2007年09月21日
シトロエン・C5エアスケープ
このブログで私は再三に渡って「クーペがイイ」と述べてきました。デザイン上の細かい好みは色々あるのですが、基本的には2ドアでロングノーズなスタイルをしていれば、それだけで私は心惹かれてしまいます。今回は、それらクーペの中でも特に脈略のない3台を挙げてみました。
まず最初は、当時「最も美しいクーペ」と謳われたBMWの旧6シリーズです。個人的には「美しい」というよりも、バランスのとれた直線基調のプロポーションのおかげで「格好良い」という部類に入るのではないかと思うのですが、そのデザインを絶賛する気持ちに違いはありません。90年代以降に主流となった丸みを帯びたデザインに比べると、このE24のような80年代的なスクエアなスタイルもまたシャープで良いものですね。
次は、手前味噌で申し訳ないのですが、かつての愛車・ユーノスコスモです。無駄にハイパワーなエンジン、無駄に豪華な内装、そして圧倒的高燃費と、あらゆる面で時代に逆行した稀代の迷車です。しかし、一度乗ってみるとその存在意義が理解できると思います。個人によるものでも集団によるものでもそうですが、持てる技術を振り絞って造られた作品には、他を魅了するほどの「執念」が必ず含まれています。美しさと優雅さを表現するために他の全てを犠牲にしたこのモデルは、バブル時代のマツダの執念と野望の結晶でもあります。ハイテクと快適さをして高級を唱えるレクサスと、優美であることを第一義として高級化にチャレンジし、そして滅んでいったユーノスと、どちらがブランドとして高尚であるのか、このモデルに乗って今一度考えてみるのも良いかもしれません。
最後は、今回のフランクフルト・モーターショウで公開されたシトロエン・C5エアスケープです。このモデルもまた全身からデカダンなオーラを発散しています。メルセデスやジャガー等のオープンモデルに飽きた人であれば、こういう選択をするのかもしれません。私にはコンセプト的に少々鷹揚過ぎるようにも思えるのですが、シトロエンが大型クーペに対するイメージを堂々と表現したことには好感を覚えます。国内の各メーカーもこのシトロエンを見習って、もう少し夢のあるビジョンを提示して頂きたいものです。
今回挙げた3台はクーペであるということ以外に特に共通点はないかと思われます。ただ、大事なことは3台とも実用性よりスタイルとパーソナル性を重視している点です。何とかしてもう一度くらいはこういうモデルを所有したいですね。
Posted at 2007/09/21 15:15:06 | |
トラックバック(0) |
車 | 日記
2007年09月12日
去る11日、遂にフランクフルト・モーターショウが開催されました。少し前から至る所で事前情報を見かけていたので、どのような車が出展されるのか、ある程度知っていたのですが、その中でも私が特に心待ちにしていたのがアウディの新型A4のお披露目でした。
フロントオーバーハングの短縮と相俟ってロングノーズなスタイルになった新型A4は、以前初めて写真で見たときから実にあっさりと私の心を捉えました。本当は先日発表された2ドアクーペのA5の方がワイド&ローな分だけ好みであるし、この新型A4にも2ドアモデルがあればと思わなくもないのですが、全体のプロポーションがFFのセダンとしては異例なほど格好良いので、私は「次に買い換えるならこれも有りかな」と、最近何となく夢想するようになっていました。第一候補であるVWの次期シロッコの概要が発表されるまで、おそらくこの状態が変わることはないでしょう。
しかし、新型A4が実際にお披露目されてから改めて様々なことに思いを巡らせていると、どうしてもある二つの点に関して疑念を抱かざるをえません。その内の一つは、ボディサイズの拡大です。全長4.7m以上、全幅1.8m以上というのは、もはやDセグメントという枠を逸脱しかけていると思います。これはつまり、メーカー側にコンパクトなセダンを造るという意識が無いことの証明であるとも言えるでしょう。今年投入されたメルセデスの新型Cクラスは、先代と比べてボディサイズがあまり拡大していない点も好評価の一つとされています。逆に、BMWの現行3シリーズはデビューした際にボディサイズが拡大した点に関して散々指摘を受けました(実際はドアハンドルの部分で横幅が増えているらしい)。後席の居住性確保が大事なのもわかりますが、単にボディサイズを拡大するのではなくて、何か別の工夫が欲しかったですね。
