テレビドラマで現在放送中 の、小松左京原作「日本沈没」
この、作品が世にでたのが、1973年
プレートテクトニクス理論という、地質構造理論が世にでて来はじめた頃というか、プレートテクトニクス理論を日本の世に広めた作品といえる。
コンピューターが無いに等しい時代に、日本列島が海底に沈むエネルギー量を導きだしたり、最先端の地質学理論を分かりやすく説明したり、小松左京の科学に対する裏付けがふんだんに盛り込まれつつ、小説の本質は、日本国民が領土を失い、日本国として、どのような形で存在し続けるかという、壮大なテーマを描いている作品だ。
この作品が発表された時代は、ちょうど、田中角栄が、「日本列島改造論」をぶちあげ、田中角栄政権が誕生する頃と、前後する。
そう、「日本列島改造論」に対する「日本沈没論」
多分、田中角栄の「日本列島改造論」が世にでて来なければ、この小説のタイトルが「日本沈没」とはならなかったかも知れない。
そして、その後、日本は、いや、世界は中東戦争が勃発して、オイルショックに巻き込まれる。
それから、まもなく50年。
「日本沈没」は何度となく、映画、テレビドラマと作品が作られてきた。
2006年 公開の、草なぎ剛 版の映画の時は、潜水艇の操縦士 「小野寺」と、ヒロイン 柴崎コウ の、ハイパーレスキュー の物語で、原作の主人公 「小野寺」が主役として出てきていたが、今回の TBSドラマ版 では、潜水艇の操縦士 「小野寺」は出てこない。
どちらかというと、「日本沈没」というよりは、「日本沈没 下巻」と、「日本沈没 第二部」の精神の部分を受け継ぎつつ、日本国政府の大規模災害に対する、政治的な人間関係と動きを、要点をついてドラマに仕立てたといえよう。
原作、日本沈没 を使いつつ、東日本大震災 を片隅に置きつつ、内閣総理大臣、内閣官房と、政府与党の”政界のドン”、そして、政府与党に群がる、大物財界、その政治力に振り回される、中央官僚たち。
経済産業省と環境省の意見対立などみていると、10年前の原子力発電事故の対立構図と読み替える事も出来そうだ。
情報をねじ曲げるとか、リークするとか、なんか、シンゾウの国有地の不当売却を思わせる。
少ない、出演者と放送時間で、うまく作り込んであるとは思う。
日本沈没 と 言いながら 「関東沈没」
小松左京が、日本沈没の後に発表した「首都消失」の要素も混ざるのだろう。
「関東沈没」すれば、それだけで、実質的な、日本国の政治、経済は大打撃を受け、全10話プラスαでまとめるには、これでも時間が足りないのだろうが・・・・
東日本大震災から10年。
日本の危機と政治を考えるには、ちょうどよいのかもしれない。
今思うのは、小松左京 が、今も存命ならば、どのような新作の「SF小説」を書き上げているだろうか。
日本沈没 ではなく、もっと現代に鋭く斬り込んだ 作品。
読んでみたかった。
「日本沈没」の設定はリアル? 専門家の意見は「メカニズムとしてはあり得る」 10/31(日) 10:57 Yahoo!ニュース
近年では「半沢直樹」が大ヒットしたTBS日曜劇場(日曜午後9時~)の最新作「日本沈没―希望のひと―」が順調だ。10月10日の第1話、17日の第2話ともに視聴率15%超え。牽引役となっているのは、やはり豪華キャストだろう。
主人公で未曾有の災害に立ち向かう環境省職員を小栗旬、同期の経産省職員を松山ケンイチが演じ、「関東沈没」を予言する地震学者に香川照之、環境省の汚職を追う週刊誌記者に杏を配するなど、これでもかといわんばかりの顔ぶれを並べる。 原作はご存じ小松左京の『日本沈没』。ただし、本作はオリジナルと異なり、日本沈没を招く原因は地球温暖化にあるという現代的な設定だが、一部から「突飛すぎでは」という声も。そこで、番組を監修した名古屋大学大学院の山岡耕春教授(地震学)に聞けば、 「TBSの番組宣伝HPに掲載しているコメントがすべてです」 とのお答え。で、HPを覗くと、こうあった。 〈そもそも日本が沈没することはあり得ないことなのですが、その上で(TBSから)『日本沈没の原因を温暖化にしたい』と言われたときは非常に困りました。(中略)もっともらしい設定を作るためにはどうしたらいいか、頭が痛かった〉 なるほど、素直な困惑の吐露である。 「学者の足の引っ張り合いはリアル」 だが、こちらの専門家は素直に番組を楽しんでいるようだ。京都大学の鎌田浩毅名誉教授(地球科学)は、1973年公開の映画第1作のみならず、74年放送のドラマ、さらに2006年版の映画と「全部観ている」とおっしゃる。 「本作は他のシリーズと同様、さほど荒唐無稽だとは思いません。学者が足を引っ張り合う話などは、現実にもあって大変リアル」 では、原作と比べてどうなのか。 「小説は、海底プレートのモデルや地震発生のメカニズムについてきちんと踏まえつつ、プレート運動を実際よりも“早める”ことで日本を“沈没させる”フィクションを描いた。今回のドラマも手法は同じ。温暖化で海水面が上昇し、海底プレートに強い圧力がかかって地震が引き起こされると想定しているのですが、メカニズムとしてまったくないわけではありません。ただ、地震に繋がるほどの海水面上昇が、現実には起きないだけです」 もし設定に関心を持ったなら、視聴者はそれを契機に現実の危険にも目を向けてほしいと訴える。 「南海トラフ地震は2035年を軸に前後5年の誤差で確実に発生します。予想被害総額は220兆円で、国の年間税収の3.5倍。予想死者数は32万人で、3.11の犠牲者2万人の16倍です。まさに日本沈没。だから対策と準備が急務なのです」 ドラマのキャッチコピーに「信じられるリーダーはいるか。未来は絶対に消させない」とあるが、現実の世を見ると指導者は心もとない限り。悲劇は小説とドラマの中だけにしたい。 「週刊新潮」2021年10月28日号 掲載 新潮社
Posted at 2021/10/26 18:10:57 |
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