• 車種別
  • パーツ
  • 整備手帳
  • ブログ
  • みんカラ+

QLのブログ一覧

2011年09月29日 イイね!

エコよりエゴ

先日、フランクフルトモーターショーが開幕しました。内容的には今年度の他のモーターショーに比べてそれほど華やかでもないのですが、個人的にはこのフランクフルトが一番興味深かったりします。それというのも、最も身近なメーカーであるVW から面白そうなモデルが二つも発表されたからです。以下はそれらについてと、もう一車種について、感じたことを書き連ねてみたいと思います。

■ビートルRコンセプト
端的に言えば、次期愛車候補の大本命です。シロッコに裏切られた私にとって、新型ビートルのRバージョンの生産は一縷の希望であったのですが、それが今回のモーターショーでほぼ確約されたことになります。正直なところ、私はビートルという車種にそれほど関心を持っていたわけではありません。私が好きなのは「2ドアのクーペ」であり、そういった意味ではアウディ・TTでもホンダ・CR-Zでもトヨタ・FT-86でも良いのです。しかし、コストパフォーマンスの点でVW 車に勝るのはなかなか難しく、そんな折に発表された新型ビートルのデザインがやけにクラシカルかつシンプルで格好良かったことから、俄かに興味を持ち始めたというわけです。FT-86(もしくはスバル・BRZ)はまだ詳細なスペックが明らかにされていないですし、BMW の新型1シリーズにもかなり惹かれるのですが、とりあえず今後の乗り換え計画はこのモデルを軸として進めていくことになるでしょう。
エクステリアやインテリアのデザインについては、このままでもOKかと思います。さすがに20インチのホイールは頂けないですが、いざ販売となれば18か19インチに下げてくるはずです。全幅がノーマルモデルに比べて30mm 拡大されている点は少々気になりますね。トレッドを拡大した結果であるのなら良いのですが、リム幅の大きなホイールを履かせるためにフェンダーを広げているのなら納得できません。4モーション搭載ならば8J (なんなら7.5J )でも充分だと思います。タイヤの幅でグリップを稼ぐという方法はやめて、ハルデックスとXDSの能力をフル活用した前後左右のトルク配分の妙技でコーナリングスピードを高めて欲しいところです。エンジンはまず間違いなくゴルフRやシロッコRと同じものが積まれるでしょう。客層もゴルフRのそれより若くスポーツ志向が強いことが予想されるので、ROMチューンで簡単に300psオーバー → サーキット走行、というのがトレンドになりそうです。実際のところ、具体的な情報は何も出ていないのですが、このモデルに関しては大いに期待したいですね。

■ポロR WRC
以前から登場が噂されていたポロRが、遂にその姿を見せました。エンジンは1.6L直4ターボで300ps / 35.7kgmを発揮し、駆動方式はフルタイム4WD、車重はWRCの規定により1200kgとなるそうです。このまま市販されることはまず無いでしょうが、エンジンを200~250psくらいにデチューンしたモデルが必ず登場するはずです。車格と車重を考えれば、こと峠においてはインプやランエボと互角に戦えるでしょう。逆に、サーキットや高速道路などのハイスピードなステージおいては、スタビリティやサス・ブレーキのキャパの面で不利を被ることになると思います。もちろん法定速度内で走行する限りは何の問題も無いのですが、ここまでスペックが良いとどうしても「そっち方面」での性能に期待してしまいます。
シトロエンやフォードがC4やフォーカスRSのWRCモデルをレプリカとして限定販売しただけなのに対し、VW はポロRを量産前提で開発しています。企業としての体力が違うとはいえ、このような姿勢はもっと評価されても良いのではないでしょうか。現在、スズキからはスイフトスポーツの新型が発表され、MINI からは小さくも凛々しいクーペが登場し、アウディもA1のクワトロモデルをテストしている状況です。今後は世界規模でホットハッチというジャンルが再び隆盛を迎えるのかもしれませんね。
ポロRの3ドアが国内に導入されるのであれば、これは私にとってビートルRの強力な対抗馬となります。今はあれこれ夢想して楽しんでいるだけですが、来年の今頃には切実な悩みになっているかもしれないし、むしろそうなっていてほしいなと思います。

