2018年08月02日
前回は減速Gについてでしたが、今回は旋回Gについて考えてみました。
旋回Gは進行方向に対して横向きですが、
今はGの大きさを問題にしているので、速度や向心加速度(旋回G)の向きを無視して大きさだけを考えます。
シンプルに考えるために、平地で加速も減速もしない一定の速度で円を描くように運転している状況をイメージします。
(速度一定は、ごくわずかにアクセルを踏んでいる状態ですね。アクセルもブレーキもOFFだとエンブレで少し減速Gがかかります)
このときの車速を
v [m/s]
([km/h]でないので注意)
車の重心が通る円の半径を
r [m]
そのときの向心加速度(の大きさ)を
a [m/s^2]
とすると、
a = v^2 / r
この向心加速度aがG(9.8 m/s^2)の何倍なのか?が旋回Gです。
つまり、旋回Gは車速の2乗に比例、円の半径(コーナーのR)に反比例。
ここで、普段運転する道のコーナーのRは?というと、ざっくりこんなイメージ。
r = 5 [m]
小さな交差点の左折
r = 10 [m]
大きい交差点の左折
小さめの交差点の右折
r = 15 [m]
大きめの交差点の右折
峠のヘアピンコーナー
r = 50 [m]
中速コーナー
r = 100 [m]
高速コーナー
※車の最小回転半径が5mくらいあるのに r = 5mの交差点なんて曲がれないんじゃないの?と思った人へ。
車の最小回転半径は、外側のリア(←2018.08.03訂正)フロントタイヤの軌跡の半径です。車の重心はそれより半径で1mくらい小さい円を描きます。
旋回Gを考える上で、この記事では重心の軌跡を基準に考えています。
それぞれの半径でコーナリングするとき、何km/hで走れば何Gなのか?を計算してみたのが、下記。
● r = 5m (小さな交差点の左折)
0.15G 9.8km/h
0.2G 11.3km/h
0.3G 13.8km/h
0.5G 17.8km/h
徐行(10km/h以下)していれば0.15G以下の優しい運転になるでしょう(^^)
● r = 10m (大きい交差点の左折、小さめの交差点の右折)
0.15G 13.8km/h
0.2G 15.9km/h
0.3G 19.5km/h
0.5G 25.2km/h
● r = 15m (大きめの交差点の右折、峠のヘアピンコーナー)
0.15G 16.9km/h
0.2G 19.5km/h
0.3G 23.9km/h
0.5G 30.9km/h
ヘアピンコーナーで15km/hくらいで走る車が前にいても、煽らないであげてください(笑)
● r = 50m (中速コーナー)
0.15G 30.9km/h
0.2G 35.6km/h
0.3G 43.6km/h
0.5G 56.3km/h
● r = 100m (高速コーナー)
0.15G 43.6km/h
0.2G 50.4km/h
0.3G 61.7km/h
0.5G 79.7km/h
意外とゆっくり行かないといけないんだな~と思った人もいると思います。
ただ、一般道でずっと円旋回している人はいなくて、交差点なら4分の1周、ヘアピンコーナーなら半周しかしないので、まだ旋回Gの少ないコーナー進入ではもう少し車速が速くて大丈夫です。
進入では減速Gとステアリング切り始めの少なめの旋回G、
ボトムスピードポイントで加減速なしで最大舵角の旋回G、
立ち上がりではステアリングを戻していくので旋回Gが減る一方で徐々に加速Gが増していく
という感じ。
シンプルに考えればボトムスピードポイントでの半径と車速で判断すれば良いかと思います。(進入次、脱出時はこれより速い)
こう見てみると、私の街乗りは旋回Gは0.15G~0.2Gくらい。
減速は0.15Gくらいでやってるから、旋回のときだけ少しGが大きいかな~。
→曲がるごとにコップの水がこぼれるパターン?(^_^;)
ちなみに榛名のヘアピンコーナーは半径12~15mくらいで、私のボトムスピードは約20km/h。
0.2G~0.3Gかかってますね。
街乗りよりは大きめのGを許容している感じです。
myフィットはボディ補強なし、サスペンションとタイヤはノーマルですが、0.3Gくらいの旋回ではしっかり安定感のある足回り&ボディ剛性。
でもバケットでない普通のシートだから、0.3Gだと私自身が傾いちゃいます(笑)
うーん、考えていたら、G-bowlとセミバケが欲しくなってしまった。
今は我慢、我慢(^_^;)
G-bowl的なものを自作しようかなぁ。
Posted at 2018/08/02 22:28:45 | |
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2018年08月01日
運転がもっと上手くなりたいと考えたときに、
G(加速G、減速G、旋回G)が一定の運転
というのがあると思うのですが、私は実際に測定したことがないので気になっています。
Gを一定にできると挙動が乱れず滑らかに運転できるということですが・・・
目標を0.2Gや0.3Gと決めてやるらしい。
でも、0.2G、0.3Gって実際どのくらい??
