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2020年11月03日 イイね!

大阪維新の会 という 利権 20201103

大阪維新の会 という 利権 20201103

大阪都構想

大阪府と大阪市の二重行政の部分を一元化して、二重投資している部分がひとつに出来れば、外の全国の都道府県にも波及して、日本の行政システムが少しは代わるのではと思って、大阪維新の会が立ち上がった頃は、支持した。

しかし、大阪維新の会の思惑は、単純な二重行政の解消、行政の無駄をスリム化するという話ではなかったようで、新な政治利権が次々と・・・

その利権をてにするための手段としての、大阪都構想 なのでは?

そんな中で、2015年5月17日の、大阪都構想の住民投票で、否決されたはずなのに、今回形を変えての再住民投票。

大阪都構想は、これで終わりとなるのか?


この大阪都構想の敗北を受けて、松井一郎 大阪維新の会代表は、その定評から退き、次期大阪市長選挙にも出馬しないという。

大阪都構想ではないが、大阪維新の会が勝ち得た、2025大阪万博や、推し進める、カジノの誘致。

大阪維新の会としては、ある一定の利権は手にしたのではないのだろうか。

大阪維新の会は、政治団体、自由民主党ではないが、直接、安倍晋三元内閣総理大臣や、菅義偉内閣総理大臣との太いパイプがあり、直接政府を動かす力がある。

そして、2025大阪万博の誘致に成功したといえよう。

この 2025大阪万博。

2020東京オリンピックと同じで、あの時をもう一度!

的な、再誘致。

残念ですが、1970大阪万博と同じような、熱量で行われる事は無いだろう。


大阪維新の会 橋下徹 が、大阪府知事になった時から始まったが、良くも悪くも 大阪維新の会 これで終わりの始まりだろう。

しかし、既成政治、既成行政を、良い方向へ変えたいという志は無いとダメだし、大阪維新の会は、そういう志を最初の頃は持っていたのではないかと思う。

そう思うから、私自身も最初の頃は、大阪維新の会を、ささやかだが応援した。

しかし、大阪維新の会、規模が大きくなって、いろいろ政策を打ち出すうちに、こちらが思う政策から外れていって、気がつけば、「大阪維新の会」という利権があちらこちらに見受けられるように?感じた。

単なる、新しい利権構造が良いのか、既存の利権構造が良いのか?の利権の二択?

結局は カネ という力の奪い合い!

地方自治の新しい形が、大阪都構想、そしてそのサキにあるであろう、道州制の灯火が失敗だったことは残念だ。

今、国という行政と、地方自治という行政の形が、変なパワーバランスによって、ギクシャクしていると思う。

国からの補助金なしでは、立ちゆかない地方行政。

そして、大都市圏の一極集中という人口構造と、日本全体の少子高齢化。

これからの地方自治体は、より一層厳しくなることはあっても、潤沢な予算を持って安泰ということはほぼ、あり得ない。


これから、全国の地方自治はどう変わっていくべきなのか、大阪だけの問題では無く、全国の自治体に突きつけられた問題であろう。







【大阪都構想】 なぜ松井・吉村は負けたのか
安積明子 | 政治ジャーナリスト
11/2(月) 21:58
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大阪都構想を説明する松井市長と吉村知事(写真:つのだよしお/アフロ)

まさかの敗北
 大阪市を廃止して4つの特別区に分ける「大阪都構想」の是非を問う2度目の住民投票が11月1日に行われ、賛成が67万5829票に対して反対が69万2996票と反対が賛成を上回った。2015年5月に行われた最初の住民投票では、賛成が69万4844票に対して反対が70万5585票。今回は投票率が減少したためにいずれのサイドも票数を減らしたが、特に賛成側の落ち込みが大きい。公明党が反対側から転じたにもかかわらず、賛成票が1万9000票も減っている点に注目だ。

 さてこの日、市内のホテルのバンケットルームに設置された大阪維新の会の会見場。多くのメディア関係者が集まっていたものの、勝ちムードがほとんどなかった。後方に設置された大型テレビは、賛成票が反対票をやや上回っていることを報じていた。しかし大きく増加した期日前投票では、反対票がかなり上回ったと聞いているので、大阪維新の会が苦戦しているのは間違いない。

