2013年に世界文化遺産に登録された”富士山”
ここへ来て、アルピニスト”野口健”さんが、富士山の世界文化遺産について、連日マスコミにでて、世界遺産の”条件付登録”の問題点と現状などについて話をしている。
野口健さんの話の中で、イコモスから、環境対策の改善が求められており、その「保全状況報告書」の提出期限は2016年2月1日だという。
イコモスが指摘した主な富士山対策
・上方の登山道の受け入れ能力(収容力)を研究し、その成果に基づく来訪者管理戦略を策定する
・上方の登山道及びそれらに関連する山小屋、トラクター道のための総合的な保存手法を定める
・噴火または火災の発生時において機能する危機対策計画が緊急に必要
・構成資産の内部およびその周辺において拡大しつつある構成資産間の関連性を妨げる開発に対する制御
(1)富士五湖畔の建築物、動力船、ジェットスキー、不適切な駐車
(2)忍野八海の低層建築物
(3)白糸ノ滝の完全性を弱める店舗や売店
(4)三保松原の海岸防波堤
(5)富士宮口五合目施設背面の景観と調和
(6)吉田口五合目施設のデザインの改善
(7)多種多様な標識や看板
(8)電柱
(9)7、8月の登山道へ向かう自家用車
(10)山麓に沿って厳格な開発制御
この事について、2016年2月1日までに、改善や改善に向けた方向性をしめさなければならないらしいのだが、野口健さんの言葉を借りれば、利権が複雑に絡んで、簡単に事は運ばないという。
しかも、富士山観光の依存度が高い山梨県側と、富士山の依存度が低い静岡県側で温度差もあるようで、除雪をしても7月1日に山開きしたい山梨県側と、雪融けが進んでから山開きする静岡県側の対応一つ見ても、利権と物事の温度差があるようだ。
特にイコモスが指摘している点として、五合目から山頂への登山者のコントロールと、荷揚げをするブルドーザーの道を含めた山小屋の問題と、富士五湖をはじめとする富士山麓の景観や、観光開発につてであろう。
どうも、世界文化遺産登録を進めてきた行政側は、現状維持で゛遺産登録゛できると、いって関係者にいってきたらしい。
文化遺産(富士山信仰)を保護する(後世に残す)事が目的なのに、現代の商業施設が潤う方向にしか無いというのは、今のままでは、無理があるのだろう。
富士山と同じ2013年に、世界文化遺産登録を目指した「古都鎌倉」が、世界文化遺産登録にならなかった事は、今の富士山の状況を見れば当然の結果だったと云えよう。
ヨーロッパ文化基準の「世界文化遺産」に、日本の、そして東洋の基準価値の考え方で、当てはめようとする事事態に無理があるのかもしれない。
文化遺産に、モーターボートや、スワン型の変な形の舟が浮かび、湖畔の駐車場に車が沢山駐車している光景が、文化的遺産の姿かといえば、違うであろう。
野口健さんがいっていた、世界文化遺産に登録出来るように、問題点をクリアにしてから、登録申請すればよかったのだが、「世界文化遺産」登録になって、問題点をどうにかしなければならないという、事態になってしまった事は、果たして、ここ数年で劇的に解決出来るのだろうか。
小笠原諸島の世界自然遺産登録は、小笠原村と、島民、そして東京都の努力のお陰で、生態系の改善や、観光客の抑制(世界自然遺産登録前の1.7倍増程度にとどまる)され、世界自然遺産の意義に沿った形となっているだけに、富士山の世界文化遺産についても、利害のある人々が、もっと前向きに協力しあって、「世界文化遺産」と誇れるようにして欲しいと願う。
参考
2013年05月01日 遺産を保護する条約を、勘違いしていないか?
2013年05月10日 富士山の入山規制についての考察
2013年06月12日 世界遺産 富士登山のゆくえ
2013年06月18日 すごい事になるぞ 今年の夏の富士山
2013年06月24日 静岡の人 山梨の人 良かったね
Posted at 2014/07/05 17:55:16 |
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