
やっぱりというか、当然というか、オカルトグッズで有名な●ットイナズマというコンデンサーチューニング部品がとうとう自主改善(※)になりました。この部品が原因で7件も車両火災が発生しているというのだから、ただごとではありません。それなのに、新聞などでの告知をせずに、自社のHPでこっそりと告知しているだけというのは、いかがなものかと思います。そして、驚くことにその告知文を読むと、車両用電子回路設計に関して素人の書いた文章にしか思えません。
***以下告知文***
「国土交通省プレスリリース発表内容」ならびに各報道内容について
今回の経緯につきましては、お客様の安全と安心を第一に考え、弊社としての自主的判断に基づき、この様な発表をさせて頂きました。よって製品自体での不具合ということではありません。
製品内の回路保護機構の設計値を超える、バッテリーから生じる、異常なサージ電圧(外的要因)の影響を受け、製品が不具合に陥る可能性があるために、弊社として自主的な改善を実施するに至ったという内容です。
製品をご愛用頂いているお客様には大変ご迷惑をお掛け致しますが、内容をご理解頂きご対応の程お願い申し上げます。
詳細につきましては上記にてご案内を記しておりますので、ご確認頂きますようお願い申し上げます。
2011年11月11日
株式会社●ン自動車工業
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「バッテリーから生じる異常なサージ」とありますが、バッテリーは単なる電池なので、サージなんてものは発生しません。サージが発生するのは、主にスターターモーターなどの誘導性負荷によるものです。バッテリーは大きなコンデンサーと等価ですから、発生したサージを吸収することはあっても、発生させることなんてできないのは、少しでも電気を勉強したことがある人ならわかるはずです。
セルを回したときに数10KVのサージが発生しますが、●ットイナズマ本体はバッテリー近くにインピーダンスの低いケーブルで接続するので、サージはバッテリーに吸収されるはずであり、それがもとで本体が故障するというのはにわかに信じられません。ここからは推定ですが、おそらくセルを回したときにコンデンサーに溜まっていた電荷が一気に放出され、エンジンがかかると同時に高い電圧でチャージされ一気に電流が流れ込むという動作を繰り返すことが原因で内部基板がマイグレーションを起こしショートしたのでしょう。
さらに「??」と感じたのが、その
不具合対策です。
●ットイナズマ本体の回路基板を変更せずに、その外側に「サージブロック」なるものを挿入させて対策しています。その部品がどういう回路なのかわかりませんが、故障原因を間違って推定しているのだから、対策部品も間違った回路構成である可能性が高いです。
もし本気で対策するなら、本体の内部基板で対策しなくては意味がないです。私が設計しなおすとしたら、まずは突入電流を小さくするために、大きな許容電流値をもつセメント抵抗を直列に入れて、ダイオードを使ったサージダンプ回路を挿入、そして本体の基板のパターンを太くして、ヒューズ容量を見直すでしょう。ただしこの対策は電源ラインのインピーダンスを高めてしまうので、本来の効果(リップル電圧の平滑化)は全くなくなりますけどね。もともと効果ないから同じですが(笑
結論としてメーカーの対策部品は不十分なので、車両火災を引き起こす確率はちっとも減っていない、、、と推定します。もしこの部品を設置している人がいましたら、直ちにはずしてしまうことを推奨します。大切な愛車が燃えてしまう前に!
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自分で同じ回路を自作して確認してみましたが、2200μF程度の部品をバッテリーにつけたところで、絶対に燃費は良くなりませんし、オーディオの音が良くなるなんてこともありえません!(きっぱり
パワーアップ、トルクアップ、レスポンスアップ・・・全部根拠のないでたらめです。
こんな”いかさま”で”危険な商品”を売り続けるメーカーには即刻退場してもらいましょう。
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(※)
告知文を読むと、リコールではなく自主改善になっています。この部品が原因で車両火災が発生していることが国土交通省の調査で明らかになっているにも係わらず、製品自体に問題がなく、あくまでも改善であると言い張る、企業として反省のかけらもない態度にあきれてしまいます。この企業の倫理はどうなっているのでしょう? 人命や個人財産よりも自社の利益の方が大切なのですか??
Posted at 2011/11/16 01:17:37 | |
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