
各タイヤメーカーはタイヤの原材料価格高騰などの影響を受け、6月1日にメーカー出荷価格の値上げを実施するらしいですね。
値上げ幅は夏向けの乗用車用で平均6%くらいらしいですが、そうなる前にと予てから計画していたアイのタイヤ・ホイールを交換することにしました。
アイのタイヤはミッドシップレイアウトの後輪駆動のためか前後異サイズで、リアタイヤの方が摩耗が早いと思いきや、対地キャンバー角変化の少ないリアサスペンションとドライの舗装路でホイールスピンさせる程のパワーがないお陰なのか?、リアタイヤよりフロントタイヤの方が摩耗が早いようです。
ワタクシのアイも2014年11月に走行距離15,100㎞時点でフロントタイヤを
新品の純正タイヤ(2014年40週製造)に換え、2015年2月に走行距離16,376㎞時点でリアタイヤを
中古の純正タイヤ(2012年14週製造)に換えましたが、現在の走行距離26,900㎞時点では、リアはまだ3㎜以上の溝があるのに対してフロントは2㎜の溝しか残っていません。
アイとi-MiEVの純正タイヤはDUNLOPによる専用開発品で、前期型は「
SP SPORT 2030」、
2010年の途中から「
ENASAVE 2030」が装着され、フロントが
145/65R15 72Sに対し、リアは
175/55R15 77Vと、ローパワー&ロングホイールベースにもかかわらず、スタビリティを確保するためか?幅が3サイズアップされています。
速度記号(スピードレンジ)を見ると、フロントが
Sなので規定の条件下で走行できる最高速度は
180㎞/hに対し、リアは
Vなので最高速度
240㎞/hであるとされています。
フロントとリアで耐えられる最高速度が違うなんて、何か変?な感じです。
尤も、アイでは箱根ターンパイクの下りを全開で走っても、180㎞/hに達する前に天国か地獄に達してしまいそうですが。(笑)
スピードレンジ
タイヤ表示 | 速度記号 | L | N | Q | S | T | H | V | | W | Y | (Y) |
速度カテゴリ | | | | SR | | HR | | ZR | | | |
最高速度 (㎞/h) | 120 | 140 | 160 | 180 | 190 | 210 | 240 | 240㎞/h超 | 270 | 300 | 300㎞/h超 |
荷重指数(ロードインデックス)を見ると、フロントが
72なので規定の条件下においてタイヤ1本で支えることができる最大負荷能力は
355㎏に対し、リアは
77なので一本当たり
412㎏の最大負荷能力とされています。
荷重指数(LI)対応表
荷重指数(LI) | 72 | 73 | 74 | 75 | 76 | 77 | 78 | 79 | 80 | 81 | 82 | 83 | 84 | 85 | 86 | 87 | 88 | 89 |
負荷能力(㎏) | 355 | 365 | 375 | 387 | 400 | 412 | 425 | 437 | 450 | 462 | 475 | 487 | 500 | 515 | 530 | 545 | 560 | 580 |
そこで気になるのは、アイの前輪タイヤです。
正面からアイを見たとき、車体に比べ前輪タイヤが細いので、安定感がなく貧相に見えます。
20年前に乗っていたFR車のカプチーノは前軸重が360kgでしたが、タイヤは
165/65R14 79Hでした。
それに対してMR車のアイの前軸重は400kgもあるのに
145/65R15 72Sなので何となく頼りなく感じてしまいます。
(普段、運転していて曲がり難い車だと感じることはないですが。)
ちなみに、他の小型後輪駆動車の軸重とタイヤを調べてみると
| ホイールベース | 車両重量 | 前軸重 | 後軸重 | フロントタイヤ | リアタイヤ |
カプチーノ (E-EA21R) | 2,060㎜ | 690kg | 360kg (52.2%) | 330kg (47.8%) | 165/65R14 79H | 165/65R14 79H |
i (CBA-HA1W) | 2,550㎜ | 910kg | 400kg (44.0%) | 510kg (56.0%) | 145/65R15 72S | 175/55R15 77V |
i-MiEV G(16.0kWh) (ZAA-HA3W) | 2,550㎜ | 1,100㎏ | 510㎏ (46.4%) | 590㎏ (53.6%) | 145/65R15 72S | 175/55R15 77V |
BEAT (E-PP1) | 2,280㎜ | 760㎏ | 320㎏ (42.1%) | 440㎏ (57.9%) | 155/65R13 73H | 165/60R14 74H |
S660 (DBA-JW5) | 2,285㎜ | 830㎏ | 380㎏ (45.8%) | 450㎏ (54.2%) | 165/55R15 77V | 195/45R16 80W |
smart fortwo coupe (CBA-451331) | 1,865㎜ | 810㎏ | 350㎏ (43.2%) | 460㎏ (56.8%) | 155/60R15 74T | 175/55R15 77T |