夜10時43分にNHKが反対派の「多数確実」を報じると、会場がざわめいた。その2分後には11時に会見を開くというアナウンスが流された。

 そしてひな壇に登壇したのは、吉村洋文大阪府知事、松井一郎大阪市市長、佐藤茂樹公明党大阪府連代表と土岐 恭生同党大阪府連幹事長。最初に会場に入った泣き顔の吉村知事で、後に続いた松井市長は疲弊しきっていた。一方で公明党の2名はなんとも神妙な表情で、否決を哀しがっているのかそうでもないのかが読み取れなかった。

「2度負けてますんで、これはもう自分自身の政治家としての力不足。これに尽きると思います」

 松井市長は清々しいまでの敗北宣言の後、かねてから述べていたように市長の任期満了での退陣と政界引退を表明した。3度目の住民投票はないということだ。

「僕自身が(今後)大阪都構想に挑戦することはありません」

 敗北を認めた吉村知事も、きっぱりとこう述べた。ではなぜ大阪維新の会は負けたのか。

小さくない“れいわ”効果
 ひとつはれいわ新選組の山本太郎氏の存在だ。今回の住民投票では、山本氏は大阪入りして各地でゲリラ街宣。維新市政で大阪経済が伸びていないこと、大阪都構想で大阪市民が割を喰う点を力説してまわった。

 山本氏は兵庫県宝塚市の生まれだが、箕面自由学園高校に在学した。いずれも大阪市外だが、買い物や遊びでは大阪に来ていたに違いない。人は青春時代に楽しく過ごした町が最も印象的で、思い入れが強くなる。山本氏にとって大阪とはまさに、そのような存在であったに違いない。

 その山本氏率いるれいわ新選組が昨年の参議院選で大阪市内で獲得した政党比例票は2万692票で、名簿登載者票は2万1993票。今回は参議院選時のような勢いがないとしても、その人気は健在だ。31日夕方に大阪駅前で開いた街宣では、数百人の聴衆が山本氏の語りに聞き入った。

 翌日になんば高島屋前で開かれた松井市長・吉村知事の共同街宣には、およそ1000人が集まった。ただし胸の前で手を組んで彼らの演説に聞き入る熱烈な女性ファンがいる一方で、単に「聞いている」というだけの学生などその態様は様々。気になったのは若者の反応だ。都構想の生みの親である橋下徹前大坂市長も、2日のテレビで「20代が反対票が増えている」と述べていた。

 

若者が維新に嫌悪感?
 というのも、市中で数度、その現場を見たからだ。ひとつは淀屋橋で地下鉄から上がった時、2人の若い男性が次のように話しているのに遭遇した。

「都構想なんかやったら、相当ひどいことになるで」

「もし成立したら、5年後にひっくり返してやればええやん」

「それはできひんのや」

「ええ!そうやのん?あいつら、本当に大阪をメチャメチャにするんやな」

 「5年後に都構想をひっくり返せ」と述べた男性は、顔を大きく歪めてこう言った。

 また別の場所では、若い男性たちが、都構想について話をしながら歩いているのを目撃したことも。

「4分割していいことあるん?」

「ないやろ」

「ほな、やめといた方がええな」

 これまで無数に選挙の取材をしてきたが、こちらが尋ねない限り若者の声を聞くことはなかった。にもかかわらず、今回はこうした場面を何度か目にすることができた。彼らが実際に投票に行ったかどうかは知らないが、関心の高さは伺えた。

 

票を出せなかった大阪公明党
 5年前の住民投票と比べ、今回の都構想への賛成票が大きく減少したことはすでに述べたが、ここで留意しなければならないのは、公明党は5年前は都構想に反対だった点だ。要するに、学会票を持っている公明党が賛成側に付いたにもかかわらず、票を減らしているのだ。

 これについては先月18日の公明党の山口那津男代表の大阪入りまでさかのぼる必要がある。都構想応援のために大阪にやってきた山口代表に対して党本部にクレームが入ったのだと、同党関係者は述べる。

「『5年前は反対したくせに、なぜ今回は賛成するんだ!』と言うんですよ。こちらだって本当は賛成したくない。でも次の選挙で維新がうちに対抗馬を出すというから、仕方ないんです」

 公明党は衆議院で兵庫県内に2選挙区、大阪府選挙区に4選挙区を持つ。そこに日本維新の会から候補を立てられたらたまらない。よって候補をたてられないように、都構想支持にまわった。

