Gordon Murray Automotive T.50 | Lexus LFA | Porsche 911 GT3 Touring Package | |
---|---|---|---|
エンジン型式 | Cosworth GMA | 1LR-GUE | MA2.75 |
エンジン種類 | 65°V型12気筒 DOHC 48バルブ | 72°V型10気筒 DOHC 40バルブ | 水平対向6気筒 DOHC 24バルブ |
総排気量(㏄) | 3,994 | 4,805 | 3,996 |
内径×行程(㎜) | 81.5 × 63.8 | 88.0 × 79.0 | 102.0 × 81.5 |
圧縮比 | 14.0:1 | 12.0:1 | 13.3:1 |
最高出力 | 663ps / 11,500rpm | 560ps / 8,700rpm | 510ps / 8,400rpm |
最大トルク | 467Nm / 9,000rpm | 480Nm / 6,800rpm | 470Nm / 6,100rpm |
リッターあたり馬力 | 166ps/ℓ | 117ps/ℓ | 128ps/ℓ |
最高回転数 | 12,100rpm | 9,500 rpm | 9,000rpm |
平均ピストンスピード@レブリミット | 25.73m/秒 | 25.02m/秒 | 24.45m/秒 |
燃料噴射方式 | ポート噴射 | ポート噴射 | 筒内直接噴射 |
スロットルバルブ | 4スロットル | 10連独立スロットル | 6連独立スロットル |
バルブ駆動方式 | フィンガーフォロワー(ロッカーアーム) | フィンガーフォロワー | フィンガーフォロワー |
可変バルブタイミング機構 | 吸気/排気 | 吸気/排気 | 吸気/排気 |
カムチャフト駆動方式 | ギヤトレイン | ギヤ&ローラーチェーン | ダブルローラーチェーン |
潤滑方式 | ドライサンプ | ドライサンプ | ドライサンプ |
エンジンブロック | アルミ合金製 | アルミ合金製 | アルミ合金製 |
シリンダーブロック | アルミ合金製 クローズドデッキ構造 ライナーレス(?) | アルミ合金製 クローズドデッキ構造 ライナーレス(鉄溶射ボア) | アルミ合金製 クローズドデッキ構造 ライナーレス(鉄溶射ボア) |
ヘッドカバー | マグネシウム | マグネシウム合金 | |
バルブ | チタン | チタン合金 | |
コネクティングロッド | チタン | チタン合金(鍛造) | チタン(鍛造) |
ピストン | MMC(金属基複合材料) | アルミ(鍛造) | アルミ(鍛造) |
エクゾーストシステム | インコネル&チタン | ステンレス&チタンデュアルステージリヤサイレンサー | ステンレス |
エンジン重量 | 178㎏ | 200㎏+α | ? |
エンジンはひとりが140時間を費やして組み立て、ネームプレートがエンジンに張り付けられます。
ランボルギーニ「Revuelto(レヴエルト)」が搭載する新開発の6.5ℓV12型自然吸気エンジン(L545型)はランボルギーニがこれまでに製造した中で最も軽量で最も強力な12気筒エンジンで、825ps/9,250rpm,重量は218㎏とのことですが、T.50が搭載するコスワース製65°V型12気筒エンジンは重量わずか178㎏で、Xtrac製Hパターン6速マニュアルトランスミッションは重量80.5㎏と、これも軽量です。
エクゾーストシステムはインコネル&チタン製。
ドライサンプなので、低重心にも貢献しています。
興味深いのはオルタネーター(発電機)などの補器類を駆動するためのベルトがないこと。
なので、ベルトを定期交換する必要がありません。😁
LFAやGT3ではオイルポンプの駆動にチェーンを利用し、GT3はウオーターポンプをベルトで駆動してますが、T.50ではギヤ⚙️駆動のようです。
エンジンの前にあるのがエンジン出力軸直結型 ISG(Integrated Starter Generator)。スターター(エンジン始動用電動機)とオルタネーターの機能を兼ねた電気モーターで、システム電源は20kW/48Vです。
そしてもっと驚くのはオーバーヘッドのカムシャフトを駆動するのはタイミングチェーンではなく、カムギヤトレインとなっていることです!😲
カムギヤトレインはF1やWECなどのレーシングエンジンに用いられる技術で、ロードゴーイングカーに用いられるのは極めて異例です。
クランクシャフトの重量は13㎏。
高回転・高出力のためには、同排気量であれば一気筒あたりのピストンやバルブが小さく軽くなる多気筒の方が有利だと思っていましたが、そんな単純ではなく、長いクランクシャフトやカムシャフトはねじり振動がきつくて高回転化に不向きで、LFAがV12気筒ではなくV10にしたのはそれも理由の一つだったらしい。
よって、クランクシャフトやそれを支えるクランクケースのベアリング支持剛性は高回転化には重要です。
潤滑油供給方式をドライサンプとすることで、低重心化,クランクの撹拌抵抗を少なくする,コーナーでは遠心力でオイルが外側に片寄り、オイル供給ができなくなることを防ぐなどのメリットがあります。
因みに、使用しているエンジンオイルはShellの0W-40だそうです。
I断面形状のコンロッドはチタン製。
ピストンの材質はMMC(金属基複合材)とのことですが、企業秘密らしい。ググってみると、ベース金属とセラミックス系強化材を組み合わせることで、より良い物性を実現した複合材料のようである。簡単に言えばアルミ合金?