■up !
フランクフルトショーではVWに関してもう一つ大きなトピックがありました。それは数年前から開発が公にされていた次世代型コンパクトカー「up !」の登場です。むしろ今回のショーにおいては、このモデルをお披露目することがVWの最大の目的であったと言えるでしょう。かつてショーカーの「IROC」が「SCIROCCO」の原型として発表されたことから、「up !」も販売時には「LUPO」と名乗るのではないかと噂されていましたが、実際はそのままになるようです。up !という名前の格好悪さと、旧ルポの知名度の高さを比較すれば、VW の首脳部には今からでも遅くないから是非とも考え直してほしいところですね。
このモデルの詳細については各サイトで確認して頂けるかと思います。率直に言うと、私は何も魅力を感じませんでした。強いて挙げるなら、バギーup !が面白そうかなと思ったくらいです。何故魅力を感じないかというと、それはパッケージングの面で革新的と呼べる部分が全く見当たらないからでした。もっと簡単に表現すれば、「これなら軽でいいじゃん」ということになります。
コンパクトカーが商品として成立するためには、まず何よりも安価であることが優先されます。up !は一般的な軽自動車よりもお手頃なのでしょうか?次にコンパクトカーにとって大事なのは、日常生活における利便性です。up !は一般的な軽自動車よりも広くて乗り降りがし易いのでしょうか?また、現在ではコンパクトカーといえども多少の趣味性(多様性)は必要です。複数のメーカーから把握しきれないほどの種類が販売されている日本の軽自動車群の中に置いてもなお、このup !にはキラリと光る何かがあるのでしょうか?プレス向けのリリースでは盛んに技術面での先進性をアピールしているようですが、それらは全てup !以外のVW 車にも搭載すべき技術であり、このモデルの個性と呼べる要素とはなりえません。そのおかげで価格がポロに近づくのであれば、本末転倒ですからね。どちらかといえば、それらの新技術は満を持して登場するであろうゴルフVII にまとめて搭載するほうが、世間に対して強烈にアピールできるのではないかと思われます。
結論を述べるなら、このup !というモデルは軽自動車の文化を持たない欧州のメーカーが初めて造った軽自動車であり、欧州市場での新たなジャンルの始祖とはなりえても、初代ビートルや初代ゴルフのような自動車業界全体での革新を起こしうる存在とはなりえないと言えます。初代ビートルや初代ゴルフが絶賛されたのは、当時の基準としてそれ一台で充分だと思わせるくらいにパッケージングが優れていたからでした。史上初の「安価に販売される電気自動車」、あるいは史上初の「カーシェアリング用シティコミューター」としてup !がデビューするのであれば、まだ一応の評価もできる(私はそれを期待していた)のですが、残念ながら現状では単なる小型車という以外に何もエポックメイキングな部分は見当たりません。2013年に電気モーターのモデルを追加するというなら、それまで発売を延期しても良かったのではないか…。それが、私の偽らざる感想です。


今回のフランクフルトショーでは、VW 以外のメーカーに関して、個人的にはさしたる感慨を抱くことがありませんでした。いや、より正確には、またしてもトヨタとスバルが確定的な情報を何も出さなかったせいで他に書くことがなかった、というべきでしょうか。スポーツカー好きの日本人にとって今年最大のイベントは、やはり東京モーターショーまで持ち越されることになりそうです。果たして、その時展開されるのは拍手喝采の絢爛絵巻か、はたまた阿鼻叫喚の地獄絵図か。あともう暫く期待をして(あるいは手薬煉を引いて)待っていたいと思います。
Posted at 2011/09/29 01:39:06 | コメント(0) | トラックバック(0) | | 日記
2011年08月03日 イイね!

