2007年11月10日
ランエボ、インプレッサとくれば、次に取り上げるのは GT-R ということになります。かねてより私は、この3車種こそは日本のスポーツカーの中で、イコン的な存在になれるだけの商品価値を持っていると思ってきました。スタイルやデザインよりも性能を重視し、過剰なコストパフォーマンスを発揮し続けてきたこれらの歴代モデルは、良くも悪くも技術志向が強い日本人の習性をよく表していて、それゆえに外国人からも個性を認められ、そして一部の人々からは羨望の目で見られるほどの人気を獲得することができました。新型のランエボやインプレッサを見る限り、この2モデルに関しては引き続き国内外から正当な評価を受けることができるでしょう。しかし、今回の東京モーターショウで発表された新型 GT-R 、このモデルに関して私は正直漠然とした疑念と共に、一抹の寂しさを抱かざるをえませんでした。
480psという出力やデュアルクラッチミッション、トランスアクスルなどの機構については素直に素晴らしいと思います。エクステリア・インテリアのデザインについては…とりあえず今は触れないでおくことにしましょう。問題は、このモデルが完全に高所得者のためのものとなっていて、我々庶民には「 GT-R 」という名前が持つ歴史以外に何も共有するものがないということです。R32/33/34 という歴代の GT-R が持っていたチューニングカーとしての神話性(庶民にとっての寓話性)は、この「ニッサン・GT-R 」の登場によって一度断ち切られることになります。この車をパートナーとして、たとえば峠でバトルに興じる者や精魂込めてチューニングに取り組む者などは、もはや出てこないでしょう。また、約800万という価格の割にタイヤやオイル交換の維持費がフェラーリ並にかかることを考えると、私などはポルシェ・ケイマンやロータス・エリーゼ等を選んで、気兼ねなく日々走れる方がどれだけ爽快だろうか、などと思ってしまいます。つまり、「宝くじに当たったらぜひ購入したい」と思わせるほどのカリスマ性が、特に感じられないのです。はっきり言って、これならレクサス・IS-F の方が余程興味をそそられます。
これから様々なレースで実績を積んでいくことによって、GT-R の評価はどんどん上がっていくことでしょう。おそらく、内容的には本当に良い車なのでしょうし、上で私が述べたようなことは個人的な感傷の問題として簡単に片付けられるべきなのかもしれません。しかし、新型のランエボやインプレッサを見たときには「来た来た!」と御機嫌になれたにも関わらず、ニッサン・GT-R を見ても何一つ興奮できなかったことは、紛れもない事実です。今まで GT-R という車に一度も乗ったことのない私が、新型に一体何を期待していたのか…。その答えは、もう少し時間が経ってからでないとわからないのかもしれません。
Posted at 2007/11/11 03:48:15 | |
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車 | 日記
2007年11月09日
去る10月24日、スバル・インプレッサ WRX STI が3代目に生まれ変わりました。先にレガシィで採用された SI-DRIVE を搭載し、最高出力 308ps、最大トルク 43.0Kg-m と、遂に300馬力の大台を突破。同じくモデルチェンジしたランエボと共に、これから日本のモータースポーツシーンを彩ってくれることに間違いないでしょう。365万4000円という価格も、内容を考えれば丁度良いと思います。
私はノーマルバージョンのインプレッサがデビューしたときから「ハッチバックになって正解だ」と思っていたのですが、今回の STIバージョンを見てその考えが間違っていなかったことを確信しました。既に何度か実車を見ているのですが、アグレッシブに張り出した前後のフェンダーがただならぬ雰囲気を醸し出していて、否応無く人目を惹きつけます。かつての 22B と同じように、市販車としてはあまりにもレーシーな佇まいは、このモデルにかけるスバルの意気込みを衒い無く反映していると言えるでしょう。マツダ・アクセラといい、此度のインプレッサといい、日本人はセダンやクーペよりもハッチバックを造ることの方にセンスがあるのかもしれません。内装がもう少し高級であったなら、BMW ・130i よりもアウディ・S3 よりも、こちらを選ぶ人が増えるのではないでしょうか。たとえば、400万くらいで「レザーインテリアエディション」なんていうグレードがあるなら、マニュアルミッションの操作が下手な私でもグッときてしまいますね。
偶然にも今年はランエボとインプレッサのフルモデルチェンジが重なったわけですが、これら両モデルには今後とも日本を代表するスポーツカーとして弛まない進化を期待したいところです。そして、その最大のアピールの場である WRC でも、破竹の進撃を続けたかつての勢いを取り戻してほしいものですね。
Posted at 2007/11/09 22:40:41 | |
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車 | 日記
2007年11月01日
少々前の話題になりますが、三菱・ランサーエボリューションの新型「 X (テン)」が発売されました。この X は先代「 IX(ナイン)」と比べて馬力などのスペック面では大きな違いが無いものの、エンジンもシャシーも完全な新作であり、ランエボの歴史が新章に移ったことを如実に示しています。ギャラン・フォルティスでは少々アグレッシブ過ぎるように見える逆スラントノーズも、数々の武勇伝を築いてきた「ランエボ」には相応しいと思います。これなら、アクの強いドイツ車やアメ車の中に紛れ込んでも、個性が埋没することは無いでしょう。インテリアのデザインには相変わらず疑問が残りますが、400万円以下の車としては間違いなく一級品と言えるモデルなのではないでしょうか。
さて、この新型ランエボに関してですが、私にとって最も気になるトピックは新開発の2ペダルMT「TC-SST」(ツインクラッチ・スポーツシフト・トランスミッション)が近い将来採用される点にあります。これはVWのDSGと非常に良く似たタイプの変速機であるらしく、すでにあちこちからそのデビューを心待ちにしている声が聞こえています。果たして、DSG並みのダイレクト感とスムーズさが実現されているのかどうか…。もしそうであるなら、この分野におけるVWとアウディのアドバンテージはかなり減少することになるでしょう。そして、ランエボというモデルは、マニア向けのカルトなスポーツカーではなく、若造から年寄りまで誰もが気軽に飛ばせる万能の戦闘機(セダンだから人も荷物も載せられるし、四駆だから雨や雪の日もお構いなし)として、国産スポーツカー市場に君臨することになるかもしれません。
幸いなことに( ? )、会社の上司が購入を検討中なので、チャンスがあれば乗ってこの身で体感したいところですね。
Posted at 2007/11/04 01:28:42 | |
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車 | 日記