• 車種別
  • パーツ
  • 整備手帳
  • ブログ
  • みんカラ+

@GT86iのブログ一覧

2023年05月21日 イイね!

T.50 vs LFA vs 911 GT3

T.50 vs LFA vs 911 GT3前回のブログで“Gordon Murray Automotive”のT.50が搭載するコスワース製のV12エンジンを取り上げましたが、今回はその車について書きたいと思います。

先ずは『ゴードン・マレー・オートモーティブ』って何?と思われる方もいらっしゃると思いますので簡単に説明すると、かつてF1コンストラクターのブラハムとマクラーレンで、テクニカルディレクターとして、5回のワールドドライバーズチャンピオンシップと、3回のコンストラクターズチャンピオンシップを獲得しているマシンの設計・開発に携わり、その後、ロードカーデザイナーとしてマクラーレン F1やメルセデス・ベンツSLRマクラーレンなどをデザインしていたゴードン・マレー氏が2017年10月に設立した少量生産に特化したスポーツカーを製造する自動車会社です。

そして、T.50は「ファン・カー」としてしられるブラバム・BT46Bとマクラーレン F1の遺伝子を継ぐフラッグシップモデルとも言われていて、マレー氏の50年のキャリアと50番目のデザインであることを意味して名付けられたクルマらしく、これまでで最も純粋で軽量、ドライバー中心のスーパーカーになるように設計したとのこと。





前回と同様にLFAや911 GT3 Touring Packageとスペック比較してみました。

■ スペック比較

(型式)
Gordon Murray Automotive
T.50
Lexsus
LFA
Porsche
911 GT3 Touring Package
エンジン形 式Cosworth GMA V121LR-GUEMA2.75
種 類65°V型12気筒 DOHC72°V型10気筒 DOHC水平対向6気筒 DOHC
燃料噴射ポート噴射ポート噴射筒内直接噴射
排気量3,994cc4,805cc3,996cc
内径×行程81.5 × 63.8㎜88.0 × 79.0㎜102.0 × 81.5㎜
圧縮比14.0:112.0:113.3:1
最高出力663ps / 11,500rpm560ps / 8,700rpm510ps / 8,400rpm
最大トルク467N・m / 9,000rpm480N・m / 6,800rpm470N・m / 6,100rpm
燃料タンク容量80㍑73㍑64㍑
トランスミッション6速MT6速AT(ASG)6速MT
変速比(:1)Input bevel 1.688
1速 2.833
2速 2.095
3速 1.577
4速 1.226
5速 0.971
6速 0.744
後退 
フロントカウンターギヤ 1,259
1速 3.231
2速 2.188
3速 1.609
4速 1.233
5速 0.970
6速 0.795
後退 3.587
1速 3,75
2速 2,38
3速 1,72
4速 1,34
5速 1,08
6速 0,88
 
後退 3,42
最終減速比(:1)3.1763.4173,96
駆動方式MRFRRR
寸 法全 長4,352㎜4,505㎜4,573㎜
全 幅1,850㎜1,895㎜1,852㎜
全 高1,164㎜1,220㎜1,279㎜
ホイールベース2,700㎜2,605㎜2,457㎜
フロントトレッド1,586㎜1,580㎜1,601㎜
リアトレッド1,525㎜1,570㎜1,553㎜
最低地上高前:120㎜(後:140㎜)115㎜?㎜
最小回転半径5.45m6.1m5.2m
車両重量986㎏1,480㎏1,493
乗車定員(名)322
サスペンション方式前:ダブルウィッシュボーン式
後:ダブルウィッシュボーン式
前:ダブルウィッシュボーン式
後:マルチリンク式
前:ダブルウィッシュボーン式
後:マルチリンク式
タイヤ/
ホイール
タイヤ前:235/35 R19
後:295/30 R20
(Michelin
Pilot Sport 4S)
前:265/35 ZR20
後:305/30 ZR20
(BRIDGESTONE
POTENZA S001)
前:255/35 ZR 20
後:315/30 ZR 21
(Michelin
Pilot Sport Cup2)
ホイール前:19 × 8.5J
後:20 × 11J
(鍛造アルミホイール)
前:20 × 9.5J
後:20 × 11.5J
(鍛造アルミホイール)
前:20 x 9.5J
後:21 x 12J
(鍛造アルミホイール)
ブレーキ対向6ピストンキャリパー/
ベンチレーテッドディスク (370㎜)
対向6ピストンキャリパー/
ベンチレーテッドディスク(390㎜)
対向6ピストンキャリパー/
ベンチレーテッドディスク (408㎜
対向4ピストンキャリパー /
ベンチレーテッドディスク (340㎜)
対向4ピストンキャリパー/
ベンチレーテッドディスク(360㎜)
対向4ピストンキャリパー /
ベンチレーテッドディスク(380㎜
ディファレンシャルLSDトルセンLSDLSD
車両本体価格236万ポンド37,500,000円24,380,000円
備 考100台限定2010年
500台限定


