
2024.01.10、房総方面遠征、メドゥーサ星雲をQBPフィルターで撮る
結構魅力的な撮影対象
難易度はやや高めか
それも魅力
冬の対象の中では最後の最後まで滞空
二月上旬でもAM1時30分位まで北極星程の高度が有る素敵な対象
写りやすい部分、写りにくい部分、Oⅲ領域も有し、撮影は奥深く楽しめる
視直径もそこそこあり、長焦点撮影の入門であるがなかなか写らない領域も有り奥は深いと思う
と、個人的な印象
長焦点撮影がしたくなりセレストロンシュミカセC6を入手
C6は今回が初の実戦遠征撮影
良好な南天を求め房総に向かった
------------------------------------------------
[撮影メモ→作品1~2共通]
撮影日時:2024.01.09、22:48~
撮影地:房総半島
撮影対象:SH2-274「メドゥーサ星雲」
焦点距離:945mm
F値:F6.3(純正×0.63専用レデューサ使用)
露出:ISO12800、320秒、41枚
総露出時間:218分
機材、↓
セレストロンC6
セレストロン×0.63純正レデューサ
セレストロン2インチアダプターSCT用#93661
2インチスリーブM48オスアダプター
QBPフィルター2
M48TリングEOS用
EOS-FXレンズマウントアダプター
X-T30
よこたレンズヒーター(C6に使用、ちょっと大きいサイズ)
自作銀色延長フード(C6に使用)
C6を銀色アルミで巻く
SS-ONE120mmガイドカメラセット
ステップアップリング42→52(ガイド鏡に使用)
ステップアップリング52→58(ガイド鏡に使用)
ハクバメタルレンズフード58(ガイド鏡に使用)
よこたレンズヒーター(ガイド鏡に使用)
自作銀色延長フード(ガイド鏡に使用)
EQ5GOTO
SS-ONEオートガイダープロ
SS-ONE無線コントロール
SS-ONE電子極軸望遠鏡
ビクセン nebula book(おおよその位置確認)
ビクセン planet book(月の状態確認)
sky safari plus(sh2天体の自動導入に使用)
ステラリウムスマフォアプリ有料版(写野シミュレーションに使用)
ステライメージ8(画像処理)
GAOMON B4 トレース台(フラット撮影に使用)
撮影方法:直焦点撮影、オートガイド、ディザリング
カメラ取り付け方向:水平にマウント
月と薄明

↑、月の様子と薄明時刻
------------------------------------------------
[今回の露出]

↑、PC取り込み後JPG撮って出し1枚物
撮影日時、撮影地、撮影対象、焦点距離、F値、露出、等、先記に同じ
もっと露出しても良かったかな
しかし、QBPでより露出するとより青転びして真っ青になり、その画像処理はなかなか苦手
なので、今回はビビッてこの程度の露出とした

↑、デジカメ背面モニタスマフォ撮影のヒストグラム
撮影コマはちょっと違うがほぼ同等
------------------------------------------------
今回は同一ライトフレームから作品1~2を仕上げた
作品1
デジカメX-T30生成JPGから処理
LED発光パネル使用実写フラット(モノクロ化フラット)
作品2
デジカメX-T30のRAWを別現像ソフトにてTIFFに現像しそこから処理
LED発光パネル使用実写フラット(モノクロ化フラット)
------------------------
作品1、↓

↑、画像処理後トリミングなし(APS-C)
SH2-274「メドゥーサ星雲」
*周辺フラットが合わず色ムラが発生、考えられる原因は後ほど
*APS-Cでは周辺の星は同心円状に伸びている

↑、作品1
SH2-274「メドゥーサ星雲」
良像域をトリミング(1型センサー程度か)