ピストンスカートが幅が狭くて短い!ですね。
スカート部分には摩擦損失低減を目的として、モリブデンコーティング等の表面処理がされていることが多いのですが、緑色のテープのような物は何なんでしょうかね?🤔、初めて見ました。
アルミ合金製のシリンダーブロックにはオープンデッキ構造のものとクローズドデッキ構造のものがありますが、GMA V12はクローズドデッキ構造であることが映像から分かり、鋳鉄ライナーを圧入しているようには見えないので、LFAやGT-R(R35型),911 GT3,新型NSXのようにシリンダー内周を鉄系溶射加工処理している?と思われます。(因みに新型NSXのシリンダーブロックはCosworth製です)
オープンデッキ構造の長所は生産性が良いことと、シリンダーの燃焼室近くに大きく冷却水を回せるので、エンジン水温を安定させ燃焼室の温度上昇を抑えやすいこと。
クローズドデッキ構造の長所はシリンダー剛性が高いことと言われています。
アルミ製のシリンダーは鉄より軽く、熱伝導率も高いですが、硬い鉄で作られたピストンリングの摺動に耐えられないため、シリンダー内周の摺動面に鋳鉄製ライナーを挿入するのが一般的ですが、エンジンの軽量化や冷却性向上のため、鋳鉄製ライナーに替わる技術として、高Siアルミ合金(A390)をブロック全体に使用したり、シリンダー内周の摺動面にニカジルメッキや鉄系の溶射をする等の方法があります。
LFAはF1のエンジンを加工している加工設備を流用し、シリンダー内壁を鉄系の溶射をした後、シリンダヘッド、ロアブロックを取り付け、取り付けボルトを締め付けて歪ませた状態にしてから内径を最終加工(ダミーヘッドホーニング)しています。
鉄はアルミより熱伝導率が低いですが、「鉄系溶射皮膜」は通常用いる鋳鉄製のライナーよりも薄いので、軽くて熱が伝わりやすく、発生した熱をどんどん冷却水に放出でき、またその膜を鏡面仕上げにすることで、ピストンが動く時の抵抗が大幅に減るなどのメリットがあります。
ニカジルメッキ・シリンダーボアは、2003年頃のHonda F1 3ℓ V10エンジンにもその技術が採用され、かつてワタクシが長い間所有していたBMW 328i(E36型)の直列6気筒オールアルミエンジンの M52B型もそうでしたが、高硫黄ガソリンによる?摩耗異常問題により短命に終わり、M54B型エンジンでは鋳鉄ライナーになり、M3(F80/F82型)に搭載されていたS55B30T0エンジンや現在のB58B型エンジンは鉄溶射になっているようです。
S2000はFRM(Fiber Reinforced Metal:繊維強化金属)スリーブで、昔、ホンダのエンジニアから聞いた話では、後期型(AP2)からダミーヘッドホーニングしているとのことでした。
年式 | 車名 | エンジン型式 | 材質 | シリンダーブロック構造 | シリンダーボア |
---|---|---|---|---|---|
'76 | セリカLB 2000ST | 18R-U | 鋳鉄 | クローズドデッキ | |
'83 | カローラレビンGT APEX | 4A-GEU | 鋳鉄 | クローズドデッキ | |
'88 | プレリュード 2.0si | B20A | アルミ合金 | クローズドデッキ | ? |
'94 | BMW320i Coupé | 206S(M50B20型) | 鋳鉄 | クローズドデッキ | |
'95 | カプチーノ | K6A | アルミ合金 | オープンデッキ | 鋳鉄ライナー |
'96 | BMW328i Coupé | 286S(M52B28型) | アルミ合金 | クローズドデッキ | ニカジルメッキ |
'99 | S2000 | F20C | アルミ合金 | オープンデッキ | FRMスリーブ |
'13 | 86 | FA20 | アルミ合金 | オープンデッキ | 鋳鉄ライナー? |
'09 | i | 3B20 | アルミ合金 | オープンデッキ | 鋳鉄ライナー |
シリンダーヘッドの燃焼室側を見ると、インジェクターの噴射口は無く、吸気ポートにあることから、直噴エンジンではないことが分かります。
(因みにGMAのプレスキットによれば、T.33のエンジンの方は一気筒にツインインジェクターとあるので、トヨタのD-4Sエンジンや新型NSX等のように、運転状態によってポート噴射と筒内直接噴射を使い分ける仕様になっているのかも?しれません。)
動弁機構はスイングアーム式ロッカーアーム。バルブスプリングはバルブサージングを防ぐためなのか、インナースプリングとアウタースプリングがある複式(ダブルスプリング)になっており、バルブはLFAと同じく吸排気ともチタン製です。
