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2007年03月31日 イイね!

東の方に在りし楽園 (キャラクター篇②)

■八意永琳
私は漫画やアニメを見て作品自体に嵌ることはあっても、登場人物に嵌ることは滅多にないのですが、最近例外的に興味を持ったのがこの八意永琳というキャラクターでした。何が魅力かといえば、まずその正体が判然としない点です。設定上は宇宙人(月人)ということになっていますが、実際は地球から月に移住したのであって、生粋の月人であるとは言えません。では地球人(人間)なのかというと、年齢が最低でも千年を超えている(ZUN氏の発言が公式化されるなら更に億を超える)点を考えれば、もはやヒトではないと断言できます。勿論、人間を捕食する妖怪でもありません。ならば、八坂神奈子や洩矢諏訪子のような純然たる神様なのかというと、過去の歴史を振り返ってみても、そこまで霊験あらかたな所業は行っていないようです。月夜見の月面移住計画に協力して月の都を造り、その後も月社会の発展に寄与し続けたことは、確かに神懸った能力の賜物だと考えられますが、その月に住む人々を裏切って輝夜と共に罪人になったことまで含めれば、崇高な理念で動いている(周囲に御利益を与える)というより、むしろ個人的な意思で行動しているきらいがあります。何より、永琳自身は他者からの信仰を全く必要としていません。そこが、東方世界における他の神様とは決定的に異なる部分でもあります。恐らく「八意思兼≒八意永琳」という図式は確定的なのでしょう。しかし、私はそれを否定することに浪漫を覚えます。神様でも人間でも妖怪でもない、ヒトのカタチをした別の何か…。そう考えれば、あの「綾波レイ」以来久々に登場した、最高に不気味なキャラクターと言えるのではないでしょうか。
もう一つ、八意永琳の魅力を挙げるなら、それは蓬莱山輝夜に対する異常な執着が指摘されます。設定上では「蓬莱の薬を与えたことの罪悪感」から輝夜に付き従うようになったとありますが、儚月抄(小説と漫画)から判断すると、そもそも永琳は教育係をしていた頃から輝夜のことを気に入っていた節があります。大体、「月の頭脳」と呼ばれるほどの者が、蓬莱の薬を欲しがる輝夜の目的を見抜けないわけがありませんし、もし本当に見抜けなかったのだとしたら、その時点で既に輝夜に対して盲目になっていたと言えます。出会った時から現在に至るまで、永琳はいつも輝夜の意思に沿う形で行動しています。この事実を考慮すれば、「罪悪感」というのが半分建前のように聞こえても不思議ではありません。一方輝夜はというと、永琳のことを完全に信頼しているとはいえ、束縛するつもりも無ければ、己の全存在を懸けるほどの存在だとも認識していないようです。つまり、永琳の輝夜に対する愛情や献身は自発的なものであり、外的要素に起因するものではないということです。自分より遥かに年下で、自分ほど才能に恵まれているわけではない輝夜に、果たして永琳は何を見出したのか。最高レベルの地位や権力を有していた彼女が、その全てを擲ってまで一人の小娘に付き従うことを選んだという、その本当の動機は何であったのか。これらの点が解明されれば、永琳の異常な執着の本質を理解することも可能だといえるでしょう。しかし、ZUN氏の手法を考えれば、この辺の設定が明文化されることは恐らく無いかと思われます。むしろ、こういう部分の説明に関しては、優秀な同人作家さんに期待した方が良いのかもしれません。
永琳に関して疑問に思うことがあるとすれば、それは彼女が人間を造ったことがあるのかという点です。出産であれ、科学的製造方法であれ、凡そ万能で好奇心も旺盛なはずの永琳が、圧倒的に長い人生の中でヒトという生き物を一度も造らなかったとはどうしても考えにくいのです。恐らくは、何人か出産、もしくは試験的に何体か製造したことでしょう。もしそうであれば、「輝夜は永琳と血の繋がりがあるのではないか」とか、あるいは「十六夜咲夜は永琳によって造られた生物ではないのか」というような妄想を膨らませることもできます。この辺の設定も考え始めたらキリが無いので、同人作家さん達に任せるとしましょう。ただ、八意永琳というキャラクターの成り立ちを考えるとき、あまり取り沙汰されることはないですが、この出産経験の有無(人体製造経験の有無)は、非常に重要な位置を占めると思うのです。ZUN氏がこの辺についてどのように考えているのか、できることなら一度伺ってみたいものですね。
どんな物語もそうですが、主役と同じくらいに脇役が魅力的でなければ、作品として人気を獲得することはできません。そして、それは偏に作者が脇役のキャラクターにどれくらい愛情を注げるかにかかっています。東方シリーズのキャラ達は皆が個性的であり、ZUN氏の配慮が満遍なく行き渡っていると思います。ただその中にあって、本来なら薬が作れる程度の能力であるにも関わらず、業績が宇宙規模に達しているという点で、永琳は特異な存在だと言えるでしょう。神奈子や諏訪子ですら生き残りを懸けて幻想郷に移住してきたというのに、永琳の場合はいざとなれば幻想郷を破壊することも躊躇わないほどの不敵さがあります。八雲紫や西行寺幽々子が永遠亭の勢力を潜在的なリスクと認識しているのは、実質的なリーダーである永琳の行動原理があまりにも単純すぎること(輝夜の安全を最優先にすること)に危機感を持っているからに他なりません。儚月抄では、そういった政治的思惑を背景にした上で、年増キャラ達のシビアな直接対決が見られるのかと期待していたのですが、現時点(漫画版第15話終了時点)では若者達が月で弾幕ごっこをしているだけに留まっています。儚月抄の連載が終了すれば、永琳や輝夜がクローズアップされる機会も無くなるでしょうから、せめて連載中だけでも彼女達の出番を増やして、他のキャラクター達(勢力)と絡むエピソードを描いていただきたいところです。

儚月抄の連載が開始されて以降、永琳のポテンシャルはインフレの一途を辿っています。次々と明らかになる設定の殆どが後付のような気がしないでもないのですが、その壮大さはまるで「ファイブスター物語」にも似ていて、色々と想像を掻き立ててくれます。最初は単なる従者として登場したはずの永琳がどんどん神格化していった背景にZUN氏のどのような意図があるのか、定かではありません。「最初からそういう設定のキャラだったんだよ」と言われればそれまでですが、ゲーム内で自機として使えない割にエンディングでの登場回数が多いことや、儚月抄本編でもそれほど目立つ役割が与えられていないのに単行本の著者近影には八意思兼神社の写真が使われていたりする辺りに、何かしら思い入れがあるようにも見受けられます。敢えて推察すると、現実世界のアンチテーゼである幻想郷においてZUN氏の思想・世界観を象徴するものが八雲紫であるならば、月という神秘の世界に対する憧憬の念を象徴するものが八意永琳なのではないかと思うのです。儚月抄の企画が成立したのは、これからも東方シリーズを続けていくにあたって月とそれに関する様々な事柄に決着を付ける必要があると、ZUN氏が判断したからではないでしょうか。そういう風に考えてみると、彼女の能力や立ち位置が変化していったことにも納得がいくというものです。
東方シリーズでは単なる脇役の一人ですが、私にとって八意永琳は近年で最も興味を惹かれたキャラクターでもあります。正体が判明するのも良いですが、できればこれからもミステリアスなままでいてほしいですね。
Posted at 2008/10/10 17:01:01 | コメント(0) | トラックバック(0) | 趣味 | 日記

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