トヨタがEVの社内ベンチャーを立ち上げるという奇妙なニュースが流れたが、EVに本気になったと考えるのは早計であろう。
トヨタ本体と関連会社3社から1名ずつの合計4名の組織でクルマの企画開発なんてできるはずがない。もし本気でEVを開発するなら、開発が終了したプリウスの設計部隊(100名以上)を投入することで2年以内にEVの生産を開始できるはず。 複雑なハイブリッド車両を作るよりも構造がシンプルなEVを開発する方が開発期間は短縮可能なので、本気になれば18か月程度で量産開始できると見込みます。 電池は仲の良いPANASONICから調達できるしEV開発に必要な技術要素はすべて揃っているのだからEVを開発するための社内ベンチャーなんて立ち上げる必要はない。
それでは何のための社内ベンチャーなのか?
考えられるのは以下のようなことです。
①社外へEVもやってますというポーズ
トヨタはハイブリッド技術で差別化し利益を出しているので、あえて儲からないEVをラインアップにいれたくない。 しかし、他社が一斉にEV開発に向かっているので、株主を安心させるためにEVもやってますよというエビデンスが欲しい。 4名程度の人件費でごまかせるのなら安いもの。
②EV時代に備えたグループ内の利益調整
トヨタが重視するもののひとつにグループ企業の繁栄があります。 EVは部品点数が少ないためグループ内で分担する仕事の奪い合いになり、仕事が取れない企業は存続すらあやうくなる。 たとえば売り上げの大半を変速機に依存するアイシンは、変速機の不要なEV時代には大変困ったことになり、何か新しい部品をトヨタから分配してもらわないと生き残れない。 グループ内の利益調整をいまのうちに整理しておこうということなのかもしれない。
③開発費削減の第一歩
EVは当面販売台数が見込めないので、極力開発費を削減したい。どうやったら安く開発できるかの知恵の出しあいをしてみましょう・・・くらいの乗りかもしれません。 具体的には子会社、関連会社の活用方策検討。 人件費の高いトヨタ本体で開発を進めてしまうと開発費の回収ができなくなるので、人件費の安い子会社の活用検討を行う組織として考えるとわかりやすい。
いずれにせよ今回の報道でトヨタはやっぱりEVには否定的だということが明らかになったわけです。
カリフォルニアの規制対応には不安が残りますが、米国の自動車メーカーと結託して先送りさせるロビー活動をおこないつつ、いざとなったら金で解決すればよいと考えているでしょう。 テスラを丸ごと買い取ってしまうだけの資金をトヨタは持っているのだから。
EVが環境対応の本命と考える人にとってトヨタの動きは理解できないかもしれないが、ビジネス優先と考えれば当然の動きに思えます。
Posted at 2016/11/18 15:58:56 | |
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