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QLのブログ一覧

2012年11月07日 イイね!

The answer is blowing in the wind

唐突ではありますが、先月は多忙な日々が続いていました。その原因は、次期主力戦闘機の導入に関することです。少し前のブログで我が白兎が抱えている問題を報告したばかりなのですが、その後も他のトラブルが相次いで発生した(エンジンの吸気系の不具合、飛び石によるフロントガラスの破損、天井の内貼りの剥がれ等)ため、実は9月末に買い替えを決断したのです。それ以降は様々な手続きのため休日の度にディーラーへ通っており、またプライベートの諸事情もあって、10月中は遠出する時間も得られないような状態に陥っていました。

さて次の愛機についてですが、最終的にはVW ・シロッコ R-Line に決定しました。当ブログではシロッコについて割と嫌味なことを述べてきたため、結果として掌を返したと言われても仕方がありません。なので、以下でその経緯について説明させていただきたいと思います。

今回の件で最初の分かれ道となったのは、各部を修理して未来のゴルフVII GTI やビートルR 等を待つか、それともその修理代や下取り価格を頭金として次の車に乗り換えるか、ということでした。しかし、VII のノーマルグレードの日本上陸が来年5月であることを考えれば、次期GTI の導入が2014年春以降になるのは確実であり、そこまで期間が開いてしまうと修理しないわけにもいきません(特に異音は耐えきれない)。また、たとえ修理して乗り続けたにしても、別の箇所にトラブルが発生してまた費用が掛かる可能性も出てきますし、その間の車検代や下取り価格の下落も含めれば、損失の方が大きいといえるでしょう。そもそも、最近は私生活面でちょっとした変化が起きたことから、車への出費を抑える必要性に迫られ始めたところでした(どちらかといえば、これが最大の理由になるかもしれません)。そういうわけで、最初の選択肢としては買い替えを選んだのです。

次の分かれ道は、どの車にするかということでした。VW 以外で私が興味を持っていたのはマツダ・新型アテンザ、同CX-5、ホンダ・CR-Z、スバル・BRZ、アウディ・A1ぐらいでした。が、選択肢としては現行のGTI が一番無難であり、それを凌駕するほどの魅力が上の5車種にはありませんでした。ゴルフであれば何ら不満は無いし、以前からディープブラックのVI GTI は凄く格好良いと思っていたので、やがては「ごちゃごちゃ考えるくらいなら、さっさとこれに決めようかな」という気分になっていたのです。そんな状況下で、ふと気になったのがシロッコでした。シロッコはデビュー直後に2.0を一度試乗したきりだったので、ゴルフより旋回性能が高いということ以外はあまり記憶に残っていませんでした。しかし、CR-Zを検討しているうちに「それならシロッコもありじゃないか」という考えに至り、候補に含めることになったのでした。

此度の買い替えに際して、私は1.4、2.0(中古)、Rの全てのグレードを試乗することができました。そして、その中で運転していて最も楽しかったのが1.4でした。確かに2.0やRの方がパワーに余裕があって楽なのですが、ディーラーの許可を得て峠を走ってみたときには1.4の軽快感に感心させられました。1.4と2.0では車重が20kg程度しか変わらないのに、S字の切り返しなどでは1.4の方がかなり機敏に動いてくれます。これは軽さの影響というより、エンジンが非力な分だけ挙動をコントロールし易いからだと言えるでしょう。溢れるパワーをブレーキで抑えるのではなく、少ないパワーをアクセルで絞り出す方が、攻めている感じが強くて面白いことを再認識した次第です。私がマイカー選びの基準としていた「前車を抜きたいときに抜けるだけの加速力」という点で、痛痒感が残るのは否めません。ただそれを差し引いても、私には1.4の扱い易さが一番魅力的に感じられました。またインテリアに関しても、日本への導入直後はゴルフVと同じパーツが使われていたせいで興醒めしたのですが、2010年に本国仕様と同等になったことから質感が幾分向上していたので特に不満も無くなっていました。走りも内装も納得できるレベルで纏まっている上に、同じVW 車であること。最終的にはこれが決め手となって、シロッコが次期愛機の最有力候補として一躍浮上してきたのでした。