T.50がリアミッドに搭載するコスワース製の4リッターV12自然吸気エンジンは リーター当たり出力166馬力を発生、最高回転数が12,100rpmと超高回転型エンジンでありながら、2,500rpmから最大トルクの71%(332Nm)を発生し、アイドル回転数から0.3秒でリミッターを打つ超絶レスポンス!とフレキシビリティを持ち合わせています。
12,100rpmのレッドラインもさることながら、V12エンジンの唸るようなサウンドをキャビンに響かせ、ドライバーに最高の喜びを提供するための工夫が施されています。
ドライバーの頭上に設置された冷風ラムインダクションインテークは、ルーフのカーボンファイバーの厚みを変えてラウドスピーカーとして機能させ、エンジン音をキャビンで増幅するように設計されています。このシステムの優れた点は、回転数ではなくスロットルの角度によって作動することです。つまり、T.50はパートスロットルでは静かで洗練されており、ドライバーがハーフスロットル以上に踏み込むと音量が大きくなるのです。これはLFAが搭載するV10エンジン1LR-GUEがアコースティックギターのボディの考え方を応用し、吸気サージタンクの側板部の剛性を高め平板部へのリブを配置して共振周波数と振動モードをコントロールしてLFA独自の吸気サウンドを実現した手法と似てますね。
エンジン重量はマクラーレン F1に搭載されたBMW製V12エンジンS70/2より80㎏以上軽い178㎏。

Xtrac製の軽量,コンパクトなHパターン6速マニュアル・トランスミッションは重量80.5㎏で、加速に適した5つのクローズレシオと、クルージングに適した長い6番目のレシオを備えています。

T.50のボディサイズは全長4,352㎜ × 全幅1,850㎜ × 全高1,164㎜、ホイールベース2,700㎜。
マクラーレンF1と同様、キャビン中央に運転席を、その左右やや後方にパッセンジャーシートが備わる3シートレイアウトを採用しています。

3シートレイアウト

マクラーレンF1よりほんの少しだけ大きくなっていますが、911 GT3より小さく、V12エンジンを搭載してのこのサイズは驚きです!。
GT3の車幅はカタログ値1,852㎜となっていますが、サイドミラーまでの総幅は2,027㎜となっており、対してT.50は、映像を見るとデジタルサイドミラーを採用することで、1,850㎜に収まっているように見受けられます。
スポーツカーは後方視界を犠牲にしているモデルが多いですが、バックカメラとサイドカメラで撮った映像をタコメーターの右横にあるモニターと左右のモニターで常時表示できるようです。


デジタルサイドミラー

デジタルサイドミラー


サイド,バックカメラ モニター

最近のスーパーカーと言えば、全幅1,900㎜以上なのが当たり前になってきていますが、他のスポーツカーと比べるとその大きさがよく分かります。
個人的には小さい車の方が運転してて人馬一体感があって楽しいと思うのですが。

■ スポーツカー サイズ比較
全長全幅全高ホイールベース前/後 トレッド重量
ALPINE A1104,2051,8001,2502,4201,555/1,5501,110㎏
GR864,2651,7751,3102,5751,520/1,5501,290㎏
GR SUPRA4,3801,8651,2952,4701,595/1,5901,520㎏
McLaren F14,2881,8201,1402,7181,568/1,4721,138㎏(乾)
T.504,3521,8501,1642,7001,586/1,525986㎏(DIN)
T.334,3981,8501,1352,7351,591/1,5301,090㎏(乾
Lotus EMIRA V64,4131,895 1,2262,5751,608/1,626 1,458㎏(DIN)
NSX Type S4,5351,9401,2152,6301,665/1,6351,790㎏
Ferrari 296 GTB4,5651,9581,1872,6001,665/1,6321,470㎏(乾)
McLaren 750S4,5691,9301,1962,6701,680/1,6291,389㎏(DIN)
Maserati MC204,6691,9651,2242,7001,681/1,6491640㎏
Lamborghini Revuelt4,9472,0331,1602,7791,720/1,7011,772㎏(乾)
※ 車両重量は各計測基準が異なりますので参考程度までに。

