昨年までは衝突(被害)軽減ブレーキと称していたはずの安全装備がいつからか自動ブレーキと名乗るようになっていることに関し大きな疑問があります。”一般ユーザーにわかりやすく”という商品企画サイドからの要望があったのであろうけど、あたかも全自動で衝突を予防してくれるような名称はユーザーに誤解を与えるし、訴訟リスクをかかえることになる。 障害物にぶつかる前に必ず止まってくれるシステムであれば自動ブレーキと名乗る資格があるが、現在の技術では突発的な飛び出しや、センサーから見て障害物の非線形な動きに対し追従できないので、衝突するリスクはゼロでない。 絶えず変化する路面μや雨の日にタイヤが巻き上げるスプラッシュなど、センサーの限界もあるなか、なぜ自動ブレーキと名乗れるのか理解できません。
この種の安全運転支援システムは国内自動車メーカーが1996年に共同で立ち上げたAHS研究組合で検討されていた。そこでは様々なシステムが提案され、実験車両を仕立て上げて共同で実験をおこなっていたが国交省の役人も参加していたこともあり、参加していたエンジニアは決して”自動運転”を想起するような言葉を使わないことが暗黙の了解となっていたはず。なんとなれば、万能でない安全運転支援システムを ”過信して事故を起こす” ことを最も恐れていたから。 2000年頃には自動ブレーキに類するシステムは技術的に完成していたが、国交省や警察を説得することは無理と判断して商品化はせずにいた。 ところが、富士重がアイサイトという複眼カメラをつかった自動ブレーキのシステムを ”ぬけがけ” で商品を出してしまった(開発は日立)から、他の自動車メーカーは慌てた。 あまり注目されていない会社だから、厳しい審査の目をくぐりぬけて商品化できたのだろうし、他の大きな自動車メーカーであれば業界内の暗黙の了解を無視して商品化はできなかったであろう。
不完全とはいえ事故低減に貢献するシステムであるから安全運転支援システムの商品化には多いに期待しているが、ユーザーが勘違いして間違った使い方をしないようにする責任をメーカーは負っていることを忘れないで欲しい。
・ドライバーに安全運転の責任があること
・システムを過信して漫然運転をしないこと
上記2項目に関し十分な説明をすることと社会的な認知をえることを自動車メーカーに強く要望します。今のシステムはシステムが作動するとガツンとブレーキが利くように設定しているので、よほどの変人じゃない限りシステムが動作する前にブレーキを踏むはずですが、次のステップではきっとスムーズなブレーキ制御をするようになっていくはず。そのときにどうやってシステムへの過信を防ぐかが重要な開発テーマになるでしょう。
Posted at 2015/09/07 23:32:58 | |
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