↑、作品1
SH2-274「メドゥーサ星雲」
安定感が出る様にもっとトリミングあり

↑、トリミング後のヒストグラム
画像処理は、
○一次画像処理
・X-T30生成JPGより作成(ライトフレーム)(ダーク減算なし)
・ステライメージ8でそのJPGをコンポジット
処理後TIFFで書き出す
詳細モードコンポジット
位置合わせ自動
回転を計算ON
位置合わせ実行
加算平均σクリッピング
ピクセル補間バイキュービック
・LEDパネル実写撮影フラット補正
X-T30生成JPGより作成(フラットフレーム)(ダーク減算なし)
ステライメージ8で詳細モードコンポジット
位置合わせはしない
加算平均
ピクセル補間バイリニア
モノクロ化してフラット補正
メリットはフラットが合いやすいがカブリは補正されない
○二次画像処理
・ステライメージ8で一次画像処理済みTIFFをステライメージ8で二次画像処理
各諧調調整
カブリ&周辺減光をコマンドにて補正と確認
スターシャープ処理
(ダメージ系処理)
(シャープ感をそこそこ保ちつつノイズリダクションも期待出来る)
トリミング
良像範囲1型センサー相当にトリミング
さらにバランス良く拡大トリミング
------------------------
作品2、↓

↑、画像処理後トリミングなし(APS-C)
SH2-274「メドゥーサ星雲」
*周辺フラットが合わず色ムラが発生、考えられる原因は後ほど
*APS-Cでは周辺の星は同心円状に伸びている

↑、作品2
SH2-274「メドゥーサ星雲」
良像域をトリミング(1型センサー程度か)

↑、作品2
SH2-274「メドゥーサ星雲」
安定感が出る様にもっとトリミングあり

↑、トリミング後のヒストグラム
画像処理は、
○一次画像処理
・X-T30のRAF(RAW)をRAW FILE CONVERTER EX 3.0 POWERD BY SILKYPIXでTIFFに現像
カメラ内現像エンジンは使用せず、JPGを介さず、ダーク減算なし
・ステライメージ8でそのTIFFをコンポジット
詳細モードコンポジット
位置合わせ自動
回転を計算ON
位置合わせ実行
加算平均σクリッピング
ピクセル補間バイキュービック
・LEDパネル実写撮影フラット補正
X-T30のRAF(RAW)をRAW FILE CONVERTER EX 3.0 POWERD BY SILKYPIXでTIFFに現像
カメラ内現像エンジンは使用せず、JPGを介さず、ダーク減算なし
ステライメージ8で詳細モードコンポジット
位置合わせはしない
加算平均
ピクセル補間バイリニア
モノクロ化してフラット補正
○二次画像処理
・ステライメージ8で一次画像処理済みTIFFをステライメージ8で二次画像処理
各諧調調整
カブリ&周辺減光をコマンドにて補正と確認
スターシャープ処理
(ダメージ系処理)
(シャープ感をそこそこ保ちつつノイズリダクションも期待出来る)
・トリミング
良像範囲1型センサー相当にトリミング
さらにバランス良く拡大トリミング
------------------------------------------------
[初めてのシュミカセC6]
シュミカセは今まで所有した事が無く知識は乏しい
写真撮影運用は今回が初
情報が手軽に入手できる時代なのでそれによると、鏡筒の放熱による影響が大きいので対策した方が良いとの事
鏡筒は銀色アルミで断熱し対策をした
鏡筒本体はアルミ断熱をしっかり巻いて固定し段差を設けた
理由はヒーター設置場所
段差の凹ヶ所にヒーターを設置
すると鏡筒前面リムと同等の高さとなりフード設置の足場が増えて安定した
アルミ巻は「鏡筒本体はしっかりと付けて常時付けっぱなし」「フードと接眼方向は養生テープにて現地でペタペタ貼る式」とした
アルミの裁断は図面を残しているので痛んだら図面に基づいて簡単に複製出来る様にしておいた
フード固定はマジックテープを使用したが、位置修正等の点でマジックテープは使用せず養生テープで固定した方が設置しやすかったと思った
------------------------------------------------
[セレストロン純正×0.63レデューサについて]
ネット上文献では純正×0.63レデューサのバックフォーカスは105mmとの事
ネット上の文献によるとバックフォーカスの違いによる焦点距離とF値の変化データが掲載されていた
今回の機材構成ではバックフォーカスはほぼ同等の105mmか(誤差有っても極僅かか)
よって撮影された星像から判断し適正バックフォーカス105mm付近で良像範囲はフォーサーズ~1型センサー程度と推測
APS-Cの周辺部星像は同心円状の伸びが目立っている