まだ鞘の内

大した用事もなかったのに日々漫然と過ごしていた結果、いつのまにか8月になってしまいました。すでに上海やニューヨークのモーターショーですら終息し、来月のフランクフルトショーが待ち望まれる中、もはや殆どの方が忘れかけているのではないかと思われる3月のジュネーブショーについて、感想を述べてみたいと思います。

■アウディ A3コンセプト
個人的には今回のショーで最も注目していた1台でした。しかし、実際に展示されたのは未来のS3らしきハイパワーモデルだけで、庶民用のグレードに関しては残念ながら何もアナウンスがありませんでした。外観は、特にリヤの造形がB6型A4に似ており、端正に纏められていて私は好きです。サイドビューも、FFベースのシャシーにしてはキャビンが後方寄りになっていて、非常に格好良いです。ドアミラーやドアノブのデザイン、内装の大雑把さを見る限り、まだまだコンセプトの域を脱していないのは明らかであり、生産型には何らかの変更を加えてくるでしょう。かねてよりアウディの赤いセダンに憧れている身としては、次期A3は実現可能な夢でもあります。現行モデルと同様にクワトロ仕様を500万円以内に設定してくれることを切に願いたいですね。

■トヨタ FT-86Ⅱコンセプト
2009年の東京モーターショー以来の登場となったFT-86に関しては、多少グラマラスになったとはいえ、基本的にはキープコンセプトなデザインのままであり、特に衝撃は受けませんでした。今回の展示でわかったのは、やはりこの「ハチロク」は軽快なスポーツカーとしてではなく、GT的な性格が強いモデルとして開発されているということです。私の周囲ではAE86的なコンセプトを望む声が強く、それゆえこのFT-86に対して批判的な人が多いのですが、私はむしろこちらの方向性で正解だと思っています。マツダ・ロードスターを見れば、現代の安全基準と限られた予算の枠内で軽量・コンパクト・高剛性というモデルを造ることが如何に至難の業であるか、容易に推測できるでしょう。逆に、本気で軽量化に取り組んだモデルがどれほど高額になるかは、ロータス・エリーゼを例に見れば明らかです。過去の理想を求めるような非現実的な願望を反映するよりも、このまま日産・フェアレディZやアウディ・TT と同種の中量級GTとして開発を進めた方が、セールス的にも間違いが少ないと思われます。以前も述べましたが、そもそもこの「ハチロク」という名前が持つ意味を当のトヨタ自身理解できていないことが、無用な誤解と批判を招く原因になっています。トヨタのクーペなら、素直に「レビン」か「トレノ」もしくは「セリカ」と名付ければ良いのです。AE86の伝説から解き放たれて、しっかりと21世紀型のスポーツカー像を提示できるか否か。FT-86の成功は、その点に掛かっていると言えるでしょう。もっとも私にしてみれば、高級ハイブリッドGTと噂される次期スープラこそ、一刻も早く登場してほしいのですけどね。

■スバル BOXER Sports Car Architecture
今回のショーで伏兵的な存在だったのが、このスバルのコンセプトカーでした。FT-86の内部図解用のモデルかと思いきや、実は全長・全幅はFT-86よりもコンパクトであり、ライトウェイトスポーツという意味ではこちらの方に好感が持てました。会社の経営状況を考えれば、FT-86とトレッドの異なるモデルを独自に生産することは限りなく不可能に近いことであり、私もそんなに期待はしていないのですが、同じスポーツカーならトヨタ製よりもスバル製に希望を抱くのは大方の心情でもあるでしょう。ターボと四駆の力でパワフルに突き進むのではなく、非力ながらも切れ味鋭い旋回性能で勝負するマシン。ホンダやマツダが目指す理想に、スバルも一度くらいは挑戦してほしいものです。


後からこんなことを言うのも難なのですが、上記の文章は3月中にほぼ完成しており、そのままアップすることも可能でした。それが今まで伸びた理由としては、もちろん私自身のサボり癖が第一の問題ではあるのですが、正直なところ今回のジュネーブショーが少々期待外れであったことも、ある程度影響しています。そもそも私が興味を持っていた上の3車種について、市販モデルに関する確定的なスペックは未だ何も公開されておらず、まだまだ開発中の段階であることは明白です。これでは、如何に妄想が得意な私としても気分が乗らないのは仕方のないことでした。
現在の私としては上海のショーで公開された次期ビートルの方に全力で注目しています。このモデルについては、すでに欧州での試乗記も出回り始めていて、販売開始に向けてこれからも情報が増えてくるはずです。日本導入は来年になると思われますが、それまでには一度このブログで取り上げてみたいと思っています。
Posted at 2011/08/03 23:52:13 | コメント(0) | トラックバック(0) | | 日記
2011年02月23日 イイね!

