
北米USCCシリーズの第7戦は、ワトキンス・グレンの6時間。
昨年はGRAND-AMシリーズとして開催されたこのレース。
かの寺田陽次郎選手がスポット加入した#00・Visit Florida号(Mazda6 GX)が見事にGXクラスの優勝を飾ってから、ちょうど一年が経過したことになります。
ほんの一年半前に産声をあげたばかりのマツダのディーゼルレーシングユニットは今年、出力と信頼性を大幅に向上させ、LMP2規定のプロトタイプマシンに搭載。
2台の「Mazda LMP2 SKYACTIV-D Racing」が、新生USCCシリーズの最高峰・Pクラスへと挑んでいるわけです。
そのマツダLMP2マシンとSpeed Sourceチーム。
シリーズ開幕直後に続いたデイトナ24H、セブリング12Hの超・長距離戦では、エンジンの信頼性確保に手を焼いてしまい、Pクラス/PCクラスのプロトタイプ勢はおろか、GT-LMクラス/GT-DクラスといったGT勢の後塵をも拝するという苦難のスタートを切りました。
しかし、スプリント仕様の新エンジンを投入した第3戦・ロングビーチ以降は、徐々に失地を回復。
現在では、”順当に走れたら“という条件きながら、予選・決勝ともに格下のGT勢に先を越されることはなくなり、逆に、トラブルやアクシデントで後退したPクラスのライバルマシンを喰える位置までポジションは上昇。
まだライバルと直接バトルするほどの速さはありませんが、開幕直後の低迷ぶりを知るファンにとっては、この著しい進化ぶりは期待を大きく超えるものとなっています。
ひとまず、第4戦・モントレーにおいて、優勝したHPD ARX-03bから2LAP遅れでフィニッシュした総合7位(Pクラス7位)のリザルトは、Mazda6 GXからマツダLMP2に至るこの2年間を通して、SKYACTIV-Dレーシングユニットとしての
ベストリザルトといっても過言ではないでしょう(^_^)。
さて、迎えた今回の”Six Hours of the Glen”は、第2戦のセブリング12H以来となる、全4クラス混走レース。
となれば、2シーターオープンのPCクラスも含めた全プロトタイプ勢に対し、マツダLMP2マシンがどれだけポテンシャル差を縮めてきたのか、その進化ぶりを実証できるチャンスです!
そう意気込んで、日曜の夜、IMSA公式サイトで配信されるレースの生中継に臨んだ私・・・。
しかし、先々週のル・マン24H中継、先週のニュル24H中継に続き、3週連続となった耐久レースの生観戦・・・しかも今回のワトキンスグレン6Hは、日曜夜11時過ぎのスタート(つまりゴールは月曜早朝)とあって、ここ最近お疲れ気味の私には全くもって勝算なし(爆)。
案の定、スタートから僅か15分、レースウィーク中ずっと不調を囲っていた#70のマツダLMP2が緊急PITインをしたのを見届けたところまでで、敢え無く力尽きてしまいました(-_-;)。
ということで、途中経過はすっとばし、先に決勝リザルトを紹介(^_^;)。
●総合優勝(P-1位) #90 Corvette DP 191Laps
:
総合6位(PC-1位) #54 ORECA FLM09 -5Laps
総合11位(LMGT-1位)#3 Chevolet Corvette C7.R -6Laps
総合25位(GTD-1位) #94 Ferrari F458 Italia -13Laps
:
○総合33位(P-9位) #07 Mazda Prototype -16Laps
:
○総合53位(P-13位) #70 Mazda Prototype -178Laps
ありゃりゃ
Pクラスのシングルフィニッシュは良いとしても、出走53台中の33位は真ん中よりも後ろ・・・またも大勢のGTマシンに先を越されているではありませんか。しかも16LAP遅れとは(・_・;)。
と、思わずガックリと肩を落としそうになった私ですが、お馴染みMZRacingサイトのレポートによれば、07号車はレース序盤に他車との接触でサスペンションを痛め、修復に時間を要してしまったとのこと。
そこで後日、あらためてIMSA公式サイトの動画で確認してみると、アクシデントの瞬間や修復作業の様子は一切映し出されていなかったものの、順位チャートの上で、スタート1時間後にTOPから1LAP遅れだった#07号車が、その後の15分間で一気に7LAP遅れまで後退したので、ここでPITに張り付いていたのでしょう。
すでに#70号車はオイルリークでリタイヤを喫していたので、その時点で2台のマツダLMP2勢の順位はPクラス最後方(12位&13位)。・・・というより、全マシン中の最後尾(52位&53位)まで転落していたのでした。
その後、アクシデントの影響が残っていたのか、コース復帰後も#07号車は暫くペースの上がらない状態が続きましたが、残りの4時間45分をしぶとく走破。
結果的には総合順位を20位近く挽回し、トラブルで後退したPクラス/PCクラスのマシンをそれぞれ3台ずつ上回ることに成功したわけですから、その堅実な走りは十分評価に値するものです。
あとは・・・もしサスペンションの修復作業で生じた6LAPのビハインドと、それによるペースダウン分がなかったら、7台ものGT-D勢に先を越されることはなかったでしょうし、総合11位から21位までに10台がひしめき合ったLM-GT勢の間に十分割って入れたはず。
ま、これはタラレバの妄想に過ぎませんが、少なくともワトキンスグレンでのマツダLMP2マシンは、それくらいのポテンシャルは秘めていたと見て良いでしょう。
その妄想に俄然、真実味を付け加えてくれるのが、予選と決勝のベストタイムのライバル比較。
<予選タイム>
P- 1位 #42 Corvette DP 1:37.902 (-)
P-11位 #31 Corvette DP 1:41.341
PC-1位 #54 ORECA FLM09 1:40.562
PC-8位 #88 ORECA FLM09 1:42.268
#07 Mazda LMP2 1:43.788 (+5.886)
GTLM-1位 #55 BMW Z4 GTE 1:44.084
GTD-1位 #22 Porsche 911 GT 1:48.831
<決勝ベストタイム>
P- 1位 #42 Nissan Morgan 1:38.976 (-)
P-11位 #31 Corvette DP 1:41.779
PC- 1位 #09 ORECA FLM09 1:41.846
PC-10位 #08 ORECA FLM09 1:43.487
#07 Mazda LMP2 1:44.330 (+5.354)
GTLM-1位 #62 Ferrari F458 1:45.311
GTD-1位 #35 Audi R8 LMS 1:49.764
見ての通り、マツダLMP2は本来のプロトタイプ勢の集団には入れていない一方で、GT勢の集団にも飲み込まれずという、相変わらず中途半端なポジション(^_^;)。
但し、その孤高のポジションが、次のターゲットとすべきPCクラス勢の後方集団よりも、GT-LMクラス勢の先頭集団と圧倒的に近接しているために、ちょっとでも油断をすればあっという間にGTマシンに背後を脅かされ、全く安閑としてられないというのが、マツダLMP2の勇姿にアツい視線を送っているファンの偽らざる心境であり、悩みの種でもあるわけです。
ここはぜひとも、追いすがるGT勢と一刻も早く決別し、前方のプロト勢追撃に全神経を集中してもらいたいところですね(^o^)。
頑張れ、マツダLMP2!!