↑、センサーサイズ比較

↑、ネット上参考文献
バックフォーカスが変動してもF値と焦点距離が変動するが使えちゃうって事か?
なんと意外なこの事実に衝撃を感じた
以前105mmよりもかなり多くしバックフォーカスを設定したがピントは出た
その時は周辺部の星に同心円状の伸びが多く出た
しかし全体では焦点距離が短くなり対象は小さくなっても良像範囲は変らないと言った印象
当方文系人間で理数的な理屈は無くタダの個人の感想
バックフォーカス105mm付近となる今回のパーツ構成は以下、↓

↑、レデューサに装着
メーカー発表の光路長の掲載は見当たらず
めり込むネジ部は除外し光路長は47~48mm程度か
ノギスによる実測はしていない

↑、メーカー不明の良くあるやつ
2インチスリーブM48mmオスアダプター
光路長は実測していないが多くは2mm程度か

↑、メーカー不明の良くあるTリング
M48 Tリング (キャノンEOS用)
このパーツは規格があり光路長は11mm

↑、キャノンEOS→フジXマウント変換アダプター
メーカーも写真の物
ちなみにこのマウント変換アダプターの光路長は知らないし実測した事は無いがお決まりとしてマウント変換アダプターとフジXマウントカメラのフランジバックで合計光路長は44mmとなる
そこにTリング
最近の設計ではレデューサからセンサー面までの距離は55mmで設計がお決まり
これらパーツをトータルすると光路長105mm(付近)となる
使用するレデューサのバックフォーカスも許容幅が広そうなので多少の事は気にしない
で、コイツ、↓

↑、セレストロン TアダプターSCT(シュミカセ用)
これをレデューサと併用すると純正の組み合わせでバックフォーカスも問題は無いが手持ちの48mmフィルターが設置出来ないので使用せず(所有していない)
さて、2インチスリーブを使用するデメリットは→ほぼ適正バックフォーカスとなるが純正のパーツ構成ではないので誤差はあるだろう
2インチスリーブを締め付ける際に若干センターがズレてしまう
しかしメリットは大きく、手持ちの48mmフィルターを使用できる
Tリング以降を交換する事によってカメラ交換が容易となる
只今デジカメ使用だが、Tリング以降の光路長を合わせる事によってCMOSカメラと交換も容易になる
その為のパーツも出ている様ですね
------------------------------------------------
[今回のガイド状況]

↑、EQ5には相当厳しい積載量だがガイドは安定
撮影当日は風も終始微風で安定ガイドに貢献
天候も良くガイド星も終始よく見えていた
赤道儀設置の際はレベル出しをきっちり行い安定ガイドに貢献(経験則)
鏡筒とウェイトのバランス取りはやや崩した(都市伝説か、迷信か、ギアの当たりの関係か、)
鏡筒とウェイトが水平になる辺りのガイドは影響が少ないもののガイドはやや不安定な傾向か
(庶民のEQ5はバックラッシュがかなりデカいと言われている、それか?)
(ウチのEQ5は「ほんまか氏」によって調整済み、私には出来ません)

↑、ディザリング発動時
EQ5には相当厳しい積載量だがディザリングはバッチリ決まっている
理由は後で触れるが今回の機材ではディザリング不要説あり

↑、ディザリング発動し収束に時間がかかったケース
軽い鏡筒でも同様に収束に時間がかかるケースはある
特に問題は無い
理由は後で触れるが今回の機材ではディザリング不要説あり
------------------------------------------------
フラット撮影