 まずこれは、非常に有権者をバカにした話だ。選挙は有権者が決めるもので、政党の取引の材料にされるべきものではない。しかも小選挙区を持つ議員なら、どんな候補が出てこようとも、選挙区を死守する覚悟があるはずだ。

 さらに“敗戦会見”で述べた佐藤代表の発言が、まったく理解しがたいのだ。

「今回の都構想案につきましては、私ども公明党の主張がしっかりと入ったより良い協定書になったということで、私どもこの選挙期間を運動し主張してまいりましたけれども、その私どもの主張が市民のみなさんに多数となって結果をなって出なかったとことは、重く受け止めなければならないと思っています」

 さらに今回の都構想案については「バージョンアップした」と述べた佐藤代表だが、もし公明党支持層がそれを評価したのなら、賛成票はわずかでも伸びなくてはいけない。これについて別の同党関係者は次のように教えてくれた。

「創価学会の学会員数は東京より大阪の方が多く、力を持っていた。しかし西口さんが亡くなってからは、それを継ぐ人がいなくて、すっかりと東京(菅首相と繋がりがある)の言いなりになっている」

 西口さんとは2015年3月に亡くなった西口良三副理事長のこと。

「選挙でも西口さんの指示に従えば、必ず票が出た。しかし今はそんな指示ができる人はいない」

 確かにかつての公明党は、参議院大阪府選挙区で80万票を叩き出していた。ところが昨年の参議院選では60万票を割っている。もちろん支持層の高齢化の影響もあるだろう。だが迷走する公明党を支えようとする学会員がどれだけいるのか。“常勝関西”は消えつつあるのかもしれない。

 

致命傷は「毎日新聞問題」
 以上のような問題に加えて、毎日新聞などが「218億円のコスト増」と報じた件が致命傷になったといえるだろう。記事内容ばかりではない、常軌を逸した“もみ消し”行為が白日の下に晒され、「維新政治の強権性」が白日の下に晒された。しかも日本維新の会の馬場伸幸幹事長は10月29日の衆議院代表質問でこの件を取り上げ、武田良太総務大臣に「毎日新聞は公職選挙法違反を犯した」と言わしめようとした。これは悪名高い野党ヒアリングより質が悪い。

 こうしたことが重なって、当初は優位だった大阪都構想は最終的に否決されたのだ。世論調査によると、大阪市民の多数は吉村・松井体制に満足しているが、大阪都構想は無意味だと感じている。器だけ作り直しても真の行革にならないのに、なぜ箱を作ることを主張したのか。本当に大阪が復活するためには、政治も行政もその中身を一掃する必要があるのではないか。



「大阪都構想」僅差で「否決」…インターネット上の反応は?

11/3(火) 7:40 

Yahoo!ニュース

声優としても活躍中の鈴村健一(月~木曜)と俳優の山崎樹範(金曜)、フリーアナウンサーのハードキャッスル エリザベスがパーソナリティをつとめるTOKYO FMの番組「ONE MORNING」。11月2日(月)放送のコーナー「リポビタンD TREND NET」のテーマは「大阪都構想について」。報道ベンチャーの株式会社「JX通信社」代表取締役・米重克洋さんに話を伺いました。

大阪市を廃止して4つの特別区に再編する「大阪都構想」の住民投票が、11月1日(日)におこなわれました。前回に続き、今回も僅差で否決されました(反対:69万2996票、賛成:67万5829票)。

*  *  *

鈴村:米重さん、こちらネットの反応は?

米重:反対派の人は喜んでいて、賛成派の人は意気消沈している、という感じで、そういったSNSの投稿も多いです。一方で、賛成派と反対派が分かれてものすごく対立してしまったので、“ノーサイドにしないといけない”という冷静なコメントもありました。

鈴村:投票率はどうでした?

米重:今回は62.35%で、前回の66.83%より少し下がっています。もともとは、もう少し下がるのでは? と言われていましたが、直前の期日前投票も増え、最終的にはわずかな下落に留まったなという印象です。

鈴村:今回の投票に関しては、年齢層なども気になりますよね。

米重:「住民投票に行った人」の割合で言うと、比較的、高齢層で反対意見が多く、若年層で賛成が多い、という傾向は前回と同じような感じでした。

ただ、これはあくまでも投票所に行った人の傾向で、電話調査などの回答を見ると、年代別の差はそこまではっきりと出ている訳ではないようです。そのあたりは、世代間の政治意識の濃淡も影響しているかと思います。

鈴村:今回の投票も前回同様、僅差での決着となりました。この要因は?

