
年末年始に冬山や低山で不幸だが、遭難が相次いだ。
一体、山で遭難するといくらかかるのか、いろいろ条件によって代わるのだが、試みの計算(試算)をしてみる。
現在では、各都道府県に警察と防災のヘリコプターが配備されているので、民間ヘリを頼んで山岳救助をおこなう事は、殆ど無くなったが警察や防災ヘリには公費が投入されているだけで、ヘリが飛べば金が掛かっている事には違いはない。
各都道府県に配備されている、防災ヘリコプターの多くは、ベル412が主流である。長野県、岐阜県、富山県、北海道の防災ヘリはベル412である。このヘリの一般的な民間での運航価格は、1時間当たりおよそ\912,550(税込)くらいである。
では警察のヘリコプターはというと宮城、茨城、千葉、警視庁、神奈川、長野、京都、大阪、鳥取、福岡、佐賀の各都道府県ではベル206\365,820(税込)を使用しているが、定員5名の小型機であり、山岳救助には余りむいているとは言えない。
現実には、ユーロコプターEC135\672,000(税込)、アグスタ109シリーズ、BK117\714,520(税込)を運用している都道府県が多く、警察のヘリコプターが出動すると、1時間当たり70万円位は最低かかると思ってよい。
この民間ヘリコプターの飛行料金は、あくまで民間の一般仕様で、警察、防災ヘリコプターとなれば、ホイストなどの救助用の特殊装置類を装備しているので、ヘリの運航単価はこれより高いことは想像するにたやすい。
これに、ホイスト操作員や救助をおこなう救助隊の人件費が別途かかるわけであるから、防災ヘリコプターベル412で救助となれば、きっと時間当たり100万円近くに達するだろう。
民間のヘリコプターの金額算出は、実飛行時間で計算されるため、この計算方式を当てはめるなら、遭難の捜索が無く、居場所が分かってホイストで救助するだけと仮定して、航空基地から飛行して救助現場まで飛行する時間を片道20分、救助時間を10分、病院搬送の予備時間10分として、大体1フライト1時間となるだろう。これが、トータル40分ぐらいで出来たとしても、60万円は最低かかる計算になる。
簡単にいうと、山で動けなくなって、ヘリ救助の要請をするだけで最低60万円の実費用がかかるのである。
しかし、山中で遭難すれば、そんな簡単に救助というはずもなく、遭難地点が解らなければ、ヘリコプターからの上空捜索となり、1時間100万円コースが、数時間かかる計算になる。
しかも、地上からの捜索班が出動すれば、一人当たり数万円/日に、救助隊の編成人員分となる。
山岳ガイド料金が1日3万円程度からなので最低3万円として考えると最低3万円×5名と仮定して1日15万円が最低でもかかるであろう。
これが低山の裏山なら、消防団員での捜索となり、1人当たりの人件費額は減るだろうが、投入される人員は増えるので、結局1日当たりの総額は大してかわらないと思われる。
山の遭難は、警察や消防の公的機関での捜索救助なら、基本無料(公金支出)とうことにはなるのだが、現実はここで述べた金額以上の経費がかかるのである。
この公金支出はすなわち税金であり、安易に山に入って遭難してしまう馬鹿な登山者のために、税金が湯水のごとく使われている現実をしれば、少しは馬鹿な登山者には文句も言いたくなる気持ちを少しは知ってもらいたい。
さらに救助に向かう山岳警備隊や警察官などの前線で救助する人々は、自分の身を危険にさらして救助活動に当たってくれるのだ。
現実、救助訓練や、救助活動で命を落としてしまった警察官の方々もいるのである。
冬山に行くなとは言わない。山へ登るなとは言わない。冬山のすばらしさ、登山の楽しさは理解できるし、楽しいものだ。
だが、その楽しさも一歩間違えると、巨額の税金が使われる事実をしっかり認識して、山に入ってもらいたいと思うし、命は一度きりである。
命を失うような事態にならないよう自分の身は自分で守って欲しいと思うのである。
Posted at 2013/01/13 16:57:25 |
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