新時代への予兆

今日はディーラーに行って、リアのスタビ、左フロントのシャフトブーツ、右のドアミラーを交換してきました。経年劣化で痛んだシャフトブーツやドアミラーはともかく、最も肝要だったのはスタビで、今回交換したのは左側の吊るしてあるところから後ろの部分がものの見事に折れていたからでした。別にサーキットを走ったわけでもなく、何かに乗り上げたことも無いのに、3年もせずにスタビが折れるとは、かなり意外でした。「スタビが折れるなんて聞いたことないですよ」と言っていたディーラーのメカさんが、いざジャッキアップして現実を目の当たりにした瞬間、唖然としてしまったのも仕方の無いことでした。ほぼ同じ時期に付けたフロントのスタビには何も異常が無いことから、やはり剛性の問題かと思われます。因みにフロントはCOX製で中実タイプ、リヤはNEUSPEED製で中空タイプを装着していました。製品の個体差もあるでしょうし、純正より軽量なのはとても魅力的なのですが、一度こういう経験をしたからには、今後私が中空タイプを買うことはまず無いでしょう。結果として前後ともCOX製で揃えることとなり、設定もメーカー推奨の「前強後弱」に変えたことことから、ハンドリングが頗る素直になったことは怪我の功名でした。やはり、車のセッティングに関しては変な意地を張らず、先達の意見に従うほうが無難なのかもしれませんね。


さて、約1年近くもこのブログを放置していたにも関わらず、まるで何事も無かったかのように再開して申し訳ないのですが、そもそも私がブログを中断していたのには主に二つの理由があったからでした。そのうちの一つは、ヨーロッパの各メーカーが本腰を入れて開発したモデルが登場するのは2012年以降であり、それまでにデビューする中継ぎ的なモデルに対してあれこれ述べるほどのモチベーションが私にはなかった、ということです。御存知のとおり、2012年以降ヨーロッパでは新基準の排ガス規制が適用されることとなっており、各メーカーとも数年前からそれに適応したモデルの開発に取り組んできました。VW のTSI に象徴されるパワーユニットの小型化や極低燃費化、ハイブリッドおよびEV等の次世代技術の急速な進歩も、全ては新しい排ガス規制に合わせるためでした。別の視点に立つなら、ここ数年の間メーカー同士の合従連衡や共同開発が頻繁に起きていたのも、この規制の罰則から逃れるためだったと言えるでしょう。私としては、各メーカーの真打モデル(次世代の中核となるモデル)が登場するのは、2013年以降であると予想しています。まだまだ先の話ですね。
では何故、今頃からブログを再開したのかというと、来月に開催されるジュネーブショーで興味を惹かれるコンセプトモデルが幾つか展示されるようだからです。特にアウディの次期A3は、同社の未来のラインナップ、あるいは満を持してデビューするであろうVW ・ゴルフVII の概要を推測する上でも興味深いモデルとなるはずです。また、次期インプレッサやFT-86II も公開されるそうなので、そちらにも大きな期待を抱いています。要するに、これから面白そうなモデルが続々と出てきそうなので居ても立ってもいられなくなったというのが、ブログ再開の正直な理由ですね。車だけでなくそれ以外のことに関してもまた以前と同様に好き勝手に感想を綴っていきたいので、暇なときにでも覗いて何かの参考にして頂けたら幸いに思います。


そういえば、先日アウディのA1を試乗してきました。足回りやブレーキがポロよりしっかりしていて好印象だっただけでなく、内装に関しては確実にA3よりも上質であり、特に4ドアを必要としないのならゴルフからの乗り換えも問題ないと思いました。中でも気に入ったのがコンペティションパッケージに付いてくるリヤルーフスポイラーで、もし私がA1を購入するならば是が非でも取り付けることでしょう。あとは、200psくらいのエンジンを積んでクアトロで武装してくれれば希望通りなのですが、どうやらそういったモデル(通称S1)の開発も着々と進んでいる様子…。今年は新型ニュービートルも登場する予定ですし、やはりVW ・アウディからは目が放せません。
Posted at 2011/02/25 03:43:51 | コメント(0) | トラックバック(0) | 日記 | 日記
2010年03月02日 イイね!