余談ながら、今回意外だったのはRの味付けがとてもジェントルであったということです。FFにしては過剰なパワーを有していながら、いつでもグリップを失わないようにコンピューターが上手く調整してくれるため、安心してアクセルを踏むことができます。足回りは一番硬いモードにしてもなお乗り心地が良いと感じられるほどであり、排気音も回転数を上げない限りはそれほど刺激的でなく、夜中に住宅街を走っても問題は無いでしょう。雑誌やネットの試乗記ではバリバリのスポーツカー的な評価をする向きが多いのですが、荒々しさという点ではV GTI の方が顕著であり、むしろ高級GTカーとしての性格が濃い部分に私は好感を覚えました。サーキットを全開で走るのも楽しそうですが、高速道路をゆったり流す方がこのモデルには相応しいのかもしれませんね。

話を戻しまして、最後の分かれ道はノーマルモデルとR-Line の選択でした。といっても、これに関しては最初からR-Line しか眼中にありませんでした。ノーマルモデルの外見的なネガを全て解消した専用エアロと内装の加飾だけでも元が取れるのに、なかなか格好良い18インチホイールが付いて29万円の差なら、こちらを選ばない手はないでしょう。ただし、そこで立ちはだかったのが納期の問題です。R-Line は殆ど受注生産に近く、在庫を抱えているディーラーが皆無なため、納期は最短でも来年の3月になるとのことでした。ノーマルモデルをコツコツとカスタマイズしていくのか、あるいはゴルフVI GTI にするのか、それともいっそ白兎を修理してVII GTI が導入されるまで乗り続けるのか…。9月末頃の私は、そういう妥協に迫られていたのです。ところが、10月に入ってすぐに他店で納車直前のキャンセルというイレギュラーな事態が発生し、交渉の結果その個体を譲り受けることができたことから、納期の大幅な短縮が可能となりました。そして、目途さえ立てばあとの話は早いもので、以後は各種手続きと白兎の下取り価格アップ作戦を実行に移すことになりました。偶然にも助けられたとはいえ、この一連の流れにおいて担当の営業さんとメカニックさんが果たした役割は大きかったと思います。諸々の理由により細かい内容は書けないのですが、普通のディーラーでは不可能な対応をしてくれたと言えるでしょう。かくして、今回の買い替え騒動は最初から最後まで予想外の展開を経て、一応の決着を見たのでした。



R-Line を選んだことで、当初は「もうこれ以上手を加える必要はないな」と思っていたのですが、最近ネットでシロッコ用のパーツを検索していると、興味深い物を幾つも見つけてしまいました。納車は今月の中旬になりそうですから、それまではパーツの購入予定リストの作成に勤しむ日々が続くことになるでしょう。高揚感というよりも、高枕安眠というか泰然自若というか、激動の一ヶ月を過ごしただけに、それが今の偽らざる心境ですね。
ちなみに、白兎は先月30日に某所で売却しました。初めての新車であり、一番長く乗った車でもある彼(彼女?)については、次回で語るつもりです。
Posted at 2012/11/07 04:17:04 | コメント(0) | トラックバック(0) | 日記 | 日記
2012年10月12日 イイね!

好感度 up ?

先日、別件でディーラーを訪れた際にVW ・up ! (4ドア)を試乗してきました。本当は先月の末にも試乗が可能だったのですが、その時点で既に二組のお客さんに先を越されていたので、あえて今月に延期したというわけです。周辺地域で私が最初ということであったなら、嬉々としてブログをアップしたのですけどね…。それはともかく試乗後の感想として、率直に言ってup ! は欧州で評価されているほど素晴らしいモデルではないと思いました。