G-bowlアプリが計測・記録ツールとして有名みたいだけど、
私の携帯はAndroidなのでインストールできません。
このためだけにiPad買うのもちょっとなぁ。。。と悩んでいたんだけど、
一定の加速度を考えるなら、自分で計算しちゃえばいいじゃないか!
と思いつきました。
簡単に言うと、物理の話。
加速、減速→直線運動
旋回→円運動
で、式が違うので、分けて考えます。
今日は減速について考えてました。
加速も減速と理論的には同じだけど、
myフィットを含め最近の車はスロットルが電子制御のためアクセルを一定の踏み具合にしても加速度が一定とは限らないので、
ブレーキの踏み具合で決まる減速のほうが実際はシンプルです。
減速にかかった時間を
t [s] (sは秒です)
最初の速度
v1 [m/s]
(他と単位を揃えるため、[km/h]ではないので注意)
t秒間、同じブレーキの踏み具合で減速したあとの速度を
v2 [m/s]
t秒間に進んだ距離を
d [m]
そのときの加速度を
a [m/s^2]
(減速ではマイナス)
aが一定だから、v1とv2の関係は
v2 = v1 + a * t
↓
t = (v2 - v1) / a ・・・①
運転中に時間を秒単位で把握しづらいので、視覚的に分かりやすい距離で把握できるように、式を変形していきます。
t秒間に進んだ距離は
d = (v1 + v2) * t / 2 ・・・②
(距離は速度と時間の掛け算(積分)なので、加速度一定の場合は台形の面積の式でOK)
①を②に代入
d = (v2 + v1) * (v2 - v1) / 2a
a = (v2 + v1) * (v2 - v1) / 2d ・・・③
つまり、一定の加速度で速度がv1からv2に変化したとき、距離d進んでいれば、加速度aが③の式で求められて、これがG(9.8m/s^2)の何倍なのか?ということです。
減速がシンプルに考えられるのは、v2を0とすれば、停止までの減速がイメージしやすいから。
速度v1で巡航していて、停止ポイントの何m手前(距離d)でブレーキを踏み始めたか?だけ分かれば、何Gの減速をしたかが分かります。
この場合、
a = -v1^2 / 2d ・・・④
ちなみに教習所や免許更新の講習で出てくる危険回避の急ブレーキでの停止距離、
あれはどうやって計算されているかというと、
停止距離=空走距離+制動距離
空走距離は危険を認識してからブレーキを踏むまでに車が進む距離(車速×1秒)
制動距離はブレーキが利き始めてから完全停止するまでに進む距離
ですが、
制動距離は減速Gが何Gで計算されているのか計算してみました。
あまり数式が多くなっても読みづらいので結果だけ書くと、
乾いた路面で0.7G
濡れた路面で0.5G
で計算されていることが分かりました。
これが、急ブレーキの減速G。つまり、一般的なノーマルの車をごく普通の運転者が運転した場合の限界のGです。
(興味がある人は計算してみてください。60km/hからの制動距離はドライで20m、ウェットで28mだそうです。速度は[km/h]を[m/s]に換算するのを忘れずに)
運転がとても上手な人は0.5Gや1.0G一定で運転できるらしいですが、車の限界(ブレーキ、タイヤ、サスペンション等)も上げておく必要がありますね。
それと、普段の私の運転では減速Gがどのくらいなのか?
計算してみたら、だいたい0.15Gくらいです。
通勤路でほぼ毎日H&Tをする場所があるのですが、
そこでは巡航50km/hから20km/hまで落としています。
ここを0.2Gで減速しようとするとブレーキを離す41m手前、
0.3Gなら27.5m手前
でブレーキを踏み始めれば良いということがわかります。
普段は50m余り手前からブレーキかけてるので、やっぱり0.15Gくらいですね。
0.3Gのブレーキングって意外と怖いかも。周りに誰もいないときにやってみようかな。
あと、昨日の仕事帰り、脇道からノーブレーキで出てきた車がいたので急ブレーキをかけました。
約40km/hで走っていたところから10mないくらいの距離で止まったので、急ブレーキはやっぱり0.7Gくらいですね。
旋回Gはまた別のときに考えたいと思います。
Posted at 2018/08/01 18:05:21 | |
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