↑、GAOMON B4 トレース台を使用したフラット撮影
みんカラの同士より教えて頂いたナイスな商品
これは便利
------------------------------------------------
[反省点]
長焦点撮影時のディザリング問題
焦点距離945mmでは現在使用の赤道儀EQ5とそれをコントロールするSS-OENオートガイダープロでは最小微動ステップが大きくディザリングすると対象は大きくズレ過ぎてしまうのでディザリング撮影は不向き
設定の問題か?
設定は最小にしているが…
大きくズレるのでその分だけ周辺のフラットが合わなくなる現象か?
ライトフレームはディザリングによって大きなズレが生じているがフラットフレームはディザリングによるズレの影響を受けていないので周辺のフラットが合わなくなるのか?
次回ブログ化予定の長焦点撮影M97「ふくろう」ではディザリング撮影はしていない
フラットは良く補正されていた
ディザリングはしていないが長焦点ならではの恩恵か良い感じに時間の経過とともにディザリングしたかの様にわずかに撮影位置がズレている
機械的なたわみや偏芯がもたらした天然のディザリングか
さて、この様な事からやはり良像範囲はフォーサーズ~1型程度か
その説が濃厚となっていく

↑、今回ディザリング撮影された各コマたち
拡大し周辺の大きな恒星の位置に注目していただければディザリングによるズレ幅がおわかりであろう
ちなみにフラット撮影ではこのズレの影響は無いのでフラットが合わなくなる原因か
長焦点撮影時のディザリングと構図の問題
長焦点撮影につきディザリングすると対象が大きく動いてしまい構図もかなりズレてしまう
ズレ幅が大きく大きな対象では良像範囲を超えてしまう可能性がある
カメラの取り付け方向問題
Sh2-274「メデューサ星雲」の他の作例を見ると「カメラはマウントに対し垂直設置」が構図的に良い感じ
より良いフラットにする問題
フラットはモノクロ化した方がやはり合いやすい印象
今後、カラーのフラット画像をRGB分解し、各カラーチャンネルで個別にフラット補正してみたい
フラット精度は向上するのであろうか
今後検証予定
メデューサのヘビ頭問題
今回QBPフィルター使用にて撮影
そもそもどっちが頭かわからないがメデューサの頭のヘビの写りに不満を感じる
まぁまぁ暗い撮影地のはず
メデューサは結構手ごわかった
次回撮影の機会が有ったらダメもとでL-extremeフィルターを試してみたくなる
すると高ISOのザラ付き問題がより深刻化する
高ISO感度ザラ付き問題
QBPフィルターやL-extremeフィルターは透過する光がかなり絞られてしまい高ISO感度(ISO12800)使用となり画像がザラ付いてしまう
また、F6.3と鏡筒自体も暗いのでなおさら高ISO感度頼りとなる
対策は総露出時間を伸ばし加算平均にてSN向上を図る事となるが一晩撮影では限界がある
そこでノイズリダクション
対策としてステライメージ8では「ノイズリダクション」があるが全体的にぼやけてしまう
そこでステライメージ8の「スターシャープ」を使ってみて有効だった
スターシャープ処理は設定によっては「ノイズリダクション効果」と「星を小さく引き締めはっきりさせる効果」と「星雲が滑らかになる効果」があった
やり過ぎると、ぼやけたり、微恒星が消えたり、不自然になったり、する
設定に注意し良き妥協点を探り使用したい
スターシャープはダメージ系処理であり普段はあまりやらないが「やんわりやれば良いぢぁない?」とか
最近はソフト的にもっと良く対処してくれるようですが…
*当方予算の関係とリテラシーの問題によりステライメージ8のみで画像処理を余儀なくされている

↑、ステライメージ8のスターシャープのコマンド
------------------------------------------------

↑、今回の走行距離

↑、今回もフワっとエコ走り
------------------------------------------------
今回はこんな感じ。