まずエクステリアについては、VW らしくシンプルかつクリーンに纏められていて、なかなか格好良く見えます。特に上級モデルのhigh up ! はアルミホイールも装着しており、フロントバンパーやリヤゲートの個性的なデザインと相俟って、未来的という観さえあります。曲線を多用した有機的なデザインに関しては国産車も悪くないのですが、直線を組み合わせた幾何学的なデザインに関しては、やはり欧州車の方が一枚上手ですね。
次にインテリアについてですが、さすがにポロほどではないにしても、ビートル並には良い質感を表現できています。少し前に知人がフィアットのチンクエチェント(ラウンジ)を購入したので試乗させてもらったのですが、その時に感じたことと同様で、同じプラスチックのパーツでも造形や塗装に拘ることで、ある程度質感を高めることができるのだなと強く認識させられました。運転席の頭上空間は、ポロよりも余裕があります。逆に後部座席と荷室が狭いのは、このサイズの車としては仕方のないことです。よく評論家などが「大人4人が乗車するのに充分な空間」などと書いていますが、ポロの後部座席ですら30分以上は御免被りたいのに、それより狭いup ! が「充分」なわけがありません。リヤは子供用か荷物置きと割り切る方が正解ですね。リヤウィンドーがはめ込み式なのは、あまり気にしなくてもよいかと思います。換気性能では通常の上下にスライドするタイプよりも、こちらの方が優秀なはずです。一つ難点を挙げるなら、エアコンのセンターベントがダッシュボードの上に付けられていることです。これだと、PNDの設置箇所次第では風の流れを完全に遮ることになってしまいます。何か設計上の避けられない理由があったのか、それともデザイナー間の連絡がうまくいってなかったのか、この点だけは謎ですね。
最後に走りについてですが、ここは賛否両論に別れるところだと思います。乗り心地やステアリングの感覚などは同価格帯の国産車よりしっかりしていて、たとえ安くともドイツ車であることを実感させてくれます。問題は、新型のトランスミッションであるASGの変速ショックが大きいことです。MTをコンピューターに制御させているだけのASGは、スマート・フォーフォー(チンクを購入した知人がその前に所有していた)のトランスミッションとフィーリングが非常に似ていて、特に1速から2速に入る時に大きな揺れが発生します。変速する瞬間に軽くアクセルを抜くとか、あるいはマニュアルモードで走るとかすれば、ある程度ショックを打ち消すこともできるでしょう。しかし、そもそも日本においてこの手のコンパクトカーを買う人々が望んでいることは、如何に安楽に運転できるかであって、あれこれテクニックが要求される時点で、このモデルは日本のユーザーに受け入れらにくいと言えます。多少価格が上がっても7速DSGにするか、せめて普通のATでも載せておけば、国産車からの乗り換え客をより多く獲得できるのでしょうが…。他の部分の造りが良いだけに、とても残念でなりません。

結論として、VW ・up ! は基本的に上質でありながら、あまり他人に薦められないモデルだということになります。過去のブログを読んでいただければわかるように、私はup ! に対してあまり良いイメージを抱いてなかったのですが、それが覆されたのは内外装の質感やステアフィールに関する部分だけで、トータルで判断すればやはり国産のコンパクトカーや軽自動車の方がお買い得であると言えます。将来的に完全EV化されカーシェアリング型のシティコミューターとしての役割が与えられたとき、つまり自動車という乗り物に対する概念を変革する任務が達成されたときに、up ! は初めて真の評価を獲得することでしょう。こんな「未完成」な状態で販売を開始するくらいなら、bulli の市販化を実現してくれた方がまだ面白いし、実際に売れるのではないかと思います。
Posted at 2012/10/12 10:30:21 | コメント(0) | トラックバック(0) | | 日記
2012年09月14日 イイね!