そして、いま一つ気になったのが、細部のデザイン・意匠です。従来のA4はCクラスや3シリーズにないシンプルな優雅さが持ち味だったと思うのですが、この新型A4は少々角が立っていて、落ち着きに欠けるきらいがあります。特にテールランプ周りのデザインは、A5のそれを踏襲しただけの何とも雑な造形になっていて、B6やB7のデザインに比べてデザイナーの配慮が感じられません。スポーティな雰囲気はフロントのシングルフレームグリルだけで充分に表現できるはずです。何ゆえ、そこまでアグレッシブさに拘るのか…。これでは「BMWの後を追っている」と言われても反論できないでしょう。
一番最初に述べたように、私はこの車を格好良いと思います。しかし、アウディというメーカーから生まれたことに対して、また企業のイメージ源となるはずの最量販車種にこういうデザインを採用したことに関して、私は些細だが確実な違和感を覚えてしまうのです。世の流行としてスポーティネスを追求するのはわかります。ただ、できればアウディにはもう少しエレガントな形でそれを実現していただきたいものですね。
Posted at 2007/09/17 02:39:52 | |
トラックバック(0) |
車 | 日記
2007年08月22日
最近私の会社では新車の購入を考えている人が急に増えていて、今日はその内の一人(私よりかなり年上の方)と一緒にマツダのディーラーへ試乗に行ってきました。お目当ては、最近デビューしたばかりの新型デミオです。以前からこのモデルには興味があり、自分の父親にも何となく薦めたりしていたのですが、実際乗ってみると予想以上に楽しいものでした。やはり、車にとって軽さは大事ですね。
今回試乗したのは13Cというグレードで、ディーラーの方の許可を得て、いつもGTIで走っている峠道へ連れ出すことができました。本来なら私は単なる付き添いに過ぎないのですが、好奇心で目が輝いていたことは否めません。同僚の運転で登り道をある程度進んだ後、今度は私の運転で坂を下ることになりました。走り出してまず思ったのは、トランスミッションやブレーキの味付けが他の国産コンパクトカーとよく似ているということでした。基本的にこのクラスのモデルは婦女子の足車として使われることが前提となっているため、街中でストップ&ゴーがしやすいようにギア比やブレーキの効きが味付けされているのですが、新型デミオも例外ではなく、クリープ状態ではこちらの予想より早い速度でスルスルと前に進み始め、ブレーキもほんの少し踏んだだけで急に効くように躾けられていました。特に今回のデミオに関しては制動距離の短さも売りの一つになっているようで、このセッティングは多分に意図的であるかと思われます。大多数の使用環境・条件を考えると確かに「合理的」と言えるでしょう。ただ、私としてはもう少しフィーリング上の「緩さ」が欲しいのですけどね。
さて、そういう感慨を抱きつつ走り出したのですが、いざワインディングロードに入ると楽しくて仕方がありませんでした。FFのハッチバックという点は我がGTIと同じであり、当然ながらコーナリング時の基本的な挙動は似ているのですが、デミオの方は重量がGTIの2/3であることから慣性モーメントが小さく、何事にも俊敏に反応します。車体がロールしてもフラットな姿勢へ戻るのが早いため、次の切り返しが楽なのです。GTIが粘るリヤサスとタイヤの力で「グリグリ」と旋回するのだとしたら、デミオはアイススケートのように「ツー」と滑るような感じでしょうか。13Cでこれだけ良いのですから、1.5Lエンジンと専用サスを装備したスポルトであれば、より楽しめるのではないかと思いました。また一方で、最近発表されたプジョー・207GTIもこんな感じなのかな、と想像してしまいました。運転して楽しいというのは、車重の軽さだけでなく、マツダならではのニュートラルなステアリングフィールも大いに貢献していると言えるでしょう。常用の速度域ではノーズが思い通りにイン側に向いてくれるので、どんなにきついコーナーが連続してももどかしさを感じずに済みます。トヨタ車や日産車のハンドリングに慣らされた人であれば、マツダ車の挙動を「クイックすぎる」と感じるかもしれませんが、アクティブセイフティという観点からすればマツダ車の方が優秀であり、何より昨今喧伝されている「欧州基準」というものに照らし合わせれば、それに最も忠実なメーカーがマツダであることはすぐにわかると思います。新型デミオも主戦場をヨーロッパに定めているようですが、その素性の良さは本国日本でも充分に通用するものであると、今回試乗してみて確信しました。現在コンパクトカーの購入を検討している方がいれば、一度はデミオに乗ってみることをお勧めしたいですね。
