どうしてテスラは強いのだろう?
単にベンチャー企業だからと片付けられないテスラ独自の秘訣があるはず。
①価格設定の柔軟さ
テスラの新型「モデル3」、中国で56万円値上げの意外、自動車業界や消費者を驚かせた価格設定
一般的に市場シェアと利益率は同時に追求できないと言われている。いままでテスラは圧倒的価格競争力を武器にシェアを拡大していたが、新型モデル3では利益率を重視しているようだ。しかし新型の需要が落ち着いてきたら再度値下げしてシェアを取りにいくはず。ネット販売なので価格設定を柔軟にできるのがテスラの強み。既存メーカーには簡単そうで真似ができない。販売店の値引きで対抗すると販売店が疲弊してしまうし、販売奨励金の上げ下げでは現場が混乱してしまう。そもそも突然値下げしたら買った人からクレームが殺到する。テスラだから許されているのだろう。
②開発スピードの早さ
テスラ、新しい「プロジェクト・ハイランド」版モデル3にCATL製新型バッテリーM3Pを搭載へ
自動車メーカーは信頼性確保の為、駆動用バッテリーの品質確認を2年程度かけている。ところがテスラは毎年のように駆動用電池を更新している。どうやったらそんなに早く品質確認ができるのか謎です。この開発スピードの速さがテスラの競争力の源泉になっている。
③各国の政治家を動かす交渉力
EVは単に技術力だけでは勝負できない。テスラは各国の環境族と言える議員にテスラが有利な法律、規制、補助金制度などを作らせ(ロビー活動)、いち早く対応してきた。中国に初めて外資の独立系自動車メーカーとして進出し多額の融資を受けるなど他社にはできないことをあっさりこなした。その政治力は驚きしかない。
④販売後も毎年進化させる仕組みと開発費
ソフトウェアが中心だが購入後のアップグレードがユーザーの楽しみになっている。IT業界では当たり前の機能だがクルマ業界とは本来親和性がなかった。信頼性という観点ではネガティブだし、コスト削減活動にならないから。そんな常識を打ち破ったテスラだが性能に関わるアップグレードは警察や国土交通省の認可の問題があり自動運転のソフトウェアアップグレードはグレーゾーンだ、国外の自動車会社だから見過ごしているのかも。もっとも敷居が高いのは開発費の確保。販売後のクルマの開発費は普通なら確保していない。せいぜい不具合対策があるくらい…同じモデル3でも年式によって搭載システムのハードウェアか違うことがあるので互換性確保は大変だ。どうやって収益を確保しているのか謎です。
悔しいがテスラは他の自動車メーカーとは大きな違いがあり、その実力の差は更に開きつつある。放置すると手の届かない圧倒的存在になってしまうのはアマゾン、アップルなどに似ている。
極めて細かく業務分担が定義された既存の自動車メーカーには対抗不可能にも見える。企画、開発、製造、営業を横断的に統括する強力な組織の設定が必要だけど、それを支える人材が日本の自動車メーカーには存在しない。あえてあげればソフトバンクの孫社長の様な魔術師が数人は必要です。東大卒の頭の良い人ばかりでは無理だろう。
真面目にコツコツと働くのが日本人の特質だけど全く異なる発想と行動力が必要なのかも知れない。
頑張れ、日本の自動車メーカー!
【オマケ】
やはりイーロン・マスクという特異な存在がテスラを成功に導いたとしか言えない。
伝記『イーロン・マスク』が明かした“子ども時代の闇”と、「天才」であることの深い関係
Posted at 2023/11/05 11:07:13 | |
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