
去る2020年4月10日、FF7のリメイクが発売されました。私は2006年12月29日の記事で、リメイクは当分出ないだろうと書いていましたが、さすがに13年以上も過ぎれば情勢は移り変わるものですね。とりあえず先月中にクリアして、今はやり込み要素の消化に勤しんでいる次第です。発売前は色々と不安に思うこともありましたが、実際にプレイしてみると、それも杞憂だったと言えます。もうすでにいろいろな所で様々なレビューが上がっているのですが、ここで私なりの感想を述べてみたいと思います。
●ストーリー
原作の流れに概ね忠実で良かったと思います。今回は特に気になるような改変が少なく、物語が全体的にスムーズに進むようにというスタッフの配慮が感じられます。まだ序盤なので原作との差が目立たないだけなのかもしれませんが、少なくとも私は違和感や不快さを覚えることがありませんでした。一つだけ心配な点があるとすれば、それは次回作以降のエアリスの生死です。どうにも生存ルートがあることを仄めかしているような演出が多くて、少し気掛かりです。FF7という作品の半分は、エアリスの死によって成り立っていると思います。あの当時の衝撃と悲しみを再現できなければ、物語の核が失われるとも言えるでしょう。一度クリアした後のオプションとしてエアリスが生きている状態にできるというシステムならまだ理解できますが、本編の初見段階でエアリスが生き残る、または復活するというようなストーリー展開だけは勘弁してほしいものです。あと、最後のセフィロス戦は蛇足ですね。一つのゲーム作品としてラスボスの存在が必要なのはわかりますが、この段階でセフィロスを出したのは早計でした。
●BGM
発売前に私が一番心配していたのはこの点でした。せっかく盛り上がるシーンで場違いな新しいBGMを挟んでくるのではないかと恐れていたのですが、さすがにそのような暴挙には出なかったようです。むしろ、原曲の雰囲気をしっかり活かしたうえで現代風のアレンジを加えているので、とても楽しめます。ぜひサントラを出してほしいです。
●グラフィック
とても綺麗です。が、最近発売されたゲームとしては普通かと思います。開発期間が長すぎたせいで当初のアドバンテージが失われたのでしょう。日本語設定と英語設定でキャラクターの口の動きが変わる点は非常に素晴らしいです。
●戦闘システム
グラフィックと同じで特に目新しさがなく、挙動もややモッサリしていて緊張感に欠けます。これは極論ですが、およそアクションゲームの完成度においてフロムソフトウェア社の作品を越えることはかなり難しく、他のメーカーは純粋に「楽しさ」を追求した方が良いと思います。そういった意味で、今回のリメイクにクラシックモードを実装したことは英断であり、当時の操作方法が思い起こされてほっこりします。ハードモードもいいですけど、必要かと言われると・・・。
●インターフェイス
シンプルで特に不満は無いです。というより、やれることが少なすぎてシンプルになっているだけだと思います。強いて不満を挙げれば、チャプターセレクトをもっと細分化して、シーンセレクトにしてほしかったくらいですかね。やり込み要素を消化するにあたり、幾つもセーブデータを作らないといけないのは面倒くさいです。
●キャラクター
クラウド・・・ミステリアスなクールキャラから、残念なイケメンへとジョブチェンジしたことで好感度がグッとアップしました。今後の活躍?も期待したいですね。
エアリス・・・可愛い。声優さんが完璧すぎて全く違和感が無いです。ウザさとあざとさが合わさり最強に見えます。いずれ死ぬと分かっているからこそ、一層輝いて見える部分もあるでしょう。
ティファ・・・可愛い。アフレコ時のマイクレベルが一人だけ違うのではないかと思うほど、囁くような優しい声が素晴らしいです。元々地味な性格でしたが、ちょっと明るく且つ湿っぽくなった気がします。原作とは違うキャラになったとも言えますが、それも悪くないですね。
バレット・・・声優さんの大袈裟な演技が逆に良いです。ちょっと声が若過ぎるときもありますが、どういう表現をしてくるのかと興味が持てて面白かったです。FF7のリメイクに参加できるわけだから、みんな気合が入ってるんだろうなあ。
ジェシー・・・可愛い。原作だと単なる脇役の一人でしたが、いきなり主役陣を喰うほどの活躍でびっくりしました。演出を見るに、まだ生きてる可能性が有ります。ゴールドソーサー編で女優として再登場するのではないでしょうか。なんつって。
セフィロス・・・登場しすぎです。雰囲気を一変させる圧倒的な存在感があるキャラなのに、何度も登場するせいで些か食傷気味です。扱いが軽くて本当に勿体ないですね。
結論として、FF7リメイクはアクションゲームとしては凡庸、ムービー作品としては最高という評価になります。実際、ムービーとムービーの間に少しの戦闘やミニゲームが挟まっているだけで、客観的に見ればアクションゲームやRPGと呼んでいいのか、躊躇われるレベルですらあります。しかし、これはテレビゲーム史上最高に愛された作品のリメイク版であり、当時を知る私たちの記憶を刺激することが今作の最大の目標であるとしたら、それは充分に達成できていると思います。ゲームとしての出来不出来よりも、懐かしさを感じられることの方が重要なのです。冒頭の魔晄炉(ワードで一発変換できるのは何故)やセブンスヘブン、エアリスの家など、内部のレイアウトを極力原作に合わせようとしていることに気付いたとき、私は胸にぐっと来るものがありました。美化された記憶を美しいグラフィックで再現できたなら、リメイク作品としてそれ以上の成果は無いわけです。この商品に関して今の若い人達(もしくはFF7それほど好きではなかった人達)は、客観的に評価することはできても、その価値を本質的に理解することまず無理でしょう。それは良いとか悪いとかではなく、受け止め方、捉え方の感覚が違いすぎるということです。言ってしまえば、このリメイク作品は同窓会のようなものです。違うクラスの人は無理に参加しなくても結構なのです。内輪が楽しめればそれで良いのです。だからこそ、部外者に気を使って思い出を改変するようなことだけはしてほしくない、と思います。
今回は最初から連作であることが公言されており、この内容量でいくならかなり長期間続くことになるでしょう。あるいは状況の変化により制作中止に追い込まれる可能性も十分考えられます。しかし、たとえそうなったとしても、私は別に構いません。FF7リメイクは文字通りゲーム業界における「最後の幻想」だと思います。心地よい幻想ならダラダラ続いても良いし、突然終わってもまた記憶の中に残るはずです。次回作がいつになるかさっぱりわかりませんが、今しばらくは再び動き出したこの物語とその行く末を、いろいろ想像しながら楽しみたいですね。
Posted at 2020/05/03 20:48:52 | |
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