世間の風評を見ていると、「格好良いから」とか「玉木宏が宣伝しているから」という理由でデミオを選ぶ人もかなりいるようです。ただ、その内の何%かの人達が運転することの楽しさに気付いてくれれば、こちらとしては有難いと言えます。何故なら、それこそが自動車産業の活性化に、そしてスポーツカーの復権に不可欠な下地なのですから。
Posted at 2007/08/23 02:46:30 | |
トラックバック(0) |
車 | 日記
2007年08月10日
少々前のトピックになりますが、次期スカイラインクーペの生産モデルがお披露目されました。全体の雰囲気としてはデトロイト・モーターショウで発表されたコンセプトモデルよりも現行のセダンに近いと言えますが、エッジの効いたデザインはむしろクーペにこそ相応しくもあり、充分に華やかさを具えていると思います。強いて挙げれば、もう少しロングノーズ・ショートデッキであればより魅力的なのですが、恐らくコストの関係からそこまで変えることができなかったのでしょう。いずれにせよ、絶滅種となりつつある国産クーペの世界において新たなモデルが投入されることは諸手を挙げて歓迎したいですね。
一つ気になるのは、搭載されるエンジンの排気量が3.7Lだということです。車格を考えると別に違和感はないのですが、税金の面で少々苦しいことになるかと思われます。少なくとも、単なる車好きの若者が気軽に所有できる車種ではないと言えるでしょう。しかし、このようなクーペモデルが請け負う使命には、若者に夢や憧れを抱かせるということも含まれています。「いつかはああいう車に乗ってみたいなぁ」と思わせることが出来たら、そのモデルは成功したも同然です。果たして、次期スカイラインクーペはそこまでの存在になれるのかどうか、今から楽しみにして待ちたいと思います。
Posted at 2007/08/11 01:36:47 | |
トラックバック(0) |
車 | 日記
2007年07月03日
かねてより噂されていたBMW・1シリーズのクーペモデルの発売が遂に正式に発表されました。基本的にハッチバックモデルの派生車種であることからエクステリアデザインに目新しさは無いものの、手頃なサイズのクーペが一台増えたことは諸手を挙げて歓迎したいと思います。ただ、気になるのがパワーユニットのラインナップで、どうやら現状では2L直4エンジンを搭載する予定は無いようなのです。つまり、このクーペモデルは単純にハッチバックモデルと対になるのではなく、それよりも上級のグレードとしての役割が与えられていると考えられます。アウディのA5といい、この1シリーズクーペといい、やはりクーペというだけで格上げされてしまうのですね。贅を尽くしたグレードと庶民用のグレードが混在しても良いと思うのですが…。
ちなみに現段階では、3L直6(226ps/27.6kgm)と3L直6ツインターボ(296ps/41.4kgm)の2種類のガソリンエンジンが北米向けに用意され、本国ドイツではツインターボに加えて2種類のディーゼルエンジンがラインナップされるようです。以前このブログでも書いたとおり、私はBMWの直6に非常に興味があり、しかもそれがFRのクーペに載せられるのですから、今回のモデルの登場はまさに願ったり叶ったりと言えなくもないのですが、車両本体価格がおそらく500万くらいになることを考えると、いささか気が引けるのもまた事実です。アウディの次期A3のクワトロモデルやVWの次期シロッコの上級モデルが、1シリーズクーペよりもコストパフォーマンスに優れたモデルとして製作されることは想像に難くありません。特にVW及び次期シロッコに対しては、今のGTIで大いに満足(と同時に納得も)させてもらっていることから、漠然とした期待を抱いています。果たして1シリーズクーペは、これら後から出現するライバル達と正面から競合するようなモデルとしてデビューするのか、もしくは「同クラスで唯一のFRだから」という点にだけ頼って、今と同様にプレミアム性の上に安住したモデルとなってしまうのか…。ともあれ今は日本導入が決定される日を心待ちにしたいと思います。
Posted at 2007/07/05 21:54:08 | |
トラックバック(0) |
車 | 日記