールベースが延長されたことで高速時の直進安定性が増したことは想像に容易いので、あとはそれが旋回時にも好影響を及ぼしていることを祈るばかりです。
Posted at 2012/09/14 20:23:36 | コメント(0) | トラックバック(0) | | 日記

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