2007年に世界販売台数でトヨタがGMを抜き名実ともに世界一の自動車メーカーになった直後、米国で”いわれのない”電子スロットル車両の急加速問題が勃発、さらにハイブリッド車のブレーキ抜けの指摘によりNHTSA、NASAによる強制調査が行われ、マスコミや米国の消費者から徹底的にたたかれ続けた。 TVカメラの前で社長が涙ぐみながらクルマには問題がないことを歌えるシーンが印象的な事件でした。あのときのトヨタはそのまま沈んでしまうのでは!?というほどの逆風が吹き荒れていましたが、今となってみればあの騒ぎはなんだったんだろうかというくらい不可思議な騒動でした。 最終的にトヨタはリコール費用や和解金などで3000億円以上の被害を受けたともいわれていますが、あのとき得したのは誰だったかと振り返ると裏事情が透けて見えます。得したのはライバルメーカーのGMやフォード、弁護士、和解金を勝ち取ったクレーマーあたりが主だったところですが、結局のところトヨタの米国事業での利益を米国内に還元したことになるのでまんまと米国にやられたというのが全体像になります。その後見事に立ち直り世界一の座を奪還したのはさすがです!
そして今回のVWの排ガス問題。 ちょうどVWがトヨタを抜いて世界一になろうかという瞬間におこったのは偶然ではあるまい。 ただし今回の火付け役は米環境保護局(EPA)という公的機関なので、トヨタのときのような”いわれのない”問題ではない。しかも制裁金だけで2兆円を超えるので、バッシングというレベルをはるかに超え会社の存続を揺るがす問題になります。 VWの年間利益の数年分にもなる巨額な制裁金はギリシャ問題や難民受け入れで揺らぐドイツ本国にとっても稼ぎ頭からの税収が得られなくなるので一大事です。
排ガス検査時にはほとんどのクルマがなんらかの対策ソフトウェアを稼働させているので、今後どこまで波及するか業界関係者はドキドキしているはず。 たとえば検査のときだけオルタネーターの発電量を少なくしてやると、エンジン負荷が下がり結果として燃費とエミッションが良好になるのですが、そんなことくらいどこでもやってるっしょ!? ただし、今回のVWの排出ガス処理システムの無効化プログラムについては不可解なことが多い。そんな大胆なことやったらすぐにばれるのは当たり前です。それがどういう結果を引き起こすかはエンジン開発の新人社員にだって想像できる。そう考えると、もしかしたら単純なプログラムミスだったのではないかと思うのです。時速100km/h以上のときは無効化せよと条件実行すべきところ、その条件文(if文)を間違えて削除してしまったとか!?たった一行のプログラムミスで会社が倒産寸前まで追い込まれるとしたら怖い話ですね。
一方、EPAは排ガス検査時の裏事情をはるか昔から察知していたはずで、伝家の宝刀を抜くタイミングをはかっていたに違いない。
米国でよく使われる諺に
豚は太らせてから食せというのがありますが、VWはまんまと米国にハメられたといっても過言ではあるまい。
今はVWにばかり逆風が吹いているがトヨタのときと同様に真実が明らかになるのは半年後かな。VWはとんでもない会社と判断するのは時期尚早というのが現時点の私の意見です。
Posted at 2015/09/24 23:28:25 | |
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