2018年08月12日
新型リーフでは温度上昇により急速充電の速度が極端に遅くなるというクレームが多くなった。対策プログラムを配布し多少改善したが根本的な問題は解決できていない上に、バッテリーの劣化を早めるというジレンマを抱えている。
なぜ新型リーフなっても冷却デバイスが追加されなかったのか?
その原因には開発予算(バジェット)の確保ができなかったことと原価低減要求が厳しかったことが考えられる。
新車開発にあたってはコストの必達目標があり、どんなに開発側が部品追加が必要と訴えても、車両責任者が首を縦に振らない限り予算はつかない。車両責任者には台当たり収益目標が設定されているので利益が増えるような提案でなければ追加予算を与えられない。販売台数をコミットするのは販売を統括する責任者だがクルマの仕様にツベコベいう権限はない。コスト目標が達成できなければ、どんなに良いクルマを作っても昇進ができないどころか、クビという厳しい世界だ。
リーフが抱えたバッテリー温度上昇問題を電池開発者が認識したとしても、それへの対策費用はどこからも捻り出せない社内の仕組みが透けて見える。各責任者の言い分や思惑はすれ違ったまま商品化された結果がZE1リーフを生んでしまったことになるが誰も責任を取らない、取れない社内統制に問題があるといえよう。
残された最終手段は事前に確保しているクレーム対策費と予備費を使うこと。これでようやく60kWhバッテリーを搭載するための冷却デバイスを追加できるようになる。開発費は60kWhリーフに全て乗せて償却すれば、それ以降のクルマには開発費負担はかからない。
60kWhリーフの価格はバカ高くならざるを得ないが、その後のクルマはコストが押さえられるトリック。従って60kWh版の次に登場するリーフが狙い目、その時期は早くても一年後になるだろう。初期型リーフが自然空冷で成立できたことが、その後のEV開発を難しくしてしまう悲劇を生んだ。そして犠牲者は未完成車を購入したユーザーだろう。
どこかにターニングポイントはあったはずだが引き返すことなく前進して凍死した八甲田山の行軍を見ているようだ。
Posted at 2018/08/12 17:15:20 | |
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