米重:結論から言うと、日本維新の会の支持層の一部が、最後に離反した可能性が非常に高いと思います。というのは今回、私たちJX通信社とABCテレビが1週間おきに世論調査をおこない、最終調査結果と実際の投票結果は0.2%しか違わなかったため、ほぼ正確な結果になったと思います。

1週間前までは接戦とはいえ、賛成派がリードしていました。初めて逆転が確認されたのが、終盤の30日と31日。この最後の週に、「大阪市が4分割された場合、行政のコストが218億円くらい増えます」という報道が出ました。どうやらこれが原因で、それ以降、反対派の態度が非常に強くなり、一方で賛成派が弱くなるという、調査上の傾向が見えました。

鈴村:この結果は、菅政権にも影響はありそうですか?

米重:菅政権には「維新」と「公明」という2つのカードがあって、それが菅政権の強みでもあった訳ですが、今回、こういった形で維新の会の存在意義を失ってしまうことになります。公明党がそれに追随している状態でしたので、そういった意味では、政権運営にマイナスになる可能性が高いと思います。

鈴村:維新の支持も下がりそうですか?

米重:今後、彼らがどのような方向性を打ち出すかによって変わってくると思います。もともと大阪偏重の政党ですので、彼らが次に大阪でどのようなビジョンを打ち出せるかにかかってくると思います。

鈴村:大阪市民の方は、本当に悩まれたと思います。そして、出た結論が答えだと思います。(今回の住民投票をめぐる主要な争点の1つが、大阪府と大阪市の二重行政)。二重行政の悪いところは絶対にあったと思いますし、大阪の方たちも「変えるべきだ」「正すべきだ」という気持ちもあるはず。この二重行政に関しては、「うまいこと正していかないといけない」という方向に向いたはずです。今回は否決されましたが、大阪が変わるきっかけにはなると思います。そこに期待したいです。

(TOKYO FMの番組「ONE MORNING」11月2日(月)放送より)


維新の会の「大阪都構想」が住民投票で再度否決された三つの理由
「都構想のエッセンス」は間違っていないのに、5年前と同じ結果に終わったのは……

米山隆一 前新潟県知事。弁護士・医学博士

2020年11月02日
住民投票|大阪都構想|松井一郎|橋下徹|維新の会

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 11月1日に住民投票に付された2回目の「大阪都構想」の住民投票(「大阪市を廃止し特別区を設置することについての投票」)は、賛成67万5829票(49.37%)、反対69万2996票(50.63%)と言う僅差で再度否決されました。この結果は大阪維新の会、大阪市政・府政に多大な影響を与えるのみならず、国政政党である日本維新の会、そして国政に与える影響も少なくありません。

 かつて日本維新の会(と合併後の維新の党)に所属し、2015年の1回目の住民投票では「大阪都構想」の旗をもって大阪市内を練り歩いたものとして、「大阪都構想の住民投票はなぜ再度否決されたか」を分析したいと思います。


拡大大阪都構想への反対票が多数になり、頭に手をあてる大阪維新の会の松井一郎代表(奥)。手前は吉村洋文代表代行=2020年11月1日午後11時16分、大阪市北区、水野義則撮影
府県と政令指定都市の権限の再整理は必要
 まずもって私は、日本維新の会に所属していたときのみならず、その後の県知事職の経験も踏まえて、維新の大阪都構想はさておき、「都構想のエッセンス」と思われる「府(県)と政令指定都市の権限について再整理が必要」という点については賛成です。

 例えば、私が知事を務めた新潟県は人口220万6566人で、その36%、3人に1人に当たる79万3113人が政令指定都市の新潟市に住んでいます(2020年現在)。域内のGDPもほぼこれに比例し、新潟県の域内GDPの三分の一を新潟市が占めています。

