というわけで、
苦労しながらもたどり着いた
ウイングヒルズ白鳥リゾートスキー場。
翌朝は、気持ちの良い快晴状態。
ゲレンデも雰囲気(だけ)はハイシーズン。
しかし、いつもの一般見学者という立場とは違い、スタッフという立場で来ているので、キレイなゲレンデを横目に会場作りにいそしむ。
今年度は三重県が主管なので、いろいろと気を遣う(らしい)。
スキーに縁の無い方もいらっしゃるので、まずはブロック技術員研修の解説を・・・
技術員とは、全日本スキー連盟(SAJ)の公認スキー指導員(スキースクールのインストラクターとかね)を指導する立場の方々。(東海北陸ブロックは、愛知・岐阜・三重・静岡・福井・石川・富山の7県で構成される。)
その方々に、全日本のデモンストレーター(デモ)やイグザミナーが講師となって研修を行うというもの。
今年度の講師のデモは9人。

前列右から、山本千絵、石水愛、高瀬慎一、石水克友(以上、SAJナショナルデモ)。
後列右から、旭潤子、蓑島治明、佐藤健太、米丘友明、石森忠国(以上、SAJデモ)。
(挨拶をされているのは、全日本の理事)
開会式は滞りなく進み、参加者は雪上へ出て行った。
スタッフは残って、段取りやお金の確認等をする・・・はずだったが、「かつりんさんは、講習風景の写真を撮ってきてください。もうすぐデモンストレーションが始まりますよ。」とリフト券を渡してくれた。
急遽声がかかった私に気を遣ってくれている。
いつもはネットの外から見ているが、今回は堂々とネットの中に入れる。
今季のSAJは、指導法が大きく変わった年。
諸事情(=ナイショ)により、あまりにも急であったため作成が間に合わず、今年は「オフィシャルブック」と「スキー指導と検定」のみで、「スキー教程」は発刊されない。
ここ数年は、「内スキー主導」「谷回り」等々の理論(by I教授)により、それまでのスキー技術論や指導法とは全く異なる手法で、賛否両論(否の方が多いか?)だった。
そんな状態の中、理論構築の中心がI教授から他の方に替わり、スキーヤーの間では、数年前の技術に戻ったという情報が駆け巡っていた。
しかし、そう短絡的に考えるのはいかがなものか。
I理論の中にもすばらしいところは多々あったわけで、それも踏まえた新しい技術、指導法と考えるべきではないかと。
(複数のSAJ専門委員と雑談している中でも、両者が融合することで、より良いものになるのではないかという期待感が伝わってきた。)
スキーマニアな方々(自分も含め)の間では、一部の情報が全てのことに拡大してしまう傾向があるように思う。
雑誌などに掲載される技術特集はSAJの研修テーマが取り上げられることが多く、それが技術の全てのように掲載されてしまう。
例えば、「内スキー主導」。
指導員クラスも含め、内スキー主体で滑るという誤解が実に多かった。(今も多い…)
「内スキー主導」は、切替時の一瞬の状態を、メカニズム的にを表しただけなのだが、それを助長するようなバリエーショントレーニングが(検定種目にも)多かったので仕方ないのだが。
(自分も含め、ターン内側に頭から入ってしまうも多かったし。)
ということで、技術を表面的に捉えて誤解をまねくといけないので、今回は技術的な情報は載せないことにする。
が、1級を受けようとしている方の「横滑り」がよく分からないという声を聞いているので、それだけ映像を・・・
実際のテスト場面とは違い、緩斜面なので雰囲気だけ・・・。
何にしろ、大きく変わった内容を各県で指導員に伝達しなければならないので、技術員も例年以上に真剣な雰囲気。(オレンジのジャケットがナショナルデモ、オレンジのパンツがSAJデモ)
写真撮影の名目で、ネットの内側で見学できるチャンスだったが、各班を回っていたので、解説が断片的にした聞けなかったのが残念。
この後は、宿り風呂へ。。
皆さんは外の温泉に行っていたが、スタッフは懇親会の段取りをしなければならないので、体育座り状態で湯船に入らなければならない宿の小型個室ユニットバスで入浴。
懇親会は盛り上がり・・・あぁ、ここでは書けない・・・
その代わりに、福井の専門委員からの差入れの画像を。

すっきりフルーティー系で、メチャ旨かった。
また呑みたい。
2日目は、早朝5時半から朝食。
営業前のゲレンデで研修をするためだ。
がらがらのゲレンデを滑れるチャンスだったが、降雨・降雪・ガスのため、僕はレストハウスでホットコーヒーを。
天気が回復してきたのでゲレンデに出たが、タイミングが合わず、わが県連メンバーに出会えなかったので、2本滑って理論講習の準備に合流した。
理論講習の初めは、ナショナルデモによるトーク。
軽快なしゃべりの石水克友デモの進行で、「高速域で滑る時に心がけていること」「今季の技術選で設定される予定の規制種目に向けて意識していること」をテーマに各デモが語り、おもしろかった。
特に山本デモは、競技未経験の週末サラリーマンスキーヤーということで、多くの一般スキーヤーと同じ条件下での話だったので、共感できることが多かった。
石水デモに突然指名されたベテランの米丘・簑島SAJデモも参加。
このあと、イグザミナーから全日本の概略の説明があり、最後は・・・昨年度までの教程の中心的存在であったI教授の講話。
PPで映されたスクリーンには、「外スキー主導?内スキー主導?」と。
むう、複雑な心境だ。
I教授の講話は10年近く前にも聞いたことがある。
スキーが「山側に落下する」という理論で物議を醸し出した時だ。
多くのスキーヤーと同じように「物理的にそんなことがあるわけないだろ」と思いながら聞いていたが、話が終わる頃には「なるほど、そういうことがいいたかったのか」という考えに変わっていた。
I教授の理論は、よくよく聞くと納得できることが多いのだが、言葉が意味不明でセンセーショナルなので誤解をされることが多い。(「山側に落下」「内脚主導・外脚従動」「谷回りing」等々)
指導現場との間にワンクッションあると良いのに、と思ってしまうのだが。
とはいえ、今回の改訂でいわれた「カービング」の定義も・・・
今さら、混乱を招きかねない「カービング」って言葉を使わずに、違う表現はできなかったのか。
教育本部が大事にすべきが指導の現場と一般スキーヤーであるなら、誤解や混乱を招きかねない用語や指導法は、極力排除すべきだと思う。
特にマニアな方ほど、「木を見て森を見ず」状態になりやすいので。
今回の経験から、スキーの本質を見極めながら、上達を望むスキーヤーの支援をしたいと再認識した。
そのために、自身の知識・技術・指導法をさらに向上させなければ。
ということで、受験生の娘には悪いが、今季もたくさん雪上に立つことを心に誓った私である。