フィンガーフォロワー(ロッカーアーム)の摺動面を見ると黒光りしていることから、摺動面の摩擦抵抗低減・耐摩耗性に優れたDLC(Diamond Like Carbon)コーティングされていると思われます。
最近のエンジンの多く(ホンダの軽自動車からフェラーリのエンジンまで)は、フリクションロスを低減したり、バルブリフトのハイリフト化やシリンダーヘッド小型化などのために、バルブ駆動方式が直打式でなく、ローラーロッカーアーム式になっていますが、LEXUS LFAもローラーロッカーではなく、この様にスリッパー式のフィンガーフォロワーになっていて、アームの支点側はピボットラッッシュアジャスターではなく、シャフトで保持し、バルブクリアランスはシムで調整する構造となっています。
そして、フリクションロスを低減するためにフィンガーフォロワーをDLCコーティングしています。
991.Ⅱ型以降の911 GT3,718 Cayman GT4 RS,新型Corvette Z06のエンジンも同様の仕様となっています。
(991.Ⅰ型GT3もフィンガーフォロワーにDLCコーティングされているようですが、アームの支点側はピボットラッッシュアジャスターになるフローティングタイプ。また、718 Cayman GTS/GT4のエンジンは一般的なローラーロッカーアーム式になっています。ポルシェではロッカーアームの支点側をシャフトで保持する構造のものをリジットバルブトレインとか呼んでいるようですが、これのメリットは構造上ロッカーアームの脱落が起きないことです。
S2000はチョッと変わっていて、ローラーロッカーアーム式ですが、アームの支点側はシャフトで保持し、バルブクリアランスはアジャストスクリューで調整するようになっています。)
ローラーロッカーを使わない理由はアームの剛性と動弁系の慣性質量を極限まで減らしたいからのようです。よって、四輪用量産エンジンでこの方式を採用しているのは、世界的にみても 希で、F1やWECなどのレーシングエンジンで採用されている技術です。
本田技術研究所が公表している論文によれば、ホンダのF1エンジンは2002年からこのDLCコーティング・フィンガーフォロワーを採用しているとのことで、トヨタやBMWでも使われていました。
クランクシャフトと同様に、直6やV12のように長いカムシャフトは高回転まで回すとバルブスプリングの反発力によって、ねじり振動が起きやすいらしく、ゴードン・マーレー氏が指さしているのが、それを防ぐための油圧式ダンパーらしい。
(因みに、向かって左側の人はホンダエンジンでインディカー・シリーズでは3年連続を含む4度のシリーズチャンピオン🥇、インディ500では3度の優勝🏆を獲得しているダリオ・フランキッティさんです。)
カムシャフトを駆動するのはコグドベルトやタイミング・チェーンではなくて、カムギヤトレイン。
カムギヤトレインはエンジン前方ではなくて、後方のミッション側にあります。
各ギヤ⚙️は軽量化のため肉抜きされていています。
カムギヤトレインで問題となるのが、ギヤのバックラッシュによる騒音や振動ですが、ゴードン・マーレー氏が指さしている前後二段のギヤが、それを防ぐためのものらしい。
可変バルブタイミング機構を吸気/排気側に搭載。
レーシングカーエンジンに可変吸気機構はあっても、可変バルブタイミング機構は無さそうなので、3,000回転以下の速度域を常用するロードゴーイングカーならではの装備かもしれません。
因みに、T.50sでは可変バルブタイミング機構は省かれています。
ヘッドカバーはLFAと同じく、マグネシウム製らしい。
エピソード#8の動画に出ているプロトタイプのヘッドカバーは黒色塗装になってますが、T.50の生産車はオレンジ色、T.50sは赤色、T.33は黄色になっています。
LFAやGT3は各気筒独立スロットルバルブになっていますが、T.50は4スロットル。マクラーレンF1に搭載したBMW製V12は12連スロットルだったが、管理が難しいので(3気筒ごとの)4スロットルにしたらしい。
因みに、ランボルギーニ・レヴエルトも4スロットルで、T.50sは12連スロットルのようです。
T.50のサウンドは、絶叫するようなレッドラインもさることながら、ドライバーに最高の喜びを提供するための工夫が施されています。
ドライバーの頭上に設置された冷風ラムインダクションインテークは、ルーフのカーボンファイバーの厚みを変えてラウドスピーカーとして機能させ、エンジン音をキャビンで増幅するように設計されています。このシステムの優れた点は、回転数ではなくスロットルの角度によって作動することです。つまり、T.50はパートスロットルでは静かで洗練されており、ドライバーがハーフスロットル以上に踏み込むと音量が大きくなるのです。
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