Cセグメントの新基準

先日、ベルリンでVW によるメディア向けのプレゼンテーションが行われ、そこで新型ゴルフ(通称ゴルフVII )が公開されました。
新型はボディサイズが全長4,255mm(先代比+56mm)、全幅1,799mm(+13mm)、全高1,452mm(-28mm)となっており、若干のワイド&ロー化を果たしています。また、ホイールベースも2,637mm(+59mm)に延長され、主に後席と荷室のスペースが拡大しています。注目すべきは車両重量で、明らかにサイズアップしたにも係わらず先代比で100kg近くも軽量化されています。これは事前に発表されていた新型アウディ・A3のスペックからも予測できたことではありますが、改めてVWグループの技術力というか、基本性能の向上に対する執念に驚かされます。
新型では安全装備の充実も図られており、衝突や追突の後でブレーキを自動的に作動させる「マルチコリジョン・ブレーキ」、「ACCアダプティブ・クルーズコントロール」、レーダーを使った前方危険感知システムである「フロント・アシスト」、車線から逸脱しそうになるとステアリングを修正してくれるレーン・アシスト、駐車時にセンサーで障害物を感知し車両の周囲360度をモニターに映し出すパーキング・システム、さらには交通標識認識システムなど、様々なデバイスが選べるようになっています。しかも、今まではGTI のみに装備されていたXDS(電子制御式ディファレンシャルロック、という名の内輪強制ブレーキシステム)が、新型では全グレードに搭載されるそうで、走行性能の底上げにも余念がありません。
搭載されるエンジンの種類に関しては、私自身200ps以下の物に興味がないので、ここでは省略させていただきます。ただ、唯一目を惹かれたのが2.0 ℓ のTDI で、最大出力150ps、最大トルク32.6kgm(1,750〜3,000rpm)、燃費24.3km/ℓ というスペックは、「速さはいらないけど余裕は欲しい」という贅沢な街乗り派や、もしくは高速道路を多用するロングツーリング派にピッタリではないかと思います。国産車・輸入車に係わらず、消費者の選択肢を増やすという意味でディーゼルモデルの増加は歓迎すべきことですし、VGJ には国内導入に本気で取り組んでほしいところです。
エクステリアのデザインについては、かつてのゴルフIV と同様に、大量生産の実用車として満点に近い完成度を具えていると言えます。最近のVW らしく直線を基調としていますが、垂直水平に近い線が多いポロやパサートに比べ、新型ゴルフは斜線の組み合わせが多いため、よりシャープでスポーティに見えます。個人的な意見を挙げるなら、テールランプの内側を鋭角風にしたのは失敗でしょう。元来塊感の強いリヤセクションの中に尖った形のテールランプを配置することで、少しでも軽快感をアップさせたいというデザイナーの狙いはわかるのですが、実用車の鑑たるべきゴルフに求められるのは安定感や質実剛健さであり、そこだけは水平に近いラインで纏めた方がスッキリして良かったのではないかと思います。インテリアに関してはセンターコンソールがドライバーの方に向いているなど、実用性を損なわない範囲で個性が与えられていて良い感じです。特にシルバーのパネルを装着しているタイプは室内の雰囲気がパサートに似ていて、一クラス上の高級感を醸し出しています。はっきり言って、「これじゃアウディ・A3は必要ないな」というのが私の本音であり、クワトロ以外のモデルは現時点ですでに検討対象外となってしまいました。今はそれよりも、次期GTI がどういうデザインになるのか、ということの方に興味がありますね。

以上のように、新型ゴルフに対してかなり好意的な私ですが、どうしても気になる点が一つだけあります。それは、トレッドの拡大(フロントが+8mmで1549mm、リアが+6mmで1520mm)によって、コーナリング時のスタビリティが改善されたか否か、ということです。数年前にオーバーフェンダーを付けたゴルフVI のテスト車両がスクープされて以来、新型のトレッドが拡大されることは公然の秘密とされていましたし、私としてはシロッコのようにリヤの方がワイドになることまで期待していました。しかし、実際は全体的に一回り大きくなっただけで、挙動に変化をもたらすような要素は見当たりません。ホイールベースが延長されたことで高速時の直進安定性が増したことは想像に容易いので、あとはそれが旋回時にも好影響を及ぼしていることを祈るばかりです。
Posted at 2012/09/14 20:23:36 | コメント(0) | トラックバック(0) | | 日記
2012年09月07日 イイね!