RENAULT TWINGO (DBA-AHH4B) | 2,490㎜ | 1,010㎏ | 460㎏ (45.5%) | 550㎏ (54.5%) | 165/65R15 81H | 185/60R15 84H |
BMW i3 レンジ・エクステンダー (DLA-1Z06) | 2,570㎜ | 1,390㎏ | 610㎏ (43.9%) | 780㎏ (56.1%) | 155/70R19 84Q | 175/60R19 86Q |
BMW i3 (ZAA-1Z00) | 2,570㎜ | 1,260㎏ | 590㎏ (46.8%) | 670㎏ (53.2%) | 155/70R19 84Q | 155/70R19 84Q |
てな具合でした。
S660も前後タイヤで3サイズ違っておりますが、アイの様なロングホイールベースでパワーウエイトレシオの悪い車で、3サイズも変える必要があるのか疑問に思います。
S2000も前期型では2サイズ違いでしたが、ピーキーなハンドリングで事故が多かったのか?、後期型から3サイズ違いに変更された例もあるので、安全性を重視してのことだとは思いますが。
アイの場合、リアタイヤを太くしてスタビリティーを上げたと言うよりも、フロントタイヤを細くしてフロントのコーナリング性能を下げることによってオーバーステアになり難くしたと言う印象を受けます。
そう思うと、益々アイのフロントタイヤが頼りなく思えてきました。(笑)
フロントタイヤが太くなれば、燃費的にはマイナス要因ですが、コーナリング性能や制動力は良くなるはず。オーバーステアは人力 スタビリティコントロールで対応。(笑)
純正タイヤの外径は公表されていないので、同じダンロップのタイヤで調べてみると、前輪145/65R15の外径は
569㎜で、後輪175/55R15の外径は
573㎜。
155/60R15 74Hの外径は
567㎜で純正サイズとの差-2㎜、
165/55R15 75Vの外径は
563㎜ではその差-6㎜。
前輪をサイズアップするならば、後輪との外径差を考えると155/60R15サイズの方がバランスが良さそうです。
ところが、155/60R15以上にサイズアップする上で問題となるのはホイールです。
純正ホイール
| サイズ | オフセット | P.C.D | 穴数 | ハブ孔径 |
前輪 | 15×4J | 35㎜ | 100㎜ | 4穴 | ⌀56㎜ |
後輪 | 15×5J | 35㎜ | 100㎜ | 4穴 | ⌀54㎜ |
一般的に145/65R15と155/60R15 サイズタイヤに適合するホイールの標準リム幅は4½インチ。
純正タイヤであれば、純正ホイールの4Jに合わせて開発されているので、4Jで問題ないですが、155/60R15 サイズともなると純正ホイールではリム幅が足りません。
後輪用の中古ホイールを買って、前輪に取り付けることも考えましたが、ハブ側を加工する必要があり、バネ下重量アップのデメリットも生じます。
一般的なタイヤサイズと適用リムサイズ
タイヤ | 外径 | 標準リム幅(インチ) | 適用リム幅(インチ) |
145/65R15 72S | 569㎜ | 4.5 | 4〜5 |
155/60R15 74H | 567㎜ | 4.5 | 4.5〜5.5 |
165/60R15 75V | 563㎜ | 5 | 4.5〜6 |
175/55R15 77V | 573㎜ | 5.5 | 5〜6 |
※ 一般的にリム幅の変更は乗り心地と操縦性能に影響があり、標準リム幅よりリム幅を広げると操縦性が上がるかわりに乗り心地が悪くなり、逆にリム幅を狭くすると乗り心地が良くなるかわりに操舵初期の応答性が悪化したり限界でのコントロールが難しくなったりすると言われています。
そこでアイに合うサイズのホイール(前:15×4.5J・後:15×5.5J, Inset 35㎜,ハブ径:56㎜以上,純正ホイールより軽量)を探してみても特殊すぎて存在しません。(悲)
たとえ在ったとしても、新品を買うような金銭的余裕もないですが。(笑)
と言うことで、妥協案として15×5J ,オフセット:+40㎜以内,P.C.D:100㎜,4穴,ハブ径:56㎜以上,純正ホイールより軽そうな形状 という条件でヤフオク!で探していたところ、出ていたのが
ECO FORME SE-12 ガンメタリックシルバー(GS) 15inch×5J, Inset 39㎜, ハブ孔径⌀73㎜。
計算上では、フロントはリム幅とオフセットが変わったことで外側に8.7㎜出て内側に16.7㎜広がり、リアはオフセットが変わったことで内側に4㎜引っ込むことになります。
サスペンションとの干渉も気になりますが、これ位のリム幅とオフセットなら多分大丈夫なんじゃないか?と。
駄目元で入札したら、送料込み合計金額12,500 円で落札。
センターキャップは中古品と感じさせられる品質でしたが、ホイール本体は目立つ傷や汚れもなく、新品並みに綺麗な物でした。(喜)
体重計で計測したところ、1本約6.3㎏。
12本スポークなので軽量とは言えませんが(純正アルミホイールの重量は F: 6.9㎏、 R: 7.1㎏らしい)、その分剛性はあるのではないでしょうか?
