2007年02月03日
先日、昼食のお供に一冊の雑誌を購入しました。それはAERAの臨時増刊号で「ROCK HARD ! 」という70年代のロックを特集したものでした。表紙のツェッペリンに期待したのは事実ですが、それ以外にも面白い記事がたくさんあって、結構楽しめました。たまにこういう雑誌を見つけられるから、本屋通いはやめられないですね。
最近特に思うのは、70年代に青春を送ったオヤジ達のための何かがメディアに溢れているということです。私は文学も音楽もサブカルチャーも古いものが好きなので、今の風潮は色々勉強できて楽しいのですが、冷静に考えてみるとこれは文化のリサイクルであり、非生産的なことだと言えるでしょう。今や社会の中である程度の地位を得たオヤジ達が、その権力を使って懐古趣味に走っているだけならまだ良いのですが、過去を振り返らないといけないくらい現在の音楽・文学・サブカルチャーがつまらないのだとすれば、これは忌々しき問題だと思います。幸い私達の世代(現在25~35歳くらいの所謂ロストジェネレーション)は週刊少年ジャンプに代表される漫画の黄金時代やアニメの大量生産時代(それらはオウム事件やエヴァ現象によって終結したのだが…)を経験しているため、サブカルチャーに関して語るネタに事欠きません。音楽についても、ミリオンが連発されていた90年代に中・高・大学生時代を過ごしているため、青春時代のBGMとして楽曲の思い出を共有している傾向があります。私達と同年代の人がいずれメディアの世界で重要な役職につくようになったなら、今の70年代ブームと同じように80年代・90年代関係の特集が組まれることでしょう。しかし、2000年以降に生産された作品の中に世代を象徴するファクターとなりうるものがどれくらいあるのか、私にはあまり見当がつきません。そもそも、「XX年代」とか区別すること自体が、今やナンセンスになりつつあると言えます。個人にとっての「過去」はあっても、大衆にとっての「時代」は、もう存在しないのかもしれませんね。
殊車に関しては現在も良いものが多いのですが、音楽や映像作品に関しては明らかに昔のものの方が質が高い(内容が濃い)と思っています。その良さを後世に伝えるためにも、現在45~55歳くらいのオヤジ達には頑張ってもらいたいですね。
Posted at 2007/02/13 23:14:06 | |
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2007年01月29日
先日、ツタヤで「電気グルーヴとかスチャダラパー」というアルバムを借りました。電気グルーヴのアルバムを聴くのは久々だったのですが、心地よいリズムと相変わらずのふざけた歌詞に充分満足できました。「世を欺く姿はニート、その実態ほぼニート」…夜中に聴いていたので笑いを堪えるのに必死でしたね。
このアルバムに触発されて、CDラックから「オレンジ」と「A」を引っ張り出してみたのですが、改めて気付いたのは「電気グルーヴの音楽を聴いていると身体の細胞が活性化されるような気がする」ということでした。インチキ宗教じみてますかね?でも、得体の知れない元気が湧き上がってくることは間違いないです。これは、彼らの作品を初めて耳にした時からそうだったと思います。
その仕組みについて自分なりに分析してみると、テクノ特有の反復されるメロディーや機械的なリズムが、基本的に人間の生体としてのリズムにそぐわないため、それに反発するという意味で細胞が活性化するのではないか、と考えられます。私の場合、ロックやポップスを聴くときは明らかに曲にのせられてしまう(一体感が得られる)のですが、テクノを聴くときはひたすら鑑賞モード(曲と対峙する感覚)になってしまいます。無機質な音やリズムばかりを浴びていると、その中に生物的な温か味や人間的な感情が潜んでいないかどうかを、無意識のうちに探してしまうわけです。それゆえ、ロックやポップスは延々と同じ曲を聴かされると嫌気がさして飽きてくるのですが、テクノだと単純に疲れることになります。一度嫌気がさすと次に聴きたくなるまで少し時間が必要となりますが、疲れるだけなら再び元気になりさえすればまた聴くことができます。特に電気グルーヴの作品は歌詞があまりに人間味に溢れているため、何度繰り返し聴いても面白くて殆ど疲れを感じることがありません。YMOの「スネークマンショウ」という前例もあることから、ひょっとしたらテクノ音楽とユーモアのセンスは浅からぬ関係にあるのかもしれませんね。今度は「FLASH PAPA」と「VITAMIN」でも借りてみようかと思っています。
Posted at 2007/02/07 02:44:28 | |