5年目のトラブル

購入してから約5年半の間、これまで無病息災で過ごしてきた我が白兎ですが、実は最近あるトラブルに悩まされています。そのトラブルとは、ギアボックス周辺から金属的な異音が発生することです。異音は減速時と停止時にしか鳴らず、少しでも加速状態になるとピタリと止みます。また、毎日鳴るわけでもなく、まるで何事もないかのように全く静かな日もあったりします。シフトチェンジは従来通りとてもスムーズに行えているため、機械的に壊れているわけではないと思うのですが、何せ音が大きく甲高いので、信号待ちなどの時は恥ずかしい思いをしています。
DSGは構造が特殊なため解体が不可能であり、完全修理(新品に交換する)には100万円以上かかります。ディーラーのメカさんによると、故障の発生率はすごく低いらしいのですが、運悪くそれに該当してしまった場合、オーナーさんの多くは中古のDSG(30万円くらい)に換装して対処しているようです。ただ、私のケースで気になるのは、ギヤやシャフト以外の何か細かな部品が擦れ合って異音が出ているだけで、この先深刻かつ危険なトラブルには発展しにくいということ、つまり五月蠅いのを我慢すればそう大袈裟な問題ではない、ということです。果たして、それに30万も払う意味があるのかどうか、悩ましいところです。まあ、3日間以上連続で鳴り続けるような事態にでもなれば、恐らく我慢出来ずに換装することになるでしょうけどね。今はそうならないことを祈るだけです。

そういえば、先日マツダの新型アテンザとVW の新型ゴルフが公開されました。両方とも以前からかなり期待していたモデルなので、近いうちに感想をアップしたいと思います。
Posted at 2012/09/07 21:49:44 | コメント(0) | トラックバック(0) | 日記 | 日記
2012年05月15日 イイね!

実は玄人向け?

半年以上も当ブログを放置しておいて誠に申し訳ございません。突然の復帰ではありますが、先月にスバル・BRZの試乗に行ってきたので、今回はその感想を述べてみたいと思います。

まずエクステリアについてですが、事前の情報通りボンネットの位置が低く、ルーフ高も想像以上に低いものでした。また、写真ではモッサリしている感じのリヤセクションも、実物は割とシンプルに見えたりします。下手な喩をするなら、かつてのトヨタ・サイノスβを、全高を変えずに前後左右に引き伸ばしたような感じでしょうか。マツダ・ロードスターを除けば、現在の国産車としては外観上の無駄が少ない、かなりシャープなデザインのモデルであると言えます。トヨタ・86とはフロントフェンダー上端のパーツと、バンパーの形状において差異があるのですが、私としてはBRZの方がスッキリしていて好きですね。ちなみにボンネットを開けてみたところ、エンジンルーム内にはまだ若干の余裕が残されており、何かしらのパーツを追加で搭載することは可能なようでした。しかし、噂になっているターボ化については、補機類の配置的に難しいのではないかと思われます。エンジンルーム内でもう一つ目につくのはハの字に取り付けられた補強バーで、営業さん曰く、これが無いとフロントの剛性がかなり落ちるそうです。あと面白いのが、エンジンカバーに「D-4S」というオーナメントがデカデカと、それも「BOXER」のバッジより上部に貼られていることです。「おいおい、お前さんのところは今回そんなに偉そうにできるほど頑張ってないだろう」と、初めは私も思いました。しかし、そういうシニカルな気分は後に良い意味で裏切られることになります。この辺についてはドライブフィールの段で触れることにしましょう。

次に車内についてですが、運転席は頭上も足元も特に窮屈ということはなく、適度にタイトで心地良いです。意外だったのは着座位置で、外観から予想されるほど低くありません。それというのも、イメージキャラクターに黒木メイサを採用しているように、スバルとしては割と本気で女性客の獲得を考えているらしく、その座高に合わせて(つまり男からしてみたら若干高いアイポイントで)着座位置を設定しているからです。ボンネットが低いせいもあって見晴らしが良いのは助かるとしても、コスモのような「尻で路面をなぞる感覚」が希薄なのは少し残念でした。もっとも、それ以上に気になったのがインテリアの質感です。同日の夕刻に訳あってダイハツ・ムーヴカスタムのターボ版に試乗したのですが、メーターパネルに関しては間違いなくあちらの方が上質でした。BRZはダッシュボードのパネルやエアコンダイヤルなどのパーツも、メッキ処理もクリアコーティングもされていないので、露骨にチープに見えてしまいます。本当のスポーツカー乗りからすれば、内装など重要でないのかもしれません。ただ、アウディ・TTのようなスポーティクーペが好きな身としては、多少価格が上がってもインテリアにもコストをかけてほしかったというのが正直なところです。いずれ各社からアフターパーツが数多く出るでしょうから、そこに期待するしかないですね。