 新潟県全体の「成長戦略」や「都市計画」を描こうとした場合、どうしてもその中心を新潟市が担うことになります。また逆に、新潟市の成長戦略や都市計画は、新潟の「県都」としての特徴を最大限に生かすべく、県全体との連携を考える必要があります。実際、新幹線、高速道路といった交通網のみならず、ICT技術の発展により、極めて広範囲における広域連携が、実際に可能となっています。

 ところが、政令指定都市の場合、様々な行政分野について県と同等の権限があり(本来広域行政を担う県の役割を政令指定都市が担っており)、県の中に県があるような状況で、県知事と政令指定都市の市長の仲が特に悪くなくても、制度上その連携は必ずしも容易とは言えない状況となっています。

 1956年に運用が開始された政令指定都市制度はいまや、ほとんどの都道府県(地域)で中核となる大都市に人口・経済の集中が進むと同時に、交通やICT技術の発展により極めて広い地域がその大都市と社会的・経済的に結びつくという現在の社会・経済状況に、合致しないのです。

 その意味で、府(県)と政令指定都市の権限を再整理し、広域行政を府(県)に一元化することで、より現代的で広域的・長期的な成長戦略・都市計画を立案・実行しようという「都構想のエッセンス」は、恐らく間違っていなかったと私は思います。

成長には直結しない「都構想」
 しかしその一方で、府(県)と政令指定都市の権限の再整理それ自体は、単に行政機構内の権限の分掌を変えるだけで、成長に直結するものではありません。府(県)が成長を遂げられるかどうかは、当然のことながら、外形である大阪都構想にではなく、中身である「成長戦略」や「都市計画」によって決まります。維新が、その肝心の「中身」を提示することなく、「外形」に過ぎない大阪都構想が成長に直結するかのように喧伝したことは、極めて大きな誤り、もしくはミスリードであったと私は思います。

 さらに、成長戦略、都市計画のような将来の話ではなく、「日々の住民サービス」の観点から見たら、豊かで人口が集中する大都市の税収をそのまま大都市に使った方が使える金額は高くなります。また、これまで一つの大阪市でやっていた「日々の住民サービス」を四つの特別区に分割すれば、当然ながら行政コストは上がります。住民投票選挙の最終盤で報道され話題を呼んだ「大阪都構想が実現した場合、行政コストが218億円増加する」という毎日新聞の報道は、その前提や細かい数字に修正の余地はあるにせよ、基本的には誤報でも捏造(ねつぞう)でもなんでもなく、明らかな「事実」であると思われます。

住民投票は「5年前と同じ」結果に
 つまり、大阪都構想は「よりよい成長戦略・都市計画の立案・実行」のための行政機構の整備というエッセンスにおいては正しいけれど、それ自体が成長に直結するものではなく、場合によっては「日々の行政コスト」を上げて域内における行政サービスを低下させかねないものであり、本来、そのメリットとデメリット、実行した場合の影響や効率的な執行方法を様々に検討し、より良い制度設計を、時間をかけて模索すべき、極めて複雑で大きな問題なのです。

 ところが、このきわめて複雑で大きな問題である大阪都構想の住民投票が、再度否決されたその理由は、出口調査の結果から見るかぎり、極めてシンプルです。

 NHKの世論調査によれば、「前回、『賛成』に投票したと人38%、『反対』に投票した人37%、『投票していない』人が24%の中で、前回の住民投票で「賛成」したと答えた人のうち、およそ90%が今回も「賛成」、前回「反対」した人のうち、およそ90%が、今回も「反対」に投票した」とされており、有権者の賛否は前回とほとんど変わっていません。

 「行政区ごと」の賛否でも、賛成・反対が変わったのは、前回賛成多数だったのが反対多数になった東成区のみで、後はすべて同じです(NHK NEWS WEB参照)。要するに今回の住民投票は、一言で言って「5年前と同じ」結果だったのです。
構想の中身も説明も変わらず
 では、今回の住民投票に際し、大阪維新の会、日本維新の会は「都構想は大きくバージョンアップ」(大阪維新の会HP参照)したと喧伝し、法定協議会では維新・自民・公明の19人中16人の賛成を得、実際の選挙においては公明党の全面的な協力を得るなど、外部的状況としては2015年と大きく異なっていたにもかかわらず、2020年の大阪都構想の住民投票自体は何故、これ程シンプルに「5年前と同じ」結果になったのでしょうか。