昨年の10月にはホイールだけは届いていたのですが、貧乏なのでタイヤは後回し。
冒頭のタイヤ値上げのニュースを見て、やっと重い腰を上げた訳でありました。(笑)
純正タイヤも特殊なサイズで同サイズのタイヤを買おうとしても選択肢が少ないのですが、155/60R15 と175/55R15 の組み合わせで同じ銘柄で揃うタイヤを調べてみると、意外にもそれ以上に選択肢が少ないことが分かりました。
(旧型smart fortwo coupeと同じサイズだから、もっと色々あると思ってました。)
現在、国産タイヤで 同一タイヤでこの両サイズを揃えているのはダンロップの
エナセーブ EC203 軽・コンパクトカー専用パターンだけ?の様です。
(前後で銘柄を変えれば選択肢は増えるのですが。)
このタイヤは値段も安いので、フロントタイヤはこれに決めましたが、リアはトレッドパターンが好きでないので、あえて値段の高い純正タイヤの
ENASAVE 2030にしました。
(これなら5Jのホイールとの相性も良いだろうし、ENASAVE EC203と似たような名称なので横から見たときに違和感がない?と思った。)
前後で違う銘柄のタイヤを履くというのはあまり良いことではないとは思いますが、前後サイズ比も変わるので極端にグリップ性能が変わらなければ、駆動輪と操舵輪でそれに合った性格のタイヤを履くと言うのも悪くないのではないかとも思いました。
購入はネット通販で、組み付けは持ち込みタイヤ交換専門店で行い、掛かった総費用は4本分で¥43,252(購入価格¥36,412+工賃・バルブ交換¥6,840)でした。
タイヤを組んだ状態で、体重計で重さを量ってみると、
ECO FORME SE-12(15×5J )+ENASAVE EC203 155/60R15 =11.7㎏
ECO FORME SE-12(15×5J )+ENASAVE 2030 175/55R15 =13.3㎏
純正アルミホイール(15×4J )+摩耗した純正タイヤ(ENASAVE 2030 145/65R15) =12.1㎏
純正アルミホイール(15×5J )+摩耗した純正タイヤ(ENASAVE 2030 175/55R15) =13.8㎏
フロントはサイズアップしたにもかかわらず、0.4㎏×2 の軽量化なのでデメリットは少ないはず。
エナセーブ EC203はメーカー曰く、「低燃費と長持ちの両立」を売りとしていますが、実際どうなのか楽しみです。
サイズ変更による前後バランスとコーナリング特性の変化も気になるところ。
■ 6月4日追記
新しいタイヤを車体に取り付けてみて、先ずルックス的な感想は、気になっていた正面から見たとき、145サイズ幅の時のような車体とタイヤとのアンバランス感が和らいぎました。165/55R15 ならもっと良かったのでしょうが、そうなると燃費的にはマイナス要因になることと、外径が小さくなることでホイールハウスとの隙間が増すことにもなり、横から見たとき純正車高ではカッコ悪くなる可能性もあるので、155/60R15 サイズで良かったとも思いました。
オフセットが39㎜になると、必然的に145サイズのままだとタイヤの外面は内側に4㎜引っ込むわけですが、タイヤが10㎜太くなれば逆に1㎜外側に出る計算になり、加えてリムサイズも25.4㎜太くなっているので、面一に近づきました。
(と言うか、このホイールはスポーク部分が湾曲してリムより出っ張っているために車体より張り出しているっぽい? (^_^;) )
しかしながら、リア側はタイヤもホイールも純正サイズ幅のままなので、タイヤの外面も4㎜引っ込んでカッコ悪くなってしまいました。(悲)
スペーサーを取り付けるのはデメリットもあるので嫌なのですが、トレッドが狭くなるのも嫌なので着けようかな?。
続いて、空気圧を温間で前輪:2.4㎏f/㎠,後輪:2.5㎏f/㎠に調整して
(※純正タイヤ「SP 2030」を装着していた中期型アイまでの指定空気圧は前・後輪とも2.0㎏f/㎠ですが、「ENASAVE 2030」を装着した後期型アイの指定空気圧は2.5㎏f/㎠に変更された)走行してみた感想ですが、回頭性が上がりました。(嬉)
前後とも純正タイヤを履いていたときのアイも回頭性が悪いとは思っていなかったですが、例えば「くノ字」型に曲がったコーナーを曲がろうとした時はある程度ブレーキでスピードを落とさないとフロントタイヤが腰砕けしてアンダーステアになっていたのが、アクセルoffするだけで曲がっていくような感じになりました。
そして、バネ下重量が下がったことにより、若干ですがタイヤと路面との追従性が上がったような気がします。
昔、BMW 320iに乗っていた時、オフセット値と幅が違うホイールに換えたら、カッコ良くなった反面、轍にハンドルをとられ易くなったことがあったので心配していましたが、直線安定性は悪くなっていない?ようです。
また、フロントタイヤのサイズと銘柄が変わったことで、ブレーキバランスが前寄りにならないかとも心配しましたが、前後ともエコタイヤなので、それも普通に走っている分には変わっていないような気もします。
今のところドライ路面の一般道を普通に走った限りでは、フロントタイヤのサイズUPはメリットの方が多いので変えて良かったと思っていますが、低μ路で元気よく走ったら如何なるか気になります。(笑)