
朝の徳山駅の1シーンです。
私が乗り込む8時4分発の上り列車の到着予告アナウンスがホームに流れ始める時、ほぼ同時に向かいの下りホームに先に入ってくるのが、博多行きの
500系新幹線。そう、8両編成の「こだま」として運用されている、かつての「のぞみ」です。
このこだま号、いつも朝日を背に受けて入線してくるので、500系独自の流線型フォルム全面に眩しいまでの光線を湛えていて、まるで”後光”が射しているかのような雰囲気(笑)。
おまけに、前照灯をハイビームにして入ってくるのだから、迫力も凛々しさも倍増。
そんな理屈抜きのカッコ良さを前にすると、デビューから15年近く経過した新鮮味の薄い車両でありながら、いつも見入ってしまうんですよねぇ(^^ゞ。
最速の新幹線を目指し、高速走行性能を中心とした機能追求の結果から生まれた、抜群にスタイリッシュなデザイン。
居住性や快適性は少々犠牲にしようとも、「300km/hオーバー」という明快な目標を掲げて誕生した超・個性的なシルエット。私はその潔さが大好きなんです。
とはいっても本来、人類の英知の結晶たる「乗り物」の第一の使命といえば、人や物を安全かつ効率的に運ぶこと。
よって、それを実現するための諸性能や各機能が何より重要視されることは当然の成り行き。
でも一方で、「乗り物」には、人に夢や感動を与える側面があるということも、決して忘れたくはないですよね。
それはクルマにしても然り。
実態と乖離した「カタログ燃費」や、適度を超えた巨大な「室内空間」をウリにした昨今のジドウシャ達が、誰にも判りやすいように「前者」を定量的に追求した製品であることは、今さら説明するまでもないでしょう。
でも、そこに大きな夢や感動を与える何かが備わっているかと訊かれたら、残念ながら「YES」とは言い難いのが正直なところ・・・。
そう考えると、やはり「スポーツカー」という存在は特別ですね。
ひたすら絶対的な性能を追い求めた「高性能車」が必ずしもそれに該当するわけではないし、かといって、人々の目を釘付けにする「芸術的造形」がありさえすればそれを名乗れるわけでもなく。
要は、優れた性能と魅力あるデザインが程良くバランスされていることがまず最低条件で、その上、「スポーツ」と名乗る以上、それ相応なレベルの「運動性能」と「ドライビングプレジャー」が備わっていることが必須の条件になってくるでしょうか。
もちろん、その”レベル”は人によって様々な感じ方があっていいと思いますけど。
・・・と、えらく話が遠回りしてしまいましたが、クルマと全く同じ物差しを新幹線に宛がうのはいささか乱暴だと判っていながらも、私にとっての500系とは、数ある新幹線の中でも唯一といえる「スポーツカー的」な存在であるのかもしれません(^^)。
今や完全に東海道・山陽新幹線の主役の座についたN700系や、700系と300系の「純白+青ストライプ」の見慣れた現行カラーに交じり、グレーに黄ストライプの700系レールスター、薄いブルーグレーのN700系九州新幹線、グレーに緑ストライプまたは旧塗装の白/青カラーの100系、そしてこのブルーの500系と、新旧様々な色とりどりの車両を拝めるのは、山陽新幹線ならではの特典でしょう。
先日、300系の来春引退が発表されましたが、この500系だけはできることなら、この先もずっと身近な存在であってほしいと思います(^^ゞ。
Posted at 2011/10/27 22:09:22 | |
トラックバック(0) |
隠れ家の新幹線 | 日記