殆んどの2ドアのスポーツカーはドアが大きくて、車高も低いので、狭い駐車スペースでの乗り降りが大変ですが、T.50は上に開くタイプなので、アクロバティックな姿勢を取らずに乗り降りができそうです。



ラゲッジ容量は(3名乗車時)228ℓ、(2人乗り時)288ℓ。因みに、GT3 Touring Packageのフロント部ラゲッジ容量は132ℓ。
助手席側にゴルフ🏌️‍♂️バックを置いていけば、彼女と二人の一泊二日のゴルフ旅行にも行けそうです。😁(妄想)


モノコックはアルミニウムハニカムコアとカーボンファイバーサンドイッチパネルを多面的に接合したパネルで、ボディパネルもカーボンファイバー製。
モノコックを含むボディ全体の重量は150㎏未満に抑えられ、F1スタイルの「パッセンジャーセーフティセル」により優れた乗員安全性を確保。またウインドウも一般的なガラスよりも28%薄く、軽量化を実現しているとのこと。
インテリアでは、3つのバケットシートにもカーボンファイバーを使用。
ブレーキもカーボンセラミックとした。すべての部品の重量を最小限に抑えることに重点を置いた軽量化戦略によって、車両重量は1トンを下回り、986kg(乾燥重量は957kg)に抑えられています。

タイヤやホイール,ブレーキローターはLFAやGT3より小さいですが、車がコンパクトで軽いからこそ成立するサイズで、普通のスーパーカーとは次元が違います。
タイヤがカップタイヤでないのもロードゴーイングカーとしての乗り心地やウェットグリップなどを重視して選んだと思われます。


この車の大きな特徴として挙げられるのがアクティブ・アンダーボディ・エアロダイナミクスです。


車両後方には48ボルト 8.5kW(約11.55ps)の出力をもつ 電気モーターで駆動する400㎜のファンを搭載。走行中にクルマのフロア下を通過する空気を加速させ、加えて2つの可動式リアスポイラーを組み合わせることで、ダウンフォースや空気抵抗を制御。エンジン冷却の強化にも使われます。


グランドエフェクトファンと可動式リアスポイラー

2つのモードはドライバーの操作なしで作動します。“オートモード”は、速度やドライバーの入力に応じて、リアエアロフォイル、ファン、アンダーボディディフューザーを最適化するもので、車の初期設定です。高い減速度が必要な場合は、“ブレーキングモード”でリアエアロフォイルが自動的に作動し、同時にファンも高速で作動します。この機能によりダウンフォースが倍増し、安定性とグリップ力が向上します。また、150mph(約240㎞/h)からのブレーキングでは、制動距離を10m短縮することもできます。
その他の4つのエアロモードは、ドライバーの好みで選択可能です。“ハイダウンフォースモード”は、ファンとエアロフォイルが連動してダウンフォースを30%増加させ、トラクションを強化するモードです。ドライバーはスイッチひとつで“ストリームラインモード”に移行でき、ドラッグを10%低減して直進性を高めるとともに、燃料消費とダウンフォースを低減します。このモードでは、アンダーボディのダクトを閉じ、ファンを高速で作動させることで、車の後流を延長し、「バーチャルロングテール」を作り出します。
最大速度が必要な場合は、ドライバーのボタン操作で“Vmaxモード”を展開することができます。このモードでは、ストリームラインモードと同じ空力特性を利用しますが、48ボルトの内蔵スタータージェネレーターからクランクシャフトに電力を供給することで、最大3分間、約30馬力のブーストを追加することができます。
また、静止状態では“テストモード”が作動し、エアロシステムの能力を発揮することができます。


ブレーキはバキュームアシストでABSを装備。
On/Off 可能なトラクションコントロールとESP、LSD、低速時に働くパワステ、700ワットの10スピーカー・オーディオシステムも標準装備とのこと。



気になるお値段ですが、236万ポンドとのことで、
本日のレートを確認すると、171.703/円とな。🤔

自家用スーパー量子かんピューター『不覚』で計算してみると、
405,219,080円。

ん、?
😨
🥶
😱💦



4億円オーバーとな!







