
いい年こいたおじさんたちがこぞって
泣きながら「ありがとう」って
私に言ってくれる。
こんな経験は人生の中で何度あるんだろう。
もしかしたらもう。。。ないかもしれない。
NSX界のレジェンドと私が名付けたふたりのお話。
2019年2月のこと。
ある車のショーの主催者から電話がかかってきて
「新型NSXを並べてくれるならあと2台屋内展示どうですか!?」と
格安の料金での展示の依頼を受けた。
新型1台と旧型2台。
こうゆう展示はみんな自分の車を並べたいものだから
本来であればクラブを運営する私としては
普段からクラブの活動に貢献してくれているメンバーから誰かを選んで
展示させてあげるのが筋なんだと思う。
2台のうち1台はヒサシ号。
これはもうクラブのメンバーのみんなが納得する選出だった。
さて、もう一台と思った時
浮かんだ案が私の頭から離れなくなってしまった。
この展示の半年前の5月に亡くなった
長谷川さんの車だった。
毎年仲間と一緒に私のイベントに来てくれた長谷川さんは
お孫さんを抱いて楽しく過ごした次の日の朝
布団の中で亡くなっていた。
彼がいなくなるなんて誰も思っていなかった。
おうちまでNSX中心のショールームのようなリビング付きで建ててしまうほどのNSX大好きおじさんだった。
ヒサシ号の横に並ぶのはこの車しかないと思った。
クラブのメンバーも誰も反対しなかった。
イベント開催日
長谷川さんの奥さんとヒサシさんの奥さんさなえさんは
目を合わせるだけで泣きそうになり、お話はできなかったらしい。
お互いのことが分かりすぎて話すことができなかったと。。。
この日私は長谷川さんの仲間のおじさんたちに泣きながらお礼を言われた。
展示する車に自分の車どころか仲間の車も選ばなかった事に深く感謝された。
長谷川さんの奥さんには「半年ぶりに一緒にNSXで出かけたような気がした」と泣きながらお礼を言ってもらえた。
私のクラブの仲間達も涙目になりながら人混みに埋もれるレジェンドの車の警備をしてくれた。
この感動のストーリーを伝えようとマイクを握る私の手も声も震えて上手く説明出来なかった事が唯一の心残り。
ふたりはきっと、天国でそんな私の姿を笑ってくれたことだろう。
「ふたりの伝説(レジェンド)」
『今どきスポーツカーなんてダサい」
なんて言われてしまうこの時代
平成最後の年に、もうここにはいない
ふたりのレジェンド
『NSXは一生をかける価値のある車』
という強いメッセージを残して
ふたりは天国へ旅立ちました。
そして、私達には
このかっこいいオジサンふたりが
残したメッセージをみなさんに伝えるという
大きな役目が与えられてしまったのです。
そんなのどう伝えればいいの?
すごく悩んだけれどこたえは簡単でした。
『ふたりが生きた証』
最高にかっこいいNSXをゆっくりとご覧ください。
※展示の際の掲示にはこう書いてあります。
ある取材に答えるために
私からの目線で書き起こしたストーリーです。
ついでに載せちゃいます
Posted at 2020/12/25 01:36:37 | |
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