21世紀のCYBER SPORTS

21世紀のCYBER SPORTS本日は近所のホンダーディーラーへ行って、CR-Zを試乗してきました。この車に関しては2007年の東京モーターショーでコンセプトモデルが発表されたときから興味を持っていたのですが、先日会社の同僚がディーラーで展示車両を見てきたらしく、しきりに「格好良かった」と言うので、果たしてどれほどのものか確認してきたというわけです。
まず外観についてですが、これはもう本当に格好良いです。ディーラーの玄関に置いてあるのを一目見たときから、心をグッと掴まれてしまいました。ネットやカタログで見る画像と肉眼で見る実物とでは、受ける印象がかなり違います。車両単体で写っている画像などを見ると、リヤ周辺の塊感が強烈で割と重そうな雰囲気すらありますが、実物は全体的にコンパクト、かつフロントもリヤもフェンダーの張り出しの方が目立つため、ボディ後端も「タイトなヒップ」という感じでスッキリと纏まっているように見えます。少なくとも、EF8型CR-Xの外観に魅力を感じる人であれば、CR-Zのデザインも違和感なく受け入れられるのではないでしょうか。個人的には、荷室のサンルーフと化している水平なリヤウインドウにそそられてしまいますね。できるならリヤのワイパーを外して、フラッシュサーフェイス感をより際立たせたいところです。
インテリアについても特に不満に思えるような部分が無く、プライスなりの質感は充分に確保できています。確かに、デジタルのスピードメーターとタコメーターが同軸に配置された単眼インパネは、鮮やかなブルーのライティングこそ未来的で楽しいのですが、視認性があまり良いとは言えません。また、ハンドルのスポークに付いている各種ボタンやインパネ周辺に集約されている各種スイッチ類も、運転席周りの雰囲気を煩雑なものにしています。ただ、それでも大きな不満を感じないのは、その複雑なデザインが外観の奇抜さとマッチしているからだと思います。実用性よりもアイデアや感性を優先させることは、クーペやスポーツカーを造るうえで真っ当な手法だと私は考えています。そうした観点から見ると、このCR-Zのデザインは、制作上のコンセプトや思想を衒いなく反映させているという意味で、非常に完成度が高いと言えるでしょう。着座位置が低くハンドルが小振りであることも、スポーティな雰囲気を演出するのに貢献しています。頭上空間にあまり余裕が無く、斜め後方の視界が絶望的なのは御愛嬌ですね。車内で寛ぎたい人にはお薦めしません(そもそも、そんな人は最初からこの車を選ばないでしょう)が、圧迫感を覚えない程度の適度なタイト感が好きだという人にとっては、ベストな一台となり得るはずです。
さて、いざエンジンを始動させて路上に出てみると、「これで本当に150ps以下なの?」と思えるほど、力強い走りを披露してくれます。中間加速では我が白兎の方が頼りになるものの、出足の良さだけを見ればそれに負けていないどころか、車重が軽い分だけCR-Zの方が爽快だったりします(もちろんDSGをSモードに入れてしまえば、我が白兎の方が圧倒的に面白いのですが…)。ちなみに今回の試乗車はCVTを搭載している方であり、ドライブシステムはスポーツモードしか試していません。それというのも、ノーマルモードやエコモードを重視するならインサイトを選べば良いのであって、この車を評価する上ではスポーツモードの出来映えこそが肝心であると思ったからです。試乗の途中でアクセルをベタ踏みしてみたのですが、爆発的なパワーこそ得られないものの、何ら痛痒を感じないくらいスムーズに加速します。むしろ、エンジンよりシャシーが勝っているという感覚は、「もっと攻めてみたい」という気分を助長してくれます。グリップの良いタイヤを装着して足回りを自分好みのセッティングに変更すれば、パワーはこのままでも充分楽しめると思いますね。また、ドライバーの着座位置が車体の後方寄りになっていることも良い点の一つです。4座が前提の実用車と2座が前提のスポーツクーペとでは、旋回時や減速時に受けるGの感覚が全然違いますし、少し後ろの視点から前方を広く眺める方が、ボディ全体の挙動を掴み易く操作も楽になります。はっきり言って、この点ではVW ・シロッコよりもCR-Zの方が優れているのではないでしょうか。溢れ出るエンジンパワーで怒涛の如く突進することに愉悦を覚えるのではなく、飽くまでも切れ味鋭く軽快にコーナーをクリアすることに快感を見出す…。かつてのホンダ製FFスポーツカーに与えられていた個性(あるいはそうしたイメージ)は、この最新型のCR-Zにもしっかりと受け継がれているような気がします。