フォトギャラリー T.50


とはいえ、予約開始から48時間で完売したそうな。

いいんだ😢、ワタクシにはT.50より軽量な4シータ―ミッドシップ後輪駆動の『スーパー通勤快速号』 アイがあるから。


でも、
冥途の土産に、
助手席で
生音と加速力を体験したい!

Posted at 2023/05/21 18:24:04 | コメント(0) | トラックバック(0) | Interested Car | クルマ
2023年05月13日 イイね!

Cosworth GMA V12

みん友の皆様、フォロワーになっていただいている皆様、
ご無沙汰しております。🙇‍♂️

車に興味がなくなった訳でもなく、
仕事で忙しかった訳でもなく、
まだ生きています。😁

このままでは近い将来、ボケ老人になりそうなので、
頑張って、貧乏なワタクシには全く縁がない夢のあるマニアックなブログ記事を書こうと思います。



最近、経済誌などで日本車の電気自動車(BEV)シフトの遅れを批判する記事を目にすることが多くなりました。 このままでは欧米どころか、隣国にも敵わず、自動車産業どころか日本経済が衰退する危機感があります。
BEVは航続距離を問題視する意見も多いですが、この先ガソリンスタンド⛽が減っていけば、否応なしに電気自動車にするしかありません。

ワタクシは電気自動車の運転経験は後輪駆動のBMW i3とHonda e しかありませんが、どちらの車も低重心で前後重量配分も良いためか?ハンドリングも良く、静かで低速域からトルクがあり、小回りもきいて好印象でした。
通勤や買い物用の足とするならば、維持費も安いし、電気自動車の方がメリットが大きいような気もします。
しかしながら、趣味の車とするなら、電気自動車では得られない内燃機関の魅力があります。


1LR-GUE
ワタクシが個人的に「好きなエンジン」として上げられるのは、レクサス LFAの「1LR-GUE」型エンジンです。
このエンジンの魅力はロードゴーイングカーのエンジンでありながら、F1を始めとするレーシング🏎️エンジンの技術が生かされていて、心揺すぶられるようなエンジン音🎶と加速力を味わいたくなる麻薬の様なエンジンだからです。(麻薬を遣ったこともなければ、LFAを運転したこともないですが。😁)

今まで生音を聞いた中では、ポルシェ カレラGTのV10サウンド🎵やV8フラットプレーンのクランクシャフトのフェラーリF355サウンド🎵も素敵ですが、メカ🔧的にもエンジンはLFAの方が好み💘です。

ですが、遂にそれを超えるエンジンが登場しました!。
それはGordon Murray AutomotiveT.50が搭載するコスワース製のGMA V12です。


動画再生時間の8:00頃から9:10までのエンジン音を聞いてください。煩いだけのエンジンと違って、1LR-GUEと同じく楽器🎶のようです。

では、そのエンジンをメカ的に共通点の多い、Lexus LFAやPorsche 911 GT3のものと比べてみました。
■ エンジン比較
Gordon Murray Automotive
T.50
Lexus
LFA
Porsche
911 GT3 Touring Package
エンジン型式Cosworth GMA1LR-GUEMA2.75
エンジン種類65°V型12気筒
DOHC 48バルブ
72°V型10気筒
DOHC 40バルブ
水平対向6気筒
DOHC 24バルブ
総排気量(㏄)3,9944,8053,996
内径×行程(㎜)81.5 × 63.888.0 × 79.0102.0 × 81.5
圧縮比14.0:112.0:113.3:1
最高出力663ps / 11,500rpm560ps / 8,700rpm510ps / 8,400rpm
最大トルク467Nm / 9,000rpm480Nm / 6,800rpm470Nm / 6,100rpm
リッターあたり馬力166ps/ℓ 117ps/ℓ128ps/ℓ
最高回転数12,100rpm9,500 rpm9,000rpm
平均ピストンスピード@レブリミット25.73m/秒25.02m/秒24.45m/秒
燃料噴射方式ポート噴射ポート噴射筒内直接噴射
スロットルバルブ4スロットル10連独立スロットル6連独立スロットル
バルブ駆動方式フィンガーフォロワー(ロッカーアーム)フィンガーフォロワーフィンガーフォロワー
可変バルブタイミング機構吸気/排気吸気/排気吸気/排気
カムチャフト駆動方式ギヤトレインギヤ&ローラーチェーンダブルローラーチェーン
潤滑方式ドライサンプドライサンプドライサンプ
エンジンブロックアルミ合金製アルミ合金製アルミ合金製
シリンダーブロックアルミ合金製
クローズドデッキ構造
ライナーレス(?)
アルミ合金製
クローズドデッキ構造
ライナーレス(鉄溶射ボア)
アルミ合金製
クローズドデッキ構造
ライナーレス(鉄溶射ボア)
ヘッドカバーマグネシウムマグネシウム合金
バルブチタンチタン合金
コネクティングロッドチタンチタン合金(鍛造)チタン(鍛造)
ピストンMMC(金属基複合材料)アルミ(鍛造)アルミ(鍛造)
エクゾーストシステムインコネル&チタンステンレス&チタンデュアルステージリヤサイレンサーステンレス
エンジン重量178㎏200㎏+α?