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2007年01月26日
「お気に入り」の欄にも書いていますが、最近は特に中森明菜に嵌っています。ブログを書いている間も高い割合で「スーパーベスト」を聞いていて、通勤の車中でもヘビーローテーション化しています。昔は全く興味が無かったのに何故今になって嵌ってしまったのか、自分でもよくわかりませんが、あの溢れるほど情感の篭った歌声を耳にすると、とても心が癒されます。素晴らしい女性歌手がたくさんいる中でも、彼女こそ本当の歌姫だと思いますね。
1. スローモーション (作詞:来生えつこ 作曲:来生たかお)
記念すべきデビュー曲でありながら、かなりの知名度を誇る名曲。爽やかで甘酸っぱい気分になれます。確か、カメラのCMに使われていた気がしますが…。
2. 少女A (作詞:売野雅勇 作曲:芹澤廣明)
松田聖子を頂点とするブリッコ派が台頭する中、山口百恵的ツッパリ路線を継承すべく放たれた…かどうかは定かでないが、「プレイバックpart2」などとかなり雰囲気が似ている名曲。「私は普通」と主張するあたりが「私は特別」と言いたがる現代の歌と真逆で興味深いです。
3. セカンド・ラブ (作詞:来生えつこ 作曲:来生たかお)
「少女A」で有名になったものの、そのイメージに頼ることなく、ブリッコ路線でも通用することを証明してみせた名曲。セーターの袖口をつまんで俯く女の子なんて、今では絶滅してしまったと思われます。
4. 1/2の神話 (作詞:売野雅勇 作曲:大沢誉志幸)
志村けんのギャグとしても有名ですが、実際の曲も聞いてて恥ずかしいくらいにツッパってる名曲。「…純ね」というフレーズが紅夜叉的な昭和のヤンキーを思い出させてくれます。とても牧歌的です。
5. 北ウイング (作詞:康珍化 作曲:林哲司)
歌詞もメロディーも歌謡曲然とした名曲。アイドルとしての人気もさることながら、この曲によって年配の人達からも支持を集めるようになった…のかな。
6. サザン・ウインド (作詞:来生えつこ 作曲:玉置浩二)
遊び心と下心に満ちた超危険な名曲。夏の海で当時の中森明菜を見かけたなら、誰でも果実酒を届けたくなるでしょう。爽やかにエロいです。
7. 十戒 (作詞:売野雅勇 作曲:高中正義)
個人的に最も歌詞が胸に刺さる名曲。「やわな生き方を変えられないかぎり限界なんだわ」「優しさは軟弱さの言い訳なのよ」「ちょっと甘い顔をするたびにツケ上がるの悪い習性だわ」「救いのない人ね、哀しくなるのよ」…確かにそうかもしれません。でも、そういう風に言われることがまた快感だったりして。
8. 飾りじゃないのよ涙は (作詞・作曲:井上陽水)
一人の天才と当代きっての実力派アイドルが織り成す夢のコラボレーション的な名曲。ポップなメロディーと深すぎる歌詞が、聞く人の心を捉えて離しません。永く邦楽史に残る曲だと言えるでしょう。
9. ミ・アモーレ (作詞:康珍化 作曲:松岡直也)
エキゾチックで情熱的で、どこか切なく哀愁漂う名曲。情感を込めて唄うという行為が最高レベルに達しています。私にとってはこの曲こそが中森明菜という歌手のイメージ源になっています。波乱に満ちた彼女の人生を振り返った上で改めてこの曲を聞いてみると、とても感慨深いものがありますね。
10. DESIRE (作詞:阿木耀子 作曲:鈴木キサブロー)
経済的に絶頂期にありながら退廃的な雰囲気が漂っていた80年代を代表する名曲。「真っ逆さまに堕ちて」という歌詞が、その後の日本社会を暗示しているようで面白いです。あの頃は楽しむことに必死だったなぁ…。
この他にもまだまだ名曲がたくさんあります。中森明菜をあまり知らない人がいたら、上に挙げた曲のどれでも良いから聞いてみることをお薦めします。意外な発見があるかもしれませんよ。おそらく、私はこれからもずっと聞き続けることでしょう。
Posted at 2007/01/31 02:40:19 | |
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2007年01月20日
特に理由はないのですが、ここ2・3ヶ月ほど「北斗の拳」の音楽が気になっていたので、先日ツタヤでサントラを借りてみました。「プレミアム・ベスト」というこの2枚組のサントラは、全ての主題歌はもちろん、30曲以上のBGMも収録されていて、なかなか聞き応えがあります。一通り聞くと世紀末の気分に戻されることは間違いありません。