次は実際に運転してみた感触についてです。高速域での限界性能については評論家や他のみんカラユーザーさんにお任せするとして、ここでは街中を流したりワインディングを楽しんだりする程度の観点から語ることにします。BRZの特徴として最も気に入ったのは、FR車らしからぬ安定性の高さでした。重心高を下げることに拘ったという開発陣の弁に偽りはなく、直進時でも旋回時でもこの車はまさしく路面に吸い付くように走ってくれます。足回りのセッティングに関して、86が前柔後硬、BRZが前硬後柔であることは周知の通り(営業さん曰く、そういう味付けの違いを指示したのはトヨタの章男社長であるらしい)ですが、それを差し引いてもBRZのスマートな身のこなしには純粋な驚きがありました。この「安定性」という点については、もう少し説明を加えたいと思います。実は去年の秋頃、デビュー直後のBMW ・1シリーズの試乗に行ってきたのですが、これがあまりにも期待にそぐわない代物であったため、当ブログに試乗記をアップするのをやめました。それというのも、新型1シリーズは普通に走行している状態ではリヤを引きずっていると表現できるほど挙動が落ち着いているため、何の面白味も感じられなかったからです。電子制御の介入によって強制的に滑らなくしているようなフィーリングが顕著過ぎるのです。超フロントヘビーで強アンダーなコテコテのFF車に毎日乗っていると、たまに乗るFR車に対してニュートラルで軽妙なハンドリングを期待してしまうのですが、新型1シリーズからその喜びを得ることは困難であると言えます。それに対し、BRZが示す安定性とは重心の低さや足回りのセッティングを含めたシャシーのキャパシティに由来するものであり、「もっと前に進める」「もっとアクセルを踏んでも良い」とドライバーのヤル気を喚起してくれます。同時に、車を自在に振り回す技術が無い私としては、皮肉にも「これは限界を追及するのが厳しそうだ」と痛感した次第でもありました。接地感についても、インプレッサやレガシィのようにタイヤ4本で路面を掴む、もしくは路面を引っ掻くという感じではなく、ボディとエンジンの重量が4輪に綺麗に分散されて、その自重のみで路面に貼り付いているといった感じなので、スバル製のスポーツカーにしてはステアフィールが爽やかであるだけでなく、乗り心地も意外に良かったりします。BRZがポルシェ・ケイマンを一つの指標として開発されたらしいのですが、仮にポルシェが300万で買えるスポーツカーを造ったとしても、やはり同じような物が出来上がるのではないかと思えるほど、BRZの基本的な走りの質感は高いと言えます。街乗りやワインディングを楽しむ分には、もうこれで充分でしょう。あとは限界走行時のポテンシャルが如何なるものなのか、各雑誌やユーザーさんの情報・評価に注目したいところですね。

