
先日、FFXIII のミッションを全てクリアしました。発売から約1ヶ月、総プレイ時間が約130時間を越えており、自分の経験上RPGとしては長くかかった方だと思います。
最終的なパーティー編成はファング・ヴァニラ・ホープとなりました。チーム名は「ファング姐さんと恐るべき子供たち」といった感じでしょうか。この組み合わせだとジャマー、エンハンサー、ヒーラーというサポートロールが万全であり、尚且つ物理・魔法の両方で高い攻撃力を発揮することから、あらゆる敵に対して有利に戦うことができます。HPが心許ないのは事実ですが、FFシリーズはその殆どが「攻撃こそ最大の防御」というシステムになっているので、そういった意味ではこの3人の組み合わせは理に叶っているかと思われます。装備面では、ファングがニムロッド系ランス・オブ・カインとカイザーナックル x 3、ヴァニラがベラドンナ系ニルヴァーナとマギステルクレスト x 3、ホープがヴィゾフニル系ヌエとやはりマギステルクレスト x 3で、あとは敵に合わせて(もしくは気分に合わせて)残る1個のアクセサリーを付け替えるという手法を採りました。場合によっては誰かにラッキーブレイカーのアビリティを付与させることもありますが、戦闘時間を短縮できるということ以外にあまりメリットは無いような気がします。100 % の耐性を持つアイテムや戦闘の最後まで有利な効果が持続するアイテム等がない本作品においては、何を装備させるかで悩むよりも、オプティマの構成と切り替えのタイミングに気を使った方が手っ取り早いと言えるでしょう。そもそも、ラストミッションの敵でさえバイオと3つのオプティマだけで倒せるわけですから、この作品におけるアイテムの有用性はかなり低いと見て間違いありません。色々な種類のアイテムを集めることに楽しみを見出す人には物足りなかったかもしれませんが、「なるべく頭を使わずに、力押しで最短ルートを突き進みたい」というダメゲーマーな私からしてみれば、この点は非常に助かった点でもあります。
もっとも、そうしたバトル面での手軽さも含めて、このFFXIII は「中身が薄かった」と評価せざるをえないのが正直なところです。以下に問題点と思える部分を幾つか並べてみると・・・、
①単なる「粗筋」だけで、ドラマ性に欠けるストーリー
これは VII や X と比較すれば容易に理解できるかと思います。XIII の物語は全体的に淡白で、盛り上がりや意外性が凡そありません。味方も敵もどこかで見たことがあるようなお約束的な台詞を吐いているだけで、説得力も無ければ、切実さも伝わってこないのです。基本的には「クリスタルになったセラを元に戻すこと」と、「なりゆきでルシにされちゃったけど、何をしたら良いのかわからないので、とりあえずコクーンに戻って悪徳爺さんに真相を問いただす」というこの二点さえ押さえておけば、あとは途中のムービーを全部飛ばしても差支えが無いと思います。結果論ではありますが、最後に「人類を救う=人類をコクーンから巣立たせる」というロジックを成立させるのであれば、むしろそれを作品全体のテーマとして掲げ、ヴァニラを主人公にした方が、物語としてオリジナリティを獲得できたのではないでしょうか。そうすれば、ファングと一緒にクリスタルと化すあのラストシーンもより一層の感動を呼ぶことができたでしょう。VII や X のような複雑で味わい深いストーリーを期待していた私にとっては、本当に得るところが少ない内容でした。
②ゲームとして奥行きがないこと
まず最初に、このゲームは第11章以外全てのステージが一本道であり、道に迷うこともなければ、アイテムを取り逃すこともありません。誰がプレイしても同じルートを辿り、同じアイテムをゲットすることになります。次に、ストーリーやイベントの分岐(たとえば VII におけるゴールドソーサーでのデート等)がないため、「見たことがないシーン」というものが存在しません。一度プレイするだけで作品全体を把握することができます。最後に、キャラの成長もワンパターンであることが挙げられます。CPさえ稼げば、誰のサッズも「同じサッズ」になります。つまり、このゲームは二度やる意味がまったく無いのです。「あのとき、ああしておけば良かった」という後悔や、「あっちのルートを選んでいたら、どうなっていたのだろう」というワクワク感を覚えることも無く、何度やっても同じルートを通って同じ結果しか得られないなら、時間を費やすだけ無駄でしょう。歴代作品の中でも「一度やれば充分だな」と途中で思ったのは今回が初めてでした。