結論として、CR-Zは非常に魅力的なモデルあると断言できます。どんな車に試乗しても、我が白兎に乗ってしまえば「やっぱトータルではこちらのほうが上(好き)だな」と思えるのですが、今回ばかりはそういう気分になれませんでした。何故なら、2ドアクーペとしての格好良いスタイル、軽量なボディ、スポーティなハンドリング、ドライバー優先のシート配置、そして手頃な価格と、ゴルフでは望めない要素(それは私がシロッコに望んでいた要素でもある)を、CR-Zは極めて高いレベルで満たしているからです。仮にVI 型GTI とCR-Zのどちらかを選べと言われても、今の私には即座に返答することができないというのが正直なところです。それぐらい、CR-Zから感じられたポテンシャルは衝撃的でした。
マツダ・ロードスターしかなかった国内の小型スポーツカー市場において、CR-Zは久々のヒットモデルになりそうであり、またそうなって欲しいと思います。もしCR-Zが好評を博せば、他社もこれに追随することは想像するに難くありません。そうなれば国内のスポーツカー市場は再び活況を呈することになるでしょう。CR-Zの発売は時代の分岐点となりえるのか、今後とも注目したいですね。



余談ですが、同乗した営業さんに「CR-ZのタイプRは出ないのか」と聞いたところ、「出ない」と即座に言われてしまいました。また、以前から噂されていた新型ビートも開発が凍結されているそうです(去年はテスト車両を市街地で走らせていたのですが、今はそれも全く行われていないらしい)。営業さん曰く「今回のCR-Zは、長引く不況、およびスポーツカーの人気が壊滅的な現状において、ホンダとして出せるギリギリの答えであり、これ以上の発展性は期待できない」とのことでした。ただ逆に言えばそれは、今後しばらくホンダのスポーツモデルのラインナップはシビック・タイプRとCR-Zだけに絞られるということでもあり、ギリギリの存在であるCR-Zにも走りに振った限定モデルや記念モデルが生産されることは充分に考えれます。より高いスポーツ性能を求める人は、そのタイミングを待った方が良いのかもしれませんね。
Posted at 2010/03/03 02:22:43 | コメント(1) | トラックバック(0) | | 日記
2010年02月26日 イイね!

