サーモスタットからのクーラント漏れの修理のため、一日車を預けることになりました。代車はA4(B7)です。
ABA-8EALT 平成20年初度登録。
4585×1770×1430mm
最高出力 130ps(96kW)/5700rpm
最大トルク 19.9kg・m(195N・m)/3300rpm
まず思った事は思った以上にコンパクト!A4は大分大きくなりましたね。B5~B7までは同じシャシー(のはず)、B8(サイズ拡大+Sトロニック・DRL採用)、B9(サイズ拡大+バーチャルコックピット採用)というのがA4の歴史です。
シャワーヘッドをミラブルに変えたりと色々していて残念ながら写真は無いのですが、気づいたことをまとめておこうと思います。
1.第一印象
ディーラーから家まではUターンして帰るのですが、まず最小回転半径が小さいことに好印象。B9であれば3車線の1番左側にしかいけないところが真ん中車線に余裕で入ります。サイズが大きくなっているということを実感します。
その後、まず左折して80~100km/hで流れているバイパス道路の進入路へ向かいますが、ここで既に小気味良いステアフィールを得ます。エンジンパワーとステアリングの戻り具合がばっちりで、まるでBMWのようなスムーズさを感じます。FF+CVTの組み合わせなので、全くBMWとは違うのですが、滑らかさという点では私は遜色ないと思います。そして、むしろ私のA4(b9)クワトロの方が低速コーナーをスムーズに曲がれないのです。町中の低速コーナーでは
◎BMW(イメージしているのは先代1シリーズ、3シリーズ320d(F30)) FR+トルコンAT
◎ A4(b7) FF+CVT
○ A4(b9) AWD+ツインクラッチ
という感覚です。
インターチェンジのような高速コーナーであれば、踏み込めば踏み込むほど安定感を増すクワトロが良いと間違いなく言えますが、仮に町中のアウディ(クワトロ仕様)の評価が悪いとすれば、上記のような低速コーナーのギクシャクさが原因だと思います。
続いて、高速巡航に入ります。まずナビパネル付近がビシバシと音を立てます。また入力が入る度に後部座席の真ん中あたりから変な音が聞こえます(笑)。これは12年以上経過しているため起こる経年劣化でしょう。タイヤ・窓から聞こえる騒音、入力の度にまぁまぁ揺れる車内、エンジンの音・振動はB9と比べるべくもありません。
しかし、なぜか余り気にならないのは何故でしょうか。現代の車に飽きた人が自らの青春時代の中古車を買って楽しむ、そのようなノスタルジックな気分だけが原因だろうか。それとも、車自体の味付けがそう感じさせるのだろうか。私は後者だと思います。
まず、高速巡航中に段差を超えた場合。
マイカーのB9であれば、
レビューに書いたとおり、リアの収束だけが気になります。フロントは微動だにしないので、高速道路で段差を踏み越えても怖さはありません。剛性が高いければサスペンションが悪いためリアの収束が余い、そんな状況です。
B7の場合、
フロントもリアも同様にバインバインと揺れます。入力の度にまぁまぁ揺れる車内と書きましたが、要するにちょっと暴れています。結果だけ考えれば明らかにB9が優秀ですが、B7のバインバイン感は意外に嫌じゃないというか、
感覚的には安定しています。
ここが
味付けだと思うのです。
みんからで見かけた話で記憶も曖昧なのですが、かつてのジャガーやプジョーの猫足という優秀なサスペンション。これを真似しようと日産が足回りを研究しても理由がほとんど分からなかった。というのも、実は大切なシャシー剛性が不足していて入力に対して足が負けている状況だったものの、それを車全体の共振で打ち消し合うトータルマジックを施していたからいくら足回り周辺を研究しても解明には至らなかった。そういう話があったと思います。
剛性が大事・パワーが大事と言いますが、それだけではない世界がある良い例だでしょう。ステアリングの応答性をコンマ○秒変えるだけで高級感を演出できたり、ミッションの変速比を変えてパワーカーブを変えるだけで速さを感じたり、この演出・味付けがバインバイン感のあるB7を面白い印象に変えているのだと思います。
B5から引き続き使用しているB7のシャシーですから、アウディ社は特性を完全に熟知していたのでしょう。ですので、ネガティブポイントも味付けによって1つの魅力に変えてしまったと考えます。
2.味付けは電子化が進んでも可能か。
アナログ部品が多い状態でメーカーの職人技で味付けがなされていた時代から、デジタル化が一気に進みアナログと渾然一体となった現代の車。この状態で味付けがうまくできるのか。まず、取り得る選択肢は3つ有るでしょう。
①昔ながらの味付けを再現or残す
②デジタル化ならではの味付けを探す
③家電風味のデジタル化で車を再定義する
①を選んでいるのがメルセデスやBMWだと思います。S・Cクラス、3シリーズを運転して思った事は、ステアフィールが主たる判断材料ですが、乗り味が15年ほどは変わっていないと思います。
つまり、運転していて楽しい感覚、路面をなぞる感覚、人馬一体の感覚、どこにタイヤが付いているか、左後ろのボディがどこにあるか分かるような感覚。そうした車
本来の楽しみを感じさせる従来からの、おそらく数十年前からの車作りを残しているように思います。
②を選んでいるのがアウディだと思っています。アウディがブランド化されたのは1980年以降ですので御三家(MB・BMW・Audi)のなかでは新進ブランドです。スローガンも「技術による先進」であり、昔からの顧客というのが比較的少ないメリットも生かし、①の戦略をとらず②に舵をきっていると考えます。そこが「無機質」「さっぱりした乗り味」という評価に繋がっていくのでしょう。
ただ、そもそもアウディのそうした時代に合わないと思われる装置を仕上げていく戦略はクワトロ時代から始まっており、それが4駆全盛を招来したのですから、これからバーチャルコックピットのハプティック技術や可変式OLEDライト、e-tron等がどう仕上がっていくか注視したいと思います。
※アウディの乗り味が無機質でベンツのじわ~とした手のひらになじむ乗り味、BMWの意のままに操れる乗り味に及ばない、という評価はそもそも評価軸がちょっと違うと思っています。ポルシェオーナーが言う997までのポルシェと991以降のポルシェというのも、①から②への戦略転換が影響していると予想はしていますが、乗ったことが無いのでなんとも分かりません。興味はあるんですが、ポルシェオーナーは若干怖いので聞けません(笑)
さて、時代の転換点にある車の乗り味を噛みしめつつ、きたる未来を楽しみにしながら愛車とドライブしていこうと思います^○^
Posted at 2020/08/01 22:44:13 | |
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