日本政府がいう”北方領土”
”北方領土”とは何か
択捉島、国後島、色丹島及び歯舞群島からなる「北方四島」を指している。
この北方領土は、日本固有の領土であり、”北方四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結するという基本的方針”
に基づいて、ロシア政府と交渉をしているのが現状である。
日本の基本的立場
(1)北方領土は、ロシアによる不法占拠が続いていますが、日本固有の領土であり、この点については例えば米国政府も一貫して日本の立場を支持しています。政府は、北方四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結するという基本的方針に基づいて、ロシア政府との間で強い意思をもって交渉を行っています。
(2)北方領土問題の解決に当たって、我が国としては、1)北方領土の日本への帰属が確認されるのであれば、実際の返還の時期及び態様については、柔軟に対応する、2)北方領土に現在居住しているロシア人住民については、その人権、利益及び希望は、北方領土返還後も十分尊重していくこととしています。
(3)我が国固有の領土である北方領土に対するロシアによる不法占拠が続いている状況の中で、第三国の民間人が当該地域で経済活動を行うことを含め、北方領土においてあたかもロシア側の「管轄権」に服したかのごとき行為を行うこと、または、あたかも北方領土に対するロシアの「管轄権」を前提としたかのごとき行為を行うこと等は、北方領土問題に対する我が国の立場と相容れず、容認できません。 したがって、日本国政府は、広く日本国民に対して、1989年(平成元年)の閣議了解で、北方領土問題の解決までの間、ロシアの不法占拠の下で北方領土に入域することを行わないよう要請しています。
(4)また、政府は、第三国国民がロシアの査証を取得した上で北方四島へ入域する、または第三国企業が北方領土において経済活動を行っているという情報に接した場合、従来から、しかるべく事実関係を確認の上、申入れを行ってきています。
以上、外務省ホームページより 転記終わり
そこで、今回(2016年12月15日、12月16日)おこなわれた日ロ首脳会談について、テレビ、ラジオ、新聞などの各種報道等の情報を得て、率直な一日本国民として、個人的な感想である。
1.なぜ、北方領土問題の解決に一歩前進しそうな報道が、今年の秋頃から高まったのか。
2016年9月2日に、ウラジオストクでおこなわれた、第2回東方経済フォーラムの際の日露首脳会談で、プーチン大統領から、安倍内閣総理大臣へのお土産として、昭和天皇が即位した際に、12刀作られたという刀のうちの1刀を送った際に、プーチン大統領が
、「このようなものは祖国に帰るべきだ」と言ったらしい。
(※ 報道によるもので、訳した人の解釈によってプーチンが言った表現とも異なる可能性を考慮しなければならない。)
「このようなものは祖国に帰るべきだ」と言ってお土産をくれたという事は、北方領土もお土産として、祖国に帰るべきというメッセージではないのかと、日本側の誰かが解釈して、それを根拠に、12月の日ロ首脳会談で、北方領土の返還があるのではないか。という憶測が生まれたように思われる。
そんな勘違いを日本側がしている時点で、プーチン大統領に一本取られているのではないだろうか。
本来なら、日本側がロシア側に対して、一本取るぐらいの知恵と、鋭さが必要だと思うのだが、一本取られているとは、情けない。これでは、ロシアに北方領土問題でリードすることなど、果たしてできるのだろうか。
2.北方領土は日本に戻って来る日がやってくるのか。
北方領土が戻ってくるという憶測は、日本側の勝手な妄想であって、ロシア側は、日本との領土問題は存在しない。という考えで一貫している。
ただし、過去(1956年)の日ソ共同宣言(昭和31年条約第20号)で、日ソ平和条約は締結後に歯舞群島・色丹島をソ連が日本に引き渡すと記載した事に対して、履行する意志はありそうな感じに過ぎない。
では、日ロ平和条約は締結できるかのといえば、ロシア側とすれば、日米安保同盟がある限り、仮にロシアが歯舞群島・色丹島を日本に返還した場合、この返還した2島に米軍基地ができる、あるいは米軍が駐留する事が可能となり、それではロシア側としては、平和に寄与することにはならないとなり、結局、現日米安保同盟がある限り、日ロ平和条約の締結は不可能であるという結論にしかならないだろう。
よって、日ソ共同宣言で取り交わした、日本側の最終到達地点である、歯舞群島・色丹島をソ連が日本に引き渡すという結論に至ることは、現状ではあり得ないのではないだろうか。
しかも、この日ソ共同宣言以降、紆余曲折があって、日本政府が主張する、「”北方四島”の帰属の問題を解決する」という事は、日本側の一方的な主張であって、ロシア側が、”日本との領土問題は存在しない”という主張とは、大きく隔たりがあって、この主張の違いが交わることはないだろう。
日本が何と云おうと、第二次世界大戦の結果、当時の大日本帝国は、連合国に戦争で負けたと言う事実。
その第二次世界大戦の終戦間際に、当時の日ソ中立条約を破棄し、1945年8月8日に対日宣戦布告し、同年8月14日の大日本帝国が「大東亜戦争終結ノ詔書」「戦争終結ニ関スル詔書」を発布し、中立国のスイス及びスウェーデン駐在の日本公使館を通じて連合国側に、ポツダム宣言受諾が伝えられ、翌8月15日の正午に天皇陛下の玉音放送をおこなったが、その間にも、ソ連軍は、8月25日に南樺太を占領。
すでに、千島列島をソ連が占領することを、トルーマンと合意が取れていたので、8月28日から9月1日までに、北方領土の択捉・国後・色丹島を占領、9月3日から5日にかけて歯舞群島を占領している。
この8月14日の大日本帝国のポツダム宣言受諾以降のソ連軍のいわゆる北方四島の占領行為について、違法であり、日本固有の領土であると日本は主張しているのだが、一方で、1956年の日ソ共同宣言で取り交わした、日ソ平和条約は締結後に歯舞群島・色丹島をソ連が日本に引き渡すとした内容との差異を埋めるのは、相当難しいだろう。
そこに、俗にいう、「二島先行返還論」や、「四島一括返還論」というテクニカル的な返還論が日本内で出てくる所以である。
では、私がロシア側の立場であれば、”北方四島”は返還するかと考えると、血を流して戦ってせっかく手にした領土を、手放す理由がない。
”北方四島”の過去の出来事が、違法だろうが、合法だろうが、当事者の二国間において、1956年に取り交わした”日ソ共同宣言”が全てであり、その日ソ共同宣言を履行するための努力義務はあったとしても、それ以上の約束は無いわけである。
しかも、現実”北方四島”を実効支配しているのは、ロシアである。
安倍晋三内閣総理大臣は、「私の世代で、この(北方領土)問題に終止符を打つ、その決意で、首脳会談に臨みたい」と言ったが、このままでは、”北方四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結するという基本的方針”にむけた北方四島の帰属の解決は、我々多くの日本国民が願っている、日本の帰属という解決に至る事は、相当困難であろう。
今のプーチンの発言のままでは、歯舞群島・色丹島の俗にいう”二島”の日本の帰属すら相当難しく、険しい道のりであろうと思われる。
Posted at 2016/12/19 20:47:31 |
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