次はエンジンとトランスミッションについてです。先にトランスミッションについて述べると、スポーツカーに載せる6段ATとしては可もなく不可もなくといった感じでしょうか。マニュアルミッションの旨味を再現してくれるAT(シフトチェンジがスムーズかつ一瞬というだけなく、それなりにダイレクト感が味わえる)という意味では、VWグループのDSGがベストであると私は考えているので、この辺については最初から他社の車に期待していません。それでも運転していて特別痛痒を感じることはなかったので、BRZのATもなかなか出来が良いのかな、と思います。マニュアルモード時のシフト操作が「引いてアップ、押してダウン」であるなら、もう少し評価が上がります。が、そもそもマニュアルで乗るべき車なので、そういう部分はどうでもいいような気もします。とりあえずAT派の人でも走りを楽しめることは間違いないですね。それより大事なのは、エンジンの性能に関することです。我が白兎の直4ターボが同じ200psながら最大トルク28.6kgmを1800~5000rpmの間で発揮するのに対し、BRZの水平対向NAはトルクの盛り上がりが3000rpm辺りで一回(およそ20kgm)、6000rpm辺りでもう一回(ここで最大20.9kgmに達する)というふうにM字曲線になっており、少々中弛みする傾向があります。つまり、BRZはGTI ほどの中間加速が得られないのです。私はマイカー選びの条件として、いつでも前車を抜き去れるくらいのダッシュ力を求めるのですが、BRZでそれを試してみたところ、やはりイメージ通りに加速しないもどかしさを覚えました。ちなみに、先に挙げたトヨタの「D-4S」はエンジンの全回転域でレスポンスを良くするための燃料噴射システムであり、トルクの中弛みを抑える働きもしています。この技術がなければもっとダルイ加速しかしないのだということを考えると、今回ばかりはトヨタも的確に貢献していると言えます。もしこの点を改善するなら、排気量を上げるかターボ化するしかありません。個人的にはターボ化にもスーチャ装着にも抵抗はないのですが、エンジンルームの制約とコンセプト的な問題により、実現する可能性はかなり低いのではないかと予想されます。やはり、シフトをマニュアルで操作してエンジンの美味しいところを使うというのが、この車の正しい乗り方なのかもしれませんね。

最後に明らかに不満な点を一つ挙げます。それは、サウンドクリエーターというエンジンの音をドライバーに聞かせる装置です。マツダ・ロードスターにもサウンドエンハンサーというものがありますが、あちらは前から後ろへ音が流れていくのに対し、BRZの場合はほぼ真横からドライバーの顔めがけて音がぶつかってくるような感じになります。しかも、ボクサーエンジン自体が低い音しか出さないため、どれだけ回しても高揚感が得られません。インプレッサのようにタービンの回る音が混じっていればまた違う雰囲気にもなるのかもしれませんが、基本的には不要な装置であると言えるでしょう。こういう下らないことにコストをかけずに、もっと真面目に内装の質感向上に取り組んでもらいたいものです。

総合的な結論を述べると、スバル・BRZは「買い」なモデルだと思います。車に興味の無い若者や女性を振り向かせるほどの魅力はありませんが、車好きな中年男性が再び走り屋を始めるためのベース車両としては優れた資質を備えています。お金をかけてチューニングすることを厭わないのであれば、この車はかなり高いレベルでの「リターン」をもたらしてくれるはずです。周囲でスポーツカーに乗りたいという人がいたら、積極的に勧めてみても良い一台ですね。今後しばらくの間、日本のスポーツカーに関する話題はBRZと86を中心として展開されることになるでしょう。そして、その流れで他社からも新たなモデルが続々と出てくるのだとしたら、BRZと86は日本スポーツカー史上の中興の祖として歴史に刻まれるかもしれません。両車にそれだけのポテンシャルがあるのは事実ですし、そういった意味では今回はトヨタとスバルの仕事ぶりを素直に称賛したいと思います。

ただし個人的な意見を述べると、現行のBRZが購入対象の第一候補に上ることはありません。この先STI が250ps/30kgmくらいの出力で低速域からトルクが沸いてくるモデルを造ってくれるなら話が別ですが、内装にそれなりの質感を求めつつ楽に速く走りたいという本物のスポーツカー乗りではない私としては、依然として次期ゴルフGTI や次期A3、まだ見ぬビートルRやポロR、あるいはBMWの新型3シリーズやTAKERI をデザインベースとしたマツダの次期アテンザの方が魅力的に思えるのです。以前から予測していたとおり、今年は面白そうな新型車が数多く発表されそうなので、それらを楽しみに待ちたいですね。
Posted at 2012/05/15 21:31:34 | コメント(0) | トラックバック(0) | | 日記

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