福島第一原子力発電所事故の、国会の
事故調査委員会(国会事故調、黒川清委員長)が、
報告書を公表した。
原子力発電所事故から早くも1年4ヶ月。これが公的事故報告書と言うことになるのだろうか。
今回の事故は「自然災害」ではなく、規制当局や東電の安全対策の「意図的な先送り」が招いた「人災」だとしている。
大飯原子力が再稼働したが、今大飯原子力が地震や津波で事故に至ったら、また安全対策の「意図的な先送り」が招いた「人災」で終わることになるのだろうか。
一般的な考え方をするなら、安全対策を完了してから、実行が道筋である。安全対策の計画を作っただけでは、意図的な先送りそのものだと思うのは私だけだろうか。
国会事故報告書は、今後の提言もしているようだが、原子力規制庁なる機関を創設するはずなのだが、未だ出来ず。夏の電力が不足するからといって、原子力発電は起動している。
この報告書、大飯原子力発電所再稼働後に出て来たが、意図的に今の時期に報告となったのか。
とにかく、事故調査が余りにも遅く、今更感がありすぎる。
また今回の報告書では、菅直人率いる官邸の現場介入と指示命令について批判している。
菅直人と東京電力とのやりとりについては、このまま有耶無耶で終わるのだろう。
そして、原子力発電所の危険性と、安全対策もこのまま有耶無耶になって、原子力発電所事故もたいした事故では無かった事にして、2011年3月11日以前の生活に、福島県民を見捨てたまま戻っていくのかもしれない。
**********************************
東京電力福島第1原発の事故原因などを調べてきた国会の事故調査委員会(国会事故調、黒川清委員長)は5日、根源的な原因は「『自然災害』ではなく明らかに『人災』である」と断定した報告書を公表した。地震・津波対策を立てる機会が過去、何度もあったのに、政府の規制当局と東電が先送りしてきたと批判。その背景に「組織的、制度的問題」があると指摘した。
報告書は641ページ。衆参両院議長に提出した。事故の根源的な原因として、経済産業省と密接な関係にあった東電が、歴代の規制当局に規制の先送りや基準を軟化するよう強い圧力をかけ、「規制する立場と、される立場の『逆転関係』が起き、規制当局は電気事業者の『虜(とりこ)』になっていた」とした。
その結果、経産省原子力安全・保安院の「原子力安全についての監視・監督機能が崩壊していた」とし、東電を「自らは矢面に立たず、役所に責任を転嫁する黒幕のような経営体質」と断じた。
事故の直接的な原因として「事故は津波が要因」との見方を否定する見解も盛り込んだ。政府の事故調査・検証委員会(政府事故調、畑村洋太郎委員長)の中間報告書(昨年12月公表)や、東電の社内調査報告書(今年6月公表)は「非常用電源の喪失は津波による浸水が原因」との見方を示してきた。
しかし国会事故調の報告書は、津波の到達時間などを検証した結果、少なくとも1号機の非常用電源の喪失は津波によるものではない可能性があると指摘した。原子炉圧力容器の圧力を下げるための弁が作動していなければ、「1号機では地震の揺れによる小規模の冷却材喪失事故が起きていた可能性がある」とした。
東電が原発からの「全面撤退」を検討したとされる点は「東電内部で全面撤退が決まった形跡はなく(官邸側の)『誤解』だった」と結論付けた。
ただ、誤解を生んだ最大の責任は「民間企業の経営者でありながら、自律性と責任感に乏しい清水(正孝元)社長が、あいまいな連絡に終始した点に求められる」と指摘。「東電は、官邸の誤解や過剰介入を責められる立場になく、そうした事態を招いた張本人である」とした。
◇官邸介入で混乱
事故後の対応では、保安院や東電の説明不足に不信感を募らせた官邸が現場に介入したとし、「情報を把握できないまま介入し混乱を引き起こした。事故の進展を止められず、被害を最小化できなかった最大の要因」と認定。そのうえで「官邸政治家は、真の危機管理意識が不足し、官邸が危機において果たすべき役割についての認識も誤っていた」と厳しく指摘した。
「官邸、規制当局、東電経営陣には、準備も心構えもなく、被害拡大を防ぐことはできなかった」と強く批判した。
事故発生翌日の3月12日朝、菅直人前首相が現場を視察したことに関しても「現場の士気を鼓舞したというよりも、自己のいら立ちをぶつけることで、むしろ現場にプレッシャーを与えた可能性もある」と指摘した。
こうした検証を踏まえ、報告書は▽規制当局に対する国会の監視▽政府の危機管理体制の見直し▽新しい規制組織に必要な要件--など7項目を提言している。
以上 毎日新聞 7月5日(木) 転記終わり
**********************************
Posted at 2012/07/06 06:44:34 |
トラックバック(0) |
JOURNAL | 日記