2015年10月06日
昔の愛車だったので180SXには思い入れが深いのですが、どうも勘違いされている方が多いのが気になります。一言でいえば、”CMを構成した人の知見と思慮が足りない!” ということですが。
【勘違い その①】
まず、180SXはスポーツカーではなく、いまでは死語になっていますが”スペシャリティーカー”という分類になります。デートカーともいわれていたかな。 元祖は1970年代の初代セリカくらいまで遡りますが大衆車ベースのシャシーに流麗なボディーと多少パワフルなエンジンを搭載した若者向けのクルマですね。 シルビア/180SX が登場する直前までこのジャンルでは2代目のプレリュードが販売台数で圧勝していて日産の久米社長にして絶対に勝ちたいといわしめたクラスでした。
欧米でも女性秘書がおしゃれなクルマとして指名してくれたのでセクレタリーカーというジャンルが生まれました。
当時日産は90年にシャシー世界一になることを目標として901活動というのを社内で展開していた。その成果の一つがリアのマルチリンクサスペンションでスカイラインやフェアレディーZより先に搭載されたのは発売タイミングがたまたま早かったから。 デートカーのためセッティングは柔らかめでロールは大きく、ロールに応じたトーイン制御により限界は比較的高い反面アンダーが強めでコーナーを攻めるようなクルマではなかった。 この時期スポーツカーといえるのはRX-7とその後登場するR32 GT-Rくらいかな。
エンジンはV6のVQエンジンと同様にショートストロークの高回転型で軽やかにレッドゾーンまで回ることを念頭に置かれて開発された直4のCA型。 低速トルクが不足していたので発進加速は苦手であった。 0-400mはターボの助けもあって15秒台と比較的早い方で、価格の安さから多いに売れて兄弟車のシルビアがプレリュードに販売台数で勝つことができたのでした。 その年、シルビアは国内外の各賞を総なめにしたクルマでした。 プリンス時代は知りませんが、この頃日産が一番輝いていた時代かもしれません。
マイナーチェンジでエンジンが1800ccのCA型から2000ccのSR型に変わった頃からデートカーから走り屋御用達のクルマに徐々に変貌していったような記憶があります。 イニシャルDなどの漫画で峠を攻めるクルマとして取り上げられたので、走り屋さんが飛びつき中古車市場も賑わっていきました。 おかげで結構下取り価格が良かった(^^♪ 中古車で買われたクルマは車高短+マフラー交換で下品な族車になることが多く、おしゃれな雰囲気は一気に失われてしまったのが残念な点です。
【勘違い その②】
180SXとリーフがどちらが優れているかと問われれば、それぞれに良い面悪い面があり一面的に評価することはできない。 時代背景や自分自身の成長に合わせてクルマを選択しているので、20年以上の時代を超えた比較そのものがナンセンスだと思うのです。 単にリーフの発進加速が良いということだけを訴えたいのであれば別の表現方法を取るべきでもっと頭を使いましょうよ!といいたくなる。 昔のクルマには、乗っていた人の想い出や、乗ったことすらない人でも思い入れが詰まっているので、それを否定するようなCM構成にしたことが今回の騒ぎの要因の一つなんだろうと思います。
【勘違い その③】
そして最後に180SXの発進加速ですが、低速トルクの少なさから油断すると原チャリにも負ける程度のものでした。 そんなクルマでしたから発進直後からほぼ最大トルクを出せる電気自動車にはかないませんよ。いまさらそんなことを蒸し返さんでくれといいたい。 180SXにはそんなことよりも、彼女とドライブにいった楽しい思い出がいっぱい詰まっているんだから、発進加速の遅さなんてどうでもよいことなのです。 昔の素敵な思い出を踏みにじるようなCMはやめてくれというのが、多くのクレームを生んでいる主要因なのではないかな。
以 上
【追伸】
元愛車を思い出させてくれたことには感謝いたします。
Posted at 2015/10/13 23:23:22 | |
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