ディフィートデバイスの無効化禁止に関しては欧米が先行して規則を策定し、それに追従するように国内でも
自工会がガイドラインを2011年9月に策定している。国内でガイドライン策定に着手したきっかけは東京都が独自に行った抜き打ち試験でいすずのトラックが無効化プログラムを実装しているのが発覚したのがきっかけである。
ディフィートデバイスの無効化には様々な方法が考えられるが、いずれの方法でも排ガスの浄化能力を著しく低下させ、その変わりに燃費向上、もしくは触媒デバイスの延命が可能となる禁断の手法といえよう。毒リンゴをかじってしまった代償はあまりに大きい。
排ガス中のNOxを低減する方法は大きく分けて白金触媒によるものと、尿素SCRを使ったものがある。後者は尿素タンクが必要になるため主にトラック向けの技術である。白金を使ったNOxの低減技術には各社多少の違いがあるが概ね下記のような手順になる。
①リーンバーン運転中にNOx吸着層にNOxを吸収させ排出ガスに含まれるNOxを低減。
②時々リッチバーン運転として、NOx吸着層のNOxと排ガスに含まれるH2を反応させてアンモニア(NH3)に転化させたうえ、NH3吸着層に一時的に吸着させる。
③再びリーンバーン運転に戻したときに吸着しているNH3と排ガス中のNOxが反応し、無害の窒素(N2)となって排気ガスとして排出される。
上記工程において②を省略してしまうこと(ディフィートデバイスの無効化)で、燃費を向上できるが
吸着層で吸着しきれなくなったNoxが大量に放出されてしまう。
この違法化プログラムを規制に適合させるためには、本来の手順通り②を確実に実行することが必要となるが、濃い燃料を吹く割合が多くなることで燃費の悪化は避けられない。 従って今回VWの該当車両がリコールされ正しい改善対策が導入されるともれなく燃費の悪化がついてくることが推定される。 運悪く購入してしまったユーザーがそれを許容するのだろうか? ユーザーメリットがない作業のために入庫を強要され、戻ってきたら燃費が悪くなっているなんてありえんでしょ!?
自分だったらこの改善対策を受け入れずバイバックを要求すると思うが、1100万台もの車がバイバックされたらVWは破綻してしまう。 落としどころとしたら燃費悪化分の燃料代をキャッシュで渡して黙らせるくらいか。 いずれにせよ今後の成り行きが注目される。
Posted at 2015/09/25 14:56:16 | |
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