 私は、その理由は三つあると思います。

 第一の理由は、身もふたもないのですが、そもそも大阪都構想自体も、これに対する維新の説明も、本質的に「5年前と同じ」だったことにあると思います(Sankei Biz参照)。

 先述した通り、大阪都構想は、「長期的な成長戦略・都市計画の立案・実行を容易にする」というメリットはあるにせよ、成長そのものと直結するものではありません。それどころか、大阪市と言う域内にかけられる税収は減るというデメリットもあります。また、現在一つの大阪市で行っている行政サービスを四つに分割した特別区で行うことにするなら、当然ながら「日々の行政コスト」は上がります。

 さらに、特別区制度が始まった終戦直後の1950年代ならいざ知らず、長い期間、複雑化した多様な行政を担ってきた大阪市を解体・分割・再編するとなれば、そのコスト・手間だけでも膨大になります(今回の大阪都構想における維新の見積もりは241億円)。

 維新の主張する大阪都構想のメリットが正しかったとしても、5年の時間があったのですから、大阪都構想のメリットのみならずデメリットもきちんと示して検討の遡上に上げ、「複数の特別区に分割」という当初のスキームにこだわらず、党派横断的に多くの人が納得できる制度設計をし、可能な限りの了承を得、住民に時間をかけて丁寧に説明すべきであったと思いますが、維新がその様な努力を十分にしたとは私には思えません。

 「大幅にバージョンアップ」という宣伝文句とは裏腹に、維新の大阪都構想は、必ずしも大阪都構想それ自体から導かれない仮定のメリットを過度に強調し、デメリットを過小評価どころかほとんど存在しないと言い募り、恐らくは特段の根拠も検討もない「東京23区の模倣」である「複数の特別区に分割」案に固執し続けた、本質的に「5年前と同じ」ものであったのです。

 とすれば、投票結果が「5年前と同じ」であったのは、実のところ当然と言えば当然であったと私は思います。

敵をつくりすぎた政治手法
 この本質的な理由と対照的に、第二の理由は極めて政治的なもので、ずばり維新が敵をつくりすぎたことであると、私は思います。

 前述の通り、今回の大阪都構想は本質的に「5年前と同じ」ものでしたが、政治情勢の変化もあり、9月19日、20日の世論調査では、賛成49.1%対反対35.3%と、賛成が大きくリードしていたと報じられています(ヤフー個人参照)。ところがそのリードは、それから3週間後、告示前の10月10日、11日1の調査では、賛成45.4%対反対42.3%と急速に縮まり、最終的に賛成49.37%対反対50.63%の結果となりました。

 その理由は複数あるのでしょうが、公明党は賛成に回ったものの、自民党は反対。立憲民主、社民、共産、れいわ新選組の野党がすべて反対で強力な反対運動を展開したのみならず、SNS上において「維新嫌い」の個人による反対キャンペーンが極めて活発に展開された(私自身も、賛成の方々からは、恐らくはその一人と思われていたでしょう)ことも大きな理由の一つでしょう。


拡大住民投票の結果を受けて会見する北野妙子自民党市議団幹事長(手前)ら=2020年11月1日午後11時4分、大阪市中央区、白井伸洋撮影
 選挙戦最終版において話題を呼んだ、大阪市財政局の「都構想による市の4分割で行政コストが218億円アップする」という試算と毎日新聞の報道も大きな影響がありました。私はその内容は誤報でも捏造でもなく極めて正当なものだと思いますが、その半面、市の財政局が報道機関の求めに応じて、市長に報告することなく試算を公開したという経緯は、通常のものとは言い難いものだと思います。

 おそらくは、大阪都構想の問題点への指摘を無視され続け、反対意見を言うと30分の「市長面談」のうえ、「自らが正しいと思って発表したことを『捏造』であるとする記者会見を強いられるような」パワハラすらも疑われるリーダーシップで沈黙を強いられてきた大阪市役所の職員と、なにかにつけてバッシングを受けてきた「毎日新聞の新聞記者」の怨念が、「大阪都構想のデメリットを何が何でも世に問いたい」という“情熱”に結びついたがゆえの発表、そして報道だと考えることも、ゆえなきことではないと思われます。