LFAが搭載する自然吸気エンジン1LR-GUEは最高回転数が9,500rpmレッドゾーンは9,000rpmで、燃料カットは9,500rpmで働くがこれはシフトダウン時などの余裕のため、シフトアップでは9,000rpm以上回さない)でありながら、3,900rpmから9,000rpmの間で最大トルクの90%(432Nm)以上のトルクを発生するというフレキシビリティを持ち合わせていて、アイドル回転数から0.6秒で9,000rpmに達するきわめて高い応答性となっています。
アイドリング時には片バンク運転で、スロットル信号が入ると両バンク運転になります。
冷間始動時、エアポンプによって排気管へ強制的に大気を圧送するエアインジェクションシステムを採用。これにより、触媒を早期活性化させることができ、常に排出ガスをクリーンに保つことなど、ロードゴーイングカーとしてハイパワーとクリーンの両立を実現しています。

対してT.50が搭載するコスワース製のエンジンGMA V12は最高回転数が12,100rpmと超高回転型エンジンでありながら、2,500rpmから最大トルクの71%(332Nm)を発生し、 アイドル回転数から0.3秒でリミッターを打つ超絶レスポンス!。
因みに、T.33が搭載するエンジンGMA.2 V12は最高出力が617ps/10,250rpm,最高回転数は11,100rpm,2,500rpmで最大トルクの75%(338Nm)、4,500rpmから10,500rpmの間で最大トルクの90%(406Nm)のトルクを発生とのこと。

T.50,LFA,911 GT3には、それぞれサーキットでのパフォーマンスに最適化された、T.50sLFA Nurburgring Package,911 GT3 RSがあり、排気量は変わらないものの、更にハイチューンしたエンジンを搭載しています。
最高出力は順に710ps / 11,500rpm,571ps/ 8,700rpm,525ps / 8,500rpmとなっています。




Gordon Murray AutomotiveのYouTube チャンネルにそのエンジンの詳細がありましたので紹介します。








4ℓ 65度V型12気筒 DOHC エンジン COSWORTH GMA V12

エンジンはひとりが140時間を費やして組み立て、ネームプレートがエンジンに張り付けられます。


エンジンとギヤボックス

ランボルギーニ「Revuelto(レヴエルト)」が搭載する新開発の6.5ℓV12型自然吸気エンジン(L545型)はランボルギーニがこれまでに製造した中で最も軽量で最も強力な12気筒エンジンで、825ps/9,250rpm,重量は218㎏とのことですが、T.50が搭載するコスワース製65°V型12気筒エンジンは重量わずか178㎏で、Xtrac製Hパターン6速マニュアルトランスミッションは重量80.5㎏と、これも軽量です。
エクゾーストシステムはインコネル&チタン製。
ドライサンプなので、低重心にも貢献しています。

興味深いのはオルタネーター(発電機)などの補器類を駆動するためのベルトがないこと。
なので、ベルトを定期交換する必要がありません。😁
LFAやGT3ではオイルポンプの駆動にチェーンを利用し、GT3はウオーターポンプをベルトで駆動してますが、T.50ではギヤ⚙️駆動のようです。
エンジンの前にあるのがエンジン出力軸直結型 ISG(Integrated Starter Generator)。スターター(エンジン始動用電動機)とオルタネーターの機能を兼ねた電気モーターで、システム電源は20kW/48Vです。
そしてもっと驚くのはオーバーヘッドのカムシャフトを駆動するのはタイミングチェーンではなく、カムギヤトレインとなっていることです!😲
カムギヤトレインはF1やWECなどのレーシングエンジンに用いられる技術で、ロードゴーイングカーに用いられるのは極めて異例です。


