
今日は新型シロッコの試乗に行ってきました。先月末にインターネットで申し込みをしたばかりだったのですが、意外に手回しが良かったらしく、こんなに早く実現するとは嬉しい誤算でした。しかも、指定されたディーラーは隣町という近さであり、試乗車も我が白兎と比較し易い2.0TSI の方だったので、まさに理想的な展開だったと言えます。幸い天気も快晴で、弥が上にも期待が高まっての試乗と相成りました。
さて、実際に運転してみての感想ですが、私にとって新型シロッコは残念ながら理想的とは言い難いモデルでした。恐らくはこの車のせいで会議をキャンセルするようなボスもあまりいないんじゃないかと思います。ある意味では単に車高が低くて2ドアになっただけのゴルフと言えなくもないでしょう。正直に吐露すれば、それくらい新鮮味の乏しい車でした。
具体的に指摘するなら、まず着座位置が思ったほど低くないことが挙げられます。ゴルフより低いのは確かですが、所謂スポーツカーを運転する上でのやる気を喚起するには不十分な、ごく日常的な視界しか望めません。シートの座り心地やサポート性は上々で、ヘッドレストの角度も適切であり、この辺は素直に羨ましいと思います。ただし、そうした良い点もGTI より質素なメーターパネルのせいで帳消しになってしまうのが、何とも惜しいところではあるのですけどね。次にハンドリングについてですが、これも車高の低さとトレッドのワイド化によってリヤの安定感が増しているだけで、特に感心させられる部分はありませんでした。私としてはもっと切れ味鋭く旋回してくれることを期待していたのですが、結果的には「ノーマルのGTI よりは良い」という程度で、それ以上の爽快さを得ることはできませんでした。雑誌やネットを見る限り多くの評論家が絶賛しているので、コーナリング性能が高いことは間違いないのでしょう。この点についてはやはり自分で試乗してみるのが一番かと思われます。ちなみに減衰力可変式ダンパーに関しては、当初の予想通り全く必要の無い装備だと感じました。ずっとスポーツモードのままでも何ら不快感が無く、ディーラーの営業さんに言われて敢えてコンフォートモードで走ってみたりもしたのですが、私には両方の違いがよくわかりませんでした。強いて言えば、コーナリングする際のロール感が少し増したぐらいでしょうか。以前にも述べたとおり、そもそもこのようなスポーツカーにコンフォート性を求めること自体がナンセンスだと思います。もし快適に乗りたいならゴルフを選べばよいわけですし、どうしてもというなら社外品の高級ダンパーを付ければよいだけの話です。しかも、耐久年数は普通のダンパーとそう変わらないらしく、交換する際は当然ながら高い料金を支払わないといけないそうです。先進的なシステムを装備していること自体に満足感を見出せる人ならともかく、一般的な感覚からすればこれのせいで価格が増しているのは甚だ迷惑なことだと言えるでしょう。
今回の新型シロッコは事前の期待が大き過ぎたからかもしれないのですが、それにしても試乗した後のガッカリ感というか、フィーリングの味気無さには空しいものがありました。別に悪いところはないのですが、特に良いと思えるところもありませんでした。結論として、スポーツクーペとしての非日常性を求めるなら間違いなくアウディ・TT の方が良いでしょう。逆に万能性を求めるなら次期GTI を待つ方が得策だと思います。あるいは、あの個性的なスタイリングがどうしても諦め切れないなら、過剰な装備を剥ぎ取った廉価グレードが登場するのを待ってみるか…。もっとも、たとえ廉価版が出たとしても、私はもう興味が無いのですけどね。これからの希望は次期GTI とブルースポーツに向けたいと思います。
今回少々面白かったのはディーラーの営業の対応でした。試乗が終わって帰ろうとした際、試乗車に同乗した人とは別の営業がこんなことを口にしました。
「○○店(私がホームにしているディーラー)の顧客からよくシロッコの試乗希望の問い合わせがあるのですが、通常は断っているんですよね。うちもお金をかけて試乗車を用意しているわけですから、本当ならあちらの店も実車を購入して対応すべきなんですよ。まあ、お客様の場合はインターネットからの申し込みだったので、仕方がないんですけどね」
客に対して「仕方が無く対応した」と堂々と言うその馬鹿さ加減に、私は怒るどころか思わず笑ってしまったのですが、その営業は何故笑われたのか理解できなかったようですし、恐らくこの先も理解できないでしょう。こちらとしては、そのディーラーで購入されている人達が不快な目に遭っていないことを祈るばかりですね。
Posted at 2009/06/08 16:01:10 | |
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車 | 日記