 維新の政治手法は、ともかく敵をつくり、理屈を無視して相手をバッシングすることで、関係ない第三者から支持を集めるというもので、私自身「維新の党」の分裂騒動では、余りに不合理かつ理不尽な橋下徹氏、大阪維新の会の主張に曝(さら)され、袂を分かつことになりました。

 維新がこの手法を取り続けることは、まずもって突如血祭りにあげられる相手方にとって不幸なのですが、それだけでなく、維新にとっても、常に「維新のやることだから反対」という強固な反対論にあうこととなり、不利益です。のみならず、今回の大阪都構想の様に勝敗が決した後も、住民や国民の間に根深い感情的しこりを残し、民主主義全体に負の影響を残します。

 大阪市長の松井一郎氏は今回の敗北を受け、爽やかなコメントを出して政治を引退すると表明しましたが(5年前に大阪市長だった橋下氏も同様でした)、罵倒されて血祭りにあげられた側はそんな爽やかなコメントで過去の経緯を忘れるものではありません。維新には、これまでの手法を改めることが強く望まれます。

民意を得られると自分たちを過信
 そして第三の要因は、維新自身が「自分たちを過信した」からだと私は思います。

 前述の通り、確かに9月19日、20日時点での「賛否」は50%対35%と賛成が大きくリードしていました。しかし、この時点でも賛否未定が15%おり、僅差で敗れた前回の経緯も踏まえれば、セーフティー・リードと言えるものではなかったと思います。また、世論調査は世論調査として、自ら反対派を含むすべての住民の下に足を運び、虚心坦懐に住民の声を聴いていれば、少なからぬ人が大阪都構想に懐疑的であると同時に、極めて強固な反対派がいることに気が付けたのではないかと思います。

 仮にそこに気が付けていれば、賛否が分かれる状態で、大阪市を廃止するかしないかという様な重大な住民投票をすることが、地域住民に抜きがたい断絶を残すリスクをはらむこと、また維新自身の功利主義的な観点からみても、維新市政、維新府政に対する支持が順調なのに、差し迫った必要がないのにわざわざ自らの政治的立場危うくする可能性のある「危険な賭け」であることにも気が付けたのではないかと思います。

 にもかかわらず、維新は都構想の議論を本質的に深めることもせず、従来通りひたすら敵をつくりながら、「大阪都構想住民投票に」に突っ走りました。その陰には、「自分達は民意を得ている」「今現在民意を得ていなくても、選挙戦におけるキャンペーンで簡単に民意を得る事ができる」という過信があったのではないかと、思えてなりません。

 冒頭に記載した通り、私は第1回目の大阪都構想住民投票において、自ら旗を持ち、ビラとメガホンを手にして大阪の街を練り歩きました。それ自体は、草の根民主主義として極めて良い経験でしたが、その合間で動員された橋下氏の街頭演説で使われたフリップには、ミスリードやそれこそ「捏造」と言われても仕方のないグラフ表記の操作などがあまりに多く、本当に辟易(へきえき)しました。

 そこには、そう言った手法によって容易に民意を得ることができるという橋下氏と維新の慢心があったように私には思えます。その慢心は、維新のPRサイトを見る限り、今回の大阪都構想の住民投票にも脈々と受け継がれていたと、私は思います。

 結局、橋下氏や維新が思うほど民意は単純ではなく、その「過信」は二度にわたって裏切られたわけですが、2013年以降、大阪府・市が大阪都構想に費やしてきた予算は100億円を超えると報じられています(ヤフー毎日新聞)。この様な「過信」は、維新自体にとって不利益であるばかりでなく、その過信に基づいて振り回される住民・国民にとっても大いなる不利益なのであり、維新にはこの過信を改めることもまた、強く望まれます。

 以上今回の大阪都構想の住民投票の2回目の否決の原因を分析してきました。かつて維新に籍を置き、多くの仲間と夢を共にしたものして、維新自身と大阪市民、府民、国民、そして日本の民主主義のために、維新が今回の否決を受け、①自らの政策のメリットだけを示すのではなく、デメリットや別の選択肢も示す、フェアな行政運営を行う。②必要以上に敵をつくりバッシングする政治手法を改める。③「民意を変えられる」ことへの過信を捨て、謙虚に民意に耳を傾ける――ことを、僭越ながら心より期待します。







Posted at 2020/11/03 15:15:10 | JOURNAL | 日記

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