クランクケースとクランクシャフト

クランクシャフトの重量は13㎏。
高回転・高出力のためには、同排気量であれば一気筒あたりのピストンやバルブが小さく軽くなる多気筒の方が有利だと思っていましたが、そんな単純ではなく、長いクランクシャフトやカムシャフトはねじり振動がきつくて高回転化に不向きで、LFAがV12気筒ではなくV10にしたのはそれも理由の一つだったらしい。
よって、クランクシャフトやそれを支えるクランクケースのベアリング支持剛性は高回転化には重要です。
潤滑油供給方式をドライサンプとすることで、低重心化,クランクの撹拌抵抗を少なくする,コーナーでは遠心力でオイルが外側に片寄り、オイル供給ができなくなることを防ぐなどのメリットがあります。
因みに、使用しているエンジンオイルはShellの0W-40だそうです


ピストン

I断面形状のコンロッドはチタン製。
ピストンの材質はMMC(金属基複合材)とのことですが、企業秘密らしい。ググってみると、ベース金属とセラミックス系強化材を組み合わせることで、より良い物性を実現した複合材料のようである。簡単に言えばアルミ合金?
ピストンスカートが幅が狭くて短い!ですね。
スカート部分には摩擦損失低減を目的として、モリブデンコーティング等の表面処理がされていることが多いのですが、緑色のテープのような物は何なんでしょうかね?🤔、初めて見ました。


シリンダーブロック

アルミ合金製のシリンダーブロックにはオープンデッキ構造のものとクローズドデッキ構造のものがありますが、GMA V12はクローズドデッキ構造であることが映像から分かり、鋳鉄ライナーを圧入しているようには見えないので、LFAやGT-R(R35型),911 GT3,新型NSXのようにシリンダー内周を鉄系溶射加工処理している?と思われます。(因みに新型NSXのシリンダーブロックはCosworth製です)

オープンデッキ構造の長所は生産性が良いことと、シリンダーの燃焼室近くに大きく冷却水を回せるので、エンジン水温を安定させ燃焼室の温度上昇を抑えやすいこと
クローズドデッキ構造の長所はシリンダー剛性が高いことと言われています。

アルミ製のシリンダーは鉄より軽く、熱伝導率も高いですが、硬い鉄で作られたピストンリングの摺動に耐えられないため、シリンダー内周の摺動面に鋳鉄製ライナーを挿入するのが一般的ですが、エンジンの軽量化や冷却性向上のため、鋳鉄製ライナーに替わる技術として、高Siアルミ合金(A390)をブロック全体に使用したり、シリンダー内周の摺動面にニカジルメッキや鉄系の溶射をする等の方法があります。

LFAはF1のエンジンを加工している加工設備を流用し、シリンダー内壁を鉄系の溶射をした後、シリンダヘッド、ロアブロックを取り付け、取り付けボルトを締め付けて歪ませた状態にしてから内径を最終加工(ダミーヘッドホーニング)しています。
鉄はアルミより熱伝導率が低いですが、「鉄系溶射皮膜」は通常用いる鋳鉄製のライナーよりも薄いので、軽くて熱が伝わりやすく、発生した熱をどんどん冷却水に放出でき、またその膜を鏡面仕上げにすることで、ピストンが動く時の抵抗が大幅に減るなどのメリットがあります。


ニカジルメッキ・シリンダーボアは、2003年頃のHonda F1 3ℓ V10エンジンにもその技術が採用され、かつてワタクシが長い間所有していたBMW 328i(E36型)の直列6気筒オールアルミエンジンの M52B型もそうでしたが、高硫黄ガソリンによる?摩耗異常問題により短命に終わり、M54B型エンジンでは鋳鉄ライナーになり、M3(F80/F82型)に搭載されていたS55B30T0エンジンや現在のB58B型エンジンは鉄溶射になっているようです。
S2000はFRM(Fiber Reinforced Metal:繊維強化金属)スリーブで、昔、ホンダのエンジニアから聞いた話では、後期型からダミーヘッドホーニングしているとのことでした。