「北斗の拳」の主題歌といえば「YouはShock!」でおなじみの「愛をとりもどせ」(1stOP)が特に有名ですが、「Silent Surviver」(2ndOP)や「Love Song」(3rdED)もお薦めです。あのうじきつよしがこんな歌を唄っていたなんて、という驚きもあったりします。ただ、「北斗の拳」の主題歌の中で個人的に一番気に入っている曲は、なんといっても「TOUGH BOY」(3rdOP)ですね。本放送時に初めてこの曲を聞いたときは、それはもう衝撃と感激に身体が震えました。「北斗の拳」自体も突き抜けた作品ですが、「TOUGH BOY」は更にそれを加速させるくらいのパワーを持っています。逆に「北斗の拳」以外でこの曲を主題歌として使えるアニメは他に無いと言えるでしょう。
「TOUGH BOY」はメロディーもさることながら、歌詞が強烈に素晴らしい内容になっています。無秩序であるが故の恐怖と開放感。このふざけた世界を前にして殻に篭るのではなく、自らの意思で一歩踏み出そうとするポジティブな姿勢。この曲が表現するところは、そのまま「北斗の拳」という作品に合致していると思います。TVバージョンとは歌詞が若干異なりますが、歌詞に繋がりがある分だけ原曲の方がよりメッセージ性が強いと言えるでしょう。もしかしたら、平気で他人や自分を殺したりする世知辛い今の時代にこそ、この曲は相応しいのかもしれませんね。巷に溢れる温い恋愛ソングに飽きた方にも、一度聞いてみることをお薦めします。たまにはこういう曲で耳を洗うのも良いものですよ。
Posted at 2007/01/30 01:05:07 | |
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2007年01月16日
今日も家に帰った後、小山ゆうの「あずみ」(第三十一巻)を読んでいたのですが、その凄惨な殺陣を見てふと思い出したのは、白土三平の「カムイ伝」でした。
私が「カムイ伝」と出会ったのは高校生の頃で、友人から「激しく面白い漫画があるよ」と紹介されてのことでした。実際に読んでみると…本当に激しい内容でした。圧倒的にリアルな自然描写に、手足が飛び交う血生臭い戦闘シーン。二重三重に張り巡らされた伏線に、破綻寸前まで膨張していくストーリー。そして、一般的な倫理や善悪を超越した観点から問いかけられる「生きる」ということの意味。平凡な高校生が読むにしては、あまりにも濃過ぎる作品でした。それ以来、私は「カムイ伝」のファンになり、今でも第一部は全巻揃えて持っています(ちなみに「カムイ外伝」も)。漫画好きであれば一度は読むべき傑作と言えるでしょう。
「カムイ伝」と「あずみ」を比較対照した場合、その類似点・相違点は極めて複雑に絡み合っていて、とてもこういうブログでは語りきることができません。ただ、今回「あずみ」を読んでいて一つ気になったのは、「カムイとあずみ、戦ったらどちらが勝つのだろう」ということでした。子供みたいな興味の持ち方で申し訳ないですが、これはある意味夢の対決でもあります(もし実際に対決したなら、必ずどちらかが命を落とすことになるわけですが…)。変幻自在の忍術でカムイがあずみを翻弄するのか、それとも圧倒的な剣術の技量であずみがカムイを追い詰めるのか、いずれにしろ予断を許さぬ展開になることは必至です。
そもそも、カムイとあずみとでは立場がかなり異なっています。抜け忍として一生日陰の道を歩み続けなければならないカムイと、美しい女刺客としてあちこちで伝説を残していくあずみとでは、住む世界が全く違うとさえ言えます。両者に共通する点があるとすれば、それは常に死と隣り合わせという過酷な生活環境と、根源的に生きる目的を持っていないという虚しい精神状態くらいです。普通に出会えたなら、意外に両者は共感し合える仲になれるかもしれませんが、そうでなければ逆に互いの心境を思い量って一切関わりを持たないようにするでしょう。特にカムイの方は24時間365日命を狙われているわけですから、元来そういう余裕が無いのですけどね。
寺の御堂の隅で片膝を付いて仮眠を取るカムイの姿は、限りなくストイックであり格好良くもあります。しかし、迫り来る数多の追手を撃退し、何の希望も目的も無いまま只ひたすらに逃亡生活を続ける彼の気持ちを考えると、私のような俗物は到底共感などできません。むしろ、生きる希望を見つけて、その結果として命を落としてしまうなら、そちらのほうがまだ幸せではないのかとさえ思ってしまいます。「生きる為に生きる」とは何やら禅問答みたいですが、「カムイ伝」及び「カムイ外伝」における彼の生き様はそれを如実に示しています。最近刺激的な漫画を読んでいない方、濃厚で辛口な物語を堪能したい方には、一読をお薦めします。
Posted at 2007/01/19 03:58:50 | |
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