R35 GT-Rが発売されて間もなく試乗したとき、いくら速いクルマが好きな自分でも、こんなばかっ速いクルマはいらないと感じたものです。停車状態からアクセルを深く踏み込むと、まるで胃袋を背中から掴まれて、後ろへ引っ張られるような恐ろしいほどの加速、、、そのあまりに異次元の速さは気持ち悪いくらいだったのを今でも思い出します。 それでも世界のスーパーカー並みの速さを、それらのクルマの1/3以下のプライスで購入できたので、それなりに需要はあったことは認めます。特に悪天候のときに、これほど安心して運転できるスーパーカーはないので、高速で東京ー大阪間を突っ走る人にとって今でもベストのクルマかもしれません。 登場以来パファーマンスは毎年向上し、ついに600馬力という途方もないエンジンに磨き上げられ、一般道ではその1/3くらいしか実力をだせない状態。 少なくとも国内では宝の持ち腐れというか無用の長物でしょうね。そのくせDCTは超低速ではガクガクして運転しにくいし、乗り心地も決してよいとは言えないので普段乗りには結構きつい。
誰よりも速く走ることを第一義にしてきたクルマと割り切れば納得できたのだが、下記の2件の出来事が速いだけのスポーツカーの時代は終わったと警鐘を鳴らしている気がします。
1.
ニュルブルリンク GT-R NISMOのレース中の事故を受けて速度規制導入
市販スポーツカーはほぼ例外なくニュルでのタイムアタックにより足回りやボディーを鍛え上げ、その速さを誇示してきたが、そのタイムアタックが事実上できなくなることで、速さを表す指標がなくなってしまった。市販スポーツカーは目標を失ってしまったので、これからの開発は目標を何におくかというコンセプトからの見直しが必須。 目標を失ったときに日本のモノづくりは特に弱いので、絶滅するかもしれません。
2.
大学生が盗んだGT-R NISMOでレースに出場し優勝
この犯人は特異な人物なのであって、多くのスポーツカー愛好者に悪い人はいないとは思います。犯罪そのものに関しては何をかいわんやなのでノーコメント。 この大学生はプロのレーサーを目指していたらしいのでそれなりの運転技術はあったのでしょうが、それにしてもきちんと訓練を受けていない若造が乗りなれていないクルマでレースに出て簡単に優勝してしまうというのはクルマの性能が飛びぬけて高かったということなのでしょう。盗んだクルマでなかったとしても、そんな別格なクルマで優勝して何が嬉しい?? なんだか速いクルマを全否定したくなるような事件になってしまったのが悲しい。 金さえ払えば誰でもレースで勝てる時代、、、これはバカチョンのデジカメで誰でもそれなりの写真が撮れるようになったと同じことで、その機械自体に趣味性は失われ、その機械で何をするかが重要になったのだと思います。
2件の出来事がスポーツカーの未来を暗示しているような気がしてなりません。
Posted at 2015/09/03 20:37:44 | |
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