歴代My Carのシリンダーブロック
年式車名エンジン型式材質シリンダーブロック構造シリンダーボア
'76セリカLB 2000ST18R-U鋳鉄クローズドデッキ
'83カローラレビンGT APEX4A-GEU鋳鉄クローズドデッキ
'88プレリュード 2.0siB20Aアルミ合金クローズドデッキ
'94BMW320i Coupé206S(M50B20型)鋳鉄クローズドデッキ
'95カプチーノK6Aアルミ合金オープンデッキ鋳鉄ライナー
'96BMW328i Coupé286S(M52B28型)アルミ合金クローズドデッキニカジルメッキ
'99S2000F20Cアルミ合金オープンデッキFRMスリーブ
'1386FA20アルミ合金オープンデッキ鋳鉄ライナー?
'09i3B20アルミ合金オープンデッキ鋳鉄ライナー



シリンダーヘッド


シリンダーヘッド(燃焼室側)

シリンダーヘッド

シリンダーヘッドの燃焼室側を見ると、インジェクターの噴射口は無く、吸気ポートにあることから、直噴エンジンではないことが分かります。
(因みにGMAのプレスキットによれば、T.33のエンジンの方は一気筒にツインインジェクターとあるので、トヨタのD-4Sエンジンや新型NSX等のように、運転状態によってポート噴射と筒内直接噴射を使い分ける仕様になっているのかも?しれません。)

動弁機構はスイングアーム式ロッカーアーム。バルブスプリングはバルブサージングを防ぐためなのか、インナースプリングとアウタースプリングがある複式(ダブルスプリング)になっており、バルブはLFAと同じく吸排気ともチタン製です。


フィンガーフォロワー(ロッカーアーム)

フィンガーフォロワー(ロッカーアーム)の摺動面を見ると黒光りしていることから、摺動面の摩擦抵抗低減・耐摩耗性に優れたDLC(Diamond Like Carbon)コーティングされていると思われます。

最近のエンジンの多く(ホンダの軽自動車からフェラーリのエンジンまで)は、フリクションロスを低減したり、バルブリフトのハイリフト化やシリンダーヘッド小型化などのために、バルブ駆動方式が直打式でなく、ローラーロッカーアーム式になっていますが、LEXUS LFAもローラーロッカーではなく、この様にスリッパー式のフィンガーフォロワーになっていて、アームの支点側はピボットラッッシュアジャスターではなく、シャフトで保持し、バルブクリアランスはシムで調整する構造となっています。
そして、フリクションロスを低減するためにフィンガーフォロワーをDLCコーティングしています。
991.Ⅱ型以降の911 GT3,718 Cayman GT4 RS,新型Corvette Z06のエンジンも同様の仕様となっています。
(991.Ⅰ型GT3もフィンガーフォロワーにDLCコーティングされているようですが、アームの支点側はピボットラッッシュアジャスターになるフローティングタイプ。また、718 Cayman GTS/GT4のエンジンは一般的なローラーロッカーアーム式になっています。ポルシェではロッカーアームの支点側をシャフトで保持する構造のものをリジットバルブトレインとか呼んでいるようですが、これのメリットは構造上ロッカーアームの脱落が起きないことです。
S2000はチョッと変わっていて、ローラーロッカーアーム式ですが、アームの支点側はシャフトで保持し、バルブクリアランスはアジャストスクリューで調整するようになっています。)

ローラーロッカーを使わない理由はアームの剛性と動弁系の慣性質量を極限まで減らしたいからのようです。よって、四輪用量産エンジンでこの方式を採用しているのは、世界的にみても 希で、F1やWECなどのレーシングエンジンで採用されている技術です。
本田技術研究所が公表している論文によれば、ホンダのF1エンジンは2002年からこのDLCコーティング・フィンガーフォロワーを採用しているとのことで、トヨタやBMWでも使われていました。



ハイドロリックダンパー

クランクシャフトと同様に、直6やV12のように長いカムシャフトは高回転まで回すとバルブスプリングの反発力によって、ねじり振動が起きやすいらしく、ゴードン・マーレー氏が指さしているのが、それを防ぐための油圧式ダンパーらしい。
(因みに、向かって左側の人はホンダエンジンでインディカー・シリーズでは3年連続を含む4度のシリーズチャンピオン🥇、インディ500では3度の優勝🏆を獲得しているダリオ・フランキッティさんです。)


