中国北京郊外の万里の長城で日本人観光客が遭難した。
日本人観光客というから、観光していて誤って遭難した事故なのかと思っていたが、実は万里の長城100kmトレッキングツアーなるハイカーが、雪で身動きがとれなくなった事故である事が明らかになった。
しかも、このトレッキングツアーは、数年前に北海道のトラムウシ岳で、事故を起こした「アミューズトラベル」のツアーだというのだ。
68歳と62歳の女性2名、76歳の男性の計3名が亡くなった。
日本の年寄りの元気なこと。日本の山のトレッキングに飽きたらず、海外トレッキングに行っている事実を知って驚くやら呆れるやら。
商売したい旅行会社と、知らない場所へ金で解決して行きたい大きなお兄さん、お姉さん。この利害関係が一致している以上、こんな遭難は無くならないのだろう。
どれだけ登山経験があろうとも、肝心の安全管理技術がないまま、団体行動という他人にゆだねた安全の元で登山しているために、想定が甘く今回のような事故が起きるのだろう。
一部報道では、新規ツアーコースであったが、ツアー会社が現地での下見もなかったと行っているが、下見したら今回の事故は防げたかというと、多分同じ結果になっていただろうと思われる。
きっと、天候が悪化するにもかかわらず、トレッキング最終日ということもあって、なるべく早く歩いてなんとか日程をこなそうと、添乗員とツアーガイドが考えてしまった点に、最大の原因があるのだろう。
現地ガイドの話では、
「天気予報は、寒気が流れ込むとは伝えていたが、雪は、午後か夜に降り出すと言っていた」
「出発して、行程の半分くらい進んだころまでは小雨だった。しかし、そのあと大雪が降ってきた」と述べ、午後3時すぎから天候が急速に悪化したと説明している。
ツアーの参加者を背負って歩いたということですが、雪は時間とともに激しくなったため、午後6時ごろ、参加者たちは比較的風が弱い場所に座って助けを待ったと話している。
生存者のインタビューでは、
「もともとはもっと早く下山する予定でしたが、雪が思ったよりも早く降り始めて、歩くのが遅くなった」と語っている。
雪が降るのは夕方か夜と判断して出発したのだろう。しかし雪は昼過ぎから降りだし、あっという間に積もった。そして疲れているツアー客は、歩くことが困難になったという事だろう。
せめて防寒対策の装備があればと思う向きもあるだろうが、積雪時の装備を携行すれば、その分荷物は重くなり、60歳を越える今回のツアー客がそこまでできるのかというと、多分無理があるのだろう。
60歳を越える方々が、数日間毎日歩いて100kmトレッキングする体力消耗が激しくなるこのツアー自体無理があったと言わざるを得ない。
現地ガイドとしては、今回のツアーを成功させて今後のツアー商売を軌道に乗せたいという思いがあっただろうし、このツアーを企画した「アミューズトラベル」担当者の添乗員としても、まずは完歩するという成果を残したい気持ちがどこかにあったのだろう。
なんせ、お一人30万円ぐらいするツアーである。最後まで日程をこなそうといろいろ考えるはずである。
また参加しているツアー客も、30万円払ってやってきたのである。何としても完歩したいと思うに違いない。
金は時として人の判断を狂わせる。そして今回も狂ってしまった。
今回の事故は、
今年5月に起こった遭難事故と同じなのだろう。安全を他人にゆだねて総合的な冷静な判断も出来ない登山者の遭難は、今後も続くだろう。
そして、高齢者の登山は、リスク度がより一層高くなる。
Posted at 2012/11/06 06:59:09 |
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