2011年08月03日
大した用事もなかったのに日々漫然と過ごしていた結果、いつのまにか8月になってしまいました。すでに上海やニューヨークのモーターショーですら終息し、来月のフランクフルトショーが待ち望まれる中、もはや殆どの方が忘れかけているのではないかと思われる3月のジュネーブショーについて、感想を述べてみたいと思います。
■アウディ A3コンセプト
個人的には今回のショーで最も注目していた1台でした。しかし、実際に展示されたのは未来のS3らしきハイパワーモデルだけで、庶民用のグレードに関しては残念ながら何もアナウンスがありませんでした。外観は、特にリヤの造形がB6型A4に似ており、端正に纏められていて私は好きです。サイドビューも、FFベースのシャシーにしてはキャビンが後方寄りになっていて、非常に格好良いです。ドアミラーやドアノブのデザイン、内装の大雑把さを見る限り、まだまだコンセプトの域を脱していないのは明らかであり、生産型には何らかの変更を加えてくるでしょう。かねてよりアウディの赤いセダンに憧れている身としては、次期A3は実現可能な夢でもあります。現行モデルと同様にクワトロ仕様を500万円以内に設定してくれることを切に願いたいですね。
■トヨタ FT-86Ⅱコンセプト
2009年の東京モーターショー以来の登場となったFT-86に関しては、多少グラマラスになったとはいえ、基本的にはキープコンセプトなデザインのままであり、特に衝撃は受けませんでした。今回の展示でわかったのは、やはりこの「ハチロク」は軽快なスポーツカーとしてではなく、GT的な性格が強いモデルとして開発されているということです。私の周囲ではAE86的なコンセプトを望む声が強く、それゆえこのFT-86に対して批判的な人が多いのですが、私はむしろこちらの方向性で正解だと思っています。マツダ・ロードスターを見れば、現代の安全基準と限られた予算の枠内で軽量・コンパクト・高剛性というモデルを造ることが如何に至難の業であるか、容易に推測できるでしょう。逆に、本気で軽量化に取り組んだモデルがどれほど高額になるかは、ロータス・エリーゼを例に見れば明らかです。過去の理想を求めるような非現実的な願望を反映するよりも、このまま日産・フェアレディZやアウディ・TT と同種の中量級GTとして開発を進めた方が、セールス的にも間違いが少ないと思われます。以前も述べましたが、そもそもこの「ハチロク」という名前が持つ意味を当のトヨタ自身理解できていないことが、無用な誤解と批判を招く原因になっています。トヨタのクーペなら、素直に「レビン」か「トレノ」もしくは「セリカ」と名付ければ良いのです。AE86の伝説から解き放たれて、しっかりと21世紀型のスポーツカー像を提示できるか否か。FT-86の成功は、その点に掛かっていると言えるでしょう。もっとも私にしてみれば、高級ハイブリッドGTと噂される次期スープラこそ、一刻も早く登場してほしいのですけどね。
■スバル BOXER Sports Car Architecture
今回のショーで伏兵的な存在だったのが、このスバルのコンセプトカーでした。FT-86の内部図解用のモデルかと思いきや、実は全長・全幅はFT-86よりもコンパクトであり、ライトウェイトスポーツという意味ではこちらの方に好感が持てました。会社の経営状況を考えれば、FT-86とトレッドの異なるモデルを独自に生産することは限りなく不可能に近いことであり、私もそんなに期待はしていないのですが、同じスポーツカーならトヨタ製よりもスバル製に希望を抱くのは大方の心情でもあるでしょう。ターボと四駆の力でパワフルに突き進むのではなく、非力ながらも切れ味鋭い旋回性能で勝負するマシン。ホンダやマツダが目指す理想に、スバルも一度くらいは挑戦してほしいものです。
後からこんなことを言うのも難なのですが、上記の文章は3月中にほぼ完成しており、そのままアップすることも可能でした。それが今まで伸びた理由としては、もちろん私自身のサボり癖が第一の問題ではあるのですが、正直なところ今回のジュネーブショーが少々期待外れであったことも、ある程度影響しています。そもそも私が興味を持っていた上の3車種について、市販モデルに関する確定的なスペックは未だ何も公開されておらず、まだまだ開発中の段階であることは明白です。これでは、如何に妄想が得意な私としても気分が乗らないのは仕方のないことでした。
現在の私としては上海のショーで公開された次期ビートルの方に全力で注目しています。このモデルについては、すでに欧州での試乗記も出回り始めていて、販売開始に向けてこれからも情報が増えてくるはずです。日本導入は来年になると思われますが、それまでには一度このブログで取り上げてみたいと思っています。
Posted at 2011/08/03 23:52:13 | |
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