ウィーンの昏い光

本日は柄にも無く美術館などへ行ってきました。地元の美術館では先月から「クリムト、シーレ ウィーン世紀末展」が開催されており、実は先週にも一度行ったのですが、こんなチャンスは滅多に無いだろうということで、改めて鑑賞してきました。
そもそも、絵画に対して何の造詣も無い私が突然美術館に行こうという気になったのは、クリムトの「パラス・アテナ」が来ると知ったからでした。この絵に関しては、何故か昔から強烈に惹かれるものがあり、今回はそれが生で見られるとあって俄かに気分が高揚したというわけです。もっとも、「接吻」や「ユーディット」等の他の有名な作品もまとめて見られると勝手に思い込んでいたことも、足を運ぶ原動力になったのですけどね。実際それらは来てなかった(クリムト自身の作品はごく僅かしか展示されていなかった)のですが、本物の「パラス・アテナ」が見られただけでも充分に元が取れたと思っています。
アテナはギリシャ神話の有名な女神であり、どちらかといえば同じ年にシュトゥックが描いた絵の方が世間一般に浸透しているアテナのイメージに近いはずです。それに比べると、クリムトの方は異様な迫力を湛えていて、鈍く輝く黄金の甲冑と額縁が世俗的な欲望を刺激する一方、不気味なほど冷たく透きとおった双眸が抗いようのない死を予感させます。真正面から見るとわかるのですが、この女神の視線は僅かに上方の虚空を凝視しており、目の前に立つ閲覧者の方に向いていません。しかし、こちらが少しでも不遜な言葉でも吐けば、ジロッと見下されそうな緊張感があります。学術的見地から考察すれば、この絵も色々と解釈できるでしょう。ただ、私としてはこのような装飾された禍々しさというものが好きなだけで、そこに込められているメッセージや意味についてはあまり興味が無かったりします。立ち位置を変えつつ五分ほど眺め続け、会場を巡回した後でまた戻ってきてじっくりと観察した(二日とも同じ行動を取った)ことから、職員の方からは不審に思われていたかもしれません。しかし、それくらい気に入っている作品でもあります。できれば家に飾って、毎日眺めていたい一枚ですね。
他に面白かったのは、シーレの自画像とウィーン工房の絵葉書でした。特にウィーン工房の絵葉書は、当時の流行のファッションが描かれていて興味深いだけでなく、人物の描き方が現代的であり、巷に溢れている漫画的イラストのルーツが日本ではなくヨーロッパにあることを教えてくれます。私はクリムト以外ではミュシャの絵も好きなのですが、自分の好みを分析してみると、どうやらアール・ヌーヴォー的な様式に惹かれる傾向があるようです。これからは絵画だけでなく工芸品や建築物にも目を向けて、アール・ヌーヴォー的なモノを探してみたいと思います。

美術館など平日の夕方に行っても誰もいないだろうと高を括っていた(独占的にのんびりと鑑賞できるだろうと計算していた)のですが、実際には二日とも意外なほど活況を呈していました。ベビーカーを押しながら鑑賞している夫婦など見ていると、私が滅多に行かないだけで世間的に美術館はもう少し身近な存在なのかな、とも思わされました。
ネット上であらゆるものが検索できる時代になったとはいえ、写真画像と実物とでは色合いや雰囲気が異なって見えることもあります。実際、家に帰ってからブログに使う「パラス・アテナ」の画像をネット上で探してみたものの、本物の色を忠実に再現できている画像は一つも無かったりします。そうして考えてみると、やはり自分の足で近寄って自分の目で見て(手で触れて)確認しなければ、物事の本当の価値は正しく理解できないのかもしれませんね。今年は少しでも出不精を克服して、色々と見識を深めたいところです。
Posted at 2010/03/05 19:44:33 | コメント(0) | トラックバック(0) | 趣味 | 日記

プロフィール

「カシオーク、最終章 http://cvw.jp/b/241312/48217041/
何シテル?   01/20 21:50
Youtube始めました。【縁側ライダー】https://www.youtube.com/channel/UCzrKZDzHRZrMAZin6H68yDw/vi...
みんカラ新規会員登録

ユーザー内検索

<< 2025/6 >>

1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930     

ブログカテゴリー

愛車一覧

ホンダ CL250 ホンダ CL250
どことなくレトロな雰囲気があるバイクだと思います。 尖った個性が無い分、飽きがこなくて長 ...
アウディ A3 アウディ A3
40 TFSI quattro sport です。 認定中古車だったので試乗から納車まで ...
ホンダ CB125R ホンダ CB125R
人生初のバイクです。 のんびり楽しみたいと思います。
フォルクスワーゲン シロッコ フォルクスワーゲン シロッコ
前回とは打って変わって、全行程が僅か1カ月半のスピード納車となりました。 今度こそは永く ...

過去のブログ

2025年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2023年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2021年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2020年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2019年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2017年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2012年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2011年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2010年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2009年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2008年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2007年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2006年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
ヘルプ利用規約サイトマップ
© LY Corporation