③旧作と比べて戦闘時の自由度が低いこと
FFシリーズにおいて特に戦闘システムが優れていると思えたのは X と XII でした。X は戦闘中にメンバーを入れ替えることでパーティの弱点を修正することができ、しかも敵キャラと味方キャラの行動順序のスライドを計算してメンバー変更すれば、先手を打って敵の行動を相殺・封殺することが可能でした。 XII ではキャラのAI を随時細かくコントロールできる点が画期的で、「HP≦60 % でケアル」というような微妙な選択肢もあることから、ほぼイメージ通りの構成が可能でした。あのガンビットというシステムは単なるプレーヤーとしてではなくプログラマー的な気分が味わえるのが面白かったですね。これらと比較した場合、XIII のオプティマは戦略性と戦術性を兼ね備えた合理的なシステムではあるものの、その反面あまり融通が利かない仕組みになっています。せめて、10個くらいのパターンがセットできるか、あるいは戦闘中でも自機(リーダー)を変更することが可能であれば、もう少し扱い易かったのかもしれません。また、オプティマを切り替える際の各キャラの変身ポーズも不要でした。あの待たされる時間があるばっかりに切り替えを億劫に感じていたのも私だけではないはずです。XIII 単体で見ればバランス良く調整されていると言えなくもないですが、開発期間の長さを考えればそれも当然でしょう。むしろ、XII において戦闘システムの新たな可能性を切り開いたにも関わらず、それが殆ど受け継がれていない点には落胆させられたくらいです。毎回異なるシステムを提案し完成させるのは凄いことだと思いますが、たまには同じシステムで熟成を計るのも良いのではないでしょうか。
悪い点ばかり挙げるのも不公平なので、以下に良いと思えた部分を挙げてみました。
①映像が綺麗。
②音楽が切ない。
③召喚獣(特にヘカトンケイル)が繊細で美しい。
④ブレイク後のアッパー&フルボッコが楽しい。
⑤第11章はステージが広く、敵もデカくて面白い。
⑥最後にヴァニラとファングがクリスタルになるシーンが素晴らしい。
⑦「パッケージのイラストはこれだったのか!」と気付いて二度感動。
ただし、これらは「強いて挙げれば」という程度であって、上記の欠点を覆すほど魅力的というわけではありません。私としては100点満点中70点という評価が最終的な結論になります。一言で表せば、期待していたほどではなかった、という感じですね。ラストシーンがあれでなければ、もっと酷い評価を下していたでしょう。このような意見は、しかし決して私一人だけのものではなく、私の周囲の人達も同様に語っていることでした。中にはクリアした当日に売り払った人もいるくらいです。せっかく世界中で人気があるブランド性の高いシリーズなのですから、本当なら三部作などに分割することなく全てのスタッフの才能を投入して、末永く所有していたくなるくらい密度の濃いものを創ってほしかったのですが…。
たとえば VII が何故ここまでファンから愛され、いつまでもビジネスとして通用するコンテンツであり続けられるのか。スクエアエニックスの人達は今一度自分達の過去の仕事を振り返って、傑作誕生の秘訣を調べなおした方が良いのかもしれませんね。とりあえずFF はこの後もヴェルサスXIII と XIV が続くようなので、また絶大な期待を寄せておきたいと思います。
Posted at 2010/01/20 03:07:18 | |
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