カムギヤトレイン

カムシャフトを駆動するのはコグドベルトやタイミング・チェーンではなくて、カムギヤトレイン
カムギヤトレインはエンジン前方ではなくて、後方のミッション側にあります。
各ギヤ⚙️は軽量化のため肉抜きされていています。
カムギヤトレインで問題となるのが、ギヤのバックラッシュによる騒音や振動ですが、ゴードン・マーレー氏が指さしている前後二段のギヤが、それを防ぐためのものらしい。


シリンダーブロック



可変バルブタイミング機構

可変バルブタイミング機構を吸気/排気側に搭載。
レーシングカーエンジンに可変吸気機構はあっても、可変バルブタイミング機構は無さそうなので、3,000回転以下の速度域を常用するロードゴーイングカーならではの装備かもしれません。
因みに、T.50sでは可変バルブタイミング機構は省かれています。


ヘッドカバー

ヘッドカバーはLFAと同じく、マグネシウム製らしい。
エピソード#8の動画に出ているプロトタイプのヘッドカバーは黒色塗装になってますが、T.50の生産車はオレンジ色、T.50sは色、T.33は色になっています。


RAM誘導エアボックスと4スロットルボディ

LFAやGT3は各気筒独立スロットルバルブになっていますが、T.50は4スロットル。マクラーレンF1に搭載したBMW製V12は12連スロットルだったが、管理が難しいので(3気筒ごとの)4スロットルにしたらしい。
因みに、ランボルギーニ・レヴエルトも4スロットルで、T.50sは12連スロットルのようです。

T.50のサウンドは、絶叫するようなレッドラインもさることながら、ドライバーに最高の喜びを提供するための工夫が施されています。
ドライバーの頭上に設置された冷風ラムインダクションインテークは、ルーフのカーボンファイバーの厚みを変えてラウドスピーカーとして機能させ、エンジン音をキャビンで増幅するように設計されています。このシステムの優れた点は、回転数ではなくスロットルの角度によって作動することです。つまり、T.50はパートスロットルでは静かで洗練されており、ドライバーがハーフスロットル以上に踏み込むと音量が大きくなるのです。



この様に詳細を知れば、ロードゴーイングカーとしての資質を備えながら、殆どレーシング🏎️エンジンといえる仕様に驚くばかりです!



是非、
助手席で
生音と加速力を体験したい!




T.50 関連情報ホームページURL:
T50
T33

Lexus LFA 関連情報ホームページ:
LEXUS LFA
レクサスLFAのV10エンジンはいかにして生み出されたか
驚異の9000回転。レクサスLFAのV10エンジンの設計とは。
内燃機関超基礎講座 | レースエンジン屋魂で開発した量産V10[トヨタ1LR-GUE/レクサスLFA]
東京モーターショー】レクサス「LFA」用エンジンは72度V10、ドライサンプ
レクサスLFAスーパースポーツエンジン 1LR-GUE こだわり生産
レクサスLFA スーパーファクトリーのすべて

911 GT3 関連情報ホームページURL:
ニューポルシェ911 GT3 エンジンとトランスミッション
ポルシェ恐るべし。911GT3の超高回転型フラット6(MA175型)を分解する


Posted at 2023/05/13 21:11:41 | コメント(0) | トラックバック(0) | Interested Car | クルマ

プロフィール

みんカラ 旧ニックネーム : 銀色S2000はーどとっぷ  30歳を過ぎた或る日、ドライビングスクールに参加したことが切っ掛けで、走りに目覚めてしまいました。...
みんカラ新規会員登録

ユーザー内検索

<< 2023/5 >>

 123456
789101112 13
14151617181920
21222324252627
28293031   

リンク・クリップ

Traditional Japanese Garden Styles 
カテゴリ:My Web Site
2009/11/28 11:24:50
 
My Favorite Things 
カテゴリ:My Web Site
2007/08/08 15:38:09
 

愛車一覧

トヨタ 86 トヨタ 86
『新・すーぱードライビングテクニック養成マシーン』 GRADE :GT TYPE ...
三菱 アイ 三菱 アイ
『スーパー通勤快速号』 型式 CBA-HA1W 2009(H21)年式 GRADE:T ...
BMW 3シリーズ クーペ 『黒い36くーぺ2号』 (BMW 3シリーズ クーペ)
『黒い36くーぺ2号』 '96年式の E36 328i Coupé '94年式の E3 ...
ホンダ S2000 ホンダ S2000
『すーぱードライビングテクニック養成マシーン』 '99年式の初期型です。 タイヤ・ ...

過去のブログ

ヘルプ利用規約サイトマップ
© LY Corporation