2016年07月19日
ソフトバンクを率いる孫社長がARMを買収するというニュースを見て驚きました。 古くから携帯電話に使われているCPUはARMベースのものが多く、ここ数年は欧州車の車載コンピュータにも使われ始めています。 国内の車はルネサスの半導体を使うことが多いのですが、それは1970年代からエンジン制御に日立や三菱のCPUを使っている長い歴史があるためです。 エンジン制御に必要なタイマー(インプットキャプチャー)が多数用意されA/Dコンバータを内蔵するなど、クルマの進化に合わせて周辺チップを取り込んで高度な制御ができるようになっています。 日立ルーツのSHマイコンは高性能でグラフィックチップまで統合したものがあり、カーナビの心臓部にも使われていたりします。 日本のメーカーがARMを使いたがらないのは、必要な機能を自分で選択し、自分で設計しなければならないから。 それに対して日本製のチップは幅広いバリエーションの中から目的にあったものを選ぶだけ。 開発者として楽なんですよね。 いわばレディーメイドがルネサス、カスタムメイドがARMといった違いです。
なぜ、ARMか?
ARMコアベースのカスタムチップが安くできるから。
なぜARMに乗り換えないのか?
今までの開発資産を活かせず、開発リスクを伴うから。
ARM社はCPUコアの設計技術をライセンスすることに特化しているため、CPUの製造そのものは台湾あたりに委託することになるのですが、CPUのスケーラビリティーが高く世界的に開発環境がそろっていてソフトウェア開発者が多いというメリットもあります。
ARM を車載機器に使いたい・・・と思ったのは2006年頃、同じころ孫社長はARMの買収を考えていたというから、たいしたもんです。 エンジニアと経営者とではこれだけ視点が異なるものかと驚きました。 しかも3兆円という途方もない金額での買収。買収後にちょっと経営を間違えただけでソフトバンクは吹っ飛びます。 英国がごたごたしてポンド安になったところでのナイスタイミングとは思いますが、ARMを生かすも殺すも今後の孫さんのかじ取り次第。 組み込み機器用のCPUはインテルも進出しているがあまりうまくいっていないので、今後のシェア争いはルネサスを含めてさらに激化するはず。 CPUが高度化するにつれ開発費は膨れ上がるばかりで、どこまでソフトバンクが開発投資を許容できるかがARMの命運を握るといっても過言ではないでしょう。 どうせなら経営が苦しいルネサスも買収してくれれば、、、今後業界がどう変わっていくのか楽しみでもあります。
ちなみにリーフのカーナビに使われているCPUはARM社のARM9という20年くらい前のCPUです。ARM社のCPUの特徴としてアッパーコンパチに優れ、簡単に最新チップに置き換えられるという特徴があるのですが、ちっとも更新されないのが残念です。 リーフがあまり売れないのでカーナビの開発予算が確保できないのでしょうね。 それに比べてテスラの情報端末のすばらしさ! テスラをまだばらしてみた人はいないと思いますが、おそらくARM11ベースでグラフィックを統合したCPUを採用しているはず。(nVidea社の統合チップ??)
コンピュータ技術で日本が負けていてはいけません!!
Posted